ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

悩みを癒す言葉『癒し屋キリコの約束』

2019-10-31 07:57:02 | 映画から見える世の中の動き

「癒し」を求める人が増えるのはどうしてなのか。真の友人か家族が本来であれば癒してくれるはずなのに、満足できない。それは真剣さが感じれない人間関係になりつつある所為かもしれない。人に他人を気遣う余裕が無くなっているからだろう。また、それはSNS/Twitterのような感情がない文章のやりとりから短文明解を追求する世だからかもしれない。 だが、一つ大事な言葉を常に使うことで違って来る。 それはどんな時でも心から「ありがとう」と言えれば変化が生まれると信じたい。それにいつもの挨拶も互いの心を癒すはずだ。 もう一つこの小説で気になった言葉は「もっと冒険しておけばよかった」という多くの老齢者が悔やむ言葉だ。若い時は「金」はないが「時間も体力もある」、老齢者になると「金」はあるが、「時間があっても、体が自由にならなくなる」、できるのは若い時だけ。(後悔先に立たず)

『癒し屋キリコの約束』森沢明夫

「Bookdata出典」昭和歌謡を流す純喫茶「昭和堂」のオーナー・霧子は、四十路の美しい女性だが、金にはがめつく、性格はだらしない。営業中でも、お気に入りのロッキングチェアに腰掛けて、漫画片手にビールをごくごく…。雇われ店長として働くアラサー女性・カッキーと、愉快な常連客たちが、なんとか店を支えている。しかも「昭和堂」には裏稼業が…。町の人々の悩みを解決する「癒し屋」だ。噂が噂を呼び、癒しの依頼はひっきりなしだが、依頼者が持ちかける無理難題に、カッキーと常連客たち「アシスタント」はいつも大わらわ。しかも、霧子の奇想天外なアイディアで、結果は必ず予想外の展開へ!そんなある日、店に霧子への殺人予告が届く…。明日への希望が、心をやさしくほぐす、爽快エンタメ小説。

  • 「探すのをやめた時 見つかることもよくある話で」井上陽水
    • 「人間という生き物は極限まで照れると首をすくめたながら喋る」
    • 「相手の欠点を探すのをやめた時、相手の長所が見つかる」
    • 嫁と姑の喧嘩をやめさせる「癒し」の技、それは第三者を仲介させお互いの欠点・長所を書き、とことんお互いに罵り合う、褒め合う。そうすることで相手の思いが自然と打ち解け理解できるようになる
  • 「いつかは誰でも 愛の謎が解けて 一人きりじゃいられなくなる」佐野元春
    • 人を真に愛し、恋したことのない人をその気にさせる技、それは何か共通の視点を探し出し、相手と心底まで入り込み話してみること
  • 「幸せは誰かがきっと 運んでくれると信じてるね」H2O
    • 万引きする母の癖を治す技、それは一番知られたくない相手・家族に自分の大切ものを吐かせ価値を見せること、そして自分の今ある姿は決して不幸ではないと悟らせる(弱みを暴き、見せること)
  • 「浅い夢だから 胸を離れない」村下孝蔵
    • 「普通」の人生を知る(夢を諦めること・そこそこの安定で妥協すること)
    • 「才能ってのは、成功するまで絶対に努力を止めないという、自分自身を説得し続ける能力のこと」
    • 就職できない理由は、心に迷いがあるから。それをはっきりさせることで返答の仕方、仕草が変わる
    • 90代以上の老人たちの90%以上が賛同する言葉「もっと冒険しておけばよかった」
  • 「時間旅行が 心の傷をなぜかしら埋めてゆく 不思議な道」久保田早紀
    • 結婚詐欺に会い人生をやめたくなる・・・
    • 周りのみんなが「最後のお願いをする」で立ち止まらせる
    • 「人間は他人にありがとうって言われるために生まれてきたんだ。だから他人の役に立って、喜んでもらえた時には使命が果たせる」
  • 「幸せになりたい気持ちがあるなら明日を見つけることはともて簡単」竹内まりや
    • 「人って長所で尊敬されて、短所で愛されているんだ」
    • どんなことがあっても「ありがとう」の一言は心地いい
    • 「人間の心って不思議なもんでさ、自分で断ち切ったはずの過去には、いつまでも月までも付き纏われて重いんだけど、しっかり受け入れた過去は、その瞬間から歩くなるんだよね」
  • 「今日は倒れた旅人たちも 生まれ変わって歩き出すよ」中島みゆき
    • 「人間ってさ、真剣に何かに迷っている時は、他人の言葉に安易に従うよりも、とことん迷いに迷ってでも、自分で答えを出して、その答えの通りに行動した方がいいんだよ」
  • 「ああ日本のどこかに 私を待っている人がいる」山口百恵

