goo blog サービス終了のお知らせ 

ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

黒字化への脱却リスクと行動『V字回復の経営』

2025-03-23 08:37:53 | ビジネス小説
不振事業・経営の立て直し、黒字化にさせる為のプロセスが小説的に描かれたビジネス書だ。会社・経営は「人」であり「人」で決まる。改革する人材の抜擢と強力なトップダウンの援護、支援は欠かせないが、一番の大敵は「組織内部の政治性勢力」である。基本的な判断は「企業内の強さと弱さ」を知り、綿密な分析評価からまず「思い切って捨てる」行動をしない限り会社の存続は成り立たない、また「見直す」行動も必須となる。特に困難な行動は「人事」であり選別は革新ある改革者(経営者・株主)が自ら行うことが必須だ。それは往々にして最悪な事態を作り出したのは「何もしない・のさばっていた経営・役員・上司陣」であるからだ。
『V字回復の経営』三枝匡
「概要」不朽の名作に対談を加えた増補改訂版が、ついに文庫化!「2年で黒字化できなければ、退任します」――。自ら退路を断つことで社員の甘えをなくし、皆を巻き込み一気呵成に勝ち戦へ転じる。熱い情熱とすぐれた戦略で不振部門の再建に挑んだストーリは、永遠に輝き続ける
業績回復の為に子会社に出向していた人材が抜擢され、4人のタスクフォースを組む。
    経営改革スポンサー役、力、智、動のリーダーの選別
    選ばれたもの「集団への責任を自覚した者たち」(甘えの構造を断ち切る)
ー成功のためのステップ
改革コンセプトへのこだわり(3つの分野の「強み・弱み」を整理)
    経常業務(開発、生産、マーケティング、販売、サービス)
    戦略(長期的に競争相手を凌駕していくための戦略的要素)
    組織(ビジネスプロセス、危機感、リーダーシップ)
存在価値のない事業を捨てる覚悟
    生き残るために捨てる、魅力ある事業を立て直す集中と選択
    人の評価・数値管理・情報システム・教育トレーニングなどから諸問題を抽出
・戦略思考と経営手法の創意工夫
    勝ち抜くための絞り込みと選択+企業ごとの創意工夫
・実行者による計画作り
    経営企画が計画をたて実行力ある者にやらせる
    強烈な反省論・総合的な改革シナリオ・ビジネスプラン・予算化・具体的アクション
・実行フォローへの綿密な落とし込み(武器、道具作り)
    トップが全体方針を述べ、部署別のテーマに落とし、各部署で推進させる
    各現場での戦略ストーリを実行管理ツールに落とし込み、フォロー体制を連動させる
・経営トップの後押し
    経営者・社長のトップダウンで始める
時間軸の明示
    期限設定を設け強いインパクトを与える
・オープンでわかりやすい説明
    全社員に会社の悪さ加減を赤裸々に知らせ「現実直視」「強烈な反省」
・気骨の人事
    ドラスティックな人事抜擢と育成・支える
・しっかり叱る
    曖昧な叱り方ではなく一発で当人に問題が認識され直ちに是正されるように指導
・ハンズオンによる実行
    現場に目を配り、積み木が崩壊しやすいところを排除する
ー改革とは「高い志と魂の伝授」正しいと思われることを愚直に必死にやり直すこと
「経営者は危機的とは言うが誰も何も動かず、機能組織ごとに被害者意識を蓄積させる」
「毒を喰わらば皿まで」「企業戦略の最大の敵は、組織内部の政治性である」「歴代経営者の最大の罪は何もしないことだった」


敵対買収への対抗と判断力『ブラックナイト』

2025-02-19 07:45:56 | ビジネス小説
敵対する買収工作に加担し会社の権限を利用して賄賂、隠し金など不正を行う。やがて消費者・顧客から不平不満、さらには疑惑が続々と露出する。不正を隠蔽しようとする策で会社は財政難に陥り、内部の反対派閥が隠蔽工作を繰り返す。本書の小説は企業の特許を得るために買収しとうとする企業の知名度、名声を落とし、株価を下落させる。企業内部の反対派閥と対外的買収を工作した企業に対して、新社長、秘書等が取った蘇生術、行動判断力は実に見事で面白い展開を魅せる。気になる言葉「日本の企業は伝統的に性善説で動いているので、内部から崩すのは割合簡単なんです」(社員の権限が緩い)「社内で喧嘩出来ない会社はおしまいなんです」(言いなりだけの組織)
『ブラックナイト』建倉圭介
「概要」会社の在りかたと愛社精神を問う、骨太の企業ミステリー!闇改修、性能偽造、リベート疑惑、社員の不審な自殺――。財政難で背水の陣に追い込まれた住宅メーカーで巻き起こる、数々の怪しい事件。左遷されていた元役員の新社長と、元運転手の社長秘書が、社内に潜むスパイと黒き巨大組織に迫る!
ー会社経営不信、財政難になった会社が立ち直り策を打ち出す。それは新たに新社長を社内から抜擢、幹部を左遷させる。 やがて新体制への不満から左遷さえられた役員が巻き返し策を講じて出る。内部で不正をした機密証拠が握られ窮地に迫られる元役員とその部下たちの醜末。
ー目的は企業の所有している特許技術を得る為に時間を掛けて内部への工作もしていた。


