☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十一話
「キース・アニアン」
ブルーが声をかけた。
「……」
「我々の邂逅は必然だった。避けれられない現実だ」
「お前は俺に殺されるのを気付いていたのか?」
「自分の死に場所くらい自分で選びたいじゃないか…」
「そうか…」
「出来ればメギドだけじゃなく、お前も道連れにしたかった。だが、それは実現しなくて良かったと言うべきなんだろうか」
「俺が死んでいたらか…」
「もし、そうなっても、ジョミーは地球を目指し今と同じ場所にいただろうと思ってはいるが…」
「ソルジャー・ブルー。それは俺も同じ意見だ」
「彼は、自分の道を見つけて進む事が出来る。迷っても悩んでも、その先を探す」
「ああ。俺もお前もきっとそういうジョミーをずっと見ていたいと思っているのだろうな」
「我々はオブザーバーだから…だが、君はもう気が付いている。君の願いと彼の本当を…」
「ジョナ・マツカ」
ジョミーが声をかける。
「あなたをずっと見ていました」
「マツカ、僕は君にありがとうと言うべきなんだろうか。それか、謝るべきなんだろうか」
「僕はあなたに感謝しています」
「……」
「ミュウの僕が彼の傍にいるのを見逃してくれた」
「でも、僕はトォニィを止めなかった。それが結果的に君を死なせることになった」
「僕は、キースを…彼を救えましたから…」
「君はそれで満足したんだね」
「はい」
「僕は君が羨ましいのかもしれないな…」
「あなたは失う物が多すぎたんです」
「そうかもね…。それは、キースもね」
「彼を助けてくれてありがとうございます」
「君にも感謝している。君が彼の命を救い、彼が居たから僕も戻れたんだよ…」
「ジョミー。僕がお礼を言いたいのは今の事をです」
「マツカ…?」
「彼を愛してくれてありがとう…」
「…愛する事が助ける事になると?」
「愛が無ければ何も救えませんよ」
「そうかもしれないね。マツカ…ありがとう」
ジョミーの目から涙がこぼれた。
ジョミーとキース、二人の意識が現実に戻る。
キースに見えないようにジョミーは手の甲で涙をぬぐって話し出した。
「僕は、ブルーを尊敬し愛していた。彼が僕に残したものは無償の愛だ。ジョナ・マツカが君に残したものも同じなんじゃないか?」
「それが、答えなのか?ブルーを殺した俺を「許す」という事か?」
「許してはいないよ。だから、君には方法が無かったとか、仕方がなかったとか、そういう他に押し付けるような言い方はしないでほしいんだ」
「マザーが全ての根源だと思ってはいないという事か?」
「では、キース。答えてくれる?僕は君を殺しに行くトォニィを知っていて見逃したという事を、それで、君を守ってマツカは死んだ。それをマザーの所為だったと言えるのか?それでトォニィも僕も全く悪く無いないと言っていいのか?そして、守られた君には何の罪も無いと言えるのか?」
「そうとは言っていないし、思ってもいない」
「残念だが、すべてがマザーの思惑だった訳ではなく、その通りに動かされてきたとは僕は思っていない」
「動かされていたとすれば、それは俺なんだろうな…」
「だから、違うんだ。君は君で道を選び進んだ。僕らは僕らで選び進んだ。それだけだったんだ。それを何かの所為にしないで見つめ、受け止めるしかない。そしてそれが、償いになればいいと思っている」
「俺は…自分が選び進めていたと思えない」
「どう思って戦ってきたと言うんだ?」
「お前たちを排除すれは終わる戦いだと思っていた。だが…」
「…その考えは、将軍と同じだな…」
「調べれば調べる程、知れば知る程に、矛盾が生まれて消えなかった。何故、マザーは病巣を摘むように取り除く事をしないのだろうと…そして、ナスカで、フィシスに会って彼女と自分の遺伝子構造が同じものだと知った。俺も人間じゃ無いのかと…」
「君はどこまでも人間だよ。隠された感情が君を人間だと言っている。だからだろう…僕は君を憎み切れない…」