いじめに打ち勝つ『The art of self defense』⭐️4

2019-10-30 07:54:26 | 映画から見える世の中の動き

「いじめ」から立ち直るために自分を鍛えて強くなりたい、そんな弱気で気弱な性格から強い自分へと変身していく。この映画の前半はギャングに襲われた気弱体質な青年が空手で強靭になっていく姿を描く、一方後半は以前自分を襲った犯人を見つけ出し決着することを決意する。 誰もがいじめに会い、悔しいと思った事は必ずやあるはずだ、そこで誰よりも強くなり打ち負かしたいという夢を見た事はないだろうか。 肉体的な強化以上にやはり精神的、強靭な性格度胸と勇気)を持つことも重要だ。 控え目にならずどんどん進んでなんでも挑戦してみることで度胸と勇気がついて来る。さらに誰にも負けない才能を見つけ出しとことんやってみることだ。自慢できる才能は必ずや「いじめ」の戒から脱出できる。(為せば成る、為さねば成らぬ何事も)

『The art of self defense』 2019

夜駆け回るオートバイのギャングに襲われた気弱なブックキーパーのケーシー(ジェシーアイゼンバーグ)は、近所の空手スタジオに参加して身を守る方法を学ぶ。カリスマ的なインストラクターの先生(アレッサンドロ・ニボラ)と筋金入りの茶色のベルト・アンナ(イモージェン・プーツ)の下で、ケイシーは人生で初めて新たな自信を得た。しかし、先生の不思議な夜の行動からいつか自分を襲ったギャングだと分かり自己防衛として試合を試みる。


「誘惑に弱い」は人をハメる『転落弁護士・私はこうして堀の中に落ちた』

2019-10-29 07:46:10 | 人生を「生かす」には

人は「誘惑に弱い」、特に男は「金と女」にハマると世界が一変「天国と地獄」を見るのだ。正にこのノンフィクション小説は有能な弁護士がそれにハマり、獄中生活を余儀無くされる。裸の人間の平等さ、人の恩、情けなど人間臭さを知り、時には過酷で辛い経験もし、生き延びた元囚人の生き様である。世間には甘い話、儲かる話などなど「誘惑を誘う」話がたんまりとある。だが、一旦入り込むと中々出口を迎えない、結局終焉(罰)を受けることでやっと気づくことだ。人間の愚かさは最後に二進も三進もいかなくなった時に知らされ、自ら悟とれるものだ。(煮湯を飲まされる)。

『転落弁護士・私はこうして堀の中に落ちた』内山哲夫

「BookData出典」羽振りのいい天才詐欺師「ハマのマッちゃん」の弁護を引き受け、うまくいったのが転落の第一歩だった。夜の銀座にハマり、遊ぶカネ欲しさにヤバイ筋の事件ばかりこなす日々。気がつけば、5000万円の横領と企業恐喝の罪で実刑判決。塀の中では、卑劣な刑務所ヤクザの陰謀が待っていた。警視庁出身の元弁護士による、激動の告白ノンフィクション。