「企業の伝統文化」は偽証へとつながる『7つの会議』

2025-01-23 08:25:02 | ビジネス小説
サラリーマン社会は上司次第で人事(職種・配属)が決まり、それに従わざるをえない組織だ。特に日本的組織は「上に対する意見(違見)」は古来御法度であり「YESマンに徹することで出世もする」仕組みとなっている。近年、従来の伝統慣習に変化をもたらす企業も増えているが、根本は変わらず、優秀な若手の離職につながっているのが現状だ。ましてや不正を承知で世に出す企業(隠蔽工作)など大手自動車産業でも多発している要因は「組織と伝統文化の堅持」の企業体質なのだ。気になる言葉:サラリーマンは「馬鹿正直でもダメだし、かといっていい加減でもうまくいかない」
『7つの会議』池井戸潤
「概要」この会社でいま、何かが起きている―。トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ"で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか? パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。「夢は捨てろ。会社のために、魂を売れ」「僕はどこで人生を間違えてしまったのだろうか」……筋書きのない会議(ドラマ)がいま、始まる。
ー居眠り八角
長年勤め優秀だった営業マンが左遷され会議では居眠りする状態となる。上司とし叱咤したことで逆にパワハラ問題となり、上司が左遷された。理由は判らず。
ーネジ六奮戦記
優秀な営業はできる限りのコストカットを目的に仕入先を選定し、決定する。元の仕入先は得意先を失い倒産間近で瀕死状態となる。
ー寿退社
事務系でいつもいつも同じ仕事ばかりの日常に将来を問うと、辞表を出し新たな道を選ぶことを決意、退社するまでの期間新たな課題を定義しやり遂げることになる。
ー経理屋家業
経費精算など社内からの請求書などを検査すると今まで以上のコスト高を発見。理由を追求しようと提言するが上司から止められる。謎が謎を呼び追求していく。
ー社内政治家
元優秀な営業マンが左遷され顧客からのクレームを処理する部署に移動。そこで発見したのはネジの仕入先を新たな営業課長が変更し、コストも値上がりした。その追求を試みた。
ー御前会議
ネジの品質欠陥を摘発したクレーム処理の部署で「会社ぐるみでの隠蔽」が告発されると親会社での役員会議が招集された。その結論「告発」の出所を追求、誰かに責任を負わせる話になる。




リストラの裏にある会社の事情『リストラ事変』

2025-01-21 08:05:15 | ビジネス小説
社員解雇、リストラでの不運は上司からその中間管理職で司令塔(首切り役)に指名されることだ。解雇を勧める役割は睨まれ、恨まれ、激怒される。ましてやそのまま居座り続けることは、解雇されたものから見れば悪魔・鬼のようだと罵られる、が本書では転職後に謎の自殺を図る。また、本書では経済産業省、銀行等から見放され会社の終焉を悟った経営者が最後に禁じ手「偶発債務」で多国籍企業に告発する。リストラされようとする編集記者自身による最後のネタを追う。邪魔者にされ、悪口を言われ、悪者にされる人材が興味深い会社事情を暴いていく。
『リストラ事変』江波戸哲夫
「概要」名門電機メーカー「早坂電器」が敢行した大リストラ。その尖兵であった人事部長・花井の死に不可解な点があると、経済雑誌「ビジネスウォーズ」の記者・大原のもとに一本の電話が。名門企業の凋落の裏に隠された謎とは一体。
仲間と立ち上げた出版社、その仲間の筆頭が逝去し、その長男、妻がその経営に割り込んできた。そこに創業当時からいた人材大原を辞めさせるべく、食品会社でのPR雑誌の創刊として大原を推薦していく。
大手家電企業のリストラが始まりその主導、管理に疑問を持った元社員が大原に調査を依頼する。それはリストラを扇動した元部長が上手く転職するが転職先で不意な自殺をしてしまったことで疑問を持ったからだ。


