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日本は住めない国になる特に子供たちは健康的に危険な国となる『日本が売られる』

2019-11-29 10:33:00 | 世界の動きから見えるもの

@この書の内容が全て真相であれば将来日本には住めそうにない国となりそうだ。まず、現在小さな子供にいる家庭は日本を脱出する必要性を感じた。 それは1、核廃棄物処理大量輸入大国となる(核保有国からの汚染物質輸入増大・河川・土壌・海への投機) 2、健康に危険な食料大量消費国となる(多くの遺伝子食品輸入と薬の健康基準範囲の大幅な緩和による化学薬品・農薬大量使用国)3、様々な法緩和改正による現生産・物流の崩壊と大量の輸入で自給率の激減となる(海外大手・食品・薬・水・土地・種子・森・海・動物の日本への市場独占加速化)

これは既に始まっていることが重大な問題だと思った。ではなぜ、日本はそんな国になったのか、推し進めているのは米国・トランプ政権に結びつく世界の大手遺伝子組み換え種子と農薬メーカー、さらに世界の投資家とウォール街である。 この書を読んで思うことは、今後規制緩和との名目で大手企業優先策を図る国が、国の補助も無く、資金的に貧困し老齢化した中小企業の多くは倒産し、大手、特に外資系が独占していく。日本での食生活で必要な生産物はほとんど無くなり健康的に危険な食品含めた輸入物になってしまう。消費者は健康志向の選択肢の失くなる食品を摂取することは特に子供等に重大な健康問題が発覚している。米国を農薬・化学薬品等を使用した農産物による健康被害は米国でも多く、これから日本も一気に増えることは間違いない。

もちろん農林水産関係の生産者数も大幅に激減、淘汰された大手数社が全てを国の保護下におかれ管理維持していくだろう。現状の「規制緩和」の裏側にある法改正は、地元民にとっては仕事・就職も致命的となり雇用も激減、地方の減退、日本からの脱出組が増えることだろう。さらに、健康的な国民が激減し、老齢化とともに様々な治療が必要な患者が増えることも間違いない。 米国では既に多くの子供達が有害な農薬の使用の食品で12人に1人が食物エネルギー(アレルギー性鼻炎・アトピー皮膚炎・喘息)で亡くなっており、その他発作性の疾患(20人に1人)、自閉症(68人に1人)を抱えている。農薬と遺伝子組み換え食品の悪影響はこれから日本でも急激に患者が増えると予測できる。 現在の対処法はオーガニック色に加え発酵食品を多く取ることだ。

『日本が売られる』堤 未果

「著書データバンク出典」 水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ。そんな日本に今、とんでもない魔の手が伸びているのを知っているだろうか? 法律が次々と変えられ、米国や中国、EUなどのハゲタカどもが、我々の資産を買いあさっている。水やコメ、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、日本が誇る貴重な資産に値札がつけられ、叩き売りされているのだ。

第1章 日本人の資産が売られる

1 水が売られる(水道民営化) 民営化による過当競争がなくなり価格高騰、水の品質悪化、採算の取れない地域、古い水道、災害事故などは復旧する見込みがなくなる。 外資系企業の地域管理下で

2 土が売られる(汚染土の再利用) 核の大幅な緩和改正(世界の基準値を遥かに超える8000ベクトルを承認)し放射性廃棄物を輸入する汚染された土壌を利用し核ゴミビジネスを推奨している。

3 タネが売られる(種子法廃止)300種ある米の種が自力で農家が開発できなくなり海外からの高価な種を購入することになる。それも遺伝子組み替え作物+農薬(枯葉剤を使用した農薬など)となる。遺伝子組み換え作物+農薬はセットになっており、数年ごとにより強力な農薬を使わざるを得なくなる仕組みとなっている。

4 ミツバチの命が売られる(農薬規制緩和)大幅な農薬緩和は枯葉剤などを混入させた除草剤などを使わざるを得なくなり、土地の疲弊とより強力な人間の健康に絡んだ農薬を大量に利用することになる。現実受粉をする蜂が農薬により減少・死滅し農地・作物がさらに遺伝子作物に切り替えることなっている。 世界で使用禁止政策をとっている除草剤(グリホサート)においては日本は世界の基準を遥かに超える400倍の緩和策と承認、使用を推奨している。 日本の農薬使用は世界3位、中国、韓国、日本となっている。(米国の5倍、ドイツの4倍)これにより日本では自閉症・広汎性発達障害者が既に世界の数値(180万人)を大幅に上回る被害者を出している。(米国の2倍弱、デンマークの4.5倍)その他白血病、肝臓病、アレルギーなどの患者が増えている。

5 食の選択肢が売られる(遺伝子組み換え食品表示消滅)米国からの要望でこの表示を消したのは現政権。主に米国からの遺伝子組み換え作物で日本で既に大量に流通しているものは、とうもろこし(78%)、大豆(92%)、菜種(92%)<数値は日本市場占有率> 次の脅威はゲノム編集による作物・食品である。

6 牛乳が売られる(生乳流通自由化)フランスの9割、ドイツの7割とは国の農家への収入に対する補助金である。日本は4割、だが海外からの農産物関税削減で多くが国内産チーズ・生乳は無くなっていく。さらに成長ホルモン入り牛乳(人体危険性ありでEUは禁止)の輸入も日本は増やしている。

7 農地が売られる(農地法改正)農地法改正で日本の農地は外国企業が買収している。2016年で日本のry9領土202ヘルタール(東京ドーム400個分)中国企業が8割。日本に法人を二人で設立、管理ビザも発行され10年経てば永住権取得できる日本人としての資産を持つことが可能。

8 森が売られる(森林経営管理法)

9 海が売られる(漁協法改正)

10 築地が売られる(卸売市場解体)築地の移転の主の目的は漁業関係者、卸業者など卸市場の廃止させることだった。

第2章 日本人の未来が売られる

1労働者が売られる(高度プロフェッショナル制度)「働き方改革」の主の目的は「働かせ方改革」である。4週間で4日間休ませれば残り24日間24時間働かせても合法となる。「高プロ」とは上限がなく誰でも当てはまる、よって会社から押しつけられた大量の仕事が半分しか終わらず、その分給与を半額にされても適合され、残業代もなしとなる。今後全ての仕事は効率を生み出す人材しか優遇されないという仕組み。