  • 恩師や若手弁護士に対する「若手弁護士に対する反面教師になれ」、「我が国の刑務所における懲役囚の処遇の現状を正確に伝えろ」の2つの目的を持った自らが書いたノンフィクション小説である。概要は、現職の弁護士が金と女に目が眩み、悪の道に入り込み、数回逮捕。 5年間の懲役で過酷で個人的な自由のない刑務所生活を経験する。 また出所後の就職に50歳という年齢と職歴からまともな職業にはつけず途方にくれてしまう。だが、昔の友人・先輩が手を差し伸べ支援する姿には感動する。「苦しくなったらいつでもワシを訪ねて来なさい。いいな」と弁護士の大先輩からの言葉。
  • 「再犯率が多い原因」 それは「刑務所の処遇に問題があるのではなく、むしろ娑婆の受け入れ態勢の方に問題がある。 刑務所を出たばかりのものに対し、刑務所以上のコクな仕打ちをする雇用者が多いからです。」
  • 刑務所にいれば「真の平等とは何か」を悟ることができる。 同じ人間(裸)として全て一緒に扱われるから。
  • 「正門」と「裏門」の出所。正門は仮釈放の出口で裏門は満期出所である。現状仮釈放は半数を超えている。(満期釈放の者には華やかさはないが、仮釈放は人間のやり直しを込めた送り出すことの儀式をする)
  • 「刑務所での学習」読み書きソロ弁から始まる小学・中学レベルから高校の通信教育も受けられる。また英語、簿記含めた教科にクラブ活動、短歌、俳句、書道、ペン習字、珠算、詩吟、墨絵、茶道、禅、カラオケなどもある。だが全て規則正しい時間と規則があり「平等」である。 刑務所内では陰謀、ヤクザからの嫌がらせは頻繁にある。それを終日、何十人もの囚人を仕切る刑務官たちの職業に感心せざるを得ない。

運命を幸運に捉える方法『Stuber 2019』⭐️4

2019-10-28 07:57:48 | 映画から見える世の中の動き

@配車タクシー「Uber」運転手と警官とのアクション・コメディー映画。 偶然に事件現場に警官と鉢合わせ、事件に巻き込まれていく、そんな時代でもある現代。運命は予期せぬときにやって来るものである。「たまたま」、「偶然」は、前世に仕組まれた事などと言われるが、その機会を幸運と思うか不運と思うかは、その後の結果だろう。「機会を得る」事への前向きな考え・行動を大切にしたい。特に「人との出会い」は自分次第でどちらにも変化、チャンス化できるのは自らの行動次第と自覚しておきたい。ポジティブ思考は幸運を運んでくれるだろう。

『Stuber 2019』

平凡なUberドライバー、StuKumail Nanjiani)が乗客(Dave Bautista)を拾うと残忍な殺人事件を追跡していた警官だと分かった。次々と指定場所へと命令され、Stuは悲惨な試練に突入していく。そこで必死に逃げるが電気自動車のパワーが無くなり激突、大破。事件が終わりDaveは犯人を捕まえたが、Stuは車を無くした。だが、Uber評価「5つ星」とDaveの娘を恋人として得た。一番得したのはStuだった。


憧れた心の隙間を倦める『切羽』

2019-10-27 08:00:10 | 人生を「生かす」には

人は何事にも全てに満足することはなく、いつも何かを探し求め、彷徨っている。子供のいない夫婦だけの生活が続くと、変化を期待したいことで生まれる偏見が、昔恋した夫に欠けたものを他の男に見つけ出し、心が揺れる。そんな恋心を描いた妻の心境の小説だ。結婚間のない子供のいない妻であり教師の隙間心を埋めようと、いつもと変わらない生活から何か物足りないと思いつつ、新たな出来事に反応していく、それに偏り始める。人には超えてはならない「壁」がある、また他人との間にも「壁」がある。人間関係の大切さは双方の「壁」、それは妻であり、夫であり、友人であり、親友であり、同僚でもある、を理解してこそうまくいくのだ。 それと「人はたまに何か無性に何かをやってみたいと思う、そうするとどこかに着くとような気がする」 馬鹿になることで自分をブレイクさせることもストレス解消に現代は特に必要かもしれない。

