君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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オンラインな彼女と僕 4

2012-07-15 14:11:09 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)



 「オンラインな彼女と女の子の落とし方」

                   -4-



 こうして、高原はつぼみに告白をした。


 高原の事だからストレートに

「好きなんだ。俺と付き合ってくれないか?」

 とでも、言ったんじゃないかな?


 つぼみの最近の様子から、振られる事はないだろうし…。


 しかし、いくら会話が出来るからって、告白ねぇ…。
 相手が誰だかわからないのに、てか、本当に女かもわからないのに、よく告白なんて出来るなぁ…。と僕は思っていた。



 翌日、高原の友人、京極に会えたので聞いてみることにした。

 まず知っているかの確認をして
「どう思います?」
 と聞くと、

「うん。2人の事だから、僕は口出ししないけど、あまり良いと思っていない」
 と、意外な答えが返ってきた。


 いつも簡潔な答えをする京極が答えに困っている感じがしたので、

 僕は、
「どうして?」と聞けずに

「そうですか」と答えた。



 後で彼のこの微妙な返事の意味がわかるのだけれど…。 



 その時はもう…後の祭りだった。



 二人だけにさせようと僕は彼らと遊ばなくなったので、暇になった僕に林が声をかけてきた。

「彼女(つぼみ)は最近、ここに入り浸り過ぎだと思うのだけど、現実は大丈夫なのか?課金もしているようだけど、友達の君から何か注意した方がいいんじゃないのか」
 心配して言ってきた。

「確かに、ハマリ過ぎてたけど、多分もう大丈夫だと思いますよ」
 と僕は答えた。


 彼氏も出来た事だし、課金も生活も落ち着くと良いな。と僕も願っていたんだ。

 …その時はね…。



 そんな時、はるかと彼女のフレの今泉とあちこちを回って遊んだ後で、僕ははるかに
「相談したい事がある」と声をかけた。
 お互いが用事を済ませた後でと一旦別れ、再び会う事になった。

 呼び止めたは良いが…。

 京極や林のようにつぼみの事を知っている訳じゃないので、
「ここで付き合うってのをどう思いますか?」
 と聞きたかけたけど、聞けなかった。

 考えたあげく…。


「フレがここにハマリ過ぎてて、実生活で問題が起きてるのです」
 と泣き言を言ってしまった。


 林の時と反対だ。


 はるかは「放っておけば、そのうち目が覚めると思うよ」と言ってくれた。



 本当にそうなら良かった…のだけれど。





 つぼみと高原が付き合い出したすぐ次の週末。


 僕にどうしようもない災いが降ってきた。


 それは、夜につぼみからメールがあり、

「今すぐ、インして!」

 と言われたのだ。


 何事か?と僕はすぐに現実の用事を手早く済ませてログインをした。



 週末の早い時間は人が多いので僕は普段あまりインしていなかった。

 僕が入るのはいつも深夜。
 同じように深夜に来る、林や明石と遊ぶ事が多かった。



 ログインしてコミュやフレに挨拶をしていると、つぼみからPTへの招待がきた。

 PTに入ると、高原が居た。

「聞いてくれる?高原ったら。今日の夕方に約束したのに入って来ないんだよ!」


「!?」



 はぁ? 

