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デンマーク、スウェーデン視察報告第2日目 風力発電事務所 質疑編(K)

2014-07-25 | 企画・行事

レクチャーの様子 奥左の説明している人がクリスチャンセンさん

系統電力への接続の負担は誰?
 国の計画で洋上風車を建てるとされたものは、ネット網を持っている電力会社が負担します。
 個人投資でみんなで分け合ってという場合は電力をネットのケーブルの所まで個人負担。サムソも自給自足の島と言われているが、風車からネットにつなぐまでのコスト、自分たちで負担している。

不安定電源対策は
 強い日は必要な電力の300%、ない日は0%
 カバーするために近隣の国から契約して供給してもらうシステムを作り上げている。高圧線は、ドイツ、スウェーデン、ノルウェイつながっている。
 国内には再生可能エネルギーだけでなく、小さな規模の発電所いっぱいある。電力網でつながっている。外国からではなく、止まってもほかの所から供給できるように国内でもセキュティネットもできている。
 ボーンフォルム島、日本でも紹介されている。(IBMはデンマークのボーンフォルム島で、風力発電の余剰分を電気自動車(EV)にチャージする実験に参画。)どこからもつながないで、島だけで独立した実験をしている。風の吹く日にたっぷりできた電力を蓄電しておいて風のない日に使う実験をしている。
 デンマークではバイオマスも広く利用されている。総国土面積の2/3が農用地。養豚のエサになる穀物は100%国内で栽培する方針で政府が進めている。穀物をたくさん栽培すると必ず出てくるのがワラ。それをバイオマスで使って、将来は風力よりも多くなるのではないか。熱も電気もガスもできる。風だけでは無理です。だから、いろんな再生可能エネルギー全部で考える。

コペンハーゲン人魚姫の像 かすかに奥に見える風車がルネッテン


以上で、風力発電は終わりです。具体像に迫れるよう、日本での疑問に答えられるような視察となるよう、努力しました。
 日本では国がなかなかやろうとしない風力発電。しかし、デンマークでは、コスト、環境への影響、不安定電源を経験によって解決し、2020年には風力発電だけで全消費電力の50%を賄う見通し。電気量を高値で設定することは日本では考えられない。しかし、それが省エネと再生可能エネルギーへの負担に回すという思い切った政策は、功を奏して省エネと風力発電の普及になっている。
 地域との対話を重視し、住民も事業に参加し、よかったと思える投資効果。高いエネルギー税だが、それが、地域の所得に帰ってくる効果。脱原発も然り。将来を見据えた、仕組みづくりは経験の積み重ねで、ここまで到達したのだと思う。
デンマークは「試行錯誤の国」。その積み重ねで、日本よりも高い峰に到達している。

デンマーク、スウェーデン視察報告第2日目 風力発電事務所 風力発電と地域還元(K)

2014-07-25 | 企画・行事
風力発電の最終回 風力発電と地域還元

個人経営の農家から、地域住民も一緒に建てるという法律
 個人経営の農家の人たちが一方的に地域の住民に何の相談もすることなく建てたので、私たちも協力しようと考えていた人たちが全く無視されたと言って、否定的な反応を示すようになった。それを見ていた政府がこのままでは風車は国民から否定的に受けとられ、大きく広がらない。肯定的に受け入れてもらうためには、地域の住民も一緒になってとりくむ制度が必要になった。それによって例えば50%を必ず風車株という形で地域の人に投資をしてもらって一緒に立てる。
 法律が制定されたのは97、98年くらいなので、実際に実行に移されるようになったのは、もっとあと。これ以降は地域の住民も一緒になって進んできます。


 2008年に地域の住民も取り込まなければいけないという新しい法律ができたときに、まず、最低でもかかるコストの20%を地域の住民に協力していただいきましょう、提供しなければいけないということです。
 ところが、風車の建設される半径4.5㎞以内で20%の投資額を維持できなければ、ちょっと隣の市に移してもいい、つまり幅を広げて隣の市の人も投資をすることができる、と言うことも明確に書かれた法律が制定されています。
 ただ、EUの法律は差別を許さない法律になっていて、建設の範囲の4.5㎞以内と言うような条件を付けると差別になります。デンマークの国としては必要な投資額の40%まで地域住民の人に協力してもらってほしいという目的だったのですが、EUからクレームがつく可能性があんまり高いので20%だったらクレームがつかないだろうということで20%に抑えた。でも、最優先で地域の住民が投資できると決められているのは約8週間くらい。8週間を過ぎてしまうと地域に住んでいない人でも誰でも投資ができる。遠くに住んでいる人も投資ができる。
 投資をするのを魅力的にするためには国からの安い利子のローンが組めるとか、そういう保障が必要となるので、その協力をするシステムも作られています。
 自治体がいろんな投資をする場合は、国の方が1MWに対して11,800€、ソシアルグリーンファンドというのから自治体に出してくれるというような制度も用意され、より自治体にとっても魅力的な投資と言う、グリーンエネルギーが進んできた大きな理由の一つです。