『切羽』井上荒野

  • 第139回(平成20年度上半期) 直木賞受賞 かつて炭鉱で栄えた離島で、小学校の養護教諭であるセイは、画家の夫と暮らしている。奔放な同僚の女教師、島の主のような老婆、無邪気な子供たち。平穏で満ち足りた日々。ある日新任教師として赴任してきた石和の存在が、セイの心を揺さぶる。彼に惹かれていく──夫を愛しているのに。もうその先がない「切羽」へ向かって。
  • 「切羽」とはトンネル工事または鉱石、石炭などを採掘する坑内作業の現場。一番先が「切羽」と言う。
  • セイ、妻は赴任した男の先生に心を揺さぶられる。それは何か物たらない心の隙間をその赴任した男性に惹かれた。悶々とする中、同じ学校の独身の女先生が東京の男性と不倫をする。ある日、その男の妻が島に来て喧嘩となり、男は妻と一緒に東京に帰ってしまう。その日喧嘩別れで不倫の男を亡くした独身女先生は赴任してきた男性と寝てしまい、結婚すると言い出す。ところが数日後不倫した男がまた帰ってきて依を戻し始める。セイは心を寄せた男性が女の先生と結婚することに唖然となるが・・・
  • 人はたまに何か無性に何かをやってみたい、「馬鹿みたいに踊ったり、闇雲に足ったり、大声を言ってみたりと、どこかにつくような気がする」

アルゴリズムの「37%ルール」で解決『アルゴリズム思考術』

2019-10-26 07:58:05 | 最新技術(IT)で変わる事

「37%ルール」と言うものが、アルゴリズムにある。アルゴリズムとは簡単に言うと「計算・思考を効率良くする手段」だと言うことで、その一つがこの「37%ルール」だ。例は2〜3本書の概要を下記に記したが、37%を超えた時点でそれまでの考えをまとめ、結論つけていけば問題解決になると言う説明だ。(検索収集・整理整列・活用利用)。コンピュータの計算を効率良くすることと人間の思考能力を良くすることにも触れており、「断捨離」などにも応用、「車の駐車場場所選択」なども一例として本書にある。 もう一つシャーロック・ホームズの言葉「人はどんどん詰め込んでいけば、新しいことを一つ覚えるたびに古いことを一つ忘れる時が必ずやって来る。だから、無用の知識はどんどん忘れて、有用な知識の邪魔にならないようにすることが、極めて重要なんだよ」

『アルゴリズム思考術』ブライアン・クリスチャン

  • ベンチャービジネス売却の最適タイミングはいつか。車をどの駐車スペースに停めるべきか。何人めの交際相手で手を打って結婚すべきか。ずいぶん違った問題のようだが、どれも解決できる、最良の共通手順がある…問題解決のため、機械的に進めれば目的を達成できる一連の数学的な手続きがアルゴリズムだ。達人でも天才でなくても難題を切り抜け、日々の作業や仕事を楽にする秘訣が学べる、現代人必読の書
  • 「アルゴリズムの思考術」アルゴリズムがあれば推測を行い、より単純な解決策を優先し、エラーのコストと遅延のコストのトレードオフを行い、賭けに出ることができる、合理的な思考である。一つの例が「37%ルール」37%を基準にトレードオフし、判断を導く方法。「計算の負担軽減」として考える。例として①「秘書採用」において、全体の37%に達するまで選択せず、検討だけ続け基準を定める。37%を過ぎたら基準に従って選択する態勢を作る。②配偶者を求める、では探す適齢期を18歳から40歳までとすると検討する期間の37%は26.1歳となりそれまでの候補者からの基準で決めていく。③レストランを決める方法、では「都合の良いとき」と漠然とした返答ではなく「火曜日午後1時から3時まで」、また2-3つの選択肢を与える事で相手の「計算・思考を効率良くする」ことにつなげる。
  • 「アルゴリズム」と言う言葉の由来は、9世紀古代ペルシア数学者アル・フワーリズミーの名に由来する。バグダッドの近くでシュメール語の刻まれた4000年前の粘土板が発見されたがそこに長除法(割り算の筆算)が記されていた。
  • 「探索」と「活用」。「探索」とは「集めること」で、「活用」とは「使う」こと、それを「ソート」(整列)させること。穴のあいたカードを開発して並べ替えた企業がIBMとなった(発明者:ハーマン・ホレリス)
  • 整理整頓の基本は並べ替え「いつからあるのか、まだ使えるのか、同じものを持っていないか、最後に使ったのはいつ」などひとまとめにまとめることで断捨離可能
  • シャーロック・ホームズ「どんどん詰め込んでいけば、新しいことを一つ覚えるたびに古いことを一つ忘れる時が必ずやって来る。だから、無用の知識はどんどん忘れて、有用な知識の邪魔にならないようにすることが、極めて重要なんだよ」(追いだしと千里眼)
  • 「歳をとり、記憶の遅延が時折起きるようになっても、気に悩む必要はない。遅延の長さは経験の豊かさの指標でもあるから。思い出すのに苦労するのは、知識が豊富であることの証と言える」