「チャンスは万人の目の前にある」発想ビジネス『サンセット・サンライズ』

2025-01-16 07:42:15 | ビジネス小説
コロナ禍でのリモートワークは仕事・生活環境を変えた。海釣りが好きで福島の田舎に引っ越したことから小説は始まる。津波で災害を受けた街、コロナが蔓延し出し環境変化で街を離れる人々が続出、更に空き家が増え問題視されていた。リモートワークし出した大手企業の社員が住み始めてその解決策を生み出していく。気になる言葉「チャンスは万人の目の前に転がっている、運はその時に気がつくか気が付かないか、その時が来た時の備えができているか、できていないかの違い」「挑戦を嫌う人間は、新しいことをやろうとすると、まず最初に問題点をあげつらう。しかしそれはどうすれば成功するかがわかっている事なんだ」「理性よりも感情が先に立ちがちなのが高齢者」「田舎での噂は即座に伝言ゲームが始まる」
『サンセット・サンライズ』楡周平
「概要」東北の楽園の神物件で”試し移住”。たくさん笑って、ホロリと泣ける、地方創生爽快エンターテインメント!3LDK、家賃8万円、家具家電付きの神物件に一目惚れ!東京の大企業に勤める晋作は、コロナ禍を機に田舎への移住を考える。三陸で見つけたのが、広い、安い、おまけに家具家電付きの神物件。早速”お試し移住”を始め、大好きな釣り三昧の日々を過ごすが、地元の人々は東京から来たよそ者の登場に気が気でない。一癖も二癖もある地元民との交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作。そんな中、ある新事業を思いつき……。
ー物語はコロナ禍での生活・仕事の変化を綴る小説。隔離二週間、それも何もない田舎での隔離生活から始まる。それはリモートワークの実践として自宅以外でも仕事が可能であることを利用してある完全装備した空き家に引っ越す。そこで見つけたのは都会では味わえない海山の幸と人との温かまり。
貸主の女性が役場で空き家対策を仕切る担当で事が「田舎の空き家対策」事業へと展開していく。


「大胆な規制緩和」(社会慣習の見直し)こそ必須『限界国家』

2025-01-11 08:04:01 | ビジネス小説
@本書の「限界国家」は正に今の低迷し始めた日本社会を指摘しており、その行末と今後の改革に大いに賛同する。それは「大胆な規制改革」既得権者・社会のスクラップアンドビルトを意味する、事だ。「職業寿命」と「労働時間」は共に短縮する時代を迎えた。次世代を担うネットネイティブ世代が考える世界を理解するのは極めて難しく、特に日本の社会慣習は邪魔となる。若者の人口減少は労働力の減少、更なる人材不足を招くが逆に技術開発に拍車がかかる。それを国家が支援することへ必然となってきた。具体的には「大規模な規制緩和」を伴う変革が必須で、米国のイーロン・マスク氏の言う「次世代の国家体制」(ネット社会に対する理解と規制緩和)は特に日本は必須である。    対策としては:
国会議員の定年制・国会議員監視組織(特権の見直し、刑事民事など国民と共有)だ。
『限界国家』楡周平
「概要」世界最大級のコンサルティング会社「LAC」をフィクサーとして政財界に影響を与える前嶋栄作が訪れる。前嶋の依頼は自らの老い先が短いことを憂慮し「日本の30年後の未来」を調査して今から手を打とうというものだった。元官僚や若手起業家などに取材していくうちに、技術の革新とともに失われていく職業のこと、過疎化が進む地方都市のこと、そしてすでにこの国に見切りを付けている若者のこと……など、現役世代が見て見ぬふりをしている諸問題につきあたる。この先日本はどうなるのか? そして、こんな状態になるまで問題を放置したのは誰なのか? フィクションでありながら、現実の課題を照射するビジネス小説。
ー「日本の今後20年30年後の予測調査」の依頼を受けて動き出した調査部員。
・政治家・財界等の重鎮=古い体質の舵取りでは惨憺たる結果をもたらしている
・経営者:利益を上げる手立ては正社員を最小限に抑え、最大限の利益を出す(人件費の削減)
・人材不足・人口減少:外国人労働者(移民)増やす(日本語・都市の変化)
人口減少:農村部からの都市への人口移動(田舎での産業衰退・倒産・人口減少)
・職業寿命:技術進化にもとない職種職業が変化、職場不足、転職(職種変化)
・近未来の業種:一次産業への参入と技術革新が不可欠(職場職種の見直し)
・CO2削減悪:太陽光住宅増進、原発を再稼働させ、森林を伐採(CO2増加)
・官僚辞任:無能な国会議員からの依頼増、評価低迷、天下り先選定して辞任する
高齢化優遇:若い世代を犠牲に政治家の選択は高齢者優先政策(次世代への押し付け)
・技術の進歩で職業寿命、職種職業の労働時間等が短縮していく事
・大企業では適材適所が難題となり、制約が多く既存事業との兼ね合いが難しくなる
・製薬会社と医者:病気の数値(高血圧等)は製薬会社が決定し医者とグルになる
    医者に対する支援・補助・留学支援=製薬会社の薬販売増大
    医者への登竜門は「教えられたことにいちいち疑問を持たない」
    既存薬が他の病に効用があっても研究は禁忌
    治験データなどはせ全て製薬会社によって行う(評価分析だけを国任せ)
    長寿国にすることで医療関係業界が潤う(健康寿命の延命治療)
ネットネイティブ世代 (ネットを利用した次世代の起業・若者)
    リモートで仕事、少人数組織、プロジェクト式へと変化(固定費・人件費を軽減)
    人材はネットを通じて世界が市場となる(日本の市場は極端に縮小され期待できない)
    大胆な規制緩和によるビジネスチャンスを狙う(自動運転化・米国と中国)
    価値観・社会観・国家観が異なった世界を観る必然性(高齢者が早々に譲る心構え)
    第3次産業革命は雇用を縮小させ、職業寿命を縮めることになる(新たなビジネス創出)
・現状(でたらめで先送り政局と大企業の慣わし)
    政治家・大企業経営者・幹部・官僚は慣習を変えない現状維持(利権)を保守
    自己権益を増大するだけの集団・政局となる(既得権益者保守・資本主義の究極)
    新規事業・ベンチャー・投資家を支援する組織慣習がない組織となっている
    厚生年金保険制度回顧録で莫大な預かり損失した事実を隠蔽(20兆円)
    政府の債権放棄、10年で2兆3千億円を債権放棄した事実
    費用対効果に対する説明責任なし・責任者不在化(オリンピック、予備費等)
    子育て支援、少子化対策問題への政治家の関心度なし(vs選挙層が多い高齢者厚遇)
現状打破への解決案
    国会議員の定年制導入(若い世代へのシフトと金権など成相を防ぐ)
    政治家の家業化を防ぐ政策(親から子に継ぐ権限を見直す)
    国に頼らない生活を工夫する(就労人口に対する無策・国に期待しない)
    「未来の世代に委ねる」は問題を先送りするだけの無責任発言
    赤字国債の刷り放題、膨大な借金 vs 人口減少、若者の年収歩留まり、増税


