青山一丁目はこと飲食店においては
お隣の外苑前や赤坂と比べると非常に変化の少ない街だ。
閉めるお店が出ると銀座なんかでは
あっと言う間に新しいお店が入るものだが
この地ではオフィスに変わってしまったりもする。
そんな青山一丁目に先日新しいお店ができたので
待ってましたとばかりに行ってきたのだ。
うお藤。
場所は青山一丁目の駅に隣接する
ツインビルの地下1階の飲食店街だ。
以前は和食を出すお店が入っていたのだが
その跡地を全面改装して板場をカウンターが囲む
オープンな雰囲気なお寿司屋さんだ。
ランチメニューは
鉄火丼 ¥950
お造り定食 ¥1,000(1人前)
¥1,250(1.5人前)
おまかせにぎり ¥950(1人前)
¥1,200(1.5人前)
頼んだものは鉄火丼を当然のように
大盛りで注文させていただいた。
数分で赤身の上に叩いた脂身ののった大きな鉄火丼と
小鉢が2つ。それから赤出汁が添えられてやってきた。
この小鉢2つは栄養価を考えると
非常にありがたい。
まずは赤出汁を・・・
鰹の出汁かな?味噌も出汁も効いてはいるが
人の手が入っていないような機械的な味だ。
バランスは良いのだが
意識を味噌汁自身には向けてくれない。
続いて主役の鉄火丼だ。
山葵は粉山葵だろう。
見た目にマグロが泪ではなく汗をかいていたので
ちょいと期待ができなくなってしまった。
この泪と汗とはなんぞと言う方のために少々。
解凍後、冷蔵していたマグロは
適温になると旨み成分を含んだ分泌液のようなものが
切り身の表面につくのだ。
寿司屋でマグロを頼んだら
この分泌液が出るまでは口に運ばず
10分かかっても待つのが良いだろう。
この旨みののった雫のことを
泪と呼ぶ食道楽は多いのだ。
逆に汗とは泪と同じように、
マグロの切り身に見られる雫なのだが
こちらの方はマグロの解凍方法に失敗したという話だ。
その多くが冷凍で流通されるマグロは
解凍法によって旨さが格段に変わる。
自然解凍をしてしまうと
氷の水分がマグロの旨みを垂れ流してしまうのだ。
この際に表面に残った水分を汗と呼ぶ者もいる。
こうなったマグロは水ッ気が多く、旨みに乏しい
マグロと呼ばれるただの赤い刺身に成り下がってしまうので
塩とぬるま湯で旨みを閉じ込めながら冷蔵庫などで
解凍した方がより美味しく仕上がる。
確かめるべく早速口の中に運んだのだが・・・
やっぱり駄目だ!
素材の良し悪し以前に解凍に失敗している。
臭味もなければ旨い赤身が与えてくれる
舌先がビリッと痺れるような刺激もない。
もう1点。
酢飯の作りがとても良くない。
酢がよく回っておらずドンブリとしての
酢飯と赤身の一体感が全く感じられない。
こうなると仕事が雑に見えてしまう。
小鉢だが1つ目は肉じゃがだ。
肉じゃがはメイクイーン派と男爵派に分かれるが
私は男爵大好き人間。
そのことについてどうこう言うことは無い。
みりんで甘味がやや強い肉じゃがだが
美味しくいただけた。
2つ目はいわしのつみれ。
餡にトロ味がつけてあって
魚の旨みがぎっしりと凝縮された
ツミレをさらりと食べさせてくれた。
この脇役が一番旨かった。
現状、できたばかりで連日繁盛しているが
今のままでは雲行きは怪しい。
小鉢などでいい仕事も目にできたので
酢飯のつくりなど当たり前のことを当たり前にやって行ければ
晴れ間もさすのだろう。
ご馳走様でした。
うお藤
〒107-0062
港区南青山1-1-1新青山ビル東館B1
鉄火丼大盛り ¥950(大盛り無料!)
甚平満足度 ★★☆☆☆
甚平満腹度 ★★★☆☆
・・・おっ、お代官様ぁ!甚平に愛のムチ3連射を・・・
・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
それでは明日もお会いしませう