君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 四章「心のままに」八話 「出会い」Jupiter1(全五話)

2011-12-07 01:54:38 | 『君がいる幸せ』本編四章「心のままに」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)八話

   Epilogue Bridge「出会い」Jupiter1(全五話)  
※この章は流血もBLもあります。時間も飛びます。ご注意を!

 今から四年前…。
 まだ木星のメティスで暮らし、キースの警護をしていた頃に訪れた惑星ノアで意外な出会いがあった。
 首都ノアより南東部、砂漠の近くにある小さな町で、僕は不思議な声を聞いた。
 その声に導かれて、ある小さな古い博物館の中へ入って行った。
 そこには、グランドマザーの基盤となったコンピューターテラがあった。
 ガラスには「解析不可能」と文字が見える。
 これは唯の遺跡扱いだった。
 「テラ」は地球にある本体の他にこうして端末が各地に配置されていたのは、もう何百年も前の話。
 イグドラシルが無くなった今、地球の本体は消滅した。
 僕は残された端末を探していた。
 各地(星)のマザーの許にあると思っていたがそうでは無かった。
 誰が何故、こんな風に分けて見つからないようにしてしまったのか?
 その痕跡すら見つからなかった。
 そうしたのは、マザーでは無いような気がしていた。
「こんな所に…」
 ノアでの回収はこれで二つ目だった。
 その記憶の名残みたいな「テラ」は僕に言った。
 イグドラシルではキースと僕を抹殺することで完了するはずだったプログラムが不完全なまま終わってしまったと…。
『我を破壊してほしい』
「人間っぽい事を言うのですね」
『我の願いはこの世の修復』
 キースも呼びかけたが返事すらしてこないという。
「きっと、壊す事が出来るのは、あなた達の申し子であるキースのみ。彼がそれをしないのなら、僕には壊せない。でも、キースが壊してなくて良かった。僕はまだあなたに教えて欲しい事があります。貴方は手がかりをくれる」
 ジョミーは展示ケースのガラスに手を突っ込み黒い塊となってしまっている知識の集合体に触れる。
 マザーに触れた時のような膨大な情報が流れている。
 暗い海の中、一つの情報を目指して意識が泳ぐ…。
 渦巻く過去の記憶。
 そこからたった一つの光りを目指す。
「あった」
 流れていた水は触ると固体に変わる。
 ケースから手を出し眺めていると、三センチくらいの小さな塊となって手に残った。
 それを愛しおしげにグッと胸に抱くと、青白く輝き始めてジョミーの胸に収まっていった。
 …ふいに声が聞こえた…。

「何を望む?」
「何も…望まない」

「ならば、何故生きている」
「それの答えは…まだ出ていない」

「生きねばならぬからか?」
「それも違う。僕はもう抜け殻だ」

「なら何故生きている」
「その…答えは…きっと…」

「迷うな」
「……」

「答えはもう出ている」
「…まだだ。まだ無理だ…」

「お前の迷いが災いを生む」
「それはわかっている…」

「進むべき道は一つしかない」
「違う。あるはずだ…必ずどこかに」

「それは、お前の願望。勝手な我がままだ」
「そうだとしても、今のままではいけない」

「何がお前を踏み留まらせる」
「…答えを出したい…」

「もう出ている」
「まだだ。答えを決めるのは僕だから…」

 それが、僕の願い。
 僕の生きる意味。
 迷うな。

「自分の答えを探し出せ」

 パキン。
 コンピュターテラが壊れてゆく…まだ…これですべてではない。
 力が抜けた気がした。
 現実が戻った。
「何かが近づいて来る…ここを出ないと…」
 僕は歩きだした。
 博物館から出てくると、惑星ノアの警備兵が待っていた。
(セキュリティーには引っかかっていないはず…)
 不審に思いながら、黒いスーツを着たジョミーは、外に踏み出した。
「そこのお前。何をしている」
「手をあげろ」
 と遠巻きに囲む兵の中、一人が進み出て、手を上げるように指示してきた。
「ミュウだからといえ、今はもう治外法権は生きていない」
「おとなしくしろ」
 とまだ少年の兵士は言った。
 彼から感じる波動はミュウのものだった。
(そうか、彼が僕を感じここに来た)
 最近やっと軍はミュウも雇用し始めていた。
「ミュウか?」
 と問うと
「あぁ、そうだ」
 と彼は答えた。
「……」
 同じミュウ同士だとわかっているのに彼からは憎しみを感じる。
 憎しみ、悲しみ、恨み、この兵士は辛い思いをしてきている…。
 その兵士に向き、両手をあげてジョミーは言った。
「大戦中、ミュウが一時統治している頃に揉め事があった事は知っている。それは詫びよう。だが今は、見逃してくれないかな。後で出頭しろと言うのなら、どこにでも出よう」
 少年のような兵は、さっきまで自分と同じくらいの年齢の、栗色の髪と青い瞳の普通の人だったものから威圧感が溢れてくるのを感じていた。
「…えらそうな。何者だ…お前…」
 ジョミーは彼から目を離し、彼の上官に目を向かい言った。
「地球統合本部所属、コードネーム・ジュピター」
 すばやく照合させる兵士たち。
「照合されました。存在します。ですが、それ以外不明です」
「ますます怪しいな」と兵士は銃を向けた。
「ここで何をしていた」
「過去を探しに…」
 その時、スキャナーで照合をしていた他の隊員が声にならない声をあげた。
「お前は、まさか!ミュウの…」
 髪や目の色は変装出来るが、全体的なスキャナーではバレてしまう。
 僕は仕方なく記憶を操作する事にした。
「わずかな時間だ。何も支障はない。僕だけをすべて忘れてくれるかな?」
 と言うと、上げていたジョミーの手からまばゆい光が出た。

 腕につけているシリコンブレスでシャトルのステルスデバイス解除をすると同時に上に跳ぶ。
 ハッチのステップに立ったまま発進させる。
 その瞳は下にいるミュウに向けられていた。
 下ではなぜここに居るのか?と混乱していたが、一人だけシャトルがあった場所を見上げている者がいた。
 あの少年兵士にどうして僕は嘘をつけなかったのだろう?と疑問に思った。
 多分、それは…。

「彼とはまた会うのだろう」


  続く