君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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オンラインな彼女と僕 5

2012-07-15 14:37:50 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)


  「オンラインな彼女と僕と彼女」  


                 -5-



 僕がリアルの友人から聞いたのは「オンラインゲーム」にハマッた友人の話だった。


 その人を、A子さんとしよう。

 A子さんは結婚をしていて、まだ小さい子がいる。3歳くらいらしい。

 空いた時間に遊んでいたが、だんだんそこでの滞在時間が増えてゆき、課金の額も半端ないくらいになっているのだという。


 でも、それだけならまだいい。と友人。


 東京に会いに行きたい。と言っているらしい。
 

 友人は言う。

「どうも、ゲーム内に好きな人が出来たみたい。なんでそんなのを好きになるのかわからないわ」と。

「……」

 まさか、それって僕じゃないだろうな。と一瞬思った、が、やっているゲームが違うのを失念していた。
 それで僕は自分が焦っている事に気が付いた。
 

 東京行きを、もちろん友人は反対していたが、A子は、もう相手と約束をしていて、函館からのチケットも買っているのだそうだ。
 
 なんで、友人は僕にわざわざ相談するのだろう。と思った。

 そういえば、PCを買う時に、「友人とゲームをする為」だとか、そんな事を言ったな。と思い出した。
 あの時、彼女は「オンラインゲームを家族以外の親しい友人とするのは止めた方がいいわよ」と言っていたっけ。

 あれはA子から色々聞いていたからだったんだ。





 まさみと楽しくゲームが出来るはずだったのに、今は、何となく疎遠で。


 僕は、他の子を、サキちゃんを落としにかかっていて、はるかさんとも「ささやかな時間」を楽しんでいる訳だ。



 パソを買ったのが、ほんの1年前の事なのに、随分、昔の事のように思えた。



 パソの中に居る。

 林や、明石、はるか、今泉、高原、京極を、ずっと前から苦楽を共にして来た友人のように思っている自分を感じた。

 そういえば、最近、現実の友人達と会っていないな。と思った。



 彼女は仕事を休んでA子と一緒に東京に行くつもりだと僕に言った。

「何もそこまでしなくても」

「だって、オフ会とかじゃないのよ。2人っきりで会おうとしてるのよ」

「でも、会うだけなんでしょ?」

「あの子が会うだけで済むはずないじゃない」

「え…え?…」

 この、リアル友人は女性である。
 女性同士だから、突っ込んで聞けたのだろう。
 A子はまるで「恋する乙女」になっているのだそうだ…。

 どこかで似たようなのを知ってるぞ。
 と思いながら僕は聞いていた。


 まさか、友人がそうなっているとは、格好悪くて言えなかった。

 A子は、ここ何年かで、言動も服装も変わった。
 お金の使い方も変わった。
 間単にローンを組むようになったのだ。
 ゲームにインする時間は子供は放りっぱなしで、ダンナさんとの喧嘩も増えた。
 
 まぁ、ここまではよく聞く話だ。


「恋する乙女って?」
 と、僕は探りを入れてみる。


「その彼が居ないと生きてゆけないとか思ってるのよ」

「…!?」

「つまり、本気で恋しちゃっているのよ」

「顔も何も知らないのに?」

「なんだっけ?ナントカって言うので、顔と声はわかるみたい」

「へぇー」

「だけどね、顔を知ってるからって…あの子は、バカみたいに、一度で良いからって、彼に抱かれに行こうとしてるのよ!信じられる?それっていったい何なのよ!」


 彼女は僕に散々A子の文句を言った。

「バカみたい」とか、
「ありえない」とか、
「傷つくだけじゃん」と…。

 その後は、その彼が実際に魔法で怪物をやっつけれる訳でもないのにね。
 と、言ったかな?

 僕は、その東京行きを阻止するべきだ。と、

 駄目なら一緒に行って2人きりにさせないように。

 とか言ったような気がする。




 良く覚えていない…。





 そんな時、実姉が急病で入院する事になった。

 その為に車が必要になり、僕は実家と姉の家と病院を行ったり来たりする日々が続いた。

 忙しくてゲームに行かない日々だった。



 休む事は知らせたけれど、サキはどうしてるだろう。

 彼女には本当に申し訳ない事をしたと思った。


 本気でも何でも無いのに、あんな事をして…、サキはどういう気持ちでいるのだろう。
 でも、あれ以上、付き合うなんて事になっていたら。
 

 僕はどうすれば…いいのだろう。


 A子の思い人のようには振舞えない。


 



 それより、つぼみ だ。




 僕はこの時、
 
 友人が東京までついて行くように、

 例え、彼女に嫌われても、


 会うのを阻止していれば良かった…のかもしれない。


 とにかく、僕もメールや電話じゃなく、彼女に現実で会うべきだったのだ。
 



 でも、 A子と彼女は違う。

 結婚して子供がいる訳じゃない。
 
 だから…離婚の危機はない。

 傷つける相手もいない。



 大人な2人が会って、そうなっても



 それが、良い出会いになればそれでいいじゃないか。



 心のどこかで不安を感じながらも、


 そう思っていた。





 だけど、本心では、
 

 そうやって変わってゆく彼女が許せなくて、

 彼女と友人でいるのが重荷になっていて、それを下ろしたいと
 
 思っていたのかもしれない。



 前に送金してから、もう一回請求された。

 僕はそれを拒否し、

 お菓子やらカップめんやらを箱に詰め

「これでも喰って何とかしろ」って気分で送った。

 伝言には
「前に貸した5万はあげます。返さなくていい」と書いた。

 その時には、
 高原と付き合っていたので、


 高原を頼ればいいじゃん。

 と思ったのを思い出した。



 そう、面倒になった彼女を

 押し付けようとしているのかもしれなかった。



 僕は、僕の本心が見えなかった。



 やがて、

 姉の手術が終わり病状も落ち着いたので、

 久しぶりにインしてみた。


 その日は、サキはおらず、はるかが居た。


 僕は休む前に、今泉とはるかに教えてもらって
 メインのキャラの改造をしていた。

 それからしばらく、はるかのフレと遊んでいた。
 前と同じように、深夜には、林と明石が居た。



 ある夜、僕は林にシアと言うフレを紹介された。

 その子は、口調だけでは性別がわからなかった。
 自分と呼んでいて、丁寧な感じだ。

 多分、男だとと思いつつ、
 僕は林にシアのレベル上げを頼まれたのと、
 僕自身のPCを改造をしてまだ慣れていなかったので
 シアと2人で居る事が多くなった。

 サキもたまに来たが、シアといる方を優先した。
 そのうちにサキは来なくなった。
 他のPCに変えたか、他のゲームに行ったのかはわからない。

 サキとはそれっきりだ。


 僕は、サキがシアの使用キャラは男だが、中を女だと勘違いしてシアに乗り換えたとでも、思ってくれれば良いと思っていた。

 実際、「今、行けない。シアと居るから」とか色々と、こいつ酷いよなぁ…と思える事をあえて言ったので、もう仕方がない。


 しかし、自称19歳、女子大生。を振るとは…、


「リアルで会わない?」

 との発言を僕が深読みをしてしまっただけなら、
 もったいなかったかもしれない…。



 そんなある日、高原とつぼみがイベントをクリアしないか?
 と言ってきた。
 僕が休みの間に進行していたイベントで、シアはそれをやっていたので、4人で行く事になった。

 林は、彼らにもシアを紹介していたので丁度良かった。

 深夜遅くまで4人でぐるぐるとダンジョンを回って、
 少しシアが離席した時につぼみが僕に


「あの子、気に入らない」と言ってきた。





                つづく






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