国籍の違い『蔭の棲みか』

2019-10-25 07:47:43 | 世界の動きから見えるもの

@人は環境次第で変わる。だがその背景次第では変えたくとも変えれない事もある、とはこの小説。国籍の違いから考え方の違いは思った以上に解離がある。商習慣の違い、生活環境の違いはその典型的なものかもしれないが、国籍の違いで思うままにならない事も多くある。現実、日本人はそうは思わなくとも海外からの移住者・定住者にとっては日本のハードルは相当高いと言う。日本は外国人に対して冷酷な国なのか、島国の日本、これからの国際化の波にしっかり歩調をとって欲しいところだ。

『蔭の棲みか』玄月

  • 第122回(平成11年度下半期) 芥川賞受賞 ソバン翁の右手首は、戦争で吹き飛ばされた。朝鮮人の元軍人が補償を求めて提訴したことを知り、過去が蘇る。芥川賞受賞作他二篇
  • 「影の棲みか」朝鮮・韓国からの安い日雇い労働者団地に住む一人の老人ソバン。数百人を超えるその団地での様々な事件、問題を抱えた歴史を知るソバンがいた。朝鮮から来てこの団地で財産を稼いだ主と一部住民が賃金のことで対立、騒動を起こす。中国人が騒動を起こしたと密告で警察が立ち入るが警察と主が賄賂で繋がっており刑事事件にはならない。ところが団地そのものの解体が始まる。
  • 「おっぱい」子供は絶対いらないと言う朝鮮人女性と日本人の青年が結婚、ある日、韓国籍の恩師とその盲目の娘を家に招く。盲目の娘は結婚した女性と仲良しで、恩師に対しては金銭的な支援しており相当な尊敬の念を持ってのもてなしをしていた。2年後、今度は盲目の娘の赤ちゃんも一緒に連れて訪問する。夫婦は娘の巨大な母乳を見て圧倒、母親の強さを感じた。2年前の娘と母の差を感じた。その後夫は子供はいらないという妻に心変わりするのかと期待したが「あんたの考えていることなんて、みんなわかっているのよ。私をなんだと思っているのよ。甘く見ないでよ。あんたが思っているようには、絶対にならないからね。」とピシャリ。

人生の裏から這い上がる『影裏』

2019-10-24 07:47:34 | 人生を「生かす」には

人生には「裏と表」がある。ここでは「影」から「裏」へと人生を歩み始めた一人の男が迷い、特定な友しか話ができない環境を自らが作り、孤独となり最後には大震災の被災者となり消えていった。家族に見放され、仲間にも敬遠され生き続けた結果、選ばざる道に入り込りこみ、自然の神が奪いさった男である。 あまりにも酷い「運命」と言うより、自力で這い上がる勇気を見失った所為だろう。「生きていれば必ず逢える運」と言うものを信じことだ。周りの家族・友・仲間をもっと大切にすることでそれが見えてくるはずだ。(袖振りも合うも多少の縁)

『影裏』沼田真佑

  • 第157回芥川賞受賞作。大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、「あの日」以後、触れることになるのだが……。樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。
  • ある日の被災で友人を失くしたことがほぼ明らかになる。ところがその友人の父親は、勘当しており息子ではないし、遺族探しはしないと言う。過去の出来事から母親は早くに亡くなり長男と次男と父親の3人暮らしだった。次男のその友人は大学を合格したが4年間とその後どのような暮らしをしていたのか皆目見当も付かずだったという。ただ普通の生活ではない事は薄々感じていたと言う。それに借金を抱え犯罪に手をつけていたことも感じられた。

