君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章十八話

2016-05-31 03:03:12 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。 

 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノアの前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…行方不明中
ソルジャー・トォニィ ジョミーの後を継ぎミュウの長となる。ニュクス事件による政変でノアの議会を掌握する。現在、ジョミーのジュピターの権限を預かっている。
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
シルジャーズのジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)


   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章十八話


「僕自身が君にどう話をしたらいいのか今までわからなかったんだ。殴られて落ち着いたよ」
 と、ジョミーは頬をさすりながら言った。
「君の名前だけど、君にはソヌスという暗号名があったんだ。その事を話そう。でも、ジョミー。君にミシェルではなくジョミーを名乗らせたのは、僕の子ども、ジュニアって意味もあった。この先、ジョミーを名乗らなくても、覚えておいてね」
「……」
「僕はソヌスの意味を長い間知らなかった。学園落下事件で密輸商人セドルと出会って『ソヌスプロジェクト』の存在を知った。ソヌスプロジェクトは大戦中に作られた計画で、大戦で敗けた場合、マザーシステムの中にミュウのクローンから搾り取った能力だけを取り込み、能力を中心にして世界をまた人類(マザーシステム)が動かす計画だ。それには、大戦中に邪魔なミュウのソルジャーを殺しておく事。または、その後の地球再生で対象者(僕)が死んでいる事が条件だった。それと対になって考えられてたのが『アヌビスプロジェクト』こちらはキースの遺伝子を使う事だった。ここの始まりはキースの複製(クローン)を作る事からだった。アヌビス計画はキースが1077を破壊した事で終わった。その事でソヌス計画にも変更が起きる。アヌビスが消えた事で僕の遺伝子も入手してブルーのクローンのように、言う事をきくクローンを作ろうとしたんだ。でも、クローンより手っ取り早い。僕の子どもの存在、つまりは、君を彼らが知り、君は誘拐されたんだ」
「誘拐…」
「その後、セドルが事故で漂流したオルロワ号で君を見つけて、ノアへと運んだ。当時君の髪は金髪ではなく、明るい栗色だったのだそうだ。605年。ノアで僕を見たのは君の記憶違いじゃない。僕は傍にいた君を再び見失った。あの時、君を救い出せていたら…。あの時、力さえ使えれば、君が彼らの手に堕ちる事も無く。こんな混沌とした世界にはならなかっただろう。世界が誰かの手の上で回っているのなら、悪趣味だと言うほかはない」
 
 話が終わり部屋を出て行こうとしたソルジャーズのジョミーが思い出したかのように話し出した。
「知っていますか?ブラックチョーカーの事を、ネックリングとも言われていますが…」
 耳打ちするように小さな声で話す。テレパシーで話したいが、それが出来ない不自由さを彼から感じた。
「ツェーレンが僕に協力をする気になったきっかけ…」
「どういう事…?」
「それをトォニィが皆に渡していると聞いている…。ツェーレンが僕に会いたいと言ってきたのが、トォニィがこのタイプブルーを閉じ込める部屋を作った事と、その道具の所為だ」
「さっき監禁って言ったのは、ジョミーだけじゃない?」
「そう」
「この部屋のミュウを封じるのはとても強力なんだ。これだけの物が普通のミュウに必要はない。だとしたら、ここの対象はタイプブルーしかいない。実際、ツェーレン以外は動けない」
「いつから…そんな?」
「ニュクスに向かう前にはもう作られていたようだ」
「どうして…」
「わからないけど…この部屋をもう使わなくて良くなったから、ここは完成していない」
「それは?」
「それが…そのネックリングの正体さ。いい?ジョミー。君はそれをつけないでいてくれる?多分、僕はそれをつける事になるだろうけど…君は最後まで我がままを通してくれる?」
「…わかりました」
「ミッシェル。僕は夢のような誰も苦しまない世界を望むけど、それは僕だけじゃ出来ない」
「ジョミー」
「今度、シドに会えたらちゃんと言うよ。だから、安心して」
 そう言って手を振るジョミー。その笑顔はドアの向こうに消えた。

 この後、ソルジャーズのジョミー(ミッシェル)は、スウェナから手紙を送ってもらう。
 その文面は、妊娠と同時にジョミーの正体を知ったリザは一人で子どもを育てる為にダールトン家を出る決意をする。
 手紙は星を渡り、旅を続ける途中で書いたものだとわかった。
 この手紙までは自分と母親は幸せだったのだと知った。
 戦争が激化する中、逃げるのも可能だったが、捕まるのも時間の問題だったのだろう。
 その後、行方不明になっていたリザは政府から記憶を削除され惑星ブノスで暮らしていると最近見つかったとあった。
 おそらく、生きている事はジョミーも知っているだろう。だが呼び寄せないのはどうしてか?というのは容易に想像が出来た。多分、リザはその星で幸せに暮らしているから…。
 ジョミーは僕らと出会ってすぐから、殺さずにミュウに勧誘する事を決めていた。
 タイプブルーの強さを二人に見せて、その宿命を誰にも継がせないようにとマザーに従った。
 根無し草の二人を、学園へ行かせ、海賊事件の後も、居場所を見つけるようにと言っていた。
「ジョミー。僕はブルーを取り戻しに行きます。だから、貴方は諦めずにキースを取り戻して」


