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『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章十二話

2016-01-18 02:10:36 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。

※先日、再開しましたが、五か月も間が開いてしまったのに、いきなりではと、ちょっとな…思いまして…。
『ニュクス事件』の概要をまとめてみました。

ジョミーはセルジュに呼び出され、内密に会談をします。そこでセルジュは最近のキースの不審な行動と情報を伝えます。
セルジュの話からキースに近づいてきたセドルの正体とニュクスという人類が隠してきた星があるとジョミーが気付きます。惑星ニュクスはクローンの故郷。人類が人体実験を繰り返して進歩してきた医学と科学の惑星。マザーはその事実を隠してきたけど、大戦後は放置されていた。(※惑星ニュクス・マザー・イライザがキースを作ったような実験をしていた)
ジョミーはキースの異変と星の正体とを探る為にセドルとコンタクトを取りますが、それは、セドルの罠だった。セドルの雇い主のアガレスはジョミーと大戦前に出会っていて、その時に父を失った事を恨みに思っていました。(←大戦中にジョミーは軍部の情報を得る為に度々人間の町に降り、身体を売るような事をしていた。それを知っていたのはハーレイ)

ジョミーは星の真実と引き換えにアガレスとの不当な契約を結びます。(←この辺りで権力の座から降りるのを決めます)
セドルとアガレスはニュクスの人間で彼らはクローン。その所為か、セドルはキースを嫌っています。
惑星ニュクスに眠る膨大な人類の情報を消そうとするキースは戦艦プロメテウスで星ごと壊そうとします。ジョミーは星を破壊するだけではなく、キースの言葉に騙され集まったマザー信奉者とキース本人も星と共に消す計画だと気付き止めようとします。交渉は決裂しますが、星とキースの両方を救いたいとジョミーは行動を起こします。
マザーシステムに守られた惑星ニュクス入る為にジョミーに協力していたセドルはシドやジョミーと関わる事でアガレスを裏切る行動に出ますが、結局はジョミーがニュクスで集めた情報を奪ってゆきます。(←セドルの心は揺れ動いたまま)
ニュスクでジョミーは時間を止め、精神が木星メティスへ跳んでしまいます。そこへキースが追ってきます。ここで再会出来た事で、このまま、星もキースも助ける決心をするジョミー。
戦艦プロメテウスは星に墜ちるのを止める事は成功しましたが、ジョミーは力を使い過ぎて倒れてしまいます。
ジョミーは二か月眠っています。

その後は。
政界を退いたジョミーはトォニィとセルジュに人類を託します。
セドルに奪われた情報(コンピューター・テラ)はまだ半分以上をジョミーが持っていて、アガレスはそれを狙っています。シドがトォニィの所へ戻った事で、キースの部下だったヴィーがジョミーの所に協力したいと現れます。彼の目的は所在不明になったキース(トォニィの所にいる)を取り返す事で、当然ジョミーも同じように考えていると思っています。
キースの異変が事の始まり。それを引き起こしたのがソルジャーズのブルーの精神攻撃による記憶障害だった事から、ブルーに会うためジョミーは惑星ノアから未知の空域へと出航する。(二章十一話)

※この後の二章十二話「SD617年、年末 惑星ニュクス事件後」ですが、
二か月眠っていたのではなく、本当はその前に目覚めていましたが、トォニィが発表しなかった。
と、まぁ、こんな感じです。^^;
今回ここで、トォニィがどう思っていたのかを語らせてあげたいけど、はっきりしているくせに本心を言えない子に育ってしまいました。;;
↓↓↓再度UPにあたり、少し書き足してます。


 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…行方不明中
ソルジャー・トォニィ ジョミーの後を継ぎミュウの長となる。ニュクス事件による政変でノアの議会を掌握する。現在、ジュピターの権限を預かっている。


  『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章十二話

「事実を知ってしまった者には、それに価する責務が生まれる。僕は信じ護る。永遠という限りある世界を」

  SD617年末 惑星ニュクス事件後

 キースがあんな事になり、トォニィが就任するのを議会は認めた。トォニィは恐怖政治さながらにさまざまな問題を強行採決をさせていた。それに、引っ張られる形で、セルジュのいるペセトラの軍縮もすすんでいた。
「後はジョミーだけだ…。僕はあなたから…全てを奪う」

