@不振事業・経営の立て直し、黒字化にさせる為のプロセスが小説的に描かれたビジネス書だ。会社・経営は「人」であり「人」で決まる。改革する人材の抜擢と強力なトップダウンの援護、支援は欠かせないが、一番の大敵は「組織内部の政治性勢力」である。基本的な判断は「企業内の強さと弱さ」を知り、綿密な分析評価からまず「思い切って捨てる」行動をしない限り会社の存続は成り立たない、また「見直す」行動も必須となる。特に困難な行動は「人事」であり選別は革新ある改革者(経営者・株主)が自ら行うことが必須だ。それは往々にして最悪な事態を作り出したのは「何もしない・のさばっていた経営・役員・上司陣」であるからだ。
『V字回復の経営』三枝匡
「概要」不朽の名作に対談を加えた増補改訂版が、ついに文庫化!「2年で黒字化できなければ、退任します」――。自ら退路を断つことで社員の甘えをなくし、皆を巻き込み一気呵成に勝ち戦へ転じる。熱い情熱とすぐれた戦略で不振部門の再建に挑んだストーリは、永遠に輝き続ける。
ー業績回復の為に子会社に出向していた人材が抜擢され、4人のタスクフォースを組む。
経営改革スポンサー役、力、智、動のリーダーの選別
選ばれたもの「集団への責任を自覚した者たち」(甘えの構造を断ち切る)
ー成功のためのステップ
・改革コンセプトへのこだわり(3つの分野の「強み・弱み」を整理)
経常業務(開発、生産、マーケティング、販売、サービス)
戦略(長期的に競争相手を凌駕していくための戦略的要素)
組織(ビジネスプロセス、危機感、リーダーシップ)
・存在価値のない事業を捨てる覚悟
生き残るために捨てる、魅力ある事業を立て直す集中と選択
人の評価・数値管理・情報システム・教育トレーニングなどから諸問題を抽出
・戦略思考と経営手法の創意工夫
勝ち抜くための絞り込みと選択+企業ごとの創意工夫
・実行者による計画作り
経営企画が計画をたて実行力ある者にやらせる
強烈な反省論・総合的な改革シナリオ・ビジネスプラン・予算化・具体的アクション
・実行フォローへの綿密な落とし込み(武器、道具作り)
トップが全体方針を述べ、部署別のテーマに落とし、各部署で推進させる
各現場での戦略ストーリを実行管理ツールに落とし込み、フォロー体制を連動させる
・経営トップの後押し
経営者・社長のトップダウンで始める
・時間軸の明示
期限設定を設け強いインパクトを与える
・オープンでわかりやすい説明
全社員に会社の悪さ加減を赤裸々に知らせ「現実直視」「強烈な反省」
・気骨の人事
ドラスティックな人事抜擢と育成・支える
・しっかり叱る
曖昧な叱り方ではなく一発で当人に問題が認識され直ちに是正されるように指導
・ハンズオンによる実行
現場に目を配り、積み木が崩壊しやすいところを排除する
ー改革とは「高い志と魂の伝授」正しいと思われることを愚直に必死にやり直すこと
「経営者は危機的とは言うが誰も何も動かず、機能組織ごとに被害者意識を蓄積させる」
「毒を喰わらば皿まで」「企業戦略の最大の敵は、組織内部の政治性である」「歴代経営者の最大の罪は何もしないことだった」
