エネルギー
最後の締めくくりがエネルギーです。
オイルショックで自給自足の道へ 1973年以前は海外依存率92%
デンマーク、エネルギー政策一番大きく変わったのが1973年のオイルショックです。それまでは外国から輸入するオイルの依存率は92%だった。それがこのオイルショックで、一地域からまとめてオイルを輸入したらデンマーク経済はこんなに打撃を受けるというのを、目の当たりに体験しています。いろんなところから、オイルだったものを石炭に変えて世界中から少しだけ輸入する、国内でエネルギーを作り出す、という考え方に変えて、7年の間に依存率がこんなに下がっています。
国民意識も1973年のオイルショックのあった年から、バスタブのお風呂に入るのはやめましょう、これからデンマークはシャワーだけにしましょう、と言う考え方に変わっています。ですからデンマークの多くのホテルは新しく建てられた物でもシャワールームしかないというのが結構多いです。デンマーク人にとってバスタブ入浴は水の無駄遣いです。
エネルギー税と言うのが導入されています。1977年から導入されて、年ごとに税率が上がってきている。その他にCO2税。まとめてグリーン税とか環境税と言う呼び方が使われています。93年にCO2税が導入されて、ごみ焼却した時にどれだけCO2が出るとか、いろんな計算法があって導入されたものです。
脱原発 原発情報をどんどん提供して反対世論が増えた
この中で、オイルショックの直後に、環境にやさしい、お金のかからないエネルギーとして原発の視野に入れましょうという声が国の中から出てきます。特に国のトップの方では魅力的と実験施設まで作っています。ところがデンマークの国民と有識者の人たちが原子力はいいことばかりではない、危ないこともある、後の処理にお金と時間もかかる、だから、国民に原子力発電に関するすべての情報を100%開示して、国民に判断してもらう方がいい、という考え方で、どんどん情報を提供していきました。提供すればするほど、デンマークの国民は、いままではもしかしたら原発もいいかもしれないと思っていた人もどんどんノーと言う感じになってきた。原発no thank youという草の根運動が始まった。女性が作ったバッヂみたいなものです。
エネルギーの海外依存からの脱出
デンマークは島国なので、周りの海域を持っています。そこで、ほかの国でもやっている北海油田を開発に力を入れています。1973年から北海油田の開発を始めて97年に自給自足になったというまでにかなり開発し、オイル、天然ガスたくさん採れるようになってきた。しかし、残念なですが去年初めて、それまでEUで唯一のエネルギー輸出国と言われるくらいプラスだったのですが、16年ぶりにマイナスになった。北海油田からとれるオイルの量が極端に少なかったようです。これまでのEU唯一のエネルギー輸出国と言うステータスが、ダメになりました。今年、来年と元に戻るかは今の所はわからない。
熱電併給プラント以外は法律で禁止
再生可能エネルギーを進めてきて、現在24.5%の所まで、割合を高めています。いろんな発電所とか、ごみ焼却施設とか、それをすべて、CHP(Combined Heat and Power)と言われている、熱電供給プラント、熱と電気を一緒にできないとダメだという法律に変えてしまいました。熱源としてのオイルとか使う割合が減ってきています。そういう意味でも今デンマークはこんなに小さい国なのに世界中から注目されるようなグリーンなエネルギー政策を取っている国となっている。
原発建設は禁止されていない、しかし、1976年の厳しい基準で建設は不可能に近い状態
誤解されているが、デンマークでは国の法律では原子力発電を禁じている、デンマーク人でもこう思っている人もいるが、本当の法律では禁じてはいない。ただし、建設をするのに不可能なぐらいプラント建設について安全性を厳しく求めています。それが、1976年、オイルショックからわずか3年後くらいに、その時に国民がみんな反発するから、もう今から原子力を導入しようと言っても国民の同意は得られないだろうと政府が自主的にこの法律を定めた。それによって建設は不可能に近い状態になっている。ただし、絶対ダメと言う法律ではない。
その後、1985年、新しいエネルギー計画法が制定されているが、この中に原子力導入の可能性を公的なエネルギー計画の中からすべて省くという最終決定です。この2つを合わせるとデンマークは原子力を導入するのはほぼ不可能に近い状態です。でも法律では禁止してないのです。