 地域住民の感情として、例えば、最初にここに一基建てると、その後、調子がいいからもう一基建てようと無制限に何年かおきに建てていくと、一番最初にちゃんとしたこういう景観になりますよとかいう計画がなくて、一基ずつ、一基ずつ増やしていったら景観上も反発を買うような、そういう結果に陥るかもしれない、といういろんな調査を行った結果、デンマークではまとめて5~6基一回に建ててしまう、その代り、ここにまとめて建てたら、こちらの方は建つ可能性がないからこちらは自然保護地域として残すことができるという風に、計画が立てやすくなります。日本で建てるんだったらそういう配慮もした方がいいかもしれません。

投資への地域住民優先の悪用に、買取枠制限と監査の導入
 新しい2008年の法律のよって、投資総額の20%を地域住民にということで、実際に売りに出したらすぐに100%売り切れてしまったプロジェクトが8プロジェクト、30~60%しか売れなくて地域住民以外のもっと広い範囲の住民に売り出されたものが4プロジェクト、どういう理由かわからないが3プロジェクトは売れたのが1~2%だけだった。
 この売れなかった一番大きな理由は、ビジネスとして投資の対象として十分なると考えたたった二人の人物が、なるべく地域住民が買わないで全部売れ残ったものは自分が買いたいと思って悪い情報を、公聴会を開いて一般住民に購入してほしいと勧めるときに、これは酷いんだ、と言う情報を専門家の立場で流して、誰も買いたくない、買わないだから全部自分たちが買えるというやりかたをとった。これはだめだというのが後でバレたので、こういうことができないようなシステムになった。
 すごく腹黒く考えた理由は、投資したら1年間で20%~25%くらいの純利益が自分の手元に入ってくる、順調にいけば数年で元が取れる、減価償却できる。プロジェクトはあんまり人気なので最初の1年は自分の手元に持っていて、その株を20%くらい値段を上乗せして別の人に売ることができる。それで大きな利益を見込めるということでそういうやり方を始めたらしいが、それが認められなくて地域の住民、これをシステムとして法律の中に取り入れたが、ジプシーのような生活をしている人たち、ここで建設されると決まったら一時的に住居をそこに引っ越して4.5㎞の範囲内で生活をして買えるだけの株を自分で購入して、1~2年後にもうけを上乗せしてその株を売ってしまう。次の新しく建設されるところに移り住んで、転々と住居を変えるので一種のジプシーのような。お金儲けのためにだけ投資したい人。
 4.5㎞の範囲内で住んでいる人でも最高50株しか買えないという新しい規則、それと自分たちが儲けたいために他の人が買わないように仕向けるキャンペーンの仕方はダメだということがはっきりと決まった。やっているかどうか監査がはいる。

計画段階から住民への説明と話し合いが大事 企業の役割は当面の調査費用負担など
 目の前にいきなり風車が建つと聞かされたら普通の人はいやがって反発したりします。でも最初からいろんな説明をしながらあなたも環境をよくし、エネルギーを手に入れるために投資ができるんですよ、協力ができるんですよと説得をし、理解をしてもらって住民が入っていくと反対する人がいないんですよね。ですから、住民の反対がなくスムーズにいく、というのが周りの住民を取り入れていく一番大きいメリットです。プラス経済的メリット、必ず利益が上がるという保障に近いような形で投資ができます。
 ただ、話をするだけのワーキンググループはお金がかかりません。ところが、海洋調査をやりましょう、海底がどうの、海に与える影響がどうのというアセスメントを全部調査をするとなると多額の金がかかります。これを一般の、何を知らない市民が負担できるか、というと難しいです。そういうところで大きなドングエナジーが入ってきて、彼らがその組織の銀行をやりましょう、要るお金は私たちが出しましょう、ということで話がまとまっていった。

