夕暮れ時、浜に下りると波打ち際でウミネコたちが羽を休めていた。彼らの邪魔にならないよう、少し離れたテトラポッドのところまで行く。するとテトラポッドの上にカラスが数羽いて、近づくにつれて「カーカー」と鳴き出した。カラスの邪魔をするわけにもいかず、手前で立ち止まり撮影ポイントを決めた。そしてウミネコとカラスに挟まれるかたちで暮れゆく海にカメラを向けた。束の間のひととき、この日常を彼らと共有できていたらありがたいと思った。
朝のうち強く降ることもあったが昼にかけては小雨がぱらつく程度。海は少し風があって、潮風にかすむ象潟の街並みが情緒豊かに見えた。都知事選を機に東京の友人に連絡をしてみた。連日の暑さにくわえ、湿度があって嫌な空気が肌にまとわりつく感覚だという。仕事に子育てに奮闘する彼に応援メッセージを送った。
今朝も気持ちの良い青空が広がる。水平線に白い2隻の船があって、波と共に青空に映えてとても美しく見えた。
砂浜には人と犬の足跡があった。なんてことはない普段の光景であるが、きっとあのおじいさんとワンちゃんたちだなと、その姿を想像して不思議な心地よさを感じた。昨日の私の足跡もいたるところにあった。何に興味を示し、どのように歩き回ったのかが客観的に見えて面白かった。
アキタコアベースの展示と、先日参加させていただいた写真幸福論の展示を無事に終えることができました。この場を借りて感謝申し上げます。気が付けばもう年度末。今日の海は春の光に包まれて柔らかな雰囲気でした。
さて、今年はすでに何度か東京に行く機会があり、気になっていた「ダニエル・ブラッシュ展-モネをめぐる金工芸」を鑑賞することができました。WEBサイトに掲載されたチラシを見て、象潟の海で見た光景がオーバーラップして見えたのがきっかけです。「モネについて考える」の連作を見たとき、見る角度によって光がうつろいで輝きが急に増したり、見えていなかったものが一瞬で見えるようになったりするその鑑賞体験が、薄暗い大海に光が注いで辺りが一瞬で黄金色に輝くような、あるいは砂浜に染み込む幾筋もの波の輝きを目にするような、海で光を追う体験と共通するものがありました。カタログの挨拶文に「この光にご自身の心を遊ばせてくださることを願う」と記されていたとおり、私はこの光に日常の海の光を重ねて心を遊ばせることができました。今は亡きダニエル・ブラッシュの「光」についてしばらく考えてみたいと思います。
ダニエル・ブラッシュ展
21_21 DESIGN SIGHT https://www.2121designsight.jp/gallery3/daniel_brush/
今朝は遠くの方から雷鳴が聞こえ、空には綿アメをちぎったような雲がたくさんありました。今日も暑くなりそうです。
【ギャラリーブルーホール企画展のお知らせ】
◆企画展:齋藤大悟写真展「Dialogue:with Waves」
◆会 期:2023年9月2日(土)~ 11月30日(木)
◆アーティストトーク:9月2日(土)14:00~
◆時 間:10:00 ~ 16:45(最終入館16:00)
◆入場料:一般300円 学生100円 小学生以下無料
◆パンフレット付き入場料:一般500円 学生300円 ※なくなり次第終了。
◆休館日:臨時休館あり ※小玉醸造HPでご確認ください。https://www.kodamajozo.co.jp/blue-hole/
◆場 所:ギャラリーブルーホール(秋田県潟上市飯田川飯塚字飯塚34-1 小玉醸造株式会社内)
◆お問い合わせ:電話018-877-5772