ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

びっくり恐竜カード

2012年02月09日 22時27分33秒 | コンケン 第9特別教育センター


今日は聴覚障害クラスで “びっくり恐竜カード”を作ろうと思う。
“びっくり恐竜カード”は見たところ、ただのカードだが
あれ?? なにか出てる・・。
ピョコンと跳びだしている、これは何? 何? 何かなあー???
と子どもたちが不思議に思っていると、開けたらびっくり
恐竜がガオーッッ!!と立ち上がるカード。
      


そのために、導入の1つとして恐竜のお菓子を用意。
今日のおやつタイムは恐竜お菓子を食べる。
お菓子を入れたお皿をひっくり返してしまった子がいて
     


頭からお菓子をかぶり、顔中お菓子がついているのだけど
もぐもぐもぐ・・・ 食べ続ける。
恐竜お菓子はそれくらい子どもたちに人気なのだ。
      



さて、今からシラパ(芸術活動)の時間です。
     

このカードから出ているのは なーんだ?
なんだろうねえ なんだろうねえ?
「へび!」「しっぽ!」「うさぎ!」

さっきみんなが食べたのは何かなあ-?
何を食べたんだったっけ-?
といいながら カードをひらくと ニョキッと恐竜の登場。
恐竜が立っている!
「オーホォー!」とタイ独特の驚きの声。

今日はこのびっくり恐竜カードを作ります。




まずは線に沿って切る。
切った恐竜に好きに色を塗る。
     


塗っている途中で、赤いクレヨンを口紅にみたてて
口紅を塗るしぐさを繰り返す女の子。
やることがかわいくて、大人はみんなクスクス笑う。
     


何色の恐竜でもOK。
自分一人で塗る子。  お父さんと一緒に塗る子。
それぞれでよし。
       



恐竜ができたー!!
     


立つだろうか? と心配げな子。
     


恐竜の足を台紙に貼り付ける。
どうだ?!
立った-! というときの嬉しそうな顔。
   


台紙にもせっせと色を塗る。
     


ここで登場したのが、恐竜シール。
日本から私の先輩の先生がタイに送ってくれたもの。
元同僚の先生が タイの子どもたちにと送ってくれたきらきら光る恐竜シール。
出したとたんに、みんなの目もキラキラ。
     

ひとつ、ほしいのを選んでカードに貼る。
あれ? 先におでこに貼ってから台紙に貼るのか、楽しんでるからよし。
     
まだちょうだいちょうだいという子どもたちに、「明日またね」と約束。


他にもちびまる子ちゃんシールや「よくできました」シール、
なんやかやと貼り付ける。
一番人気はやっぱり、キラキラ恐竜シール。
なんってったって、コンケンは恐竜の骨が発掘された場所、恐竜がシンボル。

恐竜が りりしく立っている。
しっぽには「よくできました」シールがキラリ。
     


ハサミを使う、のりを使う、シールを剥がして貼る、全ての動作が
全て大事な経験で大事な学習。


しげしげと恐竜とにらめっこ。
     


「何かな何かな?この飛び出しているのは何かな?」
から出発して
「わあー! 僕の恐竜が立ってる!」
という驚きと喜びで終わった、今日の活動。
恐竜に「サワッディーカー」(こんにちは)と
あいさつする子どもたちのかわいらしいこと。
    




授業が始まる前に、ある保護者が
「日本は寒いだろうからこれを持って帰って使って。」
と手編みの帽子をプレゼントしてくれた。
先週好きな色は何かと聞かれて、ちょうど火曜日だったので
「火曜日の色のピンク」と答えていたら、ピンクを選んで作ってくれた。
凝った手編みの帽子で、私が作れば何週間かかるだろうと思うようなもの。
     


日本人は年をとるとピンクを身につけるのに抵抗を感じる人が多いが、
タイ人は年をとった人でも、男の人でも濃いピンクを身につける。
タイ人らしい、かわいい帽子。
ちょっとかぶってみて!とお母さんにかぶってもらうと
まあ、なんてかわいらしい!似合ってる!
     
私がかぶるとお母さんたちは「かわいいわ!」と言ってくれるけれど、
いや、なんだかかわいくないと思う・・・!なぜ? 
     



「風邪をひかないようにね。日本はすごく寒いんでしょう?」
と、保護者がみな言う。
心のこもった手編みの帽子、大事に日本に持ち帰ります。
     

ブータンからやってきた歯

2012年02月08日 22時16分31秒 | 青年海外協力隊 二本松訓練所
配属先、第9特別教育センターの子どもたちを連れて
お寺にタンブンに行く。
お寺はビックイベントに盛り上がっている。
    


どうして今日、タンブンに行くのか特別な何かがあるのか尋ねてみると
詳しいところが仏教用語の連発で分からない。
分かったのは、ブータンから ブッダに関係する誰かかなりの位の人の歯を
コンケンに持って来たのだということまで。
    


