@「上司の悪評」を巧妙に利用し、役職を奪い取り、首を代える、とはこの時代小説だ。それは現代で言う、部下の仕業で上司を入れ替えると言うことだが、結局一旦権力者がその地位・権力を持つことになると部下は単純に利用されるだけだと言うことになる。 小説では元上司を代えることで何もかもがよくなると勘違いしての行動で、結局同じ過ちを繰り返しを食らう結果になった。ここにある「目の前の敵がいなくなれば、味方の中に敵ができる」と言うことである。人はいつでも迷い、疑い続ける者だと言うことだ。(鼎の軽重を問う)
『秋月記』葉室麟
「Bookdata出典」筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があり、いつしか仲間との絆も揺らぎ始めて、小四郎はひとり、捨て石となる決意を固めるが──。
- 若い家臣7名が現家老と重臣を本藩へ命を賭けて悪行を訴える。そしてそれが認められるが、現家老に代わって赴任した家老がまたしても本藩の意図を組み秋月藩を利用して出世しようと企む。若い7人は結局前家老の思いを勘違いしていたことで再び新たな本藩の家老を追い出す工作を考えるが財政的な自由がもぎ取られてしまう。 一人悩みながら前家老の言葉を鑑みながら突き進むが、最後には周りから敬遠され罷免、隠居、島流しになる。歴史の繰り返しとなる。
- 「目の前の敵がいなくなれば、味方の中に敵ができる、そのことを覚悟されい」
- 「旧来の門閥の重臣の派閥と若手の改革派に分かれる」
- 「政事はどのように行っても、全てのもに良いと言う事はないようです。それゆえ後の世の人に喜ばれるものを、何か作っておきたくなる。人に憎まれることばかりやって追ってはたまりませんからな」
- 「山は山であることに迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。人だけが、己であることを迷い、疑う。それゆえ風景を見ると心が落ち着くのだ」
- 「静謐こそ、我らが多年、力を尽くして作り上げたもの。さればそれが己にとっては誇りでござる。」