どこか思いだせない。

こんな空で、こんな気分で、いつだったか、今日みたいな朝。

バイクにのってはしりだした。

ストリートの名前もマーケットの場所も、心の隅に浮かんだ不安な気持ちも、全部覚えてるけど、どこだっけ？

どこの国だか思い出せない。


どこまでもついて来たがる子犬をなだめ、逃げ込んだ高架の下で雨宿りをした。タクシー乗場は長い列。つらなる傘は駅の方まで伸びてた。


パンとチーズをかじりながら地図でルートを確認し、行き交うトラックを眺めた。


寝袋のなかで考えてたことも、今日みたいな朝のことも全部覚えてるけど、どこだっけ？

どこの国だか思い出せない。

夏服

この間いらしたお客様の会社では、この夏からポロシャツOKなのだそうだ。砂丘屋も乗り遅れてはいけないと、夏服を考えてみる。

一人でやっているのだから、自分の思ったとうりでいい。

心を決めれば今日からふんどしマンになれるし、レイザーラモーンのようなブラックレザーマンにもなれる。巻きスカートをはいてエモーショナルなダンスを披露するのもいいだろう。

しかし、なかなかできない。ひとの目が気になり変な人と思われたくないからだろう。日々、金で人間性を売ったり、買ったりしてるくせにこんなこともできないのかと２分ほど落ち込んだ。

もし、決行すると心を決めた朝はどんな感じだろう。小説、金閣寺の主人公のような気持ちだろうか。