お賽銭のようにそれぞれの気持ちでお金を入れて、
花を持つ。
     


私も願いを込めて花を選ぶ。
     



高校生や中学生もたくさん、先生と一緒に来ている。
授業を中断して生徒を引率してくるくらいだから、かなりの
特別イベントらしいことは分かる。
   


お寺の周りを3回まわる。
    


銅鑼を叩く。
     


バナナの葉で作ったクラトンはタイ人の器用さとセンスの固まり。
     



どこにでも人が多く集まる場所には現れるのがタイの屋台。
サラパオ(肉まん)の屋台に アイスクリームの屋台。
    


飲み物を作ってくれる屋台。 暑さで大人気。
    

宝くじ売りまで現れて、お客さんもここで購入するのだからすごい。   (→過去ブログ 「タイの宝くじ」
お寺で買えばツキがあるのかもしれない。
      


タンブンは大事なイベントなので、みんな写真写真と何度も何度も撮る、撮る。
  




帰りにはバスの中でちょっとした遠足気分を味わって
楽しそうな子どもたち。
    


うーん、しかし、何だったのだろう。
こうやって、分からないけど流れについていっているということは
ちっとも珍しいことではなくて、分からないなりにタイ人の中に入って
なんとかやってきたなあと つい感傷的に振り返ってみてしまう今日。

桜の木に集まるのは

2012年02月07日 22時01分40秒 | コンケン 第9特別教育センター

この間作った桜の木。    (→ 過去ブログ 「桜の花を咲かせよう」
自閉症クラスに咲き誇っている。
とくに保護者が喜んでくれて、
「香りが漂っているみたい」
なんて言ってくれる。

だったら、今日は、その香りに集まる生き物をみんなで作ろうかと思う。
香りに集まってきたクラスのみんな、お母さんたちが、自然の生き物になって
桜の木のまわりに集まる。
そんな光景をイメージして。


二つに折った紙を、書かれた線の通りにハサミで切る。
      


開くと左右対称の生き物ができるようになっている。
開いたときに、「おおお、トンボだ!」「チョウチョだ!」
まず、ここでちょっと嬉しい。


好きなように色を塗る。
私はこの時間が一番楽しくて、みんなが今日はどんな色づかいを見せてくれるのかと期待して見る。
固定の概念のちっともとらわれない色づかいをする人たち。
その色づかいからも、この人たちの内面の豊かさを感じる。



ハサミを使うのは苦手で、お母さんに任せっきりだったこの子も
      

色を塗るのは得意で、好き。
誰の力も借りずに、一人でどんどん塗っていく。
自信たっぷりに塗っていく。
      
お母さんが、「クーサーイ」と小さい声で私に合図する。
「見てみて、この子、一人でやってるの、すごいでしょう?」という合図。
お母さんと目をあわせて、この子の後ろからすごいすごいと小さな声でひそひそ
ほめる。



この日は月曜日で、曜日のカラーは黄色。   (→ 過去ブログ 「月火水木金土日 曜日カラー」
黄色の服を着た親子が、黄色に   チョウチョを塗っていて、それもおかしくて
「月曜の服を着たチョウチョ!」
とお母さんと一緒に笑う。
    


トゥッケーを担当しているこの子。
お母さんが「まあ、こわい、こわいねえ。」
と声をかけながら一緒に色を塗るが、このトゥッケーのカラフルで愛らしいこと。
なく子も黙るトゥッケーのはずなのに、この子のトゥッケーは全然怖くない。 (→ 過去ブログ 「トゥッケー」
しかも、最後はこんな顔を描くとは。
あまりのかわいらしさに吹き出してしまった。
    


友達列車を作って以来、日本の国旗が気に入っているこの子。  (→ 過去ブログ 「友達列車」
日本の国旗を描いて、作ってとせがむので、この課題が終わったらすぐに作ってあげると約束。
そのあとは、テントウムシの点々を模様をひたすら描く、がんばる。
      

ハイ
約束通り、日本の国旗をプレゼント。
他の子も興味をもって近寄ってくる。
     
日本の子どもから愛されない日本の国旗を、タイの子どもが慈しんでいる。
手に持って喜んでいる。
日本ほど国旗を愛さず、国歌国旗に不満を持ち、誇りをもたない国はないなと
ここにいるとよく思う。


できあがった生き物たちが桜の木に集まる。
     


今日のMVPは、なんてったって、このカラフルで愛嬌たっぷりの表情の
このひょうきんなトゥッケーでしょう。
     




ヌア・デッディアオ  肉を干す人

2012年02月07日 12時41分41秒 | タイ料理
เนื้อแดดเดียว ヌア・デッディアオ 牛干し肉
     


コンケン大学の敷地内にある道路を歩いていたときに
道ばたで肉を干しているおじさんを発見。
   


鍋の中には牛肉がたれに漬け込まれていて、
それを天日干しにしている。
      
    



日本人は干し肉という食文化がないが、タイ人はよく干し肉を作る。
灼熱の国対では、暑くて食べ物が腐りやすい。
だから、タイ人は塩漬けや発酵食品など、いろいろな保存食を作る。
これも、その一つ。
太陽の力を使って作るタイの乾燥保存食。
乾燥させることで、生肉とは違うおいしさが出る。

