@時代の変わり目に一番必要なのが真相の情報だ。この江戸幕府崩壊の前は目まぐるしく世間が変動しほとんど真相を知る者はいなかった。というよりも「お上」が情報漏洩を恐れ取り締まったのである。現代でも同じように政府・官僚の「不都合で悪い情報」「批判的で思わしくない情報」などは一切マスメディアは口外しない仕組みとなっている。それはマスメディア内部の体制がひ弱(首元を牛耳られている)であるからだと昔から言われている。現実政府等への批判するあるメディアは政府の記者会見、記者クラブ等への出入りを禁止されている。よって今ある政府情報も一方通行で国民は消化不良状態であることを認識しておくべきかも知れない。どうも最近の新聞媒体等は特に「政府」含め「広告主」等に対しても背を向けた発信ができない、やらないのは経済環境の所為だろうか。 「真相情報」の提供には「勇気」と「行動」が改めて必要だとこの書でも認識させた。
『一枚摺屋』城野 隆
「BookData出典」第12回(2005年) 松本清張賞受賞 一枚摺のために親父が大坂町奉行所で殺された。背後に浮かんできたのは三十年前の大塩の乱。幕末大坂の街を疾走する異色時代小説 第二次長州征伐の準備で騒然とする幕末の大坂で、打ち毀しを一枚摺(瓦版)に取り上げた親父の与兵衛が町奉行所で殺された。たかが一枚のために、一体何故?勘当中の息子、文太郎は親父の敵をとるため、潜りの一枚摺屋となって事の真相を探り始める。その発端は、三十年ほど前の大塩平八郎の乱に係わりがあるようだった。
- 時は幕末前の長州征伐から大政奉還。 大塩平八郎の乱で何か係りを持っていた父が長州征伐の記事をありのままを書いたことで投獄、獄死する。たかがその記事で獄死はと不審に思い倅文太郎がその背景を探り出す。行き詰めた先が奉行所のお偉方。
- 一方、親父の残したかわら版屋から潜りで一枚の現代で言う「号外」を出そうと動き出し、長州と幕府の戦いを克明に載せた1枚の号外を大阪界隈に売りまくる。ところが幕府・奉行所の目にとまり際どい商売となる。 やがて「新聞」という事業を志す。またヤクザ商売で「ショバ代」請求されると文太郎は親分に対して「わてはここへ来る途中、命を長堀の川底に捨ててきましたわ。親分と刺し違える覚悟で来ましたんや」。また新聞を作ろうと言う話に来た喜兵衛は「新聞は時の権力と向き合わねば本物ではないと西洋で学びました。そんな新聞を作りたい。」
- 「大塩平八郎の乱」数万の反乱者との噂から密告者により反乱は数百人となり1日で鎮圧された。「君子もし善を知って行わずんば、すなわち小人に変ずる」