2日本人の仕事が売られる(改正国家戦略特区法)50万人解禁の意味とは、日本の効率を上げるには海外の労働者を使い、人件費を抑えることである。介護ビジネスはその直結した対象業務となり、現在でも人手不足(日本人)で倒産している企業が多い。介護ビジネスは人件費削減、サービス縮小、回転率アップがキーワードとなっている。

3ブラック企業対策が売られる(労働監督部門民営化)モンスター社員をうつ病にして辞めさせる方法など経営者の効率アップは厳しい。

4ギャンブルが売られる(IR法)利用者の借入上限限度を外し、高金利で貸すことを承認、敷地の広さも限度なしという法改正(米国のカジノ業界が熱いのはこの理由)

5学校が売られる(公設民営学校解禁)民営化することで学校の収益効率上げること

6医療が売られる(医療タダ乗り)「医療費40兆円」の本当の原因は米国からの標準価格の数倍の価格で購入する高額医療機器と医薬品だと証明している。米国からの要求するTPPには80を超える条件があるが、日本は4分1まで削減(緩和承認)している。

7老後が売られる(介護の投資商品化)特別養護老人ホームは人材不足で空いていても入居できない状況になっている。それは政府の大幅な補助金削減で施設維持ができなく、介護要員への厚い手当が出ない状況にある。そこで注目されているのが投資商品としての介護施設である。人件費を安く、効率を上げる補助金なしの高額介護施設運営である。

8個人情報が売られる(マイナンバー包囲網拡大)LINEとマイナンバーが合体され個人情報が漏れている。LINEは韓国で生まれたアプリで現在株式保有社は韓国のネイバー6割、欧米巨大大手の金融企業である。韓国ではネット上の情報をハッキングすることは違法ではなく、LINEの個人情報は韓国政府が閲覧できる権利も有する。現在では電話番号等の入力で位置情報など様々な個人情報が蓄積されており、プライバシー危機感がない日本はいわば公開している状態になっている状態。

第3章 売られたものは取り返せ

1 お笑い芸人の草の根政治革命 ~イタリア 「5つ星運動」=市民直接参加・選挙できる=市民民主主義が他の政党を抑えた。これは市民レベルの行政を市民が直接決定できる仕組みで、例えば「国の財政赤字」ではなく「高すぎる授業料」や、「外交問題」ではなく「失業対策」」など地域レベルの運動となる。選出した市民は「金の動き・情報公開・市民との距離」を徹底的に不正利用できないように監視している。

2 92歳の首相が消費税廃止~マレーシア マナティール首相(92歳)の消費税廃止(法人税の適正化)と実現し、外資に国を切り売りするのを止めている。(日本の消費税累計224兆円は、法人税優遇税収減208兆円に相殺されている)

3 有機農業大国となり、ハゲタカたちから国を守る ~ロシア 100%自給率の達成、海外種子の購入の再検討を進めている

4 巨大水企業のふるさとで水道公営化を叫ぶ~フランス 料金高騰化で公営に戻した

5 考える消費者と協同組合の最強タッグ ~スイス 消費者と協同組合の協力で食料の自給率を向上させる運動を開始、農業保護と環境保護に積極的に乗り出した

6 もう止められない! 子供を農薬から守る母親たち ~アメリカ 米国の農薬と意見仕組みかえ食品で子供達が食物アレルギーになり死亡者も続出している。そのた発作性の疾患、自閉症なども多くなった。 日本でも既にアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息など急激に増え始めている。


人間クローンの完成『ジェミニ・マン』⭐️4

2019-11-28 15:55:00 | 映画から見える世の中の動き

「クローン人間」は、近未来に出現する科学技術の結晶とも言えるものになるだろう。外面的に見かけはコピーできても完全なコピーはできないと予測できる。それでも人間をコピーするという技術、果たしてそんな時代を迎えるのは来るだろうか。近年クローン技術は影にかけれて世間には発表されていないが、中国は既にその人間クローン(ゲノム編集赤ちゃんの誕生)の事例がある。羊のクローン・ドリーは既に23年前を考えると米国など既に最終段階に入っていても不思議ではない。人の遺伝子・DNAから持って生まれた才能までもコピーできるのか。可能だとすると、将来人類を残すための選別がされた場合、優秀な科学者などは永遠に生き続けることも可能かもしれない。

『ジェミニ・マン』Gemini Man

エリート暗殺者であるヘンリー・ブローガン(ウィル・スミス)を演じる革新的なアクション・スリラー映画だ。突然ヘンリーのあらゆる動きを予測する謎の若い工作員(ヘンリーに瓜二つで幽霊のような敵)に狙われ、追いかけられる。実は政府はヘンリーの才能をクローン人間として完成させて、その本人を狙って消そうとしていた。オートバイの暴走アクションは凄い。


愛国心とは何か『Cuck』⭐️4

2019-11-26 16:38:00 | 映画から見える世の中の動き

@愛国心とは何か、一人の男がネットを通じて訴える。この国を、世界を変えたいと立ち上がる。が、社会は思うようにならない、ましてや自分自身の生活も脅かす精神的苦痛を味合うことになる。この映画で読み取れる事は、「グローバル化」「移民」「人種差別差別」など人々はどのように考え、対処していけばいいのかヒントを教えてくれそうだなストーリーだ。 全てが「多数決」で決まる自由主義の先は、弱者、マイナーな人々に対する「無視される浮浪者」的存在の世の中になっていくのか。いいえ、そうならない為にも、私達全てがこれからしなければならない事はネットを利用した「市民直接参加型自由主義」への盛り上がりかもしれない。

『Cuck 2019』

この映画は、ねじれた愛国心と性的機能障害を持つ一人の男ロニーの2019年のトランプアメリカとその社会のルーツに光を当てた映画です。陰気なロニーは、ある荒廃した街で母親と一緒に住んでいた。無職で閉じこもりがち、精神的にも不安定で孤立した彼は、人気のあるブログに夢中になり、愛国心から「本物のアメリカ」の没落について独自のビデオチャンネルを作成していく。ところが世間との機会が少なく、ロニーは自分自身の不甲斐なさに対して激怒し、ポルノ、人種差別、妄想に怒りを燃やしていく。真の愛国者でありたいと願ったロニーは社会的差別をネットで強烈に批判、多くの賛同者を集めたが最後には自分にも社会にも打ち勝つことが出来ず自滅する事を選んだ。

 


