ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

女の歳と気心を読めぬ『花の生涯』

2019-02-15 09:03:30 | 歴史から学ぶ

@江戸幕閣老中、井伊直弼。彦根藩主の14番目が藩主になり、江戸時代の末期、幕府政治を司ることになる。この小説は幕府政治に関与する前の段階までの直弼の生き様を表した小説、だが三角関係の恋愛ものだ。 直弼がまだ貧乏生活時代にある時、将来片腕となる長野主膳が連れてきた女性に一目惚れし、何とかしたいと咎め、揉めるが、女の心が読めない二人(直弼と主膳)は最後に振られることになる。江戸時代には身分相当な家柄との婚姻は当たり前、歌・三味線を弾く女郎上がりは、美貌でも正室として娶ることができない定め。だが、一緒にいる事でお互い満足させ様とするが、女は「女の魅力は歳とともに長くは続かない・・」とばかりに待ち人としての立場を避け、近くに求める人に身を寄せるのである。歳には勝てない女性の魅力、売れる時が女性の「花」。恋は思いのままではどうにもならない! 婚姻、結婚を望む女性の心理を読める男性は多くない。数年、いや1年でも待つ事は女性にとってこれ以上に辛い事はない。男とは違う今に生きる女心は、男には分からない。

『花の生涯』舟橋聖一

  • 35万石彦根藩主の子、14番目の末子だった井伊直弼は我が身を埋もれ木に擬し、住まいも「埋木舎」と称していた。「政治嫌い」を標榜しつつも1代の才子長野主膳との親交を通じて、曇りのない目で時代を見据えていた。しかし、絶世の美女たか女との出会い、それに思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや直弼の運命は急転していった。
  • 井伊直弼の国許での生活は貧相で1汁1菜で、わずか3百苞の捨扶持しかなく贅沢はできる身分ではなかった。そんなある日、長野主馬(その後主膳)が師匠として同席した主膳の相方(恋仲)で三味線の流しであるたか女と会うことになる。ところがこのたか女には男を魅了する知性と美貌があり直弼も一目惚れすることになる。
  • 主膳が留守にした時期に、三味線と歌を習う為、たか女を屋敷に呼び止め懇意になる。ところが妻のある主膳は直弼にたか女との関係を打ち明け、たか女を主膳から離そうとしたが上手くいかず、やがて直弼も兄の病死もあり、当主として江戸に出向くことになる。江戸への出立の時側女から孕ませることになり、男子(愛麿)を出産する。だが、直弼は江戸で幕臣の姫君と正式婚姻するがたか女、側女(理和)を忘れることがなかった。
  • 直弼は主膳に京都の情勢を探らせる為、主膳を弘道館学頭に抜擢する。主膳はたか女を使い民衆から情報をかき集め直弼に報告するようになる。やがて時代は、攘夷・開国派と幕府との動きがペリーの来航で騒がしくなりだんまりの老中
  • 井伊直弼は当初より開国派であり主膳には「それ以外に、我が国民の生きる道はないのじゃ。鎖国などと言うことは、わが国だけが勝手にそう決めているだけで、異国の実力の前には、空手形にも及ばぬものじゃ。しかし、開国は即ち敗北と思うなよ。世間ではとかく、攘夷即好戦なるが故に、開国即ち敗戦と誤る。我が所存はそうではない。開国はむしろ前途の勝利のためじゃ。勝利はただ、戦勝のみに非ず、征服のみに非ず。まして、侵略のみに非ずだ。不撓不屈の努力こそ、よく最後の勝利を占める。」
  • 井伊直弼は理和に対し「住みよい国になる前に何か恐ろしい嵐がくる。静には動、動には静。人心の叛服常ならぬが世情じゃ。ただし、反服しつつもなおも前進して止まぬ。畢竟、悲喜交々、且つ生きるほかはないのじゃ。会うのは別れのはじめ。愛は苦の源。それでも生きようよする努力いたさねばならぬのじゃ。」
  • ペリーからの幕府への贈り物
  •        木綿・酒・砂糖・アメリカ合衆国史略・蒸気機関の絵・ペリーの画像・牛肉パン類・・・
  • 幕府からの贈り物
  •        絹布・大和錦絵・団扇・煙管・椀・鳥・卵類
  • 井伊直弼には新たに時期将軍の擁立で水戸斉昭等との対立が浮上と吉田松陰らの密国事件が発生、佐久間象山の文明論との対立が鮮明になる。それは開港論にはまず幕府打倒し、王政復古の親政を布区ことであり主膳・直弼は断固反対した。
  • たか女は直弼、主膳から遠く離れ豪商商人と夫婦になる約束をすることになり直弼もすっかり諦めた。だが主膳は諦めきれず・・・