去年の誕生日。
誕生日自体があまりもう、嬉しくないということもあるし、
忘れっぽい性格なので、すっかり忘れていた。
ちょうど日曜日だったこともあり、配属先の人にも会わず、
今のような近所の人との関係もなく、ひっそりとさらりと終わった去年の誕生日。
配属先では毎月、その月の誕生日の職員を会議で祝うのだが、それにも名前が挙がらず、
すっかり忘れられていた去年。
でも、それでいいと思っていた。
人を祝うのも、喜ばせるイベントを考えるもの大好きで熱中するタイプだけど、
自分がされる側になることはひどく恥ずかしくてどうしていいかわからない。
だから、訓練所で誕生日を迎える人や、隊員総会近くに誕生日がある人、
同期が多い人は大々的に祝われているのを見て、
私も参加して喜んで祝うけれど、
全くもって自分がされる側になるのは苦手なので、
ああこういう時期に誕生日じゃなくてよかったな、と思うほどだった。
今年も忘れていたのだけど、ナムプリック屋のお母さんが、
「31日はワングーッさちえ」(31日はさちえの誕生日)
と、1ヶ月前から何度も何度もいうので、忘れることは絶対にできなかった。
「忘れてた。」
と言う私にお母さんは
「忘れちゃダメ。誕生日は健康を願って、これからの幸せを願う大事な日なのよ。」
と言う。
さらに、ここ1週間は一日に何度も言う。
「31日はさちえの誕生日。MKレストランにつれていくから。」
「何がほしいかなあ。さちえの幸せを願ってなにをあげようか。」
だから、忘れるわけがない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/9b/3636fb353fb93461e30c2b6f32930d44.jpg)
十分にたくさんのものをお父さんお母さんからはもらっていて、
毎朝のサイバーツだって毎日私の分まで僧侶への喜捨を用意してくれて
お返ししたくてたまらないほどなのだけど、
ひとつだけ、ほしいものがあるから、それをリクエストする。
ナムプリック屋のみんなが着ている、青いポロシャツ。
背中に店の名前が書いてあって、お父さんも毎日着ている。
あの制服がほしい。
誕生日は特別な日だから、普段しない人でもサイバーツをするのだという。
朝からいいことをして徳を積んで、よい一日、よい一年になるように願うのだろう。
ジャックフルーツの実の下で、お父さんがいつものようにほうき二刀流で掃除をしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/f1/af9b73d777aa4b93b2df0263b33cdea5.jpg)
私のタンブンしたものは、亡くなった私の父が、おいしいおいしいと食べてくれてるだろうか。 (→ 過去ブログ 「タンブンとタイ仏教」)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/97/a101c2ffe52202c34317c039de0cc7c3.jpg)
タイの衣装を着ていくと、スワイスワイ(きれいきれい)とお母さんたちが喜んでくれる。
お母さんは僧侶にも、
「この子、今日が誕生日なんです。料理が好きで餃子や親子丼や・・・・・・」
と話すものだから、サイバーツ中に笑ってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/47/addd4d1c6c89707917967dd22e64941c.jpg)
お客さんにも「私の娘はね、今日が誕生日でね。」と話が始まる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/32/b9c262b5f404713053657bcf6d29400f.jpg)
タンブンを終えて
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/40/9afc438b9e41d5a216bcb4bc237afa56.jpg)
この水も、土の下にいる亡くなった人たちの元に届くのだという。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/70/525be67cebf354fd785d72986f60b0f5.jpg)
お父さんとラッキーの快活な「おめでとう」ジャンプで
素敵な一日の始まり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/7e/b4853a4ccc169b939c2623b7e0c1dd50.jpg)
配属先に行き、普段通りに自閉症クラスに行くと、今日は子どもたちがたくさん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ee/0eb60cbccae0548343eb3e6308f40a59.jpg)
教室に入ったとたんに、お母さんたちが
「ハッピバースデー クーサーイ」
と口々に言うのでびっくりする。
びっくりして、うれしい!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/08/9bd987917b90a81706ecac66344ac52a.jpg)
なんで知ってるの??? と不思議に思っていると、
ある子どもがちょこちょこ出てきて 「ハッピバースデークーサーイ」
と言ってくれる。