ちょっとした穴があります。デンマークは国内法よりもEUで決めた法律を最優先しなければならない、加盟国としては当然の義務があります。EUは原子力発電を認めて実際に導入している国が多い。そのためEUの法律に従ってデンマークの公的なところは一切ダメですが、民間企業がEUに許可を申請して、この条件を全部満たした上でEUがOKを出してしまったらデンマークの国は反対できない。原子力を導入できる可能性はゼロではない。この穴を埋めないとゼロではない。そういうことを見込んで、誰が作ったかわからないが、デンマークには原発があるという想像上の原子力発電所のホームページがある。想像上のホームページが作られている。そういう穴があるということをみんなに訴えるために作られたものだと言われている。
デンマークの誇り EUが決めているよりもさらに厳しい条件を自分の国に課している
エネルギープラン、今の政府も2011年に選挙があって変わったが、その前の政権も、地球規模で環境を守らなければいけない、だから先進諸国としていろんな義務があると言ってきた。デンマークはずっと先を行っていると自負している国なので、EUが決めているよりもさらに厳しい条件を自分の国に課している。
2020年までに、再生可能エネルギーの割合をエネルギーの消費量全体の33%にしよう。風力発電の発電量を総発電量の40%にしよう。再生可能エネルギーを総発電量の60%にしよう。エネルギーの消費を節約して2009年の当時と比べて、2020年は-6%にしようと言う条件を自分の国に課したエネルギープランを作っている。これは2020年までに可能にしなければいけないデンマークの目標です。2030年までに発電所で使う化石燃料をゼロにする。2050年までにすべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う。どこまで可能かはわからないが今のところはこのようになっている。
デンマークも日本も同じ小さな島国。1973年のオイルショック、自国のエネルギーがないという条件の中で、同じように原発も選択肢に入れながらどういう結論を出したか、ここが日本とデンマークの分かれ道になった。
温暖化問題に対しても、世界の中でも地球環境を守る先進国になろうという誇りはすごい。熱電併給以外は禁止という法律もすごい。現実に一歩一歩それを進めていること、それは国民の議論の中で積み上げられた上での選択もすごい。これが民主主義なのだと思う。
最後の締めくくりがエネルギーです。
オイルショックで自給自足の道へ 1973年以前は海外依存率92%
デンマーク、エネルギー政策一番大きく変わったのが1973年のオイルショックです。それまでは外国から輸入するオイルの依存率は92%だった。それがこのオイルショックで、一地域からまとめてオイルを輸入したらデンマーク経済はこんなに打撃を受けるというのを、目の当たりに体験しています。いろんなところから、オイルだったものを石炭に変えて世界中から少しだけ輸入する、国内でエネルギーを作り出す、という考え方に変えて、7年の間に依存率がこんなに下がっています。
国民意識も1973年のオイルショックのあった年から、バスタブのお風呂に入るのはやめましょう、これからデンマークはシャワーだけにしましょう、と言う考え方に変わっています。ですからデンマークの多くのホテルは新しく建てられた物でもシャワールームしかないというのが結構多いです。デンマーク人にとってバスタブ入浴は水の無駄遣いです。
エネルギー税と言うのが導入されています。1977年から導入されて、年ごとに税率が上がってきている。その他にCO2税。まとめてグリーン税とか環境税と言う呼び方が使われています。93年にCO2税が導入されて、ごみ焼却した時にどれだけCO2が出るとか、いろんな計算法があって導入されたものです。
脱原発 原発情報をどんどん提供して反対世論が増えた
この中で、オイルショックの直後に、環境にやさしい、お金のかからないエネルギーとして原発の視野に入れましょうという声が国の中から出てきます。特に国のトップの方では魅力的と実験施設まで作っています。ところがデンマークの国民と有識者の人たちが原子力はいいことばかりではない、危ないこともある、後の処理にお金と時間もかかる、だから、国民に原子力発電に関するすべての情報を100%開示して、国民に判断してもらう方がいい、という考え方で、どんどん情報を提供していきました。提供すればするほど、デンマークの国民は、いままではもしかしたら原発もいいかもしれないと思っていた人もどんどんノーと言う感じになってきた。原発no thank youという草の根運動が始まった。女性が作ったバッヂみたいなものです。
エネルギーの海外依存からの脱出
