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秘密保護法 秘密は30年で情報公開が世界の流れ アメリカは25年で公開(K)

2013-11-19 | 特定秘密保護法
 今日の夕方、ラジオで秘密保護法の30年経っても秘密にできる規定について話していた。世界的には30年経てば秘密文書は通常公開されることが常識、それは1968年のマドリッドで合意されている、と紹介していた。
 インターネットで調べると、国立公文書館統括公文書専門官室公文書専門官の小原 由美子氏が2011年6月に「ICA30 年原則制定の背景」という論文を発表し、国立公文書館のホームページに掲載されていた。なぜ、30年で公開なのか、この論文に書かれている。

1.ICA30 年原則
 公開に関する「30 年原則」が広くアーカイブズの世界で基準として認められたのは、アーカイブズの国際機関International Council on Archives(以下、ICA)が、1968 年にマドリッドで開催された第6 回ICA 大会(International Congress onArchives)において採択した決議であった、とされている。ICA は、1948 年にユネスコの支援の下に設立された非政府組織で、パリに本部を置き、現在では国連加盟国のほとんどを含む約190 の国と地域が加盟している機関である。

2.1966 年ICA ワシントン大会における議論
 1968 年の大会に先立ち、実はその2 年前の1966年に、アーカイブズのアクセスに関するICA の臨時大会が米国のワシントンDC で開催されている。(その中で次のことが言われていた。かっこ内は筆者。)
⑶ 現代の歴史、経済、社会の各分野における必要性の見地から、大会は、アーカイブズ所管関係官庁に対し、可能であれば、公開制限期間を減らすこと、さらに、一部の特定分野の文書については、研究目的の利用に限り、予め定められた制限期間以前に公開することを通じ、アクセスルールの大幅な自由化に努めることを希望する。

4.1968 年ICA マドリッド大会決議
 そして、1966 年ワシントンDC におけるICA 臨時大会から2 年後の1968 年9 月3 ~ 7 日、スペインのマドリッドで第6 回ICA 大会が開催された。そこで、次の決議が採択された。

Ⅰ.自由化検討ワーキンググループの報告に基づく決議
⒜ 公開制限と公開時期の延期について
1.大会は、各国のアーカイブ関係機関が、文書の公開をコントロールする規定について徹底した調査を行い、所管機関に対して、学術研究のニーズにかなったアーカイブ記録の公開制度とするため、全ての不当な制限の解除を提案するよう、勧告する。
この目的を達成するため、大会は、以下のような公開規則の緩和を勧告する。
a)公開制限期間を定めている各国においては、一般的な制限期間について、文書の作成から公開までの間が30 年を超えないものとし、必要な場合は留保事項を設けること。
b)特別の事例について更に長い期間制限する場合は、現実に必要がある場合に限ることとし、その制限期間は80 年を超えないものとすること。
c)最大限可能な限り、特定の分野、資料群、又はシリーズについて、通常の制限期間が過ぎる前に、自由な利用を可能にするよう検討すること。
・・・・
おわりに
 今から40 年以上前の30 年原則確立の時期の議論を見てきたが、我々にとっては、議論の内容は本質的にはそれほど陳腐化しているとは思えない。ICA30 年原則の制定当時は、30 年という年限は、そこで初めて公開される時点である場合が多かったが、その後の情報公開の流れにより、30 年を経過するまで利用が制限される事項が徐々に減じていき、現在では、30 年という年は、利用制限が、公開することにより個人・団体や国家が重大な不利益をこうむる恐れのある最小限の情報に限られる時点となり、しかもその時点までの期間は、30年よりさらに短くなる傾向にある。
 Wilson が言ったように、ある事実や事件についての記録は、生きた証人がいる間に公開されることによって、その価値に息吹が与えられる。記録が公開されず利用されなければ、その記録が持っている知恵や警鐘も活かされることはない。公開により人権や国家の安全等が脅かされることはもちろん避けなければならないが、公開することにより市民や社会が享受できる利益についても考慮しつつ、利用制限の解除の時期について、今後も議論を重ねていくべきであろう。


 以上が30年原則に至った経緯、と紹介されていた。
 日本軍慰安婦問題、「X年後」のようなビキニ環境での被爆体験、731部隊の実態など、体験者が生きている時だからこそ、より確かなものになる。それは子どもたちの時代の正確な教訓になっていく。「ある事実や事件についての記録は、生きた証人がいる間に公開されることによって、その価値に息吹が与えられる。記録が公開されず利用されなければ、その記録が持っている知恵や警鐘も活かされることはない。」とは人類の進歩のための重い言葉である。

 ちなみに、アメリカでは通常は25年で情報が公開されることも、ラジオで紹介されていた。
「機密情報は、原則として、原機密指定から25 年経過した年の12月31 日までには機密解除されなければならない」(大統領令3.3 条(a)項)

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