漁業への影響も漁業者との話し合いから 逆に漁獲量が増えた
 洋上風車と言うと、漁師に与える影響がある。デンマークで法律でしっかり明記していて建物が完成するまでの間、漁ができない。その期間中は必ず補償金を出さなければいけないとなっている。漁で生活をしていなかった人たちも自分たちは漁ができなくなったので困った、と言って補償金を要求してきたケースもあったらしいが、全員に払っている。それで、工事が終わった後で実際に影響が出たかどうか漁獲量を調べたところ全く影響がなかった。
 ウナギが生息するという、草・藻みたいなものの生えている生息具合を、工事前と後、3年後とかに調べた。この辺りはウナギがよく取れるところなので。全く影響を受けていない、増えているみたい。
 ウナギが生息するとか、海底の貝とか、それも3年後に調べたらちゃんと元通りに戻っていた。漁師に人が言うには、漁獲量に関しては以前よりも増えている。なぜかと言うと、海の中にコンクリートを埋めて土台をつくっている。そこに、魚が餌にするいろんな微生物とか藻とか、いっぱい生息している。それによって、それを食べにくる魚の量が増えたので漁獲量が増えている。


 デンマークでも詐欺まがいのことをする人たちがいる。それでも、その都度、風力発電の目的を基本に据えて、法の網を作っていく。たゆまぬ努力こそ、デンマークなのだと感心してしまう。

次回は質疑編

デンマーク、スウェーデン視察報告第2日目 風力発電事務所 風力発電の設置推移(K)

2014-07-25 | 企画・行事
2014年7月22日の「デンマーク、スウェーデン視察報告第2日目 風力発電事務所 高い電力料金 解説編」 に説明のためのグラフを一つ追加しました。

デンマークにおける風力発電建設の状況

 地図は青い点は陸上及び洋上風力発電を示しています。東と西は地理的配分は全く同じ割合です。さらに、現在建設中の400MWのアンホルト洋上発電ファームはオレンジでえがかれています。同様に将来の洋上及び沿岸の風量発電のエリアも描かれています。

 今、実際に風車が建っているところを示します。今陸上はほとんどない。西海岸、デンマークは偏西風の国と言われるくらい、西風が強い。今、西海岸に規模の大きな洋上風車、風車パークがたくさん建てられている。これから建てられるうちの半分、多分50%以上もあちら側(西海岸側)に。サムソという島があってエネルギー自給自足の島として有名。

2008年までの風力発電の開発

 いまこのグラフで表しているのはだれがオーナーとして風車を持っているか。新しい法律(1982年)ができた辺りから、個人で所有(青色のグラフ)しているのが多かったが、最近は、2008年、新しい統計を取ったら、オーナーシップが変わってきた。ここまでは農業をしている人たちが個人所有しているみたいな感じの。ここから後は共同所有(灰色のグラフ)になっていてオーナーの名前が出せない。誰だかわからない状態でこうなってしまった。

政権交代で風力発電への補助金なくなる
 政権が代わって社民党ではなくて、今の自由党の方かな?補助金なんて出さなくても風力発電は自動的に伸びていく2000年ごろ、新しい法律を制定して、補助金を出さない、上乗せしないという方針を打ち出した。その途端にしょうがない、古いプロジェクトで進んでいたところはそのまま進んだが、新しい建設はほとんど見られなくなった。

再生可能エネルギーに補助しない政党は人気がなくなる
 2000年で新しく選ばれた政府が補助金を出さない、グリーンエネルギーに力を入れなくても、民間ベースで十分にやって行ける、と言ったとたんに、こういう状態、これを国民が見ていてこの政府には任せられないと思い始めた。国の選挙で勝つためにはやはりグリーンエネルギーに力を入れざるを得ないんだというのを右寄りの政権が気が付いたということ。この辺りからグリーンエネルギーに力を入れるという政策が復活してきた。
 自由に任せる、民間ベースで十分に伸びていくといった一番の理由は、値段に上乗せしないということですから、市場プライスで生き延びていくことができると言い切った。ところが、2007年にマーケットプライスだけでは生き残っていくことは不可能なんだということを当時の政権が痛感した。次の選挙に勝つためには、裏返ししたといわれるような政策転換を行って、グリーンに力を入れるようになった。