金融危機に隠された政府の権力と欲得『リベンジ』

2025-01-07 07:46:07 | ビジネス小説
リーマンショック前後の金融危機を回避しようとするビジネス小説。日米の銀行、投資会社を転々としながらも米国の不況を目の前に、教訓を得て、巻き添えのないように舵取りをしていく一人の男を描く。日本も米国の金融危機に巻き込まれないよう先手先手を打つ。そこに現れたのは以前務めていた重役、強制的に処分を受け退職した経緯がある、だがその逆転劇、仕返しする時がやってきた。
政府も企業も含め権力と欲得で住宅ローン負債を隠し続けていたが、やがて限度を超えると、政府は企業に引導を渡し破綻させた。儚く見せ締めとなった機関投資銀行リーマンブラザースの負債は6千億円と米国史上最大の企業破産を余儀なくされ、世界の金融界を震撼させた。本書にもある「政府の隠蔽」と「国民への施策国政」などその裏を読む事が必須であり、国に100%頼る、信頼はしないほうがいいかもしれない。
『リベンジ』高杉良
「概要」かつて在籍していた全米第二位の巨大投資銀行を相手に、若き日本人ビジネスマン西田が果敢に挑む。世界的な金融不況で破滅するのはどちらだ? 裏切りが横行し欲望が渦巻く国際金融戦争の実態と、日本人の生きざまを高杉良が生々しく描く!
日本の不動産バブルは1990年代を彷彿させる日米金融界危機ビジネス小説。
ー企業は返済ローンの負債を隠すため、政府とともに保身する為の工作に出る。住宅ローンの返済問題をクロージアップしたこの小説は、日米の金融界を代表する機関と機関投資家、投資銀行、都市銀行が如何に乗り越えたのかを物語る小説にもつながる。


税金と権力、税務署と企業『トッカン特別国税徴収官』

2025-01-03 07:47:56 | ビジネス小説
世間には道理が合わない事、事実が多分にある。それは権力、金、コネなどによって捻じ曲げられ一部のものだけが徳をする世の流れだ現実でも多くの政治家の闇金、裏金、帳簿に載せない献金・横流し現金など権力を振える上に行けば行くほど隠されたものが多く、暴露、露見しても知らんふりを通す輩が増えた。道徳観が薄くなり始めた日本は「今がよければそれで良し」「世間が知らなければどこまでも悪を続ける」「悪を悪とも思わない、罪を罪とも思わない」「見て見ぬ振りして自分が徳(無害であれば)をすれば良しとする」本書の魅力は新米の滞納者への税金徴収する徴収官と上司とのやりとりから始まる税務署の見方、捉え方、考え方、納税者を救う相談など参考になる、一番「犯罪」が多いものはなんと「脱税」だという。初耳、税務署では「滞納処分停止」から「徴収の緩和制度」と言うものがある、生活に困窮している人々への相談にも乗ると言う事らしい。
『トッカン特別国税徴収官』高殿円
「概要」カフェの二重帳簿疑惑や銀座クラブの罠に特別国税徴収官付きの新米徴収官が体当たり!
ー「カフェ」の脱税をしている主に目をつける
    学生が多く利用するカフェで金を捻出、車、女に貢ぐ程の手口、隠し金を探す
ー「ナイトクラブ」の美人主に目をつける
    羽振の良いクラブだが滞納する主を見張ると意外な人物との接点が出てくる。それは税務署にとっても許し難い判断となるが、その発端に巻き込まれた新米徴収官が上司と共に調査をしつこくすると新たに意外な事実が浮き上がる。それは世間の利害関係がズレた状況を浮き上がらせる。権力と金、人脈とコネ、規制と緩和密談など世の中の捻くれ事実が浮き上がる。
ーユニーク冗談話、ストーリーも多く、税務の仕事そのものを理解するにも楽しく拝読できる。