後ろではおばあちゃんが操っていて、それもうれしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/a6/60bc57ea30ea325031a5d6de0b0b3b24.jpg)
普段通りに時間が流れ、おやつの時間、私が動き回っていると
座れ座れとやたらに先生達や、お母さんが言う。
何かよく分からないままに座らされると、ケーキが運ばれてきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/05/1fbe0bc066f2be79348071373134181b.jpg)
バースデーの歌が始まり、そのあたりからはびっくりしてよく覚えていない。
まさか、お母さんたちや先生達がこんな準備をしてくれているとは
思いもしていなかったので、とにかくびっくりして ぼけっとしてしまって
次には涙が出そうなのをがまんして、言われるままにロウソクの火を消したり、
なぜか、みんなの前でドラえもんを歌って即興で振り付けて踊ったりした。
なぜそうなったか、よく分からないのだけど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/45/94ecd2b9866323360f9cef5b6b71bfbe.jpg)
今日は「日本文化の勉強」と称して、日本の学校の様子をビデオで見せて、
お母さんたちに浴衣を着せてあげて、抹茶を飲んで餅を食べよう、
と計画していたけど、もう、餅や抹茶どころではない。
とにかく、浴衣だけは着せてあげねばと、計11人、めまぐるしく着付けする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/d6/fb649a44564d10fa6f1fc25e11c02f98.jpg)
お母さんや先生がきれいな服をきてきれいになると、
子どもはうれしいんだ、分かる分かる、その気持ち。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/53/a0b5d3d50dd9aa086f517b11c146f222.jpg)
お母さんたちは娘みたいにキャアキャア言って喜んでいるし、
互いにきれいきれいとほめあって本当にうれしそうにしている。
60を過ぎた人でも、ピンクの浴衣で赤い色の帯を選ぶ、タイ人の色彩感覚の豊かさや
かわいらしさが、とても素敵。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/cd/aa780ef48530cde0045476e447bfe7f6.jpg)
見よう見まねで互いに着付けを始めるお母さんたち。
この怖いもの知らず、なんでもやってみるところ、とりあえず一度はやってみるチャレンジ精神
あくなき好奇心、タイ人は素晴らしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/8d/e8e5aa324a8896aaec590bc5104da10f.jpg)
「私は一度着たからいい」というオプ先生をみんなで着付ける。 (→ 過去ブログ 「サワッディーピーマイ」)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/57/192bf92023ff7fa7a4d612b0816246de.jpg)
2人ともよく似合ってる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/ca/cccb039fb85b21628faba3c71948defd.jpg)
めまぐるしくかわり代わるの着付けが終わって、私も浴衣を着て
先生2人と記念写真を撮る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/fa/775b3330e481f11d1b5c3fee79b211a8.jpg)
この写真、きっと生涯忘れられない写真のうちの1枚になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/76/8fdbc4a38c7e83760d20fe10cb2ed6fe.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/f5/bbd07e61f854035966af50cc8508d87d.jpg)
お昼は大きな魚がいくつも並べられ、教室でお母さんたちみんなと食べる。
魚は焼きたて。 子どものお父さんが買って届けてくれた。
「ハッピーバースデーのお祝い」だという。
お母さん同士で昨日連絡をしあって、今日の手はずを整えたらしく
なんだかもう、胸がいっぱい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/5e/36eb8df41ff979f34f4b7e4e5524b6ff.jpg)
食事中に他のクラスの先生がやってきて加わる。
私に話しかけるけれど、言っていることがいまいち分からない。
すると、イーッ先生が私に説明しなおしてくれる、すると一度で分かる。
びっくりする先生、
「私と同じことを言っているのになぜ、イーッ先生が言ったらわかるの?」
イーッ先生とは一緒に過ごしてきた時間がある、だから言いたいことがわかる、
言葉じゃないのだ、言葉は媒体に過ぎない。
イーッ先生やオプ先生がどれだけ私に寄り添ってくれているかを毎日感じている。
午後の個別学習は、着物を着たそうだった男の子に、
新聞紙で着物を作る。 どうだ!