「殻」を打ち破れ『Curious George Royal Monkey』⭐️3

2019-10-23 07:46:38 | 映画から見える世の中の動き

@人にとって「楽しみ」とは何なのか。誰もが日々苦労する暮らしより何不自由のない生活を選ぶ。人はどうしても他人と比べたがり、より高くて品の良いものを選びたがるが、「人の満足・楽しみ」はそうだろうか。このアニメーションでは王女が1匹のモンキーによって楽しむ心が芽生えたアニメーション映画である。単純だが、金では買えないちょっとした事が「楽しむ」と言う遊び心を芽生させたのである。それは「殻から勇気を持って思い切り飛び出る事」だった。新たな自分を発見するには自分に纏わりついた「殻」を打ち破り、一度外に出てみることかもしれない。まず、自分の纏わりついた「殻(仕組み・立場・決まり事など)周りの環境・役割」を十分知ることがまず大切だ。(鶏口牛後)

『Curious George Royal Monkey』

好奇心旺盛なジョージと王室のロイヤルモンキーフィリップが、博物館見学中に入れ替わってしまう。フィリップが完璧なマナーで博物館案内役の相棒テッドを困惑させている間、ジョージは城に行き楽しみます。そこでジョージは、寂しやがりで、恥ずかしがり屋のイザベル王女を城から抜け出しダービーに参加させ、楽しみます。

 

 


人はいつでも迷い、疑い続ける『秋月記』

2019-10-22 07:51:57 | 歴史から学ぶ

「上司の悪評」を巧妙に利用し、役職を奪い取り、首を代える、とはこの時代小説だ。それは現代で言う、部下の仕業で上司を入れ替えると言うことだが、結局一旦権力者がその地位・権力を持つことになると部下は単純に利用されるだけだと言うことになる。 小説では元上司を代えることで何もかもがよくなると勘違いしての行動で、結局同じ過ちを繰り返しを食らう結果になった。ここにある「目の前の敵がいなくなれば、味方の中に敵ができる」と言うことである。人はいつでも迷い、疑い続ける者だと言うことだ。(鼎の軽重を問う)

『秋月記』葉室麟

「Bookdata出典」筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があり、いつしか仲間との絆も揺らぎ始めて、小四郎はひとり、捨て石となる決意を固めるが──。

  • 若い家臣7名が現家老と重臣を本藩へ命を賭けて悪行を訴える。そしてそれが認められるが、現家老に代わって赴任した家老がまたしても本藩の意図を組み秋月藩を利用して出世しようと企む。若い7人は結局前家老の思いを勘違いしていたことで再び新たな本藩の家老を追い出す工作を考えるが財政的な自由がもぎ取られてしまう。 一人悩みながら前家老の言葉を鑑みながら突き進むが、最後には周りから敬遠され罷免、隠居、島流しになる。歴史の繰り返しとなる。
  • 目の前の敵がいなくなれば、味方の中に敵ができる、そのことを覚悟されい
  • 「旧来の門閥の重臣の派閥と若手の改革派に分かれる」
  • 政事はどのように行っても、全てのもに良いと言う事はないようです。それゆえ後の世の人に喜ばれるものを、何か作っておきたくなる。人に憎まれることばかりやって追ってはたまりませんからな
  • 「山は山であることに迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。人だけが、己であることを迷い、疑う。それゆえ風景を見ると心が落ち着くのだ」
  • 静謐こそ、我らが多年、力を尽くして作り上げたもの。さればそれが己にとっては誇りでござる。」



刑事の「勘」とマスメディア取材暴力『廃墟に乞う』

2019-10-21 07:51:47 | 世界の動きから見えるもの

刑事の「勘」とは人並み以上の鋭い臭覚の才能と経験だ。古い事件でも警察が見逃した物・事から証拠なり、アリバイ、もしくは根拠につながる糸口を探し出し、しつこく、何かを見つけに行く動物的本能だ。人間には誰しもが何らかの才能を持っていると思っている。だがそれを知らず、使わずにいる人も多くあるという事は実に「勿体無い」。 もう1点、気になった点は「マスメディアの取材暴力」である。容疑者、親戚、友人、会社関係者など、また周辺の近所迷惑構わず執拗以上のインタビューと撮影する行為。見ていても本当に気の毒な場合もある。マスメディアは常識マナーをもっとわきまえての行為、行動を取って欲しいところだ。それと最近のマスメディア・取材の人々の知識・情報不足の無さで、報道される内容が薄く、肝心がボケ、他局と同じ事を繰り返すなど視聴者側に退屈させる事が多い事だ。(ネットの情報をコピーして放映するのは如何なものか)