転職への肩書きと履歴『引き抜き屋』

2024-12-17 07:41:37 | ビジネス小説
社会、業界、組織変化は人材の入れ替わりが伴う。特に外資系ではトップの変更は幹部含めた人事の総入れ替えもあるが、日本にはそれがない。それは人間関係を重要視するためにあえて多くの人材の入れ替えをしない社会慣習となっている。だが、今、業績の右肩下がりから来る組織の腐敗、優秀な人材離れ、賃金の低迷化などから日本には大きな変革が求められているとも感じる。旧態依然の組織の保りはほとんど変化を望めなく、新たにヘッドハンティングされた人材を干そうとする逆の面もあるのは悲しい。本書はそういっったニーズからヘッドハンティングに入社した元取締役が描く日本の実情を描く。
『引き抜き屋』雫井脩介
「概要」父が創業した会社で若くして役員となった鹿子小穂は、父がヘッドハンターを介して招聘した大槻によって会社を追い出されてしまう。そんな小穂を拾ったのは、奇しくもヘッドハンティング会社だった。新米ヘッドハンター・小穂は、一流の経営者らに接触するなかで、仕事や経営とは何か、そして人情の機微を学んでいく――。緊迫感溢れるミステリーで人気の著者が新境地に挑んだ、予測不能&感涙のビジネス小説。
ー父の経営するアウトドアースポーツ会社から修行の為と追い出されヘッドハンティング会社に入社。様々なお客の要望に応じた人材を紹介していく。その過程でホステスクラブに同僚の誘いで行くと突然ホステス役を言い渡されイヤイヤでそのホステスを受けると、それこそ様々な企業のトップを知り合う機会を得た。


「選択と優先」自動車業界の未来『ラストエンペラー』

2024-12-15 07:38:12 | ビジネス小説
@自動車業界にとってEV車は過去のガソリン車の遺産を継続できない窮地に追いやるものとなる。1千社をこえる中国国策での製造販売は世界の車製造会社にとって脅威であり、次なる戦略を立てる必須の課題だ。本書では超高級市場への舵取りをするために、イタリアの手作りの超高級車製造会社と協調・提携に舵を切る。人材の抜擢、人材の活用、日本・イタリヤ固有の文化芸術も取り入れた知恵と工夫を盛り込んだアート的車を手がける。現実、ガソリン車の行末は見えており次なる移動手段の乗り物を作り上げるのは必須であり、安価な製品を持つ中国企業・競争相手との差別化を意識した戦略戦術が今求められていると思う。
『ラストエンペラー』楡周平
「概要」最後にして最高のガソリン車を造れ!EV(電気自動車)全盛の時代が目前に迫っていた。大手自動車メーカー・トミタの社長、村雨克明は、後世に残るガソリンエンジン車として、トミタの最高級車種「エンペラー」の新型モデルの開発を決意する。村雨は、イタリアの老舗自動車メーカー・ガルバルディで働く篠宮凛にプロジェクトリーダーを打診するが、凛からはある条件が。それは新型車の開発のみならず、EV時代のトミタを救うことになるかもしれない、前代未聞の提案であった。日本車の輝かしい歴史の記念碑として、そしてその未来のために、自動車に人生を捧げた者たちの挑戦が始まる。
ガソリンエンジン車vsEV車 いずれEV車が自動車・乗り物の市場を追い抜き優位に立つことになると経営者トップは次なる戦略を思考する。それは超富裕層を狙ったガソリンエンジンでの最高機種を作り上げること、その意味は安い車はEV車に淘汰されることは目に見えているから、と悟る。
ーその車を「ラストエンペラー」と名付けイタリアの最高峰自動車会社とタックを組んで挑む。それは超富裕層を睨んだ車種から知名度を受け、ランク分けした高級機種を揃えようという狙いを定める。中国のEV車との対抗するには、車自身の工程からディーラー・販売まで全てを見直しが必須となり、リストラで余儀なくされる。
ーEV車は基本的にバッテリーとシャーシが主要な部品である為、中国ではすでに1千社が参入、中国の国策としても2007年に施行された。よって中国で生産された部品でも工場がある国へ労働者も含めて輸出することが国策なのだ。
次世代の車種に関しての課題は「EVではエンジン音での魅力を出すことができない、さらにガソリン車の製造を続けても燃料供給のインフラが無くなる事、そしてガソリン車が使えなくなる事」
ーイタリヤの超高級製造会社ガルバルディと提携、新たなエンジンに日本のエンジニアの知恵と工夫で改善していくことを目指した。人材にチャンスを与え続ける事、そこにチームとしての希望、願望、夢を入れた会議を重ねプロジェクトを作る、新たなアイデアを出し合う事で新たな発想からの工夫も生きる。日本とイタリアの伝統工芸技術を活かした内装に仕上げる。「やれる」と「やる」は別物
ーお客様からの発注はメタバースの画面を通じて受けることでディーラー、代理店を通す事なく銃中するシステムを構築
「うまく行く時には実際に仕事に取り掛かった時には、すでにゴールが明確になっている」
「EVになろうと、人間の移動手段として車が使われる限り、快適な空間を提供することが購入につながる」
「経営者は自分の考えに固執する事なく優れた車を作る為なら、他人の意見にも耳を傾ける度量が必要で、何よりも嫌うのは考えない人間、夢を持てない人間なんです」
「ガルバルディの車作りは、メンバーが夢を語り合い、アイデアを出し合うところから始まる」
「人の縁というやつだね」
因みにタイトルの「ラストエンペラー」は中国映画「最後の皇帝」ではない



