君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 四章「心のままに」六話 「I guard you1」後編・邂逅

2011-12-01 01:36:02 | 『君がいる幸せ』本編四章「心のままに」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)六話

   Epilogue Bridge「I guard you1」後編・邂逅 
※この章は流血もBLもあります。時間も飛びます。ご注意を!

 キースが戻ると眠っていたはずのジョミーがベッドから起き上がった。
「…僕の最後の記憶…キース・アニアン…」
 その声の正体に気づき、キースは銃を構えた。
 ぴったりと銃の照準を額に当てた。
「ソルジャー・ブルーか」
 シャトルの小さな窓から入る空港の明かりが、ジョミーを背後から照らす。
 その髪は銀髪に見え瞳も赤く見えた。
 その変わり様はジョミーの能力からなのかブルーの所為なのかはわからなかったが、声は確実にブルーの物で、思考も彼になっているかのようだった。
 それは以前、ジョミーがシロエになったの時と同じように感じられた。
「何故、お前が…」
 それしかキースは言えなかった。
 意識が乗っ取られているのならば、相手はブルーだ。
 キースの背中を汗がつたった。
「何故?それはそのまま、僕が聞きたい」
「…何が聞きたい…」
「僕はお前に殺されたのだろう?あの後どうなった。ここはどこだ」
 意外に普通の質問をしてきた事に安心しつつも、照準は額に合わせたままキースが返事をする。
「お前はメギド内で俺が殺した。メギドはお前が壊した。あれからジョミーは人類に宣戦布告をした。そして戦い。勝利し地球へとたどり着いた」
 ブルーはキースのその言葉に驚きを隠さなかった。
 そして、優しく微笑んだ。
「そうか…地球へ」
「ジョミーはマザーを壊し、人類はSD体制を止めた」
「……」
「ここはペセトラ基地だ。俺からも聞いていいか?」
「ペセトラ…ここは、地球ではないのか…」
 ブルーは窓から外を見た。
「死人の僕に聞きたい事とは?何だ」
 と振り返らずに言った。
「ジョミーは今、お前の過去を探っている。俺もミュウの起源について知りたい。お前は知っているのか?」
「ミュウの起源か、知っているのかもしれないな…」
「何故、そんな曖昧な言い方をする?」
「わざとだ」
 とブルーはチラっとキースを見た。
「……」
「知っていると答えたら、僕はすぐにジョミーから追い出されてしまう」
 ブルーは振り返りキースをまっすぐに見返した。
「…何が言いたい?いや、何がしたいんだ」
「勘がいいな。僕は外に出て街が見てみたい」
「それは出来ない」
「お前ごとどこかに跳んでもいいんだぞ」
「俺は、俺には何の価値もない」
「……では、この星の人間を人質に…。いや、それよりジョミーをどうにかすると言えばいいのかな?」
「お前…」
 キースはブルーを睨んだ。