伊達政宗の支倉六右衛門に託した夢とは『侍』

2019-11-25 11:57:00 | 歴史から学ぶ

@伊達政宗の命で日本人で初めて欧州、ローマ法皇と謁見した支倉六右衛門の存在は史上ではほとんど抹消されており実在するものが残っていないと言う。それは幕府のキリシタン弾圧策で徹底的に隠滅させたことによる。もし、当人の日記でもあれば(今後発見されるかもしれない)当時の日本人が見た世界を知る大きな手がかりとなる。支倉の「人のために生き抜いてきたことを誇りに思う」だけが残っている。運命(時代との境遇)とは実にはかない、江戸後期のジョン万次郎(1827〜1898)との待遇の差、支倉が諸外国の知恵、知識をもっと共有していたならどんな世界になっていただろうか。鎖国・キリシタン弾圧など現在の自国優先主義政策は、まさに世界の孤島に舞い戻るような気がする。政治力・政治家の思いの閉鎖的環境は庶民、国民に取って「グローバル時代への対応」を単純に回避しているだけで無策の国と判断してもおかしくない。 批判は誰でもできるが、政治家にはもっとリーダーシップある「創造力」(新たな政策案)を求めたい。

『侍』遠藤周作

  • 藩主の命によりローマ法王への親書を携えて、「侍」は海を渡った。野心的な宣教師ベラスコを案内人に、メキシコ、スペインと苦難の旅は続き、ローマでは、お役目達成のために受洗を迫られる。七年に及ぶ旅の果て、キリシタン禁制、鎖国となった故国へもどった「侍」を待っていたものは――。政治の渦に巻きこまれ、歴史の闇に消えていった男の“生”を通して、人生と信仰の意味を問う。
  • この小説は1613年支倉六右衛門(1571~1622)が伊達政宗の命を受けて浦港から出国、メキシコ、マドリッド、ローマでの法王との謁見し、成果なしで帰国する。その後幕府のキリシタン弾圧策で支倉および同行者はキリシタンに殉教した(役目を果たすために一時的になった)と言う理由で切腹する。 
  • 日本人最初の欧州渡航は、同伴したの支倉(本文では長谷倉・侍)、商人含め数百名だったがローマまでの謁見には通訳としてのルイス・ソテロ神父(本文ではベラスコ・通詞)の数人。渡航の目的は伊達政宗の奥州での長崎のような外国に開港した港町の開発、その為の欧州諸国との交流、またベラスコは日本での布教を強い意志も持って説得することだった。 さらに藩の目的は大船の造り方、動かし方、海の航路で水手を商人と交えた「囮」であったことだ。
  • 商人たちは最初のメキシコでの商売をきっかけに帰国、商人たちも商売のためにキリシタンに一時的に殉教したがお咎めなしとなったが、その後帰国した「侍」とベラスコたちには、一切諸外国の話などはさせない仕打ちで幕府と藩との判断で「侍」等はその後酷い仕打ちを受け処刑された。
  • ベラスコの思う日本人とは、「日本人は他の東洋の国々の民族よりも宗教心に熱く、心理を悟理解力を持っていた。逆に他国の人間より優れた理解力や好奇心を持ちながら、現世に役立たぬもの、無用なものを拒絶してきた民族は世界にいない。日本人は自尊心の強さと礼節とを備えていた。よってこのような人間たちが長年、神の恩寵を知らずに生きてきたことは不可解に思った。 日本人のよくやる駆け引きの一つである「いつでも言い逃れができるように口実を作っておく」事がうまい。」「日本人は恥を忍ぶより死を選ぶことを徳くとしている、キリストの自殺は大罪とは全く違う」
  • 「侍」支倉の悟り、イエス・キリストの神威と真意を身をもって悟った。それは「人間の心のどこかには、生涯、共にいてくれるもの、裏切らぬもの、離れぬものを求める願いがあること、『己は人に使えるためにこの世に生まれ参ったと』『人、その友のために命を棄つるほど、大いなる愛はなし』」
  • イエス・キリストの言う「人のために生き抜いてきたことを誇りに思い」世を去った支倉だった。

弱者の生きる道『ジョーカー 』⭐️5

2019-11-24 08:25:30 | 映画から見える世の中の動き

@低所得者で貧困生活を余儀なくされた弱者のピエロは殺人鬼へと変貌していく。それは自殺をも考え抜いた最後の抵抗だった。世の中は正当防衛でも弱者を保護する仕組みが存在しないことを悟った一人の男の最後の自衛策であった。現代の資本主義は、強者と弱者の格差は大きく、特に「金と権力」では雲泥の差が出る。法を犯しても殆ど罰せられることも無く、抜け道が用意されている。 その例が、今年元通産官僚という権力者の暴走運転で路上にいた妻子を巻き込んだ交通事故は、その一つの典型だと思う。片や弱者は法的遵守が厳しく即逮捕となるが、この事故は誰が権力を持って元官僚の逮捕を止めたのか法の下の平等ではなかった。社会の不満は多いが、これほど如実に世間を欺く政府・官僚体勢には不満が募るばかりだ。

『ジョーカー 』 Joker 2019

一人の低所得者の男が殺人鬼になる様を物語るノンフィクション映画です。精神障害を患ったアーサー・フレックの生活は、どん底に追い込まれた中で、介護が必要な母の面倒を見ながらも必死にピエロの広告宣伝の仕事をする。ところが少年たちの弱いものいじめに合い散々な目に会う。アーサーは精神異常者として多くの薬を服用され自分はもう死を選ぶことが運命だと悟っていた。ある時ピエロの仕事仲間から貰った拳銃を持っていた事で解雇され、帰りの電車の中で再び若者の暴行遭ってしまう。その時その辛さからその暴行した若者3人を持っていた拳銃で殺害する。弱者を守る法が無い世間に深い恨みを持ち始める。そんなピエロを知ってもらうためにアーサーは一人暴走していく。


賢い「悪巧み」は表沙汰にならない『暗殺の年輪』

2019-11-23 07:54:39 | 歴史から学ぶ

賢い「悪巧み」とは、決して本人が表に出ない仕掛けで事をなす事である。まさに敵を知りその敵に誰を仕向けたら成功するのかを作り上げて仕掛けることである。この小説の老中と家老の戦いはまさに恨みを持つものを仕組み、やらせる方法である。現代、特に政治家の「企み」は、自分は直接関与したとは絶対に言わないまでも「誰がこれで得する」を考えると自ずと首謀者が浮かぶが、政治家の殆どは「法の罰」を受けることはない。「権力と金」、それと政治力が裏で動いているのは誰でも想像できるが、このまま腐った政治をいつまでも許してはおけない。 大物の政治家の「悪巧みが発覚」(スクープ)された時には、過去必ずそのニュースをかき消す他の事件(主に芸能人スキャンダルなど)が起こるのは偶然だろうか。 今回の「桜の会」の裏には「沢尻逮捕」がある。偶然にしてはあまりにも不思議なメディア報道である。