タイの食のバラエティには感心するばかり。
アジアで最も食文化が豊かな国ではないかと、私は思う。


牛の干し肉を เนื้อแดดเดียว  ヌア・デッディアオ、
豚の干し肉を หมูแดดเดียว  ム-・デッディアオという。


ニンニクやナンプラーなどにじっくりつけ込んでから干し、
揚げて甘く味付けしたものを ヌア・デッディアオ・トートといい、
香ばしくて甘辛くて、カオニャオがどんどんすすんでしまうおかず。
ビールのおつまみにもぴったり。

           

ミッキーマウスのマーチ

2012年02月06日 16時41分33秒 | コンケン 第9特別教育センター

以前は私の近くに寄りつかなかったこの子。
この子と個別学習をしていなかったということもあり、
私の関心も他の子に向いていたからいけなかった。
とても敏感な子だから、自分に気持ちがむいていないと感じ取っていたのかもしれない。

日本から私が戻ったときには、嬉しそうにしてくれて、
それからは魚が好きなこの子と一緒に魚の絵を描いたり、
水族館作りではこの子に大好きなサメを担当させたり、  (→ 過去ブログ 「水族館をつくる」   「水族館が完成」
抱っこしてといえば抱っこしてぐるぐる回ったり、
そんなことをしているうちに今はいい関係ができている。


記憶力がずば抜けていいこの子は、朝いつも
「クーサチエ」(サチエ先生)と、
「クーサーイ」のタイネームではなく、本名で何度も呼び、
他のこと自分は違うんだぞ、特別に自分を見て特別に好きになってよ、
と、アピールしてくる。

放課後は、魚の絵を描いてもらうために他の教室にいる
私を探してやってきて
「タムプラー タムプラー」(魚作って魚作って)と連呼したり、
かと思えば、描いてあげた魚の絵は廊下に捨てていったり、
とってもおもしろい子。
      


この子が急速に私に近づいたきっかけの1つが、ミッキーマウスマーチ。

この子の名前はビックボスという。
ビックボスと個別学習していたときのこと。
ミッキーマウスが描きたいというのでミッキーマウスのお面を作ることにした。

だけど、他動性の強いこの子は、すぐに集中力がきれてしまう。
あちこち触ったり、立ち上がったり、じっと色塗りの作業をするのが困難。
だから、集中力が切れそうなとき、すぐさま太鼓を叩いて、
「ミッキマウス ミッキマウス ミッキミッキマウス♪」
と、ミッキーマウスのマーチを歌ってみた。
      
「お??なんだ??」
とまた関心がわいて、興味がミッキーマウスに戻る。


それを繰り返しながら、歌にも飽きてくるかという頃に
なんとなく、思いつきで、
「ミッキマウス ミッキマウス ビッグ ビッグボス♪」
と、この子の名前を入れて、替え歌にして歌ってみた。

すると、この子の目がきらり。
にんまり。
こういう遊び心がよく分かる繊細な子なのだ。
      


その歌を歌ってほしくて、何度もちらりちらりと視線を送る。
楽しい学習になるように、こっちを見たときには、歌ってあげる。
にまにましながら、ミッキーマウスの色塗りが終了。
ミッキーマウスマーチを歌いながら、喜ぶ。
      


それからのこと、この子が近づいてきて
「クーサチエ、 ミキマス  ミキマス」
とリクエストするようになった。
私から隣に近づいてひそひそ歌ってあげるときもある
     

にやにやしながら 歌ってあげると、ビックボスもにやにや。
二人でにやにや。
     


魚を描いて描いてとねだるときには、すぐに描いてあげる。
魚のそばにちょこっと、ビッグボスの似顔絵をネズミ風に描いておく。
     

賢い子なのですぐに絵に気づき、おもしろさが分かる。
にやりと笑ったあと、ちらちら ちらちら見ながら文字を書く。
そこで「ビックボスのマーチ」を歌うと喜ぶ。
二人で顔を見合わせてにやにやできる。
     


ミッキーマウスのマーチならぬ、ビックボスのマーチ。
にやにやしながら歌う。
お互いに楽しくて、通じ合ってるなと確かに感じられる、大事な「ビッグボスのマーチ」
      

写真をサイバーツ

2012年02月05日 09時20分12秒 | 日記

朝、サイバーツ(喜捨)しに部屋を出ると、まだ外が真っ暗。
時間は6時。
でも、少し歩くだけで刻一刻と夜が明けて朝の空になっていく。

ソイローポーショーにはまだ、月が出ている。
でも、振り返ると反対側には朝日も昇っている。
     



   「東の野に炎(かぎろい)のたつ見えて かえり見すれば 月傾きぬ」

柿本人麻呂が、草壁皇子の崩御の際に詠んだ歌。
日本最古の歌集、万葉集に収められていて、中学校の国語で学習する。
  

大意は
「東の野原に炎のように朝日が昇ってくる。
 それを、ぐるりを振り返って西を見ると、月が今、沈もうとしている。」

「かえりみすれば」にダイナミックな振りかぶって見る感じがあって、
野を燃やすように赤く上がる太陽と、今同時に沈もうとしている月の情景が
目に浮かんで想像豊かにできる、いくらでも想像を膨らませることができる歌で
この歌が好きだ。