デンマークは島国なので、周りの海域を持っています。そこで、ほかの国でもやっている北海油田を開発に力を入れています。1973年から北海油田の開発を始めて97年に自給自足になったというまでにかなり開発し、オイル、天然ガスたくさん採れるようになってきた。しかし、残念なですが去年初めて、それまでEUで唯一のエネルギー輸出国と言われるくらいプラスだったのですが、16年ぶりにマイナスになった。北海油田からとれるオイルの量が極端に少なかったようです。これまでのEU唯一のエネルギー輸出国と言うステータスが、ダメになりました。今年、来年と元に戻るかは今の所はわからない。
熱電併給プラント以外は法律で禁止
再生可能エネルギーを進めてきて、現在24.5%の所まで、割合を高めています。いろんな発電所とか、ごみ焼却施設とか、それをすべて、CHP(Combined Heat and Power)と言われている、熱電供給プラント、熱と電気を一緒にできないとダメだという法律に変えてしまいました。熱源としてのオイルとか使う割合が減ってきています。そういう意味でも今デンマークはこんなに小さい国なのに世界中から注目されるようなグリーンなエネルギー政策を取っている国となっている。
原発建設は禁止されていない、しかし、1976年の厳しい基準で建設は不可能に近い状態
誤解されているが、デンマークでは国の法律では原子力発電を禁じている、デンマーク人でもこう思っている人もいるが、本当の法律では禁じてはいない。ただし、建設をするのに不可能なぐらいプラント建設について安全性を厳しく求めています。それが、1976年、オイルショックからわずか3年後くらいに、その時に国民がみんな反発するから、もう今から原子力を導入しようと言っても国民の同意は得られないだろうと政府が自主的にこの法律を定めた。それによって建設は不可能に近い状態になっている。ただし、絶対ダメと言う法律ではない。
その後、1985年、新しいエネルギー計画法が制定されているが、この中に原子力導入の可能性を公的なエネルギー計画の中からすべて省くという最終決定です。この2つを合わせるとデンマークは原子力を導入するのはほぼ不可能に近い状態です。でも法律では禁止してないのです。
ちょっとした穴があります。デンマークは国内法よりもEUで決めた法律を最優先しなければならない、加盟国としては当然の義務があります。EUは原子力発電を認めて実際に導入している国が多い。そのためEUの法律に従ってデンマークの公的なところは一切ダメですが、民間企業がEUに許可を申請して、この条件を全部満たした上でEUがOKを出してしまったらデンマークの国は反対できない。原子力を導入できる可能性はゼロではない。この穴を埋めないとゼロではない。そういうことを見込んで、誰が作ったかわからないが、デンマークには原発があるという想像上の原子力発電所のホームページがある。想像上のホームページが作られている。そういう穴があるということをみんなに訴えるために作られたものだと言われている。
デンマークの誇り EUが決めているよりもさらに厳しい条件を自分の国に課している
エネルギープラン、今の政府も2011年に選挙があって変わったが、その前の政権も、地球規模で環境を守らなければいけない、だから先進諸国としていろんな義務があると言ってきた。デンマークはずっと先を行っていると自負している国なので、EUが決めているよりもさらに厳しい条件を自分の国に課している。
2020年までに、再生可能エネルギーの割合をエネルギーの消費量全体の33%にしよう。風力発電の発電量を総発電量の40%にしよう。再生可能エネルギーを総発電量の60%にしよう。エネルギーの消費を節約して2009年の当時と比べて、2020年は-6%にしようと言う条件を自分の国に課したエネルギープランを作っている。これは2020年までに可能にしなければいけないデンマークの目標です。2030年までに発電所で使う化石燃料をゼロにする。2050年までにすべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う。どこまで可能かはわからないが今のところはこのようになっている。
デンマークも日本も同じ小さな島国。1973年のオイルショック、自国のエネルギーがないという条件の中で、同じように原発も選択肢に入れながらどういう結論を出したか、ここが日本とデンマークの分かれ道になった。
温暖化問題に対しても、世界の中でも地球環境を守る先進国になろうという誇りはすごい。熱電併給以外は禁止という法律もすごい。現実に一歩一歩それを進めていること、それは国民の議論の中で積み上げられた上での選択もすごい。これが民主主義なのだと思う。