
ゾンビ映画には興味ないのだが、小松彩夏初主演ということで観に行った。
水着さえなければ毎年カレンダー買いたいくらい好きなので。
おぉ、これは当たり映画だ。
久しぶりに映画館でしか観れない映画を観た。
ゾンビが希少ではあるが存在して、裏取引でペットとして飼われてる世界の物語か。
この時間の流れはTVドラマには決して出せない味だねー。
前半で描かれる、ゆっくりゆっくりすり足で歩いて主人宅に辿り着き、ゆっくりゆっくり言われた通りタイルを磨き、1日終わって石つぶてを投げられながら、左肩に日に日に過激な凶器を突き刺されながら、再びゆっくりゆっくり帰宅する、この日常の反復には強烈に胸を締め付けられる。この部分だけで無感情に描かれるゾンビの悲哀に充分何かを感じさせられる。
そして、子供の趣味のポラロイド撮影がきっかけとなり、使用人がゾンビに性的魅力を見いだしてしまい思いを遂げ、それを目撃したことにより発情してしまう主人。
事故で子供が亡くなり(そうになり?)ゾンビ感染で生き返らせるがその代償にどんどんゾンビに懐いていく子供。
そのダブルパンチでゾンビに好意的だった奥さんがじょじょに精神を崩壊させてゆく様。
子供の命を守るためについに狂気に走るゾンビ。
そしてその生き甲斐を通して人間の時の感情を取り戻してゆくゾンビ。
ほぼBGなしでたんたんと進んでゆくシンプルなストーリーながら、映像も白黒を選択したことによる光と影の妙、美しさ。そしてついにゾンビが本来の自分を思い出した時パっと広がる極彩色の世界。
本当に感情を揺さぶられる、とてもよい映画だった。
描かれたのはゾンビの恐怖ではなく、人間の中にある狂気なのだろうか。いや、そんなテーマなどどうでもいいくらい、体中で何かを感じることの出来る映画だった。
小松彩夏はセリフがほぼなかったので、独特の岩手イントネーションのセリフ回しは聴けなかった。
でも感動させられたのだから、いい演技だったんだよね。