 ニュクスで倒れたジョミーはミュウのカプセルでメサイアへと運ばれていた。
 そこで眠りについて一カ月が過ぎた頃、ジョミーはゆっくりと目を覚ました。
 光の無い目を開け、もう一度静かに閉じる。
 閉じた目で、回りを探る。
 そこは高い天井と白い壁、素っ気ない広い部屋だった。その真ん中に不似合いな天蓋付きのベッドがあり、ジョミーはそこに寝かされていた。
「ここは…メサイアか…」
 窓のないこの部屋は首都の医療センターの隔離部屋だろうか…。
 あれから、どのくらい経ったのだろう。ミュウの治療は終わったって事なら、二週間か三週間くらいか…。
 脳裏に惑星ニュクスでセドルと居た事や、ソルジャーズのジョミーの顔やシドが浮かぶ、そして、惑星に堕ちてくる戦艦プロメテウス。
 船は堕ちなかった。キースも死ななかった。
「…力…。また使い過ぎちゃったな…。タイプブルーの力…。もう少し僕を生かしていてくれないか?」 
 閉じた瞼の上で小さなスパークが起きる。ジョミーは目を開けた。その目に光が戻っている。
 手がちゃんと動く事を確認してから両手を上に上げて力を使ってみるが、何も起こらなかった。
「まだ無理か…でも、耳は聞こえるし、身体は動きそうだ」
 ふと足に違和感を感じ、僕は身体を起こし、かかっていた布団をめくる。左の足首にミュウの力で付けられた見えない拘束具が付いていた。目を凝らして周りを見ると、ベッドの周囲、部屋のドア、この区画と何重にも力で包囲されていた。この一般のミュウには認識出来ないような結界を作ったのは、誰でもない。ここの主、ソルジャー・トォニィだけだ。
「…トォニィ…君は…」
 ジョミーは小さなため息をついた。
「これは許さないとういう証だろうか…トォニィ。僕が目を覚ましたのは気が付いているのだろう?」
「僕を呼んだ?」
 どこからともなく声がした。
「従ってくれるなら、すぐ解放するよ」
 薄いベールのような二重にも三重にも張られた結界をすり抜けトォニィが近づいて来る。それは、この力が彼の物だと言っている。前から僕は彼を完全に理解していないと思う時があった。今は理解とかでは無くて、全く違うモノのように見えた。
 マザーが作った怪物がブルーや僕なら、トォニィは僕が作った怪物となる。それは、僕がいくら足掻いても彼から拭えないタイプブルー運命なのかもしれない。
「怒ってはいるけど…」
「僕は逃げ隠れしたりしないよ」
「あなたは約束を破った…それが知りたいだけ…」
「キースの事?」
「ジョミーの身体はもう十分ボロボロなのに。あんな風に使うのが、許せないんだ」
「僕は言ったよね。諦めないと」
「キースは言う事を聞かなかった。話は出来なかったんでしょ?それなのに」
「それでも、僕は諦めたくは無かったんだ」
「理解出来ないよ」
「トォニィ君は僕の何を見て生きているんだ?」
「ジョミー。僕はちゃんと見てた」
「嘘…だ」
「嘘じゃない。僕はジョミーを見て生きてきて、今もこうしている。これからもずっとそれは変わらない」
「それは、難しい…ものだね」
「ただ見てろって事?」
「違うよ…。僕は君のお手本にはなれない。そうだろう。もう、君は僕の先にいる。それはわかっている?」
「だから?だからどうだと?僕はグランパがいたから生きてこれた。これは、事実だ。あなたが望んだから…僕は…ここに」
 そう言いながら、トォニィはジョミーの肩を掴んだ。
「トォニィ…君は今でも人類が憎いの?」
「どうしてそれを聞くの?」
 トォニィは静かにジョミーから手を離す。
「僕をここに閉じ込めている事実からかな…?」
「これは、僕の意思表示。あなたがノアへ行く条件…」
「ノアへ?」
「ソルジャーズのジョミーと約束をしたのでしょう?」
「…ああ。確かに僕は彼に会わないといけない…だが…トォニィはどうしたいんだ」
「会わせないと言ったら、困る?」
「なら、せめてシドに…」
「会わせるよ。でもね。僕も…ノアに行く前に話し合いがしたかった。あなたの本当が欲しかった…」
「本当を?じゃあ、この拘束を解いてくれないかな?」
「逃げると困るもの。それは出来ないよ」
「ん、逃げないと言っても無駄そうだ…けど…君に従うよ」
「僕はあなたが僕の本当に気が付いてくれるのを願う」
「トォニィ…の本当?」
「本当を見せて」
「トォニィの本当と僕の本当か…。ミュウなら簡単じゃないか?」
「ダメ。あなたは巧みに隠してしまうもの」
 ソルジャー・ブルーの深層心理に降りた時、見えないベールがいくつもあった。トォニィも僕の中にそんな世界を見ているのだろうか?ならば、僕にも見えないトォニィが居る事になる。
「トォニィ…?」
「ジョミー」
 部屋から出て行こうとしたトォニィは振り返り強い語気で言った。
「僕は、ノアとペセトラを掌握した。あなたもソルジャーズのブルーもいない今、最強になったんだ…。わかってる?」
「トォニィ。僕に君を暴けというのか?それとも、僕を暴くと言うのか?なら、機械にかけてみればいい。僕の深層からは君を怒らせる事しか出てこないかもしれないよ」
「……」
「それでも君は何を望んでいるんだ」
「力を」
「力?」
 トォニィはそのまま何も答えずに出て行った。




 続く





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