御子の崩御を沈む月にたとえ、命が今沈んでいく様を詠んだのかもしれない、と思うと
少し、もの悲しくもなる。

東から赤く燃える太陽があがる、
振り返ってみると、西には月が今まさに沈もうとしている、
そんな情景が見られるものなのだろうかと、憧れに近い気持ちでこの歌を
日本の中学校の教室で、いつも冬の寒い時期に読んでいたものだった。


今見ているこの景色が、まさに、柿本人麻呂のこの歌の風景と
同じじゃないかと、朝から道に立ち尽くして月を見、太陽を見
まさかタイで見るとはと、感激ひとしお。






朝のサイバーツにはいつも5人の僧侶が来る。
今日はその僧侶たちに写真を渡す。
初詣の時に僧侶からメモリースティックに写真を入れてほしいと頼まれてから  (→ 過去ブログ 「タイの家族と初詣」
そうだよなー、僧侶だって自分の写真がほしいにきまってる、
と、今さら思った。
タイ人は自分の写真が好きで、パソコンや携帯の待ち受けは100%の確率で自分の写真。
子どもたちや保護者やソイローポーショーの人たちに写真をあげているのだから
僧侶にもあげないと。
と、またカメラ屋さんに通って現像してくる。
      



ナムプリック屋のお母さんやおばあちゃんたちも、
「僧侶の写真なの?!あげるの?」
「まあ、いいことしたわね!」
「5人の分け方が間違ってないか、私が確認してあげる!」
といって、楽しそうに見て、
「まあ、この写真すてき」
「これ、私もちょうだいよ。」「こっちはまあまあね。」
と、仕分けそっちのけで盛り上がっている。
      

犬もわんさか集まってくる。
     



「写真です。」と渡すと
「おお。」
とうなる僧侶たち。
サイバーツで食べものや飲み物、お金は受けとっても、自分の写真を
うけとったことはきっとないんじゃないかな。
      






ソイローポーショーの人たちにも、段ボールで和紙の写真たてをつくって
写真を入れて渡す。  (→ 過去ブログ 「すいかカードと写真たて」  「終わりが見えるから」
    


「高価なものじゃないけど、自分で作ったから、心を込めて作ったよ。」
とカタコトのタイ語で伝えると
「心を込めて? んまあ-。」
と、私を見つめ嬉しそうな顔をする。
この顔が見たくてやっていることなのだ。
     


果物屋のおばちゃんは何をしても喜んでくれるけれど、
この写真に写っている自分の服装が、ちょうど今日着ている服装と同じであることに
大笑いし、笑いが止まらない。
その笑う姿がおかしくて、私も一緒に大笑いする。
    


ナムプリック屋のお父さんたちはすぐに飾ってくれて
来るお客さんお客さんに言う。
「日本の娘がね、浴衣を着せてくれてね、この写真たては自分で作ってくれてね。」
「友達が来てね、それがね、泣いて泣いて 泣いて帰ったんだよ。」
こんなことまでお客さんに話すお父さんも、へえそうなの、うんうんと
うなずいて聞いているお客さんも どちらも素敵だ。
       


ガイヤーンのおじちゃんは、いつも言葉少ないが、写真たてを渡すと黙り込んでしまった。
      
 

ローティ屋台のおじちゃんおばちゃんは、「すしローティ」といって
カオニャオとローティを合体させて作った創作料理、
おじちゃんいわく 「寿司」 を食べさせてくれた。
この遊び心がすてき。
      


ふと自転車のかごを見ると、ネームとカオニャオが入っている。
いつのまに??
ガイヤーンのおじちゃんと目があう。
言葉少なく木訥としたおじちゃんは、私に黙って受けとってほしくて
私の自転車の籠にそっと私の好きなネームとカオニャオを入れてくれた。
お・・・おじちゃん・・・ 胸にぐっとくる。
      


少し前のことだが、
ガイヤーンのおじちゃんに日本のお菓子をわたしたら、
そのときも黙ってしまい、一言、
「払うお金がない。」
と、言ったことがあった。
お金なんていらないいらないと、お菓子を押しつけてきたが、
おじちゃんにそんな言葉を言わせてしまったことが申し訳なかった。
よかれと思って、喜ぶ顔が見たくてあれやこれやとあげたくなってしまうが、
それは、貧富の格差を見せつけた行為であったのだと思った。
言わせずともいい言葉を、おじちゃんから言わせてしまったことが悲しく、自分がいけなかったと猛烈に反省した。
おじちゃんが、ちょくちょくとくれる、私の好きなネームやガイヤーン。
それらでは、補いきれない格差をおじちゃんはその時感じたのだと思う。

だから、今日、私の自転車の籠に、またそっと入れられていたネームとガイヤーンは、
私たちの関係が元に戻り、同じソイローポーショーにすむ人同士に戻った、
そんな気がして嬉しかった。

喜ばれたい、喜ぶ顔が見たいと思ってやっていることが、
相手にとって、私との明らかな格差を感じさせることがある。
ものをあげること、それがいいわけではないし、与えることで失ってしまうものがある。
そういうことを、ここで考えるようになった。