『廃墟に乞う』佐々木譲

Bookdata出典」仙道孝司は北海道警・捜査一課の敏腕刑事だったが、任務がもとで罹ったPTSDのため、休職を命じられている。ようやく回復してきた頃、かつて札幌で起きた殺人事件と同じ手口で、千葉でデリヘル嬢が殺された。これは13年前のあいつの犯行かその矢先に犯人から接触された仙道は、旧炭鉱町へ向かう(表題作)。リゾート村、札幌の倉庫、競走馬生産牧場を舞台に、警察手帳も銃も持たない休職刑事が事件に新たな光と闇を見出す、連作警察小説。直木賞受賞作。

  • 「廃墟に乞う」 での容疑者は生まれながらにして貧しい環境で苦痛に耐え忍んだ恨みが犯罪に繋がっている。
  • 「オージー好みの村」「兄の想い」「消えた娘」「博労沢の殺人」「復帰する朝」など休職中の刑事に様々な依頼がくる。 警察・刑事の捜査等から外から見て一歩踏み込んだ真犯人を突き止めることから、被疑者への擁護、容疑者への説得、真犯人の捜査など刑事の「勘」で解決していく。刑事の「勘」は人並み以上の才能として持って生まれた特性なのかもしれない。 休職を言い渡され保養地での休養を医者から言い渡された理由は、聞き込みで、ある男とドアで聞き込みをした時に不審に思い、再度聞き込みをしなかった後悔である。あのあと男は部屋の中で一人の女性を殺害したのだ。あの時、不審に思った時にはまだ生きていた女性が・・・自分の過失を悔やんで暴れたことが原因だった。

「戦利品」は勝者のモノでいいのか『Inside Man』⭐️4

2019-10-20 08:09:35 | 映画から見える世の中の動き

@大量の金塊「戦利品」、それは第2次世界大戦でナチスの金塊を米国は密かに自国に持ち込んでいた。それを奪い返す犯人たちの心理、巧みな行動のアクション映画だ。「戦利品」は勝者の所有、実際日本も敗戦から多くのものが持ち出されたが調査資料はない。金塊も含め多くの歴史的古文章、古美術品、価値ある金品・骨董品など一体誰がどこに誰が持ち出したのだろうか? 戦前、日本も同じで多くの戦利品を韓国、朝鮮、中国等から持ち出している。 戦後の処理で果たして忠実に所有者等に返品されているだろうか。 失われた文化遺物を今からでも確保・取り戻しておく必要があると感じが、可能だろうか。 一旦他国の物となったモノ、特に北方領土なども含めて簡単にはいかないが特区を設けて誰でもが訪問できる交流の場を設けることはできないだろうか。

 『Inside man』

米国連邦銀行で大量の金塊を狙う銀行強盗が発生、多くの人質をとり閉じこもる。 NYPDの人質交渉担当者は、最悪の事態を避けるため行動するが、奇妙な点を感じた。実は金塊は世界大戦のドイツが保有していた金塊がこの銀行に眠っておりそれを奪い返すことが目標で、金塊を一度とかしゴミとして運ぶ計画をする。また、実行犯の中には人質となり犠牲者もいた?。


参謀としての役割、経験-教訓の価値を説く『鬼神の如く』

2019-10-19 07:52:43 | 歴史から学ぶ

「敵を欺くにはまず味方から」、事の重要性を再認識させる、あるいは味方に失敗させないための策として味方を騙し誘導させる策略は現代ではあまり聞くことがない。この時代の策略家・参謀は裏の裏、騙しを騙しで返すくらい命を賭けた力量と勇気(鬼神)があったと、この小説を読んで思った。 権力者(2代目以降の経営者など)は何か先代とは違った戦略戦術で功績を残したいが為に昔の苦い経験-教訓を忘れ再び暴権(権限利用)することがある。それを正当な道に戻せる悪役を勝手でる参謀は現代でも必須だろう。(関西電力の賄賂事件・誰も善悪の分別もつかない状態になった会社組織・残念だが真の参謀が不在だ)