 外に出る為、ジョミーの黒いスーツに着替えたブルーはキースと街に出た。
 ペセトラのドーム型の都市が見渡せる公園に向かった。
「人類とミュウの共存が始まったのか…」
 街を行く人々を眺めながらブルーがつぶやく
「君にも礼を言うべきなのかな?」
「ミュウの為に動いた事はない」
「…人の為か…それもいい」
「満足したか?お前は何なんだ。幽霊か?白い思念なら見た事があるが…」
「白い思念?ああ、あれは人の思いの塊だ」
「人の思い…」
「人が残した強い思いみたいなもの…。それを具現化したのはジョミーだろう。彼は…そういうのに敏感だから」
「…あれは…シロエの思い…」
「そんな物をいちいち拾っていたらキリが無い物だ」
 とブルーが言い切る。
「そういう人の気持ちがわかるジョミーだから…だから今、必死で人との繋がりを持とうとしている。お前が言うとそれが無駄に聞こえるが…」
「無駄と言ってはいないさ。実際、共存しているじゃないか…。僕はとても嬉しいんだ」
「嬉しそうに見えないんだがな」
「あぁ、ここが地球だったら。とか、もう少し生きれたらな。とか思ってしまうからだろう」
 と笑った。
「違うんじゃないか?」
 ブルーの目が鋭くなった。 
「…ジョミーと居て長いのか、お前?」
「何故だ?」
「勘が良過ぎる…」
 探るように言うブルー。
「さぁ…な…」
 ブルーは小さなため息をついた。
「……そうか。では、そろそろ戻るか…」
「待て、ブルー。お前は、ジョミーが作り出した幻影か?」
「僕も思いの塊だ。ジョミーの身体を使っているから白くないだけだ」
「そうか…」
「キース・アニアン。消える前に教えておく。お前のその不安だが、ジョミーに僕の身体がある月の事を教えても大丈夫だ。きっと乗り越えられる。それよりも、ジョミーが集めているミュウの起源の謎が解けた時に、魔女がかけた魔法が溶ける…凍った時間が溶けて動き出す。掠め取られてしまうぞ」

 ここで初めてブルーはキースを睨むように見つめた。
 その目を見返しキースが答える。
「ブルー。あれは俺のだ。どこにも誰にも渡す気はない!」
「…やっと本心を言ったな」
 ブルーはにっと笑った。
 それはキースの中から催眠術のように引き出された本心。
「お前だろう…。その魔法を仕掛けたのは…」
 剥き出しになった心のまま、ブルーを睨むキース。
 その目を見返して、少し寂しそうにブルーは笑った。
「…そうなら…どうする?」
「俺はお前が許せない…お前はいったい何がしたいんだ」
「僕は護りたいんだ…」
「…そんな戯言を信じていいのか?」
「護りたい物は同じ…だよね」
「何かあったら…俺はまたお前を殺しに行くぞ」
「キース。お前のその心を、言える内に言って、態度に出すといい。どこまでという保障は出来ないけれど起源の答えに封印をしておく。謎は少しずつ解ける方がいいだろう」
「…お前はそれでいいのか?」
「良くも悪くもないな。これがジョミーの進む先なら、僕にはもう、どうする事も出来ない。だが、お前なら、彼が…ジョミーが、道に迷わないようにする事は出来るだろう」

「しかし、…まさかこんな風に話せる日が来るとは思っていなかった」
 とキースがあきれたように言った。
「もう少し早く会えていたら、とは言えないが、僕もそう思う。キース…今回の事はグランドマザーが仕組んだ事だ。ここの機能も早く手を引かせた方がいい。手遅れになる前に」
 SD体制は崩壊したが、人類の管理に関する情報等はまだマザーと切れないでいた。
 スーパーコンピューターであるマザーにまだ人類は頼っていたのだった。
 この考えや行動がミュウを受け入れようとしない原因の一つなのかもしれない。
「キース。もう一つ言っておく。僕がこうして出て来られたのはジョミーが本当に安心して眠っていたから、僕はジョミーに安らぎを与えられなかった。何もかも奪い取ってきただけだった…。ジョミーはもう長い間、眠れないでいる。君はそれをあげられるのだな。羨ましいよ」
「……」
「……そろそろ…時間切れか…」
「ブルー」
 ブルーは一度考えるように目をふせ、そして改めてキースを見据えて言った。
「彼を、ジョミーを君に託す」
「お前に言われるまでもない。安心して消えるといい」

 目を閉じたブルーが微笑んで見えたのは間違いじゃないだろう。
 髪が次第に金髪に戻る。
 ストンと落ちるように倒れるジョミーの身体をキースが受け止めた。
「魔女のかけた魔法か…。一体、マザーが何をしたと言うんだ」

 その後、ジョミーは寝込む事はなくなった。
 ブルーの記憶を体感しないで見るように出来たらしい。
 キースはペセトラ基地の機能を人の手に渡した。





      I guard you1 後編 終