アジアを見習うべき時期が来た日本将来『島耕作のアジア立身伝』

2024-11-10 07:43:15 | ビジネス小説
アジアで立身伝として、6人の創始者・経営者の成功への秘話、苦難等を記述したビジネス本。中でもタイ国籍でありながら中国で成功、それも種の商売から起業したタニン・チャラワノン氏、(CPグループ・3兆円規模の多国籍企業)「三利」(消費者・国・会社)からの信頼が必須であり、誰よりも早く先見性の目を持って投資していく姿勢には驚愕した。因みに、日本の取るべき今後の産業は「農業とエネルギー開発」(弘兼憲史)だ、と私も強調しておきたい。オランダは世界有数の食品輸出国であり、日本は多くの農地を今や休耕地にしておくのは勿体無い。
『島耕作のアジア立志伝』鈴木真美
「概要」「アニメ×ドキュメンタリー」という今までになかった斬新な手法と、アジアの人々から「日本が初めて、本気でアジアに学ぼうとしている」と評される徹底した取材、充実した内容は、空前絶後。ビジネスマンからアジア経済、アジアのビジネスの動向に関心の高い一般層まで、アジアの急成長の秘密をリアルな実感と共に体感でき、とりわけ、これから「アジアの時代」に生きる若者にとっては、「就活」の必読書になります。日本企業に就職し、アジアで働くのはもちろんのこと、新時代に新しい生き方を実現しようとするすべての人の心に火をつけるタイムリーな一冊です。
「日本の若者は草食系と呼ばれおとなしい人が増えた」(競争力のない、平和で平凡な世界)
    少子高齢化では市場拡大は無く経済は自然と低迷する(政策の見直し必須)
    アジア立身伝と言われる6人の苦悩と成功する姿を学ぶ(これからはアジアに学ぶ時代)
    「選択と集中」から今後は製造も、生産も、販売も海外が基本となる
    日本の取るべき方向は「農業の産業化」
        世界農産物輸出大国は1位米国、2位はオランダ
ー「情熱こそ人生を動かす」アジアでの6人の立身伝を伝える
・タニン・チャラワノン(CPグループ会長:タイ国籍、3兆円を超える華僑多国籍ビジネス)
    三方一両「三利」(民衆に有利(民衆からの支持)・国に有利(税増収)、会社(販売)
    「危険=機会」中国市場での先見性・リスク投資を果敢にした(政府からの信頼)
    積極的な投資(誰よりも早く多くを投資:中国市場・農村での種・養鶏から始まる)
・モリス・チャン(TSMC会長)今までにない仕組み作り54歳で起業
    日本の「垂直統合型」から「水平分業」での半導体製造での成功
    いち早く異常を検知ラインを改善できる仕組み(不良品率の低下・イノヴェーション)
    若いエンジニアの人材投資と秘密保持(なんでもこなすラインの仕組み)
・トニー・フェルナンデス(エアアジアグループCEO)顧客からのヒアリング重視
    たった2機と5千万円の資金から起業
    徹底した現場主義・顧客の意見・経費削減・変動運賃制(季節等で変動)
    役立つ仕事・理想を形にする(恵まれない人を助ける・運賃は利用者から聞く)
    「人生は困難なもの、近道は無い、だから自分でコントロールできることはやる」
・張 瑞敏(ハイアールCEO)社員のやる気の意識を変える・責任者・経営者
    社員一人一人が経営者として考え実行(自主作業・賞罰を与える)
    「粗悪品を自分の手で破壊する」粗悪品の改善
・ジャンバルジャムツ・オドジャガル(MCSグループ会長)地下資源の活用・運命に和せよ
    利益をもたらす事業に徹底(人材は境外留学経験者・専門知識人)
    巨大市場(中国)を意識した戦略、石炭液化事業(輸出)    
・スルタン・ビン・スレイヤム(DPワールド会長)ドバイの海の摩天楼(ネズミが像を襲う)
    資源がないからこそ中心的な存在感を目指す(経済特別区に企業誘致)
    「建設・施設があれば人が集まる」」(大型船の入港可能な港:35隻)
    大きな市場(アフリカを見据えた投資)