嬉しそうだなあ-。
新聞紙の着物を着た子どもを見て、大笑いするお母さん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/10/a1cde57faa59425ff3b1f7ff4cb97c56.jpg)
この子も気に入って、あちこち走り回る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/3c/527fac03320d548a764e47de535851c6.jpg)
廊下を駆けていくこの子の後ろ姿、廊下にはお母さんたちの笑い声がこだまして
私もお腹を押さえながら笑った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/61/0455d5fbdc36d226de77257e0580fd36.jpg)
夕食は約束の、ナムプリック屋のみんなと一緒にMKレストランへ。
行くときから、みんながケーキや大きなプレゼントの包みを抱えていて
車の中ではトチが後部座席でごそごそしてラッピングしていて
「何でもない!何でもない!」と言うし
ものすごくわかりやすいのだけど、
「何も見えないでしょう、見えないよね?」と聞かれるので
「うん、真っ暗で何も見えない!」と答えながら、笑いながら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/42/fc1347fb407dd8a02470bdcdf1d07cb1.jpg)
タイスキを食べて、ワイワイ話して
お父さんお母さん、トチ、娘のインとレックからプレゼントをもらう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/00/5c9eda21535eba2a4f9fe2fb62c839a4.jpg)
お母さんからは「日本が寒かったらこれを着なさい」と暖かいショール。
お父さんからは、私が欲しがったナムプリック屋の名前が書かれた青いポロシャツ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/05/b296c42b6009fcb761a7512fe563fc66.jpg)
お父さんが着ていたもので、お父さんが今日きれいに洗濯したものだという。
飛び上がりたいくらい、嬉しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/c2/64c995b41cdac31abd19ce44af6e903f.jpg)
トチが自分で選んで自分で買ってきてくれたのは、お菓子。
私が大好きなお菓子だった。 (→ 過去ブログ 「土地」)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/12/84961d9fe1bc2707fb6bbec89ebdd723.jpg)
ケーキの火を消す前に願い事を念じなさいと言われて、
叶わない願い事だけど、この人たちとずっと一緒にいられたらいいのにと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/58/a0bde0a749f47c6bcd1074dcfde72021.jpg)
ケーキを切って渡すのは誕生日の人の仕事。
私が切ったケーキを受けとると
お母さんが
「さちえが幸せで健康で、悪い人に会わず、これからいい人とだけ会っていけますように。」
と言う。
お父さんは
「さちえは私の娘だから、他の人とは違う、特別に思っている。
タイのお父さんをさちえも特別に思ってね。」
と言う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/c2/ff75ecd0fbb59fd6863173bbd10a2577.jpg)
以前からコツコツ作っていた、写真ボード、
それとこれまで撮った大量の写真を整理したアルバム、
私からの気持ちを込めて手紙を沿えて渡す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/fd/9b6bcd3eb572f4e3fb4c2164b5b731dc.jpg)
手紙はタイ語の書き間違えが何カ所もあり、訂正されながら笑いながら
でも涙混じりでお母さんが読み上げ、
お父さんは眼を細めて写真をのぞき込んで、自分よりも
「ラッキーが、ラッキーが。」とラッキーのかわいいショットを喜んでいる。
「けん玉をしたよね。」「モンゴルダンスを踊ったよね。」
「さちえの友達がたくさん来たよね。」「一緒にお寺に行ったよね。」
と思い出して、短いけれどすごく近くに一緒にいたなあと、互いに思いながら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/e9/5471ee8603564f33e7d57d2033d88cdf.jpg)
お父さんは立ち上がって、みんなが見えるように、そして店のいろんな人が見えるように
アルバムを持ってみせる。
本当にもう、なんてお茶目なお父さんなんだろう。
