@「予言」は誰もが知りたい。ましてや自分が窮地に追い込まれたときの「神頼み」の一つとなる。「占い」から「予言」なる者の実は過去の膨大なデータ資料・人の史跡などから集めた事柄も多いが「人の見方」(人の動作・仕草・癖・言い回しかたなどなど)をしっかり見抜き、予測を立てる事である。また言い回し方に特徴があり、身も心もどっぷり浸かってしてしまう「話術」に嵌めることだろう。さて本文にある「人を傷つける人は、自分の心が傷ついている可哀想な人。人を騙す人は、人に騙されて世界を信頼できなくなった寂しい人」だと言う事だ。 人の心を読み、思いやる事は自分が多少傷ついても決して無駄ではないことだ。
『雨上がりの川』森沢明夫
川合淳は中堅出版社に勤めるサラリーマン。妻・杏子と娘・春香とともに、マイホームで穏やかに暮らしていた。しかし春香がいじめにあったことで、「ふつうの幸せ」を失い、バラバラになる川合家。家族の絆を救ったのは、まさかの…。心の隅々まであたたかさが染み渡る、家族小説の傑作!
- 中2の娘が学校でいじめに遭い、ついに数針縫う事故まで発展し、登校拒否、引っ込み思案になってしまった。夫婦は何とか打開策はないかと学校へ相談に行くが、その対応にあきれ返って帰宅する。妻は友人を頼って「霊媒師」に心を寄せ始め、家の中が少々ぎこちない雰囲気を醸し出すようになる。娘も妻に寄り添いその霊媒師を訪ね「予言」を信じる様になる。
- 夫は気晴らしに外に出るといつも川辺で竿を垂れ流しているお爺さんと話しが合い、つい飲み屋で語りかけることになる。そのお爺さんは元心理学者で今は定年退職、独り住まいをしていた。夫は思わず家庭の事情を話すことになる。妻の「霊媒師」の世界から救う相談をした。
- 中2の娘は夫の行動から密かにそのお爺さんとも仲良くなり、心理学的な「話術」を学ぶことになる。「コールドリーディング」なるよく「霊媒師」などが使う誘導尋問的な話のテクニークである。娘は「霊媒師」の予言の多くが当たっていたが、1つ2つ違った事を疑ってこの「コールドリーディング」を勉強していた。
- 中2の娘が「霊媒師」になりたいと呪いをかけてもらう。ところが夫婦喧嘩が勃発し、娘はこのままだと離婚までいきそうだとその策をお爺さんと相談すると「霊媒師」になったかの様な振る舞いを、元「霊媒師」の家に三人で押しかけ披露する。そこで明らかになった事は「霊媒師」の言霊は全て嘘で、事前に得た情報を予測して発信していたに過ぎない事を悟る。と妻と夫は唖然として言葉を失い、また、元「霊媒師」の過去を知ることになった。
- 元「霊媒師」は、実は中2の娘と同じ、昔いじめに遭い、自殺未遂までした経験があったこと。また介護が必要な母を頼りに「霊媒師」で生計を立てていたが、最近その母が亡くなり「霊媒師」をやめる経緯まで知らされる。
- 中2の娘の教訓
- 「虎穴に入らずんば虎子を得ず」疑問を持ったら勇気を出して踏み出すこと
- 「いじめ」には何かの事情があり、「いじめ」をしている人、それを思いやること
- いじめは「嫉妬」が原因となる場合が多い思春期
- 「人を傷つける人は、自分の心が傷ついている可哀想な人。人を騙す人は、人に騙されて世界を信頼できなくなった寂しい人」で「人の見方」を勉強した
- 「心に傷を負った人ほど優しくなれる」
- 「人は、いったん洗脳されてしまうと、とても頑固になる。外部の意見を取り入れにくくなる。じゃあ、どうするかと言うと、内側でハッとした気づきが生じる様に仕向けてやって、その気づきを自分自身で納得させる」事だと。
- 紫陽花の花の色は、土壌が酸性だと青くなり、アルカリ性だと赤になる