不条理な世界が生きる社会構造『亜玖夢博士の経済入門』

2024-10-18 07:41:11 | ビジネス小説
@「無料相談 地獄を見たら亜玖夢へ」とチラシで人生のどん底に落ちた人を不条理な仕組みで救う、特に借金にまつわる仕掛け(更なる借金を重ね精神的な満足を与える方法)はブラックユーモア溢れる中々面白い理論の小説だ。最終的には皆家を失い、名前を変え路上生活者に成り果てるが、そこには金の亡者が居る。株でも投資でも同じで、現実の社会は金持ちはより金持ちに、貧乏人はその逆に。バカ儲けするものがいれば逆に全て失うもの、社会経済はそれで釣り合いが取れると言うのも不思議だ。
『亜玖夢博士の経済入門』橘玲
「概要」「相談無料。地獄を見たら亜玖夢へ」新宿・歌舞伎町裏の「亜玖夢コンサルタンツ」。異形の博士が学識の全てを傾け相談者の悩みを解決。ブラックユーモア溢れる一話一理論
「行動経済学」:借金で首が回らない
    借金を借金する「得する時の嬉しさよりも損した時の悔しさを遥かに大きく感じる」
・地獄の借金
    親の仕事は教師か銀行員にする、自営業は最悪
    仕事は運送業と答えれば運転免許書はとありあげられない
    親には「息子とは勘当した」とすれば親は返済する義務はない
    「融資の金利を年利29.2%、今回は特別に10%=10日で年利換算で3000%となる」
    最後は「自己破産し、養子となり戸籍を変える」    
ー「囚人のジレンマ」仲間との協議
    シャブを摘発されて仲間との縁が切れ、シマも仲間の物に
・仲間と「裏切り」か「協調」かで悩むが、最終的には「協調」であれば長く続く
ーネットワーク経済学 いじめ
    子供のいじめに対する対処
    転校が一番と奨励するが家族事情で不可・いじめる側を怖がる仕掛け
ー社会心理学 奇跡の水への不安
    普通の水を奇跡の水として売り込む口述・鼠講の仕掛け・他人を洗脳させる
ーゲーデルの不完全生定理 金を巻き上げる金の亡者に仕返し



「正直者は馬鹿を見る」の社会構造『オレたちバブル入行組』

2024-10-14 07:50:29 | ビジネス小説
@TVで馴染んだ社会構造の裏。サラリーマン世界ではよくある「上司に従う」は不都合があっても従うより他に出世も横道もないのが現実(不条理の世界)だ。また、「責任の所在」も上司次第で「良いどこどり」をされ、最悪の場合、人事での左遷、退職勧告なども言い渡される。現実、真っ当な人間が試練を被る社会にもなっており、その生き方の選択は「ささっと転職する」に限る。精神的なインパクトから病気、ストレスを抱えることは避け、日頃から人脈と才能を養っておくべきなのだ。本書の半沢直樹のようなストーリーは滅多に実現しないのが日本社会・企業組織である。さらに、企業等によっては景気の行き詰まりが見えた時点で「計画倒産」を仕掛ける経営者もあり、それによって連鎖倒産を被る中小企業が増えるのは当たり前の社会構造なのだ。「たまには正義も勝つ」(滅多に正義は勝たない)と言う本書の言葉どうりだ。
本書で見つけた気になる言葉「俺は上司の出世のために踏みつけにされる覚えはない」「銀行の出世条件は一流大学、血筋、MBAだ」金融庁の査察では「金融庁に見られたはまずい資料の隠蔽もある。やばい書類は段ボールに詰めて融資課長の自宅などに隠すのだ」査察面接等では「わざと曖昧な質問をしておいて、返ってきた答えに見当はずれだと怒ってみせる」
『オレたちバブル入行組』池井戸潤
「概要」大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説。