電力会社は風力に投資したくない
 このシングルパースンというのは、個人で10人位までの、例えば農業経営者の人が3、4軒一緒に共同出資して建てるのは全部、シングルということになっている。昔から、ある程度はシングルで来ているのが多かった。
 ダークブルー、これは政府が電力会社の方にこれだけの投資をしなさいと義務付けたもの。その分までギリギリにトータルで最終的に100MW分は絶対に投資しなければいけないという政府が義務を課した分だけがこの間に電力会社に実施された分です。それ以上は1krたりとも投資したくない、この風力部門には。あとは、共同出資と言うことになります。(やはりデンマークの企業の利益至上主義)

風力発電の設置場所、市が調査して許可する方式に変更
 この93年、94年はガクンと減っている。これにも理由があって、デンマークの国が新しい法律を制定して、これ以前は市がゴーサインを出せばどこでも建設できたのが、場所によっては自然保護地域であったりとか、いろいろ建設されても困るようなところにも建設されてしまったという事実があったので、じゃあ、どこだったらいいのかをしっかり調査して市が決めた上で許可を出しなさいと言う法律に変えた。調査するのに数年かかっている。その間は建設が減っているということです。

所得が増えて風車が増える 日本も「貢献」
 ここで、急激に農家の人たちが建てた。個人所有に近い、10人以下の人たちが、なぜ増えたかと言うと、アメリカと日本がデンマークからいろんな農産物、特に豚肉、日本の値段はほかの国が輸入するよりもはるかに高いです。というのは肉のカットの仕方が日本流のカットで特別な注文を付け、その分は高い値段で買ってくれた時代です。つまり急激にお金持ちになった農家の人たちが、これは投資としてもいいんだと過去に分かっているので、市の方もプランを作って、この地域だったら建ててもいいよと条件を満たしているところを指定しています。指定している場所がたまたま自分の農用地だったら、その農用地の一角に3基くらいまとめてボンと経済的な投資と言う意味で建てた。

つづく

デンマーク、スウェーデン視察報告第2日目 風力発電事務所 風力発電に欠かせない条件(K)

2014-07-24 | 企画・行事
 引き続きクリスチャンさんの上のプレゼンテーションのレクチャーです

再生可能エネルギー導入・普及に欠かせない条件

ここまで進んだ一番大きな理由 グリーンエネルギーは100%買取の義務
 デンマークのここまで進んできた一番大きな理由は、再生可能エネルギー、風力も含めて、グリーンエネルギーと言うものを生産したら電力会社は必ず、否応なしに100%買い取らなければいけないというシステムになっている。カナダでアドバイザーとして仕事をしたときに、カナダはやり方が悪くて失敗したが、必ず買い取らなくてはいけないというシステムではなくて、お互いに電力ネットを持っている、製造している、その2つの間で値段を交渉しながら、1年か2年分だけ決定していく、そういうやり方だと長い目で見て続かなくなる。結局システム的にはダメになる。デンマークは必ず買い取らなくてはいけないという義務がある。私の経験からいけば、値段も決めて、絶対買い取らなければいけないというのはベストの方法です。

発送電分離を法律で義務付け 売電価格の計算もシンプル、がポイント



図及び下記の説明はWIKIPEDIAより
事業者の区分  黒:発電、青:送電、緑:配電(青の部分がTSOが行う事業)
In electrical power business, a TSO(transmission system operator) is an operator that transmits electrical power from generation plants over the electrical grid to regional or local electricity distribution operators.(電力事業において、送電システム事業者は、発電所から電力網を使って、地域や地方の配電事業者に送る事業をしています)

 デンマークは今は電力を製造するという発電機能を持つ会社と、電力網を使って一般の消費者・企業に届けるという別会社にしなければならないという法律になっている。買ってもらう値段の計算をこれがシンプルでなくてはいけない、シンプルな計算で契約が結べるというのが重要なポイントです。これは日本でも大切なポイントになるんじゃないかと思う。

風量発電の不安定は国内外の送電網で解決する
 (電力)製造部門と流通・配電する部門を分けなければいけないということに反対している人ははっきり言えば頭が悪い、怠け者だ。

 風力発電は風が吹くかどうかでかなり能力が変わってきます。安定して供給ができるという条件を満たさないと、今、紹介した(風力発電の)システムは難しい。デンマークは1980年代始めに発電所と電気を供給する会社と全く同じ、一つの会社だった。1999年には完全に別会社に分けるシステムになった。その段階で新しく供給する会社を私がスタートした。
 その時点で一般的に言われていたのは、風力発電を一般の電力網の中に組み込んで提供できるのはせいぜい最大で10%くらいと、風が吹かない時は生産ができないというような不確定要素があるので。
 それから今は10数年たっているわけですが、いま20%というのは当然だ、と言われて将来は提供する電力の50%くらいは簡単に風力発電で賄えるようになるとも言われています。