「俺は…イグドラシルでお前たちを敵として見ないと答えを出した事を後悔していない」
「それは、君の下にマツカが居て、君がサムを看取ったから出せた答えなのだとしたら…僕は何に感謝して、何に償いをすればいいのだろう」
「…マツカも駒だったと言うんだな…」
ジョミーは静かに首をふった。
「確かにきれいに配置された人間関係を見ると、そう思ってしまう。シロエやサムは利用され悲運や悲劇だったと思えるけれど、彼らがその為だけに生きて、そして死んだとは思いたくない。進んでしまった道だ。事実は変えられない。彼らが生きた事を受け止め見つめるんだ…」
「都合がいいな…」
「だって、僕自身が作られた命だから…」
「……」
「運命の歯車が誰かに握られ回されていたとしても、それだけじゃない。僕は逆らい続ける…そうとしか生きれない」
「俺も作られた命だったな…」
「マザーが選び配置した僕らの世界。それでも、その上で動き変化をさせてきたのはそこに生きた人だ。彼らがいて、僕らがいて、過去があり未来が作られてゆくんだ。そう思っていいよね?」
「ああ、そう信じたいな」
「ありがとう。キース。過去を見つめなしたら随分記憶が戻ってきたよ」
そう言ってジョミーは立ち上がり窓へと向かった。
「…わかっているんだ本当は。僕らが「作られた命」で「配置された運命」なんだって。でも、それでも、夢や希望を望んだって良いと思うんだ。僕らで壊したこの世界。マザーの居なくなった世界で人々は懸命に生きてきたから、現在(いま)がここにある。それは、まだ動き出したばかりでぎこちないけど、ちゃんと回っている。だから…これからは、僕たちはみんなで、暗黒の空に怯える事なく、青い空を望むんだ」
「その夢は叶えられると思うのか?」
「叶えなきゃいけないんだよ。それが今を生きてる人間全体の意思なんだからさ。皆で叶えてゆくんだ」
「そうだな…」
続く
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十一話
「キース・アニアン」
ブルーが声をかけた。
「……」
「我々の邂逅は必然だった。避けれられない現実だ」
「お前は俺に殺されるのを気付いていたのか?」
「自分の死に場所くらい自分で選びたいじゃないか…」
「そうか…」
「出来ればメギドだけじゃなく、お前も道連れにしたかった。だが、それは実現しなくて良かったと言うべきなんだろうか」
「俺が死んでいたらか…」
「もし、そうなっても、ジョミーは地球を目指し今と同じ場所にいただろうと思ってはいるが…」
「ソルジャー・ブルー。それは俺も同じ意見だ」
「彼は、自分の道を見つけて進む事が出来る。迷っても悩んでも、その先を探す」
「ああ。俺もお前もきっとそういうジョミーをずっと見ていたいと思っているのだろうな」
「我々はオブザーバーだから…だが、君はもう気が付いている。君の願いと彼の本当を…」
「ジョナ・マツカ」
ジョミーが声をかける。
「あなたをずっと見ていました」
「マツカ、僕は君にありがとうと言うべきなんだろうか。それか、謝るべきなんだろうか」
「僕はあなたに感謝しています」
「……」
「ミュウの僕が彼の傍にいるのを見逃してくれた」
「でも、僕はトォニィを止めなかった。それが結果的に君を死なせることになった」
「僕は、キースを…彼を救えましたから…」
「君はそれで満足したんだね」
「はい」
「僕は君が羨ましいのかもしれないな…」
「あなたは失う物が多すぎたんです」
「そうかもね…。それは、キースもね」
「彼を助けてくれてありがとうございます」
「君にも感謝している。君が彼の命を救い、彼が居たから僕も戻れたんだよ…」
「ジョミー。僕がお礼を言いたいのは今の事をです」
「マツカ…?」
「彼を愛してくれてありがとう…」
「…愛する事が助ける事になると?」
「愛が無ければ何も救えませんよ」
「そうかもしれないね。マツカ…ありがとう」
ジョミーの目から涙がこぼれた。