『暗殺の年輪』藤沢周平

  • 第69回(昭和48年度上半期) 直木賞受賞 武家の非情な掟の世界を端正な文体で描き、直木賞を受賞した表題作。ほか処女作「溟(くら)い海」など海坂藩士・葛西馨之介は周囲が向ける愍笑の眼をある時期から感じていた。18年前の父の横死と関係があるらしい。久しぶりに同門の貝沼金吾に誘われ屋敷へ行くと、待っていた藩重役から、中老暗殺を引き受けろと言われる―武士の非情な掟の世界を、端正な文体と緻密な構成で描いた直木賞受賞作と他4篇。
  • 「黒い縄」娘が殺され、娘と親しかった男が殺しの下手人とされ男は逃亡した。ある時江戸に舞い戻ってきたが、それは殺した張本人を探し出すためだった。 その結果、これを追っていた岡っ引きが真犯人だと判ったが、訴えれば男が下手人だとされることが分かった以上諦め江戸を去ることにした。ところが岡っ引きは自分が下手人とされることを消すため待ち伏せし捕らえようとしたが、逆に男に殺されると言う事件になってしまった。
  • 「暗殺の年輪」藩を仕切る老中とその家臣が、藩で評判のある家老を殺害しようと企てる。ある武士が暗殺を図るが失敗、切腹となった。その切腹した武士の息子に老中からその時の家老を再び暗殺しろと言う下命がでた。それは母との家老の密接な関係を持たされたとの噂から襲い掛かるが、実は老中とその家臣が家老の暗殺後に自分を抹殺し、父、子共に恨みで暗殺を仕掛けたのだと分かった。が時すでに罠の中で、最後にはこそから逃げることで難を逃れようとした。
  • 「ただ一撃」ある藩で士官を求めて試技をしたところ、一人の浪人者が藩でも腕の立つ4人を負かした。藩主としては藩の面目にかけて誰か相手にするものを探したところ既に60歳を超えた元武士を相手に再度試合をさせることにした。元武士は10日間の余裕をもらって昔の体作りで鍛え直し、一撃で相手を倒した。藩として面目を保つことができたが、その裏には犠牲もあった。元武士の嫁に対しての無惨な自刀であった。
  • 「溟い海」晩年の「冨獄三十六景」絵師葛飾北斎の生き様である。新生「東海道五十三次」絵師絵田川広重の出現で自作品が売れないと知る。それは広重の繊細な描写、人物の捉え方、無数にある風景の中から人間の哀愁が息づく風景を、人生の一部をもぎとり、さらりと書き上げた技を見た時である。弟子たちの感想からなぜ「東海道五十三次」が売れるのかを聞きながら時代の流れと歳を感じ取っている。
  • 「囮」男の仕事は彫刻師であるが、夜は岡っ引きの見張りの仕事をするようになる。ある時岡っ引きから言われた見張りは、殺害した男が舞い戻ってくるであろうある女(囮)を見張ることであった。いく日か日が経ってその女に恋心を奪われ、ある時その女に誘われ料理宿を指名され行くがいつまで経っても現れない。女の家に向かうと岡っ引き等が殺害した男を捕らえる現場に出会した。その女は見張りの男を別の場所におびき寄せ、その隙に殺害した男と待ち合わせを企んでいたが、いち早く岡っ引きが発見、捕縛した。女は彫刻師の男ではなく、殺害した男を強く思っており、女に騙された格好になった。

向上心・好奇心を持つ『読書会入門』

2019-11-22 07:50:21 | 人生を「生かす」には

「向上心」と「好奇心」で人は成長する、はずである。この読書会でも人々の意見・感想を聞き、自分の知性を豊か(知識・知恵・工夫)にしていくことである。 人々との繋がりはやはりF2Fでの効果はSNSと比べにならないほど高い。人の顔を見ながら、自分なりの判断を含め参考にできるのは現実の顔合わせであり、このような「場」は最高となる。参加する人々には必ず「共通認識」が必要であり、それがここでは「本」である。 人はいつでもつながりを持っていたのものだ、だから自分から積極的に話しかけた方がいい。(日本人は飛行機・新幹線など隣に座った人でも一言も話をしない国民である)

『読書会入門』山本多津也

本の感想を複数人で語り合う「読書会」は、一人の読書よりも格段にメリットが多い。誰かの意外な感想が、自分に足りない視座を教えてくれ、理解できなかった箇所は、他の参加者が補ってくれる。課題本は、ビジネス書、小説、哲学書なんでもいい。感想を自分の言葉で表現する行為は、新しい自分の発見へもつながる。参加の仕方、会の開き方からトラブル対処法まで、日本最大規模の読書会主催者がその醍醐味を伝授。

  • 本を通じた「場」の提供から、参加者一人一人の意識を高め、結果的に今ある人生の変化を生み出すことにつながる。 本から得た同じ共有できる知識と情報を持ちあい、お互いに意見・感想を語り合うことで、人々の認識を確かめ、自分の糧にしていくことである。 
  • 「読書会のルール」とは他人の意見を決して否定しないこと
  • 「読書会のパターン」
    • 課題本型: 感想をお互いに語り合うこと
    • 紹介型: 自分のおすすめの本の内容を紹介し合うこと
    • 古典や名著 知ることを優先
    • 脳に汗をかく本・考える本・推理する本など
    • ゲストを招いて討論する(みんなでf2fで語ること)
  • 「仲間作り」「共有意識を持った絆を深める」「遊びと知性を高める」

自分の生き様を遺す意味『蜩ノ記』

2019-11-21 08:02:48 | 歴史から学ぶ

@「武士の生き様」、「人の生き方」。人はそれぞの人生・運命に沿って生きていく、切腹を言い渡された武家の家族、農民はどのように接し、本人はどのように生かされて行ったのか。 映画「武士の一分」でもある武士のあるべき姿を最後まで貫く、武士としての恥を晒す事なく武士の意地を貫く。ここでは特に息子にその姿を見せる事で「武士の本来あるべき姿」(藩主に忠臣であるべきである)を見せたかったのかと。現代では忘れかけている忠誠心、誰のために仕事をしているのか。「会社から家庭」(上司から妻)に変わっているのが現状かもしれないが、忘れてはいけないのは、自分の信じる「主軸」(信念)を持った行動が取れる事。親として子に恥じることのない姿勢行動なのか、と言うことだろうか。 遺言の中に自分の生き方・生き様を遺すのも家族には宝になるかもしれない。 現代はネット上に多くのストレージ(いずれも無料のドロップボックス・Googleドライブ・MEGAなどの記憶媒体)=があるので誌上でなくとも半永久に残せる。

『蜩ノ記』葉室麟 第一四六回直木賞受賞作

命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか?

豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉さに触れるうち、無実を信じるようになり……。凛烈たる覚悟と矜持を描く感涙の時代小説!

  • 家老への出世を滞りなく成し遂げるには、家系に公家、将軍、藩主などとそれなりの関係が必須で、藩主の正室に自分の家系から出自を捏造し押し進める。また、正室と側室との関係を拗らせ派閥を作り、権力を集中させていく。
  • 秋谷はその側室を殺害しようとした企てから救うが、それが仇となり側室との密通、幽閉、10年後に切腹を命ぜられる。その10年の間に家譜編纂を命じられ調査していく。その家譜編纂から発見したのは家老による正室出自の捏造で、それを書き表した書を入手したことから事件と家老の悪巧みは暴かれる。
  • 秋谷は疑いを最後まで訴えず、切腹を選んだ。それは武士の忠臣を貫くこと(藩主に仕える家臣)であった。また、家族、特に息子に対する自分の信じた友(家臣・農民)を信じ自分で責任を取れる行動を起こす事(藩主と家臣関係を自覚し貫く)、曲がった家老の志を目覚めさせる行動を見せること(武士の意志を最後まで貫く・武士の生き様)を教えたかった。
  • 心掛けの良きものはより良き道を、悪しきものはより悪き道をたどる
  • 「領民の痛みを我が痛みとせねば、家老は務まりますまい」(武士の恥)

人生の悩みを解決する言葉『大事なことほど、小声でささやく』

2019-11-20 10:55:14 | 人生を「生かす」には

「幸せに生きる極意」とは、過去の自分から未来の自分を作り出すこと。 夢・希望をもち、実現させようと『今』を大事に未来を見つめていく姿を描いて生きること、だろうか。人には様々な悩み、苦難、事故、災難が降りかかるが、人は生きて行かなければならない、生かされている以上、今まで生きてきた苦労と経験から知恵を出し、工夫し、それに周りの協力を得て、乗り越えて生きるのが本当の「人生の楽しみ・幸せに生きる極意」なのかもしれない。 退屈で虚しい人生とは、どん底からの楽しさが味わえないことなのかもしれない。 人生を楽しくするもう一つは大声で笑える「笑顔」をいつでも持っていたい。

『大事なことほど、小声でささやく』森沢明夫

  • 身長2メートル超のマッチョなオカマ・ゴンママ。昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通うスナックを営む。名物は悩みに合わせた特別なカクテル。励ましの言葉を添えることも忘れない。いつもは明るいゴンママだが、突如独りで生きる不安に襲われる。その時、ゴンママを救ったのは、過去に人を励ました際の自分の言葉だった。笑って泣ける人情小説。「著書データブック出典」ここに出てくる一癖も二癖もある様々な登場人物の人生の悩みをゴンママのアドバイスで解決する愉快で、涙もろくなる小説だ。
  • 「本田宗一の追伸」取り柄も特徴もないサラリーマン45歳の「退屈な人生」悩み、家族からも疎外
    • 退屈な人生をスポーツクラブに通い始めてその仲間の元気をもらう
    • ゴンママの一言「言葉ってのはね、大事なことほど小声で囁くものなの。その方が相手の心の奥までしっかり届くんだから
    • 「家族で時には傷つけあってもいいの。仲直りした時に、それまで以上に深い絆で繋がれるんだから、だって、それが家族でしょ」
    • 娘のフランス料理留学に反対したが、アルバイト先で見つけた娘に感動、支援することを決める
    • 「娘の夢を応援することにしました。パパも娘とデートするために筋トレ励みます」
  • 「井上美玲の解放」漫画家で年中忙しく休みも取っていない、実家の両親にもずいぶん会っていない
    • 一番騙しやすい人間は、すなわち自分自身である
    • 「娘なんてものは、実家に帰ってお母さんの手料理を食べて喜んでればいいのよ。それだけで家族は嬉しいんだから」母の手紙には「たまには実家に顔を見せて、お母さんの手料理でも食べにおいで」とあった。
    • ジムで漫画家の命である指を骨折、連載漫画ができなくなってしまうことで悩む
    • 人生に大切なのはね、自分に何が起こったかじゃなくて、起こったことに対して自分が何をするかなのよ。起こったことなんて、そのまま受け入れればいいの。どうせ過去は変えようがないんだから。起こったことをチャンスに変えることはできるの。
    • 長期休暇をとり実家に帰る「決まってるでしょ。お母さんの手料理を食べに帰ってきたんだよ」
  • 「国見俊介の両翼」父一人と高校生の2人暮らし、いつも孤独で誰も相手にしない、されない、だから恋もしない悩み
    • 「誰かと分かち合った喜びは大きくて長持ちするけれど、ひとりぼっちで味あう喜びは、小さくてすぐに消えてしまう」
    • 昔の女の同級生がジムで会う、何となく興味を持つが一言が言えない片思いとなる
    • 誰かを愛して誰かを失った人は、何も失っていない人よりも美しい
    • 周りのみんなが協力、得意の紙飛行機に、自分の思いを書き飛ばす
    • 「愛した人を失わないように努力した人だけが、きっと美しい。最初から諦めていた人は、たとえ愛する人を失ってもそんなに美しくはないはず」
  • 「四海良一の蜻蛉」歯科医師の夫は、数年前5歳の娘を癌で亡くし、夫婦とも会話のない生活に
    • 娘は悪戯と死を覚悟していたのか家の至る所に落書きをしていた。その落書きを見つけることで夫婦の慰めとなっていた。がしばらくどこにも見つからないで夫婦の会話も途切れていたが歯医者に置いてあった絵本の最後のページに娘の最後のメッセージを見つけた
    • 「はっぴいのときどき いっぱいだったよ ぱぱ まま ありがとね」
    • 娘の質問「人間はどうして生まれてくるの?」返答は「人はね、人に喜ばれるために生まれてくるんだよ」そうしたら娘は「だからパパとママは私を喜ばせてくれるんだ」
    • ゴンママは「人間は悲しい時には泣けばいい、不安な時には無理に喋らないで、そのまま不安がればいいんだ」と。
  • 「末次庄三郎の謝罪」広告零細企業の社長は独り身の70歳に近い、ゆとり世代の部下が苦手
    • 「でも」をよく使う根性なし、人の話は聞かないし、敬語もろくに使えない
    • 他人は変えられないが、自分は変わることができる」が先、目の前の他人が鏡の自分
    • 未来は減る一方で、過去は増える一方」の古い世代
    • 正直者の部下に仕事を任せることで、部下を信じる(自分が変わる必要性)
  • 「権田鉄雄の阿吽」スナックひばりのマッチョママ、権田は一生一人かもしれないと悩む
    • 荷物運びで階段から転落、2日間の入院でお店もおやすにしようとするが、カオリちゃん、振られて一人寂しく「笑いを忘れた少女」の姿に声をかけて保護、バーテンダーとしての仕事をしている、が「みんなが心配するからお店は一人で開いて元気なことを説明しておく」と言ってくれた。
    • カオリを保護した時の言葉は「幸せに生きる極意とは、やり直すことのできない過去を悲しんでいたら、せっかく生きている『今』が不幸になる。まだ来てもしていない未来を不安がっても仕方がない、「今」をつまらなくするだけ。だからこの瞬間だけをしっかり味わって行きなさい
    • 「阿吽」とは阿は50音の始まりで「吽」は終わり、この世の全てを表す禅の言葉、だから「一瞬の今を大切に生きる」を教えた。
    • カオリに言った言葉「夢はね、必ず叶えなくっちゃダメなの。叶えるとね、あら不思議、あなたの過去が変わるのよ」「私のこれまでの人生は、今日、この日のためにあったんだって。」

