君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 四章「心のままに」七話 「I guard you2」一話読切 

2011-12-04 02:14:04 | 『君がいる幸せ』本編四章「心のままに」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)七話

   Epilogue Bridge「I guard you2」一話読切 
※この章は流血もBLもあります。時間も飛びます。ご注意を!
  四年前・「I guard you1」より二ヶ月後
 完全に落とすのでないなら、戦艦同士の戦いの中では、僕の力はそう意味は成さない。
 グラス空域はもともと海賊が多かった。
 グラヴィス将軍の海賊の掃討作戦にキースが参加する事になり僕も同行した。
 キースはこういう戦闘には最近参加をしていなかった。
 だから、キースが行く程の事もないのだが、ここは昔キースが取り逃がしたという過去があった。
 これは彼の希望なのだろう。
 戦いも終盤になった頃、東側に6隻の新手が現れた。
「ジュピター、新手はお前にまかせる」
 キースが僕に指示を出してきた。
「…了解」
 キースの意図が読めなかったが、僕はすぐさまシャトルで出た。
 小型ではあるが大きなシャトルを小型の戦闘機のように操りながら僕は彼らに交信を送った。
「この戦いはもう意味はない。今から戦っても殺されるだけだ」
「負けるとわかっていても、仲間を見捨てられない」
 交戦しながら僕はキースに問う。
「彼らは一掃しなければならないのか?」
「人類のこれからに邪魔にしかならない」
「戦いはもう終盤だ。彼らは残った仲間を助けに来ただけだ。このまま引けないか?(見逃せないか?)」
「そうする必要はない。ジョミーお前がやらなければこちらでやる」
「容赦なしか…」
 そうさ。人類に悪影響を及ぼすなら敵だ。
 それはわかる。
 だが、殲滅とは…。
 僕は海賊に再び交信を送る。
「聞いてくれ。残っている全員は無理だが、そちらに送れるだけ送る」
「なに?」
「このままだと全滅する。僕はミュウだ。お前たちを助けたい」
 僕のシャトルとその六隻の時間を止め、交戦中の海賊を出来るだけをこちらに飛ばした。
 七割弱転送した所で時間が動き出した。
 僕は海賊の船を彼らの言う座標へ跳ばした。
 キースは残党の捕獲にまわった。
 そして、キースの乗り戦艦オブビリオンはシールド内にいる僕のシャトルに主砲を向けた。
「ジュピター。逆らうのか?」
「背くつもりはない。だが、見逃せなかった」
「そうか。なら、全ての力で俺の前に立つんだな」
「キース」
 オブビリオンの主砲が撃たれる。
 さすがにキースが育てた船だけあって指揮に乱れもなく反撃の間を与えてくれない次第に押される。
「シールドがもたないかも…」
 そこに別の思考が入ってきた。
「もうやめてください」
 それは思念波だった。
 ミュウがいる。
 彼らはキースが新しく作っていたミュウの部隊だった。
 僕の隙をついて、彼らがシャトルに乗り込んで来た。
「抵抗はしない。捕らえればいい」
 侵入者ありとの警告が流れる中、僕は降参するしか無かった。
 そのまま僕は軍規違反でペセトラに送られ、再び軟禁状態になった。
 ペセトラに着いた翌日に僕の所にミュウの部隊が訪れた。
 彼らの代表と僕は面会をする事になった。
 面会室へと移動をすると、きちんと軍服を着たミュウが二人いた。
 僕はジュピターの黒いスーツだった。
「ジュピター。我々は人類の中で育ち、ミュウになった者ばかりです。ですから、あなたの素性は知っています」
「ならば、何故、僕に会いに来たんだ?」
「僕達をミュウと見ていますか?それとも人類と見ていますか?」
「ミュウだと思っている」
「なら、一言いいですか?あんな戦いはダメです。もうしないで下さい。僕らの邪魔になります」
「わかった…」
 軟禁は十日間余りで解かれ、僕は戦いから戻ってきたキースと対面した。
「あの掃討作戦でお前を出したのは、実験だった」
「…ですね…」
「彼らは略奪を重ねていた。一掃される理由も意味もあった」
「……」
「ああいう事をしていたら、お前は何も守れないぞ」
「それでも…」
「お前は何をしたかったんだ」
 僕は軍人としての扱いはされていない。
 だけれど、参加した以上は軍規には従わなくては統率が取れない。
 人類軍を動かせるだけの僕の名前。
 その意味、その使い方を彼は実戦で教えてきた訳だ。
 理解は出来る。
 だが、それは頭の中でだった。
「お前は警護についてはとても有能だ。だが、それだけでは俺の許には置けない」
「……」
「まだ、それでも。と言うか?」
「……」
 キースの許に来て半年にもなるというのに、僕はまだミュウの長の肩書きを下ろせないのだろうか?
 ここに来た事。ただそれだけで、僕は満足をしているのだろうか?
 僕は、まだ何も出来ていない。
「わかった…。僕は君に従う」
「お前のシャトルに、お前が逃がした船の座標が残っていた。彼らの隠れ家の残党狩りが終わった」
「キース!」
「…捕らえた罪人をお前は殺せるか?」
「……!」
 隣の部屋には拘束された人間が三人いた。
 後ろ手に縛られ、口も塞がれていた。
「わかっている前科だけで千以上にもなっている三人だ。ここにはもうグランドマザーはいない。人類による裁判は終わった。死刑は確定している。この場所で殺す。殺さないの判断を俺は任されている」
「キース」
「ジョミー。お前は人類と生きると言ったが、きれい事では何も出来ない。彼らは何も悪くない人間を平気に殺せるやつらだ。処分はもう決まっている。お前は彼らを殺せるか?」
 念を押すようにキースが言った。その意味はわかる。だけど…。
「なんで僕が…」
「能力で人を殺せても、銃で殺せないでは持つ意味がない」
 キースの心の奥に流れる人の法を守る意思が見える。
 僕の腰にあった銃を取りキースが撃つ。
 海賊の一人が倒れる。
 もう一発、倒れる海賊。
「もう…やめ…」
 僕はキースの銃を持つ手を掴んだ。
「お前の覚悟はこんなものだったのか?」
 違う!
 キースに心が無いんじゃない。
 彼には、とても熱い物が流れている。
 辛いとか、苦しいとかを言わないだけなんだ。
 それは…きっと…。
「違う。違うんだ…それはわかっている。見ていられないんだ」
「お前の守りたいものはなんなんだ」
「…僕がやる…」
 そうして僕は最後の一人を撃った。
「必要なら人でも殺す。けれど、その判断は僕がする」
「そうか、お前が例え後ろから刺されようとその背中で人を守ろうとするのなら、それもいい。だが、その判断を誤るなよ」
 僕の覚悟は生ぬるいものだったのかもしれない。
 それでも…僕は…。