私があげたいもの。
高いものではいけない。 
物そのものの価値でもない。

心を込めて、配属先の人たちに、ソイローポーショーの人たちに。

パトゥナム

2012年02月04日 20時23分11秒 | 日記

「パトゥ」=「扉・ドア」
「ナム」=「水」

直訳すると「水門」のような意味になる「パトゥナム」と呼ばれる
安いものがずらりと並ぶマーケット。

バンコクにもあるが、コンケンにもある。
規模はそりゃあ、バンコクに比べれば小さいが、
それでも、一日で見尽くせないほどの店が並ぶ。
さらに、バンコクよりもコンケンの方が安くて買い物ができる。
    


安い、安い、とにかく安い。
外国人から見て安いというわけではなく、
地元タイ人から見ても安いらしくて、
「パトゥナムに行ったらお金がなくなっちゃう!」
と、配属先の人たちは言う。

本当にその通りで、私にとってもアンタラーイ(危険)な場所だ。
ついつい、安い安いと思って買いすぎてしまう。

最近は、家族が来たり、他国隊員が来たりすることが続いて
そのたびに、パトゥナムに連れて行ったので
ある日お金が底をついた。

「お金がないの!」と訴えて、配属先の人たちに
銀行に連れて行ってもらい、いざというときのためにもっておいた
手持ちの日本円を両替して、なんとか生き延びた先月。


かわいらしいタイパンツが90バーツから。(270円)
しっかりした生地のTシャツが85バーツ。(255円)
スカートが200バーツ。(600円)
すてきなワンピースが250バーツ、(750円)
パーティドレスが 500バーツ(1500円)。
     


安いものはそれなりに糸の始末が悪かったり、
生地が薄かったり、安いだけの理由があって、
いいものを求めると、少しずつ値段が上がっていく。
それは、当然のこと。
誰もが心得て、安いものは短い時間しか使わないと割り切って買う。


生地の質も縫い方の質も変わらないものが、
ブランド名がついただけで、
一方は倍以上の値段になるなんて、日本でのようなことはあり得ない。


ものの値段が誰にとっても同じということもない。
その値段を出してもいいと思う人は買うし、
私はこの値段は出したくないという人は交渉して、互いにいいと思う値段で
互いに譲り合って交渉が成立する。
だから、日本人がよく旅行から帰ってきて鼻息荒くして言う「ぼったくりにあった」、
その「ぼったくり」なんてそもそも存在しないし、
物の値段が一定と思っている日本人ならではの被害妄想だと思う。
      
     

金持ちにも貧乏人にも、
ほしい人にもほしくない人にも、
ものがたくさんある場所も、そうでない場所も、
誰にとってもどこにいっても、
物の値段が同じという、日本の常識は
世界では、常識として成り立たない。

ラムヤイ

2012年02月04日 17時18分04秒 | グルメ


タイの果物シリーズ 16


    ลำไย ラムヤイ 

    



ラムヤイ。竜眼(ロンガン)。
ロンゴーンと見た目も名前も似ているが別の果物。
ロンゴーンはグレープフルーツのような味だが、(→過去ブログ 「ロンゴーン」
ラムヤイ(ロンガン)は甘みが強く、ライチにも似ている。
       



原産地は中国だが、山岳民族など民族の移動によってインドシナ半島へ持ち込まれたという。
現在は、タイが最大の輸出国。

中には半透明の白い果肉があって、ジューッと知るが飛び散るほどジューシー。
甘くて、けれど、どれだけ食べても飽きない味。
私は果物の中で、ドリアンとラムヤイが一番好き。
甘くて飽きのこないライチのような果物、ラムヤイ好きな人は多い。
     


「竜眼」と書くだけあって、龍の眼に見えるだろうか。
中国人は特に龍特別な思い入れがある。
ラムヤイには薬効や霊効があるとされ、眼精疲労、解毒作用、物忘れ防止など
あらゆる万能薬とされてきた。
それらから、この果物の果肉や種を龍眼に見立てたのかもしれない。

ラムヤイのジュースは体にいいとされて、よく屋台でも売られている。

4月~6月頃が旬のラムヤイ。
早いラムヤイがそろそろ出てきたころで、1キロ20~40バーツ程度。(120円)
山のように積まれて売られていたり、新鮮なものは枝葉がついて売られていたり。
   


日本では食べられない、おいしいおいしいラムヤイ。
時期限定のおいしいラムヤイを、この季節ならばぜひ召し上がれ。



  過去ブログ  
 タイの果物シリーズ 1 「トゥリアン アロイ」  「はまるドリアン」
              2 「カヌン ジャックフルーツ」
              3 「マンゴー」
              4 「マンゴスチン」
              5 「ランブータン」
              6 「ドラゴンフルーツ」
              7 「ライチ」
              8 「ノーイナー」
              9 「ロンゴーン」
              10 「マカム」
              11 「ソムオー」
              12 「バナナ」
              13 「パッションフルーツ」
              14 「ココナッツ」
              15 「みかん」




    2011/8/29ブログ  「フルーツピラミッド」
    2011/9/28ブログ  「フルーツ屋台」






ガーンカセーッ  イサーン農業フェスティバル

2012年02月03日 20時16分51秒 | 日記
コンケン大学内で大きなお祭り 「ガーンカセー」。
「農業祭り」のような意味。
イサーンは農業が主要な産業。
農業をテーマに農業機械や農園、農産物、植物、
さらにイサーン(東北)の産業のさまざまな展示があるお祭り。
毎年この時期に行われる。
去年のことを思いだし、そうかあれから一年がたったかと思う。