 今、いるならいいじゃん…。しかも、必死で謝ってるし…。

 どうも、二人はご飯前に約束をして、ご飯が終わっても彼が来なかったという事だった。

 二時間ほど遅れて彼がインして来て、それを怒っている訳なんだが…。


 高原が言うには、「京極を誘って、ご飯を食べに行っていた。飲んだので遅くなった。忘れていた訳じゃない」と謝っている。

 それでも、つぼみは彼を許さない。
 と捲くし立てている。
 

 手に負えない感じだ。


「仲裁に入って」と高原からフレチャットで言われる。


「高原が悪いと思うけど、もう許してあげなよ」
 とつぼみにPTチャットで伝えると。

「許さない。もうキャラ変える!」
 とつぼみ

「でも、謝ってるし。京極と居たならしょうがないってか、仕方ないじゃん」
 と僕

「ごめん。もうしないから」
 と高原

「もう会わない」
 とつぼみ

 二人のやり取りが延々続く、チャットが勢い良く流れてゆく。
 これだけならチャットが忙しいけど、そんな問題は無かった…。

 この日は、週末の夜。

 二人の会話の合間にコミュの会話が入ってくる。

 この二種は色が違うので混同する事はないんだけど…。
 向こうは四人で会話をしていた。
 だから、チャットが本当に早くて、僕はコミュの方を無視していた。

「もう嫌いー!約束を守れない人って嫌い」
 とつぼみ

「さっきから…」
 と知らないコミュPC

「ちゃんと、これからは守るから」
 と高原

「コミュの会話、聞いてて何も言ってこないの?」
 と知らないコミュPC

「守るって言ってるんだし」
 と僕

「居ないんじゃない?」
 と知らない他のコミュPC

「許してあげてよ」
 と僕

「許さないもん」
 とつぼみ

「さっき、来た時は挨拶したよ」
 と しおり

「ふーん」
 と知らないコミュPC
 
「ごめんな」
 と高原

「こっちが言う事を聞いてバカにしてんだよ」
 と知らないコミュPC

「もう約束なんかしないし!」
 とつぼみ

「だから、ごめんっ」
 と高原

「聞いてて、シカトしてんだよ。シカト」
 と知らないコミュPC


「……」
 シカト?
 確かに無視はしているがな。



「もう遊ばないもん!」
 とつぼみ


「……今、チャットが大変で」
 と僕はコミュチャットへフレが喧嘩中だと伝える。
 


 しかし、なんだって、よく知りもしないやつにそんな事をいわれなきゃならない。

 テメエら。チャットで喧嘩の仲裁してみろってんだ!
 流れまくって、できねーから…。
 …ったく。

 なんでこんな嫌な思いをしなきゃいけないんだ。




 しかし、つぼみはこんな女じゃなかった。


 会話の「~だもん」「嫌い嫌い。大嫌い」はもう諦めた…許そう。


 だけど、ずっと怒ってる。
 もう30分以上だ。

 いや、1時間かもしれない。



 意外な一面を見た気がする。


 いやいや、知らなかっただけなのか?
 もっと普通に話しのわかる人だった。


 こんなガキじゃない!




 ギャップ萌えってあるけど、

 その反対だ。


 ギャップ萎えだな、これは、と僕は思った。




 何故、ここに自分が呼ばれたのか意味がわからない。

 つぼみは何がしたかったんだ?


 高原を一緒に非難して欲しかったのだろうが、何でそんな事をしなきゃならない。



 結局、二人はこの日は仲直りをしなかった。
 高原に用事が出来て、彼は落ちた。


 僕も、そのまま「寝る」と言って落ちた。



 その後は、彼女からメールで「ごめんね」と言われた。

 彼とメルアドを交換してちゃんと連絡が取れるようにしたから、との事だった。



 結局さ、痴話げんかじゃないか。

 僕は、関係者ながら来ていない京極が恨めしかった。





 それから、しばらく僕は二人と行動をしなかった。


 コミュの方も一緒に何かをする事もなかった。
 フレも誘わなかった。


 僕は得体の知れないモヤモヤを抱えていた。



 モヤモヤを抱えたまま…。


 僕は、フレのフレで知り合った、ある女の子を落とそうとしていたのだった。

 そう、僕は、チャットでつぼみが簡単に本気になったのが信じられなかった。


 そこで、僕は…。



 実験をしてみようと思ったのだった。

 チャットで女の子を落としてみようと。




 方法はー


 まず、その子に合わせてインする。

 居たら必ず声をかける。

 ゆっくり話をしたい時は、今、大丈夫?とかもちゃんと聞く。


 その時のイベントには参加して、そこで必要な物で持ってない物があればあげる。

 一緒にダンジョンへ行ったら、そこで出た報酬をあげる。


 装備を褒めたり、その服かわいい。とかも言う。

 女物の服はいらないから、と言ってあげる。
 これ着てみて?とかもいい。


 たまに、リアルの話題を話す。
 ちょっとした愚痴とかが良い。

 相談に乗ってくれたりすると、いい感じだ。

 たまに会えない時を作る。


 これをしばらく続ける。


 そして向こうの方から話してきたり、相談してきたり、リアルの事が会話に出たりしたら、もうこちらのペースと見ていい。


 それとなく、会えない時が寂しい。とかを言ってみて

 同じような発言が出たら良い感じだ。
 
 そろそろ良いかな?となる。


 そうと思ったら告白…。



 後は野となれ。山となれ。だ。





 僕の場合は、

 「リアルで会わない?」と言われた。


 彼女は「ここで付き合う」を飛ばしてきたわけだ…。





 僕は



 ものすごく、罪悪感に苛まれた…。


 もちろん、「やったー」と思う気持ちもあったが、




 僕はその頃、友人にある話を聞いていたのだった。

 

                 つづく







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