@「し忘れ」「し間違い」「ど忘れ」はどれも年寄りだけではない。特に「し忘れ」は若年層に多いという結果だという。それを防ぐ工夫がここにある。どれも当たり前のような行動だが加齢と共に重要性が高まる。 原因は加齢もあるがストレス、飲酒、ビタミンB1欠乏が主要因とある。 ではその予防は、日頃の創意工夫(下記)でそれら咄嗟の記憶は蘇るという。 忘れない為の前準備・仕掛けを工夫しておくことだろう。
『「あっ、忘れてた」はなぜ起きる』梅田聡
行きがけに手紙をポストに投函しようと思っていたのに、すっかり忘れていた―こんな経験は誰にでもあるだろう。なぜ人はそのような失敗をするのか。裏を返せば、時折の失敗を除いた多くの場合に「しようと思っていたこと」を「タイミングよく」思い出せるのはどうしてか。日常的な記憶経験を出発点に、心理学と脳科学の成果から、そのメカニズムを探る。
- 「し忘れ」とは専門用語で展望記憶=これからやろうとしている行為の記憶
- 「し間違い」アクションスリップ=やろうと思った行為を実行し始めてからなど「うっかりミス」
- 「ど忘れ」=過去の出来事に関する情報を忘れる
- 肝心なのは思い出すタイミングの違い(3つの認知的な段階)
- 記銘=必要な情報を覚えていること(符号化)
- 保持=その情報を頭に蓄えておくこと(貯蔵)
- 想起=必要な時にその情報を思い出すこと(検索)
- 歳をとっても衰えない記憶
- 一般的には記憶の能力は歳をとると低下する
- 過去の出来事や知識を思い出すことが苦手になると展望記憶能力も低下する
- だが、「し忘れ」は壮年者群よりも若年者群の方が多い
- 「スキル化された記憶」コミュニケーション力につながる
- 暗記物などの記憶は一般に若者が優れているが、展望記憶の場合思い出すタイミングは変わらない
- 「し忘れ」はどの層においても予測できない。高齢者の場合、普段自分の課題・苦手な記憶は気をつけているので「し忘れ」は少ない
- 「あっ、忘れてた」(何かやらなければならないことがある=存在記憶)あらかじめ覚えておいた予定を何かのタイミングで求める工夫する(時間的・内容的な理由) 時間を決めて思い出させること。
- 「最近物忘れが激しくて・・・」とは加齢による自然な記憶力低下と記憶障害とがある。調べる方法は神経心理学と脳機能画像法
- 「記憶の障害」
- 健忘症=高次認知機能に目立った障害が見られない
- 心因性とは脳に障害がなく心的ストレス
- 器質性とは脳に障害があり海馬などの損傷・くも膜下出血などが原因
- 認知症=高次認知機能全般に低下が見られる・時間と共に進行する傾向
- 原因:
- コルサコフ症候群:連続飲酒などでビタミンB1が欠乏、脳に障害が発生する
- アルツハイマー型症候群:日常の物忘れから日常の見当識障害が出る(日時・時間など)
- 健康な「し忘れ」と病的な「し忘れ」ブザー押しと手を叩く実験
- ブザーがなったらボタンを押して止め、手を叩くように動作を説明しておく
- 日常的な「し忘れ」は誰にでもあるが、意図そのものを忘れてしまったことは病的
- 自発的に記憶がタイミングよく思い出されない現象は危険要因となる
- 健忘症=高次認知機能に目立った障害が見られない
- 脳の活性化実験
- 「フォルスメモリー」実験(いくつかのモノを覚える・その後そのモノがあったのか問いただす)
- 「チェンジ・ブラインドネス」実験(10秒ほど2つの画像を見せ、相違点を見つける)
- 記憶障害に対する4つのリハビリテーション法
- 「環境調整法」生活環境自体を改善する・片付けたモノの色分け、メモをとる、廊下にライン(あることをおこうな必要が生じたらすぐに実行する」習慣を身につける
- 「外的記憶補助法」環境等での工夫補助すること、色分け。メモを取るなど
- 「手がかり漸減法」記憶の範囲を広げる方法 単語を覚える工夫をさせる
- 「誤りなしの学習法」誤りのない学習訓練を頻度に行う 覚える数を少なくする
- 失われた展望記憶は回復するか
- 可能だとする結果がある 上記のような訓練で改善
- 時間を決め「実行すべき行動」を取るように仕組む
- 「時刻想起」の方が「内容想起」より回復が早い
- 「し忘れ」を防ぐ方法
- 自らを知る「自分の記憶力程度、影響を及ぼす範囲を理解しておく」
- 思いついや直後にその行為を実行する=すぐやること(実行の時刻を特定しておく)
- 予定を自らの意図として認識しておくこと
- 環境の整備(前準備・メモなど)記憶を外部的(目立つように)に補助する行動をしておく