去年は自分で行ったのでただ単に、食べものも店や服の店がたくさん出ていてすごいな
程度でしかなかったけれど、今年は配属先第9特別教育センターの子どもたちと先生とで
遠足のようにして出かけた。
だから、子どもたちの目線や、タイ人の目線で、このお祭りを見ることができた。


広い広い敷地を使ったお祭り。
去年は気づかなかったけれど、畜産物のエリアもあり、豚に牛に鳥にヤギに
ウサギに、犬に、ねずみ、なんとダチョウまで。
すでに動物園と化している。
遠くを見つめるダチョウの目は涼しげに澄んでいる。
     

だけど、最近の暑さといい、人に見られ触られるこの環境といい、
ダチョウにはストレスなんだろうな。
だって、こんなに毛が抜けて、おお・・・かわいそう。
     

ダチョウに負けないくらい澄んだ眼でダチョウを見つめる子。
ダチョウは毛が抜けているけれど、この澄んだ眼にはそんなものは映らない。
     


暑さでぐったりしているのか? この鳥は。
     


鶏がたくさん。
     
このあと、興奮した子どもたちのうちの一人が走っていって突撃し、
この籠をひっくり返したために、鶏の数羽が逃走。
「コートーカ(すみません)」と子どものかわりに謝ると
「マイペンライ!(大丈夫)」とさらりと言って笑ってくれる優しいタイ人たち。
怒らないし、嫌な顔もしないんだなあ。
    

「恐竜よ。ホラ。」と先生が言うのでびっくりしてみると
これは、恐竜じゃなくて牛、牛!
子どもは「へええー、すごいやー。」と言わんばかりにしている。
これは、牛!
     


でも、恐竜よ、と言われると信じたくなるほど迫力のある牛の骨。
     


生きた牛は暑い中モーモーなく。
牛飼いでも何でもない少年が、牛の間に入り込んでいる。
     


ねずみ・・・ じゃなくて名前があったと思うけど、忘れた。
タイで日本語が出てこなくなった。
     

「暑い、暑い、水をくれ~」
     



パグまで売られていて、値段は8千バーツ。(24000円程度)
「出たいの、出たいの、ここを出たいの-!」
ガジガジかじって脱出を試みる。
     



タイ美人がなにやら作っている。
      

蚕の繭を使って、花を作っていた。
  


タイ美人が持っているのは 蚕になる前の虫。
これも、日本でなんて呼んでいたか、忘れた。
     


おいしそうに、桑の葉にかじりつく。
     


蚕から糸を紡ぐ光景も実演中。
蚕には白と黄色があるって、知らなかった。
  

   


 こうやって糸を紡いで作った絹で、タイシルクの服が作られる。
      



植物もたくさん展示。
幹がたくましい、暑さにも雨のない乾季にも強そうな花。
     


日本にあるある、これ、ある!
    



暑い暑い、暑いよう。
みんなバテてしまうので、1時間ほどで切り上げてセンターに戻る。
     



タイ人のみんなと行くと、タイ人目線で見られて、
あれこれと、去年とは違うおもしろさを感じた 
タイ・コンケン生活最後のガーンカセー。
     

早起きは

2012年02月02日 20時39分36秒 | 日記
「早起きは三文の得」
という立派な言葉がある。
朝がとことん苦手な私には縁遠い言葉だったけれど。


タイ人は早起きだ。
まだ暗いうちから起きて、掃除をしたり、家の仕事をしたり、
服にアイロンをかけたり(ポロシャツからズボンまで、アイロンは必須!)(→ 過去ブログ 「タイ人必須アイテム アイロン」
夜が明ける頃にやってくる僧りょにサイバーツ(喜捨)をして、
アプナム(水浴び)をして、朝ご飯を食べ、仕事に行く。
だから、夜は早く寝て、朝早く起きる。


とはいっても、タイの現代社会もかわりつつあって、
仕事が最優先となり、いや、夜遊び優先なのか、遅くまで起きていて、
朝は起きられない、朝も早くから忙しくてゆとりがない、
という人が、特に若い人間には多いらしく、
家を出るギリギリまで寝ている人や、サイバーツはしないという人もけっこういる。

だから、日本人の私がサイバーツをしていると
配属先でも
「えらいわ、私はやってないのに。」
「上手よ 上手!」
とほめられるし、朝は近所の人たちから
「まあ、まじめないい子!」
とほめられ、おだてられた私はますますいい気分でサイバーツする。


今朝のサイバーツ。
きれいなタイの布で作られた服を着た、上品な女性がやってきた。
     


なんとも素敵だったので、カメラを向けると、
さりげなく眼鏡を外し、写真写りがいいようにしてくれて、
カメラを意識している、でもやはりさりげない女性。
     

タイ人は写真が好きで、撮るのも撮られるのも歓迎、という人が多く
カメラを向けると微笑んでくれたり、ポーズを撮ってくれたり、
撮りやすいように動きを止めてくれたり、
本当にサービス精神がある人たちだ。