日本のベンチャーの壁はどこよりも高い『雨にも負けず』

2024-09-16 07:43:06 | ビジネス小説
この小説は米国起業が日本での起業(立ち上げ)の難しさを説いた一例で、日米の資本主義の違いを痛感する小説だ米国特許技術のライセンスを得て日本での販売は社会習慣の違いをもろに受け、特に代理店では険しい。現実、私も米国シリコンバレー、ベトナム、日本での起業、どれも国事情、環境が違うことでの壁は多く、特に日本は格段に多く高い。ここにあるように日本ベンチャーの起業環境は米国とは一概に対比できないが、他国と比べ日本は起業者数が格段に少ない、その理由の一つに資金調達など信頼性を得るまでの時間が圧倒的に長いことを覚悟しておくべきだ。教訓:先輩・経験者に聞くのが一番早く効果も上がる。
『雨にも負けず』高杉良
「概要」経済小説の第一人者が描く、日本ベンチャーの挑戦! 社員8人のベンチャー企業。だが、世界に通用する技術と情熱があった――。「電子宅配便」を日本にもたらしたイーパーセル株式会社の社長、北野譲治の手腕を描く!岡山に生まれ早稲田大学へと進学した北野譲治は、契約社員として損保会社に就職した。明るい性格で仕事熱心な譲治は、歩合制のこの仕事で優秀な成績を収める。独立した譲治に、「イーパーセル」という電子宅配便を扱う会社の社長から、ぜひ働いてほしいとの依頼が来た。新しいことに挑戦したい譲治は、この依頼を引き受けるが、会社の経営は困難を極めていて――。Googleに勝利し世界に名を馳せたイーパーセル株式会社。熱血社長・北野譲治の驚くべき手腕とは?『辞令』『最強の経営者』の著者が描く、サラリーマンへの応援歌。
ー文中での気になる言葉
お客様に利益になる事『「稼ぐ」とはお金を「稼ぐ」ではなくて、人から信頼を「稼ぐ」事』
米国のOfficerとはそれぞれの人材を信頼し確保する「創業時の荒波を乗り切る重要なことは、営業、技術、財務の三種の新規をきちんと抑え、外様に委ねないことだ」
「日本の企業はリスクを避けたがる」名も無いベンチャーを信頼しない習慣
起業と経営「ゼロから一を産む能力と一を十にする能力は別物だ」
米国事業家ミュエル・ウルマン『青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。歳を重ねただけでは老いない。理想を失うときに初めて老いが来る』


「信義」を曲げる権力社会『告発者』

2024-09-12 07:51:00 | ビジネス小説
「信義ね。関口さんは、銀行員にしては珍しい考えの持ち主ですね」と経営者トップの発言。不景気になると融資側に対し銀行は姿勢態度を一変する。「貸し渋り・貸しはがし」と言われた強硬姿勢で自己保守に走り、融資側の立場など考慮しない。この小説はそんな銀行の慣行と頭取のスキャンダルでの広報の役割、銀行を守る為の行動、さらに人としての「信義」を問う、実際に起きた「プライムローン事件」「路チュー事件」を模索したビジネス小説だ。 現実、政治家、大手企業、官庁などに対する「信義」(政治家、上司、会社を守る「嘘」)が問われる事件事故が多い。それによって「嘘・疑惑」ストレスを持ったまま自殺した事件も多く、勇気を持って「告発」すべきだと誰もが思う。「悪いのは自分では無くその悪意を権力で責任を負わせた上司であり、政治家である」ことを自責はないと自覚すべきだ。
『告発者』江上剛
「概要」権謀術数が渦巻く出世争い。欲望、嫉妬、裏切りが引き起こす情報操作――メガバンクが生み出した「合併」の弊害に悩まされる広報部員・裕也のもとに、写真週刊誌が頭取のスキャンダルを入手したという情報が入る。事実確認に追われる彼が掴んだ驚愕の真相とは?密告者の狙いとは?銀行を知り尽くした著者だからこそ物し得た超リアル企業小説。
4社の銀行の統合による出世争いで起こる派閥間争い (内と外)
    実質3社に統合されたが、昔からの社風は変わらず1社が何事も大盤振る舞いで赤字を抱える。そのトップを辞任させ統合させようと画策するなかでスキャンダルがメディアによって公開される。
ー事件事故に対する広報の役割と動き
    広報担当での責任者の行動、1、当事者に直接連絡、2、統合する実質トップの社長に連絡、経営担当者を集合させ対策を練る。
ースキャンダルに対する取り組み
    不倫相手は広報担当・裕也の元恋人で報道記者であることから話が彷徨う。その背景には銀行により貸し渋り・貸し剥がしをされた不動産会社の社長がその不倫相手の兄であり、倒産に追い込まれた兄は自殺未遂、植物人間となってしまう。