「孤独」は自由の獲得である『孤独の価値』

2019-11-19 07:57:15 | 最新技術(IT)で変わる事

現代は「人の幸せ」ではなく「自分の幸せ」を自分で選ぶ時代、個人主義が優先となっている。人々は「物的社会」には豊かになったが、不足気味なのか「心の満足度」、特に自分に対する満足度が足らないと感じている。心が通じる良き仲間不足もある。この書にあるのはネット社会がもたらす「孤独」は如何に自由時間を使い、じっくり考え、自分の夢に向かって行動できるようにする時間と場を与えると言う「善の孤独」である。悪・貧困・侘しい・寂しいイメージである「孤独」とは全く違う「自由の獲得」の「孤独」であると言う。 ネット社会は人々の思考、生活習慣を変え始めているのを自覚し、自分自身で実行する時代なのだ。 「楽しい・素敵な孤独」は自分で選び行動できる時代なのだ。

『孤独の価値』森博嗣

  • 人は、なぜ孤独を怖れるのか。多くは孤独が寂しいからだと言う。だが、寂しさはどんな嫌なことを貴方にもたらすだろう。それはマスコミがつくったステレオタイプの虚構の寂しさを、悪だと思わされているだけではないのか。現代人は〈絆〉を売り物にする商売にのせられ過剰に他者とつながりたがって〈絆の肥満〉状態だ。孤独とは、他者からの無視でも社会の拒絶でもない。社会と共生しながら、自分の思い描いた「自由」を生きることである。人間を苛む得体の知れない孤独感を、少しでも和らげるための画期的な人生論
  • 「孤独とは何か」寂しいと感じる時。「失った」の無念さを感じた時。「失った」ものは仲間意識にある「安心」。 自分を「認めて欲しい」と言う思考と「無視される」と言う感覚がある。  いじめは「仲間意識」に「弱さ」を見せることでいじめになり、孤独感を持つことになる。 
  • 「なぜ寂しいといけないのか」孤独を恐れる理由は何も考えたくないと言う「思考停止」に陥ること。だが孤独は「日本古来の伝統美にあるわび・さび」は静けさとシンプルさの中に美を感じる「寂しい」感覚ではなく、自分を自由にすると言う姿勢もある。
  • 「人間には孤独が必要である」「貧困」「言葉の綾」など悪者ではない。個人でも生きやすくなった社会、人に合わなくともネットで電話、用件をすますことができる。生活用品もネットで注文、連絡もEメールで用件は達せる。「孤独」は「静けさ」「創造的」など十分「社会との協調」が可能となっている。
  • 「孤独から生まれる美意識」自然な美、シンプルな美、質素な美などを産むことが可能
  • 「孤独を受け入れる方法」
    • 創作、研究、無駄なことをあえてしてみる
    • 孤独とは自由の獲得である
    • 社会に縛られない。結婚をしない人が増えている理由は「自由でいたいから」であり「孤独でいたいから」ではない。自分が思い描いたものを目指すこと、自分の夢を実現すること「楽しい孤独」「素敵な孤独」
    • 必ずやりたいことをじっくりと考えること
  • 「孤独になると人間は優しくなれる。孤独を知っている者だけが友情や愛情に満たされる」

今の教育が日本社会システムを変貌させる『英国名門校の流儀』

2019-11-17 08:12:32 | 世界の動きから見えるもの

@人として当たり前の知識と経験、それに人間として、大人としての基本的な資質を養う教育は不可欠であり、その教育を数百年継続している英国の名門校に理由が、この書を読み理解できた。 特に文中にある「教育で危険なことは目標が高すぎて失敗する事ではなく、低すぎる目標を達成する事だ」失敗を学び、生かし工夫する力(考える力)が今の日本の教育制度に抜けている感がする。また、それは文芸のみならずスポーツ教育からも読み取れる「組織のリーダーになった時、輩下の感情・気持ちを理解し、努力する」なども教育の一環として外部のプロが経験と専門知識で教える機会を持っていることなど。さらに、業績、不評の先生も生徒・同僚からの評価により退職させる体制など日本の教育体制の見直しは奥が深いと感じさせられた。また英国では塾がない理由は生徒にやる気を出させるレベル別の工夫と綿密で考慮した時間配分を持って教育している。日本のそもそも「人間資質教育」(この英国の学校と比較すると)では基本的な資質を育てる工夫がない、それが今の社会のシステム「社員には決して強く叱ることなく甘えで育てる」(世界と競争できない)などとなりつつあるのではないだろうか。最後にある言葉「You have arrived here as boys, you leave as men=君たちは入学した時、物事の道理が分からない子供だったが、卒業するときは大人、つまり分別や理性を備えた人になる」。これは日本の教育指針にあるだろうか。