「ジョミー」
 気がつくと僕の腕をキースが掴んでいる。
 走っていたので息が切れていた。
「…何?…」
「…銃を離せ」
 僕は周りを見回した。
 ここは僕の部屋だった。
 僕はあの部屋からここまでの三フロアを、銃を持ったまま来たのか?
 キースはそんな僕に着いてきたのか?
「…手から力が抜けないんだ…」
「……」
 キースが静かに僕の手から銃を取った。
「銃は重いよ…キース。命なら…僕は数え切れない程、奪っているのに…」
「命は同じだ。誰も同じだからな…」
 キースは命の重さを知っている。
 知っていて、その重さに耐えている。
 犯罪者は罰を受けて当然だ。
 今まではマザーが行ってきたそんな人類の振り分け。
 良い、悪いと分ける事。
 今は、それを人と人で行うようになったのだ。
 キースはマザーの代わりをしているんだ…。
 辛くない訳がない。
 秩序・混沌…。
 人はそういったものを相変わらず上に任せて進む。

 昔、僕は人と戦う為にミュウである自分のクローンを殺した。
 今、人と共に生きる為に人を殺した。
 大きな矛盾が僕の中で渦巻いた。
 人はただ守ればいいものでもなく、ミュウもただ救えばいいものでもなかった。
 僕は僕達に足りないものを探さなければならないと思った。

 それから約一年。
 ミュウが惑星メサイアに移住する日が近づくにつれて、ソルジャーとしての生活が増えていった。
 キースの警護はミュウの部隊が参加するようになってきたので彼らに身体の負担にならないシールドの張り方や、効率的なサーチの仕方を指導しつつ僕は度々シャングリラへ行っていた。
 そんな中、キースがビルレストで襲撃された。
 僕が居たにも関わらず、ここを襲撃されたのだが、僕はここをミュウの部隊に任せる時期だと見ていた。
 それは、キースも同じだったようだ。
 「ジュピター」から「ジョミー」に戻る時が来た。
 僕は、止まっていた時間が流れ出すのを感じた。

 彼は僕が途中で力尽きても先へ進むだろう。
 心を氷で閉ざしても進む覚悟をした二人だから…。
 心や身体が半分になって暖めて欲しいと泣き叫んでもそんな日が来ても…僕らは
進み続けるだろう。




    I guard you 2 終