ジョミーとキース、二人の意識が現実に戻る。
キースに見えないようにジョミーは手の甲で涙をぬぐって話し出した。
「僕は、ブルーを尊敬し愛していた。彼が僕に残したものは無償の愛だ。ジョナ・マツカが君に残したものも同じなんじゃないか?」
「それが、答えなのか?ブルーを殺した俺を「許す」という事か?」
「許してはいないよ。だから、君には方法が無かったとか、仕方がなかったとか、そういう他に押し付けるような言い方はしないでほしいんだ」
「マザーが全ての根源だと思ってはいないという事か?」
「では、キース。答えてくれる?僕は君を殺しに行くトォニィを知っていて見逃したという事を、それで、君を守ってマツカは死んだ。それをマザーの所為だったと言えるのか?それでトォニィも僕も全く悪く無いないと言っていいのか?そして、守られた君には何の罪も無いと言えるのか?」
「そうとは言っていないし、思ってもいない」
「残念だが、すべてがマザーの思惑だった訳ではなく、その通りに動かされてきたとは僕は思っていない」
「動かされていたとすれば、それは俺なんだろうな…」
「だから、違うんだ。君は君で道を選び進んだ。僕らは僕らで選び進んだ。それだけだったんだ。それを何かの所為にしないで見つめ、受け止めるしかない。そしてそれが、償いになればいいと思っている」
「俺は…自分が選び進めていたと思えない」
「どう思って戦ってきたと言うんだ?」
「お前たちを排除すれは終わる戦いだと思っていた。だが…」
「…その考えは、将軍と同じだな…」
「調べれば調べる程、知れば知る程に、矛盾が生まれて消えなかった。何故、マザーは病巣を摘むように取り除く事をしないのだろうと…そして、ナスカで、フィシスに会って彼女と自分の遺伝子構造が同じものだと知った。俺も人間じゃ無いのかと…」
「君はどこまでも人間だよ。隠された感情が君を人間だと言っている。だからだろう…僕は君を憎み切れない…」
「俺は…イグドラシルでお前たちを敵として見ないと答えを出した事を後悔していない」
「それは、君の下にマツカが居て、君がサムを看取ったから出せた答えなのだとしたら…僕は何に感謝して、何に償いをすればいいのだろう」
「…マツカも駒だったと言うんだな…」
ジョミーは静かに首をふった。
「確かにきれいに配置された人間関係を見ると、そう思ってしまう。シロエやサムは利用され悲運や悲劇だったと思えるけれど、彼らがその為だけに生きて、そして死んだとは思いたくない。進んでしまった道だ。事実は変えられない。彼らが生きた事を受け止め見つめるんだ…」
「都合がいいな…」
「だって、僕自身が作られた命だから…」
「……」
「運命の歯車が誰かに握られ回されていたとしても、それだけじゃない。僕は逆らい続ける…そうとしか生きれない」
「俺も作られた命だったな…」
「マザーが選び配置した僕らの世界。それでも、その上で動き変化をさせてきたのはそこに生きた人だ。彼らがいて、僕らがいて、過去があり未来が作られてゆくんだ。そう思っていいよね?」
「ああ、そう信じたいな」
「ありがとう。キース。過去を見つめなしたら随分記憶が戻ってきたよ」
そう言ってジョミーは立ち上がり窓へと向かった。
「…わかっているんだ本当は。僕らが「作られた命」で「配置された運命」なんだって。でも、それでも、夢や希望を望んだって良いと思うんだ。僕らで壊したこの世界。マザーの居なくなった世界で人々は懸命に生きてきたから、現在(いま)がここにある。それは、まだ動き出したばかりでぎこちないけど、ちゃんと回っている。だから…これからは、僕たちはみんなで、暗黒の空に怯える事なく、青い空を望むんだ」
「その夢は叶えられると思うのか?」
「叶えなきゃいけないんだよ。それが今を生きてる人間全体の意思なんだからさ。皆で叶えてゆくんだ」
「そうだな…」
続く
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