『英国名門校の流儀』松原直美

  • 歴代首相からノーベル賞受賞者、名俳優まで輩出する英国パブリック・スクール。独特の礼儀作法、「文武」に加えて重視される「芸」、目に見える賞と罰、ずばぬけた教師陣―社会に資するリーダーの育て方。

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第1章 パブリック・スクールとはどんな学校か

歴史ある名門校首相の7割を輩出イギリスの学校制度、高額な学費ハウス制度とは、13歳から18歳の5年制度、学費と寮費で年間6百万円、5年間で3千万円、入学テスト結果に基づく寮割、男子全寮制である。校内で養う4つの資質:勇気、名誉、謙虚、協力、さらに紳士の作法

第2章 学習意欲をどうやって伸ばしているか

科目ごとの習熟度別少人数クラスで能力を認め合う環境(スポーツ、音楽等全教科含めて同じ学年でも全てレベルに応じた習熟度クラスに分ける、一クラス9人)、詳細な通知表(教員からの所見コメントがある:どうすればさらに伸びるのか、どんな点が良いのか具体的に記述、さらに今後の指標、親の対策)イギリスの大学入学試験難関大学の入試生徒の向上心を刺激する方法(考える力を伸ばす記述方式が中心で、中高からの成績結果に基づき決定される:生徒同士の競争、他校とのコンペティッションに参加、生徒の学習成果の自由発表、他校・専門家との交流の場・読書の推薦など)。

研究者顔負けの取り組みとその海外研修経験を様々なソサエティ系、スポーツ系、ソサエティオリエンタル・ソサエティデリケートなど外部のプロフェッショナルを交えた問題も議論する「教育で危険なことは目標が高すぎて失敗する事ではなく、低すぎる目標を達成する事だ」

第3章 「文武」に加えて重視される「芸」

文武両道の実現スポーツのレベル分けラグビーサッカークリケット、3年間はスポーツ活動が義務つけられる(コーチは全て外部の文芸・芸術・演劇などを含めたプロフェッショナルが担当)「ラグビーはたとえ不服を感じても自分を律して感情を抑え、試合の続行に集中する品位が求められる」室内競技の数々その他のスポーツコンディショニング持久走教師や親も参加「今を最大限に生きて楽しめ」 有名俳優を輩出全員が演劇に参加シェークスピアは必須教養演劇の持つ意味、頻繁に開かれるコンサート聖歌隊優れた美術品で観賞眼を養うアートコンペティション美術ソサエティ「組織の上に立つ人になったときその成員の気持ちを理解する努力ができる人になれるようにする」

 第4章 目に見える賞と罰

生徒名簿に記される奨学生生徒手帳を親にも配布、服装で示される生徒のリーダー、努力に対するさまざまなご褒美、口頭と紙面による表彰年報も発行わかりやすい罰則、素行不良の罰重い罰とは「努力の成果は表彰されて当然」(可視的な評価と賞罰制度) 先輩は後輩にとって良いお手本である事、他の生徒には配慮できることなど人間関係も大切にしている。努力に対する様々なご褒美、250種を超える賞、図書券ギフトなど、企業、卒業生、基金団体等からの寄付で賄う。居眠り、遅刻などでも罰する時は容赦なく場合によっては外出禁止、停学、退学もさせる

第5章 国を守る意識を教える

軍は身近な存在戦争の英雄を追悼する軍事教練は必修軍事パレードも社会奉仕、海外でのボランティア活動から近隣援助のボランティア(最低3年間に週に1~2回)にも参加自然保護活動(全員の協調性や自分の役割を果たす責任感を求める)

第6章 目覚めから寝るまで続く人格教育

集団の中で育てる個討論大会も人気生徒全員参加のクイズ大会日々の時間管理、テスト期間中もつまっている予定厳しい校則と不文律教員にも適用される厳しいルール、ネクタイ姿で食事簡単にできない外出不文律の存在規則は個性を抑えない。人の話を聞く訓練静かに「待つ」訓練、私語厳禁TPOに応じたマナーの習得。食事のマナーも教育大人(外部の専門家等)との会話を学ぶ

第7章 教師たちが尊敬される理由

高い知力と強靭な体力多国語を操る語学教師校長は働き盛りの壮年生徒と教職員との近い距離、「思い出の品」展示会教員が教え合う仕組みロンドンに学習塾が少ない理由見事なオンとオフの切り替え、生徒による教員の評価学校全体で取り組むいじめ対策学習障害対策(校内のスタッフは700人、教員は非常勤講師を含めて150人、全生徒数820名、業績の悪い教師、生徒や同僚との人間関係で不都合を起こす教師は退職させられる)。教職の言葉「戦場では人間の最も美しい部分も醜い部分も露呈する。どんなに人間が品位を落とすかもわかる。しかし、人間が持ち得る最も素晴らしい勇気や思いやりも見ることができる)いじめ対策も外部の専門家の指導を受け対策マニュアルを精読させられる

 第8章親はどうかかわるか

父母との距離感父母が参加できる行事も保護者面談で目立つ父親の姿パーティにも参加。卒業生の恩返し(この学校の場合、学業も最高峰を目指すが、スポーツや芸術にも力を入れ、寮生活で人間性を鍛えるという教育方針を理解した上で入学してもらう。学校では学業の成功だけではなく、多くの機会を与え、生徒が実りある人生を送れるよう資質や才能を引き伸ばし、社会に奉仕できる人に育てる、よってこの過程を経れば、タフな精神力が身につき、困難や不都合に遭遇しても早々「キレる」等な人物にはならない)

終 章 己を知る教育

自信はあるが尊大にはならない低学年の不自由、上級生の責任一流の知性に出会う。仲間との強い絆習熟度別クラスでの真剣勝負年間何十種類もの賞教員たちの努力。(You have arrived here as boys, you leave as men=君たちは入学した時、物事の道理が分からない子供だったが、卒業するときは大人、つまり分別や理性を備えた人になる)。


加齢で得るもの、失うもの『老いと記憶』

2019-11-16 08:15:42 | 人生を「生かす」には

「加齢で得るもの、失うもの」、加齢で得るものがあるのだろうか。一見加齢は体の弱体化で記憶も含め失うものが多いと感じたが、そうでもない。と言うより高齢者としての自覚を持って社会に打ち解ける事で得るものがある、と言う。自分の過去・現在、そして未来の存在を生かし、生き抜く事であると感じた。それには身近にある「記憶」を如何に土留めておくか、下記にあるSCOによる方法から、記憶の方法を自分に身近な興味のある物に繋げて記憶する事だと。記憶する事を選別し、PC等に保管、たまに呼び起こし読み返す事だ。もう一つ大切なことは、高齢者に取っては健康は第一だがその為にも「社会とのつながりを保つ」(外出・会話・好奇心)ことで健康にもつながると言う事だ。 一方、高齢者になると後悔することの多くが「あの時こうすればよかった」と言う「やった事」ではなく「やれなかった事」に後悔することだ。「やり残し」は人生に残さないことかもしれない。