買い取り価格の保障 補助金で上乗せで
 今まで石炭を使った、オイルを使った発電所、建設するにあたって国はかなりの補助金を出しているという歴史的バックグラウンドがある。環境に優しいグリーンエネルギーには何も出さないのはおかしいだろうと言おう批判の声が起きてきた。
 建設コストは風車株とかで賄っているので、一番どういう形で援助ができるかと言うと、まず風力発電でできた電力の値段の上に税金を使って、高くするための上乗せをして、高い値段で買い取ってくれる、そうすると、投資する側にとっては魅力のある高いレベルで収入が入ってくるので。トータルで22,000フルタイムアワーというのは複雑な計算だが、一言でいえば、電力が供給できるようになって最初の7年間までは市場プライス、2011年の、2009年のプライス、いろいろ値段が出ています。この値段プラスエクストラの補助としての33.6€/MWhを上乗せしてくれる、ということです。つまり、より高い値段を保障してくれるという制度を導入した。

つづく

デンマーク、スウェーデン視察報告第2日目 風力発電事務所 デンマークの共同発電モデル(K)

2014-07-23 | 企画・行事
デンマークの共同発電モデル


市民がコントロールできる投資の仕組み 株主は1人一票制、借金をしないこと
デンマークでは風車株を発行して一般の市民に買ってもらって、それを元手にして建設をする。下水場の所は3600株発行して902名の方が買ってくれた。複数で持っている人が結構いる。ミドルグロン40500株を8553人がわけて持っています。さっきの3基の所は2268人が20700株を分けて持っています。
しかし、一般市民だけの投資で建設するのは難しいです。というのは電力会社の方のつなぐということまで考えに入れてコストとした場合、デンマークの場合は共同経営、あと国レベルでやっている大きいところ北海油田とか、任されているところDONGと言うところがあるけれど、ここが半分くらい出して。ミドルグロンの所は10:10だから半々で出した。そのお金でこのプロジェクトを進めていった。何かを決める時は投票にしますが、その数は持ち株の数にかかわらず、人間一人につき一票と言うことです。
 デンマークのやり方はまずプロジェクトを立ち上げて、電力会社で例えば50%とか、一般の方が投資するのが50%ときめます。一番重要なのは、借金をして建設しないということです。利子が上がったり下がったりして、あとどうなるかわからないので、原則は借金をしないで建設をするということです。運営を任されている役員会の人もそれを守っている。

誰でも参加できる一株の値段

 基本的な考え方は投資とか経済にあんまり深い知識がなくても、このエネルギー部門で一緒に協力してやりたいなと言う気持ちを持っている人なら誰でも参加できるような一株の値段と言われている。学生でアルバイトしてちょっとお金があるから投資するというのも可能な額だということ。

 建設のコスト、たとえば風がある、波が高いなどいろいろ条件があるので、建てた場所によって西海岸なのか、東海岸なのか場所によって建設コストが変わってくるから一株の値段と言うは幅があります。350€~670€くらいの幅になっている。一人が所有するのは3~5株くらい、理論上は一株で1000kwh/年、1年間で生産できるという計算になる。これを売って収入になるわけですから、結構投資としてはいい。(風力発電の売電価格はいくらか、聞くことができなかったが、およそ10%の年利、あるいは9年で回収できたと言う記事がある。)
 一応、借金をしないということだがあまりお金がない年金生活の方も、学生も一緒に投資したいという場合は、それが可能になるようにこのプロジェクトをスタートした組織と特別な契約を結んだ銀行が高い利子のローンではなく、将来見込まれる電力の売電収入を抵当権と言う形で収入として、お金を借りることができるという仕組みになっている。自分でお金を用意しなくても、何か抵当を用意しなくても借りられる。

 再生可能エネルギーを推進させるためと言う目的なのである程度までの電力を生産して売って収入がある場合は無税で受け取ることができる。ところが、3~5株持っている人たちが入ってくる収入、年間3000~5000kWhを満たしているのでかなりの収入が見込める、ローンを組んでも自分に降りかかってこないのでとりあえずたくさん持ちたいという人たちが増えてきた。最初の目的は税金逃れではないので、940€/年を超したら超した分に税金を払ってもらうという措置が付加的にとられている。モデルとしたら10~20株、それを超したら税金の対象になる。