『鬼神の如く』葉室麟

『BookDataより出典』「わが主君に謀反の疑いあり」。筑前黒田藩家老・栗山大膳は、自藩が幕府の大名家取り潰しの標的となったことを悟りながら、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。九州の覇権を求める細川家、海外出兵を目指す将軍家光、そして忠之―。様々な思惑のもと、藩主に疎まれながらも鬼となり幕府と戦う大膳を狙い刺客が押し寄せる。本当の忠義とは何かを描く著者会心の歴史小説。

『メモ』

  • 大膳と藩主との揉め事を利用し、有力藩を廃藩、藩主を蟄居させる江戸時代において、大膳はそれを利用とする幕府の幕閣と手先を利用しながら将軍の意思を確認する目的だった。 その意思とは九州の有力藩主に増え続けるキリシタンをルソン島まで遠征して弾圧させること。 大膳の意思とは豊臣の朝鮮出兵で豊臣は崩れ落ちたことは、まさに海外での遠征は意味のない藩武士勢力を利用することは間違いであったと幕府に認識させることだった。
    • 「兵は詭道なりと言う。つまるところ戦いとは詭道、すなわち騙し会いだ」
    • 毛利元就は「反間」(間者を味方に入れ敵を諜報する役割—二重スパイ)の策を利用し中国地方を手に入れた。厳島の戦いは長門周防の2万を4千で打ち破った。
    • 生きてある限り、この世の道全て荊で覆われている。傷つくことを恐れず、信じる道を行く者だけが神の国にいるのだ
    • 乱を起こすには率いる者がおらねばならなぬ。天草四郎はそれだけの器量があるとみた。乱を起こすに、若いも年寄りもあるまい。ただ、己の行く道を信じて迷わぬものだけが力強き者に抗して立つのだ。

アンネ少女の思いは「運命に従う」こと『乙女の密告』

2019-10-18 07:52:06 | 映画から見える世の中の動き

@「アンネ・M・フランク」(アンネの日記)を愛したドイツ教師の秘密、そしてアンネの本当の気持ちを知る小説だ。戦時中、幼いアンネたち8人が隠れたがその誰かがアンネを密告、逮捕される。隠れていた数ヶ月の思いを日記にしたのが「アンネの日記」として現代でも読まれているが、アンネは何を残したのか。それはユダヤ人というだけで多くの「他人」(文中の表現)が抹殺されたが、アンネは自分を隠さずユダヤ人である「自分の名前」を唯一遺すことであったということだ。わずか14歳の生涯で名前を残すことの意義は、今思えば驚くほどの行動と強い意志があったと思う。生を受けた人間が最初から選ばれた人種(排除されるという運命)であることが辛い人生であったと思う。何の理由もなく「人間の平等」を勝ち得ないまま生涯を閉じた心うちはこの「名前を遺す」ことにつながったのだろう。 人の運命は変えられないが、自分の運命は自分次第!

『乙女の密告』赤染晶子

「BookData出典」第143回(平成22年度上半期) 芥川賞受賞 京都の大学で、『アンネの日記』を教材にドイツ語を学ぶ乙女たち。日本式の努力と根性を愛するバッハマン教授のもと、スピーチコンテストに向け、「一九四四年四月九日、日曜日の夜」の暗記に励んでいる。ところがある日、教授と女学生の間に黒い噂が流れ…。(わたしは密告される。必ず密告される)

『メモ』

  • 「アンネ・M・フランク」を愛するドイツ教師は人形をいつも抱えていた。それは自分の話し相手として愛していた「アンネ」像であった。 それがある日、一人の女学生の訪問に会い、その人形の存在意義を暴かれたような気がした。それと同時に外には聞き耳をしていたもう一人の女学生がいた。 そのもう一人の女学生はその教師を好いていたが相手にされない理由がここで理解でき、その人形を盗んでしまう。 教師は人形がいなくなった事で寝込んで授業も休講する。 盗んだ人形は教授に戻ったが、盗んだ女学生は消え失せ、スピーチコンテストには参加しなかった。
  • 教授から学んだことは、「アンネ」は隠れた8人の中に誰かが密告し、最後にアンネは逮捕された。だが、ホロコーストが奪ったものは、ドイツ人、オランダ人など祖国を失った者という「他人」という扱いで、「アンネ」は「他人」としての存在ではなくユダヤ人の「アンネ・M・フランク」という名前の存在を残したかったのだ。