『老いと記憶・加齢で得るもの、失うもの』増本泰平

  • 屈指の高齢社会である日本では、老化への関心も高い。加齢に伴って人間の記憶や認知はどう変わるのか、それらを司る脳にどのような変化が生まれているのか、そして、変化する記憶機能といかに向き合うべきか。加齢をネガティブにばかり捉えず、正しい知識で向き合うための一冊。加齢によって、記憶は衰える―。それが一般的なイメージだろう。だが、人間のメカニズムはもっと複雑だ。高齢者心理学の立場から、若年者と高齢者の記憶の違いや、認知機能の変化など、老化の実態を解説。気分や運動、コミュニケーションなどが記憶に与える影響にも触れ、人間の生涯で記憶の持つ意味をも問う。加齢をネガティブに捉えず、老いを前向きに受け入れるヒントも見えてくる。
  • 「加齢による変化と記憶とは」
    • 「変えることの出来る勇気、受け入れる冷静さ、出来るものとできないものを識別する知恵」
    • 「老いに向き合う必要が出てくる、健康でなくなった時に、どう生きるかを考えることも重要」
    • 「認知症などで自分の記憶から過去の大切なことが失われても、その人が成し遂げた事実は大切な誰かが代わりに記憶し、文章として残しておくことが必要」
  • 「衰える記憶と衰えない記憶」
    • 後頭部:形や色、動き、人の顔の認識といった視覚情報の処理
    • 側頭葉:音の認識や言語の理解
    • 頭頂葉:触覚や複数うの感覚情報の統合、視空間処理
    • 前頭葉:運動制御、感情のコントロール、判断の役割
    • 脳の重さは生まれた時は400gで成人では1400g位となる
    • 大脳皮質の神経細胞は20歳から90歳にかけて平均9.5%減少する
    • 老化の変化はやる気のなさや努力不足という要因が、行動の緩慢さや、判断、思考の鈍化の原因を引き起こす
    • マルチタクスの限界(白黒の絵を見て両方を一度に認識できない)。<ツボと人の顔絵>
    • 思い出に残る多くの記憶は10代から20代前半に集中し、その後年齢と共に下降する
    • 知恵(教育によって得た学問、経験・経験値・判断力・問題解決能力・対人スキル)は加齢での影響が見られず、あってもほとんど低下しない
    • プライミング(脳内ネットワークで様々な単語等を繋げる記憶)「シカ」を10回言った後に「サンタの乗っているものは何?」と聞くと「シカ」と言う。が実際は「ソリ」(1を聞いて10を知る)人の記憶は様々なものを繋げ記憶する
    • 「何かを始めるのに遅すぎると言うことはない」熟練者になるには通常一万時間(1日3時間とすると10年)で可能となる・習慣となると記憶になる
  • 「記憶と物忘れ」
    • 記憶のテスト「ギシフ・ノクオキ」を如何に覚えるか。これは反対にすると「記憶の不思議」となる・いわゆる記憶の方法を興味関心があるように変える事で記憶を増やす
    • 気分が記憶に影響する、老齢とは「頑固」「惨め」「先がない」などネガティブは記憶にもマイナスとなる。うつによる記憶は低下するが55歳以上の男性より女性に多くなる
    • 記憶の衰えをマネージメントする方法SOC(selection/optimization/compensation)
      • 覚えておく必要のある重要なことは記憶するのではなく「選択」しておく
      • メモや手帳などの記憶補助ツールによって正確に記録する「適正化」
      • 記憶力の低下を補い、物忘れに対処する「補償」
      • パソコン・携帯(リマインドアプリ利用)などで「習うより慣れろ」
    • 「訓練によって記憶の衰えは防げるか」
      • 訓練の効果は限定的「脳トレ」などのアプリで活性化、同じ課題を行い続けると脳の活動の仕方が変わる「認知症を遅らせる効果=読書、趣味、外出人との会話」
      • 人間の最長寿命はフランス人の122歳、医療技術的には125歳まで可能
      • 高齢者世帯は5036万世帯の内1371万世帯(4分の1)となっている日本社会、47.1%が65歳以上の世帯
      • 健康的な生活習慣が予防につながる(運動を含む人とのつながりを保つ)、社会的なつながりは一番多いのは「友人に誘われる」でつながる
    • 「認知予防」
      • 難聴・高血圧・肥満から喫煙・うつ・運動不足・社会的つながり不足・糖尿病へと繋がっていく、よって健康に気をつけることが予防につながる
      • 認知症の85%のリスクはコントロールできない、自然の高齢者の病気、よって認知症になってもクオリティーライフをどうすれば維持できるか介護問題を含めて考える必要がある
    • 「高齢期の記憶の役割」
      • 記憶は記録ではない(虚偽記憶とは後からついてくる思わせ記憶)
      • 高齢期に誰もが後悔することは「あの時こうしておけばよかった」と言う「やり残し後悔」(行わなかった事)であり、「行ったこと」への後悔は少ない
      • 幸福感を得るための脳機能は衰えにくい(ポジティブに考え、楽しく、いつも笑いを作ること)

「犠牲」の価値とは『Jarhead:Law of Return』⭐️4

2019-11-14 08:02:04 | 映画から見える世の中の動き

「命令遂行」とはたとえ多くの仲間が亡くなろうが目的を達成する「軍務」である。それが議員の息子、一人を救うために5名の隊員が犠牲になったことに疑問を呈する映画だ。上層部からの命令であれば従う事、それ自体は問題はないが、無謀とも思える激戦地の本拠地に階級は2等兵の捕虜、唯一議員の息子だという理由がその「救助命令」なのだ。実際、公私混同とも思えるこの命令に従うことができるだろうか。

Jarhead: Law of Return

イスラエル国防軍の熟練した戦闘機パイロットであり、米国上院議員の息子がシリア空域を飛行中に撃墜される。奇跡的に生き延びた後、彼はシリアのヒズボラ派に捕らわる。特殊部隊が救助に向かうが激戦となり、一人の有力議員の息子を助け出す為、5名の隊員を亡くす。