  ニュクス事件前・キースとトォニィ ※ここだけ時間が戻っています。
 
「何故、僕がお前となれ合わなきゃならない」
「目指す物が同じと言ったら?全てを壊して、作りなおしたいと思っている」
「確かに、僕ら、ミュウの状況は変わっていない。壊したいと思う事もあるけど…」
「俺が壊してやろうか?」
「お前は悪か?」
「善悪だけでは測れないものはあるだろ」
「どうしてそんな事をする」
「人類に護る価値が無いとは思わない。だが、最近は私利私欲に走る者が増えて、このままでは人類が自分で破滅すると思わないか?」
「…でも、それをどうやって…」
「俺を使えばいい。お前が俺を殺せ」
「キース!?」


  ジョミーの部屋・ジョミーとツェーレンとの会話・現在

「ツェーレン」
「アガレスの居場所を探してくれないか?」
「え?」
「彼だけかもしれない。救えるのは」
「ダメ…です」
「これだけの事をしようとした意味。僕らを遠ざけてトォニィは何がしたかったのかがわかるんだ」
「アガレスは…危険です」
「承知している。でも彼の側にセドルがいる。彼なら大丈夫だ。きっと協力してくれる」
「…わかりました」


  惑星メサイア上空・宇宙ステーション・思念体のジョミーとアガレスとの通信

「取引をしたいというのか?」
「セルジュを探して欲しいんです」
「セルジュ?ペセトラに居るのは本物では無いと?」
「わからない」
「曖昧だな」
「アガレス。事の次第を教える気も無いし、それを議論する気も無い。望みを、おまえは何が欲しいんだ」
「まるで、何でも出てくる魔法の箱を持っているようなもの言いだな」
「世界を裏から操りたいんじゃないのか?」
「それが出来ると?」
「それは使い方次第かな?」
「それは何だ?」
「セルジュは?」
「探させている」
「そうですか。では、売るのは、僕自身の価値です」
「ソルジャー・シンの価値?」
「ああそうだ」
「ジュピターの権限か?」
「あれは、キースがいないと発動しない」
「そうか」
「僕自身の持つもの。ノアの副総理だった経歴、ミュウの長のソルジャー・シンの立場。現ソルジャー・トォニィの親代わりやキースとの事。ソルジャーズのブルーとの関係。これだけの人脈と情報を使っていい」
「それだけか?」
「不服ですか?」
「そうだな。一つ足していいか?一日だけ、今のお前のように、手枷足枷を付けて私の部屋の飾りになってもらおうかな?」
「それは冗談でしょ?」
「さぁな」
「そんな使い方。もったいないでしょう?」
「値を上げるのか?」
「いえ、値を下げないだけです」
「ふん」
「あなた方が流した。あの噂は伊達ではないって事で、どうです」
「お前ほどのものを飼い殺しも面白い趣向だと思っただけだ」
「いいですよ。飼い殺しでも。何でも使ってくれるなら」
「ああ。わかっている。また教える」
「もう、わかっているんじゃないですか?」
「…ああ」
「彼をどうするつもりですか?」
「なにもしない」
「彼の事を。放ってもらえませんか?」
「……」
「くすぶり始めた火種に火を点けますか?トォニィと全面戦争になっても僕は止めませんよ」
「わかった。了解した。相手はソヌスだ。これで、お前は私のオブジェだな」
「承知しました。そんな事なら、いつでも伺いますよ」
「まったく…殺してやろうか?」
「同じことを考えていましたよ」
 通信が終わる。
 命懸けか…、ソヌスは何らかの方法でセルジュの命を自由に出来るとトォニィを脅してきた。マザー信奉者への弾圧の手を緩めず、それでいて自分たちの反対意見の者たちを殺させる。
表面は何もない。トォニィだけが独裁者の道を歩んでいるだけだ。
トォニィはそんな弱みをタイプブルー達に見せたくなかった。それと同時に彼らがソヌスの手に堕ちるのを恐れた。
キースという弱みが露見した僕も標的だったのかもしれない。

「ヴィー。セルジュの事を聞きだせ、そして、ソヌスを攻撃しろ」
「ジョミー?」
「僕はキースの所に行く」





  つづく




※いよいよ、キースが出てきます。
長かった…。
いちゃいちゃしそうにないけど…出来れば書きたい。^^;


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