「きれいな服ですね。」
というと、にっこり微笑んで
「ありがとう。あなたの名前はなんていうの?」
と、そこから初めて会った人ではないかのように親密に話をしてくれる。
それも、タイ人、いや、イサーン人の素敵なところ。




この女性も素敵。
緑のストールに緑のズボン。
あれ? ズボンに書いてあるのは・・・「かまいません」
      

「日本語だ!」と笑っている私に
「そうなの?これ 日本語だったのね。きれいでしょう、この模様。」
と言う女性。
日本だったら、こんな文字が書いてあるズボンはあまりはかないだろうけれど、
タイ人のこの人は、この文字のかたちが美しいという。
      

文字の意味は関係なく、文字としてではなく、
かたちとして見て、美しいと言っている。
なるほど、意味ばかりを見ている日本人の私はハッとするものがあった。
「かまいません」
このひらがなの文字は、確かに 絵のように美しい、
日本人の私は、タイ人から教えてもらわないと、わからなかった。




朝はいつも、お母さんとお父さんがコーヒーやココアを飲ませてくれるから、
今日は抹茶ミルクと甘納豆をもっていく。
僧侶にも今日は甘納豆を沿えてサイバーツ。
     


飲み物やお菓子と一緒に並んでいたのが、私がプレゼントした
写真集アルバム、と写真ボード。
なぜかというと、来る人来る人に、お母さんたちがこれを見せたいからだ。

「この子が作ってくれてね。ホラホラ見て、ここうちの犬、ラッキー。
 着物を着せてもらったこともあってね、友達がたくさんきてね、
 モンゴル、フィリピン、日本・・・・」
と、いつも詳しく詳しく話すお母さん、お父さん。
     

タイ人って、話を聞くのも写真を見せるのも見るのも好きで、
見せられた方も楽しそうに見て、話を聞いている。
     


来る人、来る人に写真を見せ、また同じように説明するお父さんたち
そして、やはり、それを楽しそうに聞いてくれる見ず知らずの人。
   

     

こういうところもタイ人は素敵だと思う。
自分は自分という態度ではなく、相手に関心を示す。
あいさつよりも、「ごはん食べた?」「どこ行くの?」の声かけが多いのも、
きっと相手への関心水準が日本人に比べてぐっと高い、タイ人らしさだと思う。


「まあ、ラッキー一人の写真もあるじゃないの。よかったわねえ。」
と言われくしゃくしゃにされているラッキー。
おりこうさんなラッキーはいわれていることをきっと分かっている。
     




通っていくバイクの人が、
 「今日はここには僧侶は来ないよ!」
と教えてくれる。
なんだ、今日は来ないのかとがっかり。
約束しているわけではないので、僧侶の都合によって少ない日もあれば、
全くこない日もある。


きれいなタイの服を着た女性が
 「じゃあ、サイバーツできるところにいって別の僧侶にサイバーツしましょう。」
と、車に乗せてつれていってくれた。
僧侶を待っていた知らない人たちも、一緒に車に乗り込む。
僧侶はどこを歩いているかな、と探す。


大きな道路。
「タノムミッタパープ」。(友好通り、仲良し通り、みたいな名前)
そこを歩く僧侶を見つけて、車を降りてみんなでサイバーツする。
   
  

こうやって、探してでも、自ら「サイバーツをさせてもらう」という心の人たち。
笑うことも怒ることも結婚することも仕事をすることほしがることもなく、
ただいるだけという僧侶を、自分たちの代表か もしくは
自分たちの思いの具現化、象徴のように大事にして みんなで食事を渡し
みんなで支える、タイの仏教世界。
入って行って中から見ていくと、尊いと感じることが多々ある。
      


日本にも仏教あるでしょう?と聞かれることがよくあるが
お坊さんは結婚もするし、運転もするし、子どももいる、というとものすごく驚かれる。

タイの仏教と日本の仏教。
日本では僧侶を尊いものとしてタイほどにはあがめてはいない。
互いのラインも、タイよりももっとあいまい。


知らない人たち同士だったのに、車に乗ってみんなで僧侶を捜しサイバーツした。
車の中では、名前を聞きあい、親しく話しながら帰る。
一緒にサイバーツをした人たち同士だからというのもあるだろうけれど、
タイ人は本当に人なつこく、親しみを前面に出す。
     



ナムプリック屋にもどると、お父さんが
「さちえ、この写真ボードに店の名前を貼り付けようと思うんだけど、
 さちえはできる?」
と聞く。

「やり方を知らないならお父さんが教えてあげるよ。
 パソコンで写真を切り貼りして作れるんだよ。 
 それができればこうやって手で写真をちぎる必要はないからね。」



写真を手でちぎってボードに貼り付けて作ったのは、
わざとそうしたのであって、おしゃれに作ったつもりなのだけ・・ど・・・。
      


タイ人的には手でちぎる、手書きをする、というのはあまりきれいじゃなく
パソコンの文字、パソコンを使った処理が「きれい」と言う人が多い。
中には、そうではない人もいるけど、少数派のように思う。

お、お父さん、これ、私わざとこうしたんです、って言おうかと思ったけど
お父さんが親切に一生懸命に教えてくれるので、
そんなお父さんがかわいらしくて、お父さんの説明を聞きたくなる。
      



