読書紹介「聯合艦隊司令長官 山本五十六」
半藤一利著 文芸春秋2011年11月刊(単行本)
長い封建制度は終わりをつげ、明治近代国家が成立する。
欧米列強と肩を並べ、列強の侵略に対抗すべく、
明治政府は「富国強兵」スローガンに産業の振興と軍事力の強化に重点を置いた。
アジアの東の果ての近代化から立遅れた「小さな国・日本」が、
近代化の波に乗り遅れまいと、がむしゃらに進んできた不幸な歴史がある。
1940(昭和15)年9月、日本は、
ヒトラー率いるナチスドイツ、ムッソリーニ率いるイタリアと日独伊三国同盟を結んだ。
これは、事実上アメリカを仮想敵国とみなす条項を含む同盟だった。
1941(昭和16)年末、つまり太平洋戦争開戦前夜のアメリカの原油の産出量は、
日本の740倍、言いかえると、日本の1年分の産出量を、アメリカは半日で生産することができた。
これまで、日本はアメリカから全面的に石油を輸入し、備蓄してきた。
日独伊三国同盟締結にアメリカは当然のことながら、
石油の対日全面禁輸を措置する。
開戦前夜の昭和十六年末の対米現有兵力は、日本の10倍と言われていました。
こうした現実をよく知っていて開戦に反対した、海軍次官山本五十六だったが、
運命の歯車は彼を開戦へと引きたてる。
聯合艦隊司令長官として、海軍最高峰の重責を担うことになった山本は、
自ら提案した「真珠湾奇襲攻撃」の陣頭指揮に当たる……
(つづく)
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