こんなことが、朝から 配属先に行くまでの時間に行われていること。
このあと、朝ご飯を食べて配属先に自転車をこいでいく。

朝早く起きて、サイバーツをすることで、
タイの人たちと話し、時間を共有できる、
そこにサイバーツそのもの以上の価値を感じている。

絵カード

2012年02月01日 21時34分59秒 | コンケン 第9特別教育センター
自閉症の子どもたちは言葉を耳で聞きとって正しく理解することが苦手だ。
口でべらべらとまくしたてられたり、指示する言葉が多くなったりすると
混乱することが多い。

だから、指示する言葉は少なく、一単語、二単語にし、はっきりとゆっくりと伝えるようにする。
1つ終わって、また次の指示を出すというように、短く簡潔に。

そして、自閉症の子どもたちは視覚情報から理解する力の方が長けている。
いや、自閉症の子どもの限らず、
私たちはみな、日常、ほとんどの物事を目で見る情報から理解しているのだ。


「ひとつもってきて。」と、口で言うだけではなく、
指を一本立てて 「1つ」のサインを一緒に見せるだけでぐんと理解しやすくなるのは
私たち誰もがそうであるし、
自閉症の子どもに限らずとも、持って来てほしい物の絵を描いたり、
写真や絵カードを一緒に見せるともっと、理解しやすくなる。


自閉症の子どもは、外国語の中で暮らしているような毎日だという。
私も、毎日タイ語の世界にいて、自閉症の子どもの気持ちがよく分かる。
言葉でまくし立てられてもわからないことが、 ちょっとジェスチャーをしてくれれば、
指さしてくれれば、絵に描いてくれれば、ぐんと理解しやすい。



自閉症クラスでの毎日の風景。
この子は「コップンカー」(ありがとう)を先生と一緒にやっている。
     


いつも、「あああーーー」と長いこと声を出し続けるこの子に、
「口を閉じますよ-。」と教えている。
     


もちろん、先生と一緒にやるのもいいのだが、
日本の学校でならば、私は絵カードを作って、絵カードで指示を提示していた。
この雑然としたタイの中で、どれだけ通用するか、
また、この先、先生達が継続して使っていくかどうかも分からないけれど、
以前からやってみたかった絵カード、こんなのがあるよと
先生達に知らせるだけでもきっと意味がある。


「ニアップ」(静かに)
と口に指をあてて見せる先生。
     
このジェスチャーを見せるのは子どもにとってとてもいいこと。
プラス、絵カードを補助的に使って見せてあげれば、さらに理解しやすいと思う。

そして、
「静かに」
というあいまいな指示ではなく
「話しません」
というはっきりとした行動の指示に変えるとさらにいいと思う。


そう思いついて、絵カードの材料にするために、
絵カードにしたい光景をリストアップし、
先生達や子どもたちの、絵カード用の写真を撮った。
これで作る。
     



「話しません」 
この先生のサインと、○×の絵を見て、どっちの行動がいいのか
目で見てすぐに分かるように提示する。
     


「先生を見ます」
目線ビームが下に下がっているのは、×
目線ビームが先生にいっているのが ○。
   

「先生を見ます。」 
目の絵もつけて、これでどうだ。
    



「ありがとう」
いつも、
「手をもっときれいに」
といわれている子どもたちだけど、
何が「きれい」で何が「きれいじゃない」のか、きっと分からない。
「きれい」はこれだよ、という見本さえあれば、ほめられたくてきっとその通りにしようとする。
上手な見本はこれだよ、これ。
見本と、できたときに すぐにほめる、そのタイミングが大事だ。
     


「まっすぐ立ちます」
こんな風に立つことが
「まっすぐに立つ」ということなんだよ。
まねしてやってみて。ファイトファイト!
     
  


「自己紹介をします」
この光景、これが 「自己紹介」の時間だよ。
今から自己紹介をします、といわれたら、これなんだよ。
     



初めてこれを使ってみたとき、子どもたちの顔が
「おお、僕だ!」
「あれ、私じゃないの?」
と 嬉しそうに輝いた。
ただ、私が自閉症クラスにくるのは月火水の3日間のみ。
私がいなくても、この絵カードが 継続して使われるといいなと思う。



ついこのあいだ、フィリピンから同期の養護隊員がやってきたときのこと。 
      (→ 過去ブログ 「フィリピン擁護隊員とティーム・ティーチング」
先生が、このカードを使ってくれた。
外部の見学者、それも外国から、同じ特別支援教育の教師がきている、
だから、ちょっとよそ行きの顔にもなっていたこの日。
この絵カードもそういう外向けに「こんなにやっていますよ」
というアピールの1つとして使われたのは確かにそう。
だけど、それでも これがいいと思っているから、いざというときに
これを使ってくれたのだと思う。
      


「話しません」
「静かに」
よりも指示がはっきりして具体的。
先生のこの動作にくわえて、補助的に絵カードを提示すると、
きっと子どもたちはわかりやすい。
      


フィリピンの同期隊員の見ている前で、
「手をあげます」
    


「よい子で座ります。」
    



フィリピン隊員の来タイとセンターへの来訪は
私の活動をあと押ししてくれた。


使ってくれた。
いいぞいいぞ、この一歩。