たくさんある仕事を忙しく詰め込んで、お客さんのたくさん来るお店を1時間早く閉めて、
時間を作ってMKレストランに連れて行き、お祝いしてくれた今日。
帰ったのは夜の9時過ぎ。
いつもなら、お母さんは家で休んでいる時間。
今日時間を作ったためだろう、帰ってからもお父さんはバタバタと仕事をしていた。
今日はありがとう、本当に本当にうれしかったとお礼を言って帰ろうとすると
お父さんが、ラッキーの手を握って、
「おやすみなさい! おやすみなさい!」
と言う。
ラッキーを愛するお父さんはラッキーと話すとき、声が1オクターブあがる。
そんなお父さんはとてもかわいい。
日本語の本で勉強して言えるようになったお父さんの日本語。
私と話そうと思って勉強してくれた日本語。
去年と今年の2度の誕生日、タイの人たちから感じたもの、もらったものも違うけれど、
私自身のタイの人たちへの気持ちのむき方も違う。
私は日本に帰国した時間があるし、配属先でも大きな成果を残しているわけでもない、
タイ語ですらすらと意思の疎通が図れるほどでもない。
短いたった1年3ヶ月のタイの時間だったけれど、その間
日々、となりにいて同じ子どもたちを見てきた先生達、一緒に笑いあった保護者たち、
タイにもう一度戻って以来
一緒にサイバーツをして、は毎日のように一緒に夕食を食べて話をしたお父さんお母さん、
その人たちと築いてきた今が、今日だったんだなと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/6c/2cd1c3175caba1099cd8755265b28ba6.jpg)
今日は幸せだなと感じたけれど、きっと、これまでもずっと、幸せだったのに違いない。
それと気づかせぬさりげなさで、出会い、助けられ、幸せだったのだ。
誕生日自体があまりもう、嬉しくないということもあるし、
忘れっぽい性格なので、すっかり忘れていた。
ちょうど日曜日だったこともあり、配属先の人にも会わず、
今のような近所の人との関係もなく、ひっそりとさらりと終わった去年の誕生日。
配属先では毎月、その月の誕生日の職員を会議で祝うのだが、それにも名前が挙がらず、
すっかり忘れられていた去年。
でも、それでいいと思っていた。
人を祝うのも、喜ばせるイベントを考えるもの大好きで熱中するタイプだけど、
自分がされる側になることはひどく恥ずかしくてどうしていいかわからない。
だから、訓練所で誕生日を迎える人や、隊員総会近くに誕生日がある人、
同期が多い人は大々的に祝われているのを見て、
私も参加して喜んで祝うけれど、
全くもって自分がされる側になるのは苦手なので、
ああこういう時期に誕生日じゃなくてよかったな、と思うほどだった。
今年も忘れていたのだけど、ナムプリック屋のお母さんが、
「31日はワングーッさちえ」(31日はさちえの誕生日)
と、1ヶ月前から何度も何度もいうので、忘れることは絶対にできなかった。
「忘れてた。」
と言う私にお母さんは
「忘れちゃダメ。誕生日は健康を願って、これからの幸せを願う大事な日なのよ。」
と言う。
さらに、ここ1週間は一日に何度も言う。
「31日はさちえの誕生日。MKレストランにつれていくから。」
「何がほしいかなあ。さちえの幸せを願ってなにをあげようか。」
だから、忘れるわけがない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/9b/3636fb353fb93461e30c2b6f32930d44.jpg)
十分にたくさんのものをお父さんお母さんからはもらっていて、
毎朝のサイバーツだって毎日私の分まで僧侶への喜捨を用意してくれて
お返ししたくてたまらないほどなのだけど、
ひとつだけ、ほしいものがあるから、それをリクエストする。
ナムプリック屋のみんなが着ている、青いポロシャツ。
背中に店の名前が書いてあって、お父さんも毎日着ている。
あの制服がほしい。
誕生日は特別な日だから、普段しない人でもサイバーツをするのだという。
朝からいいことをして徳を積んで、よい一日、よい一年になるように願うのだろう。
ジャックフルーツの実の下で、お父さんがいつものようにほうき二刀流で掃除をしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/f1/af9b73d777aa4b93b2df0263b33cdea5.jpg)
私のタンブンしたものは、亡くなった私の父が、おいしいおいしいと食べてくれてるだろうか。 (→ 過去ブログ 「タンブンとタイ仏教」)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/97/a101c2ffe52202c34317c039de0cc7c3.jpg)
タイの衣装を着ていくと、スワイスワイ(きれいきれい)とお母さんたちが喜んでくれる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/a0/8da829b3c16637b95e52452bc128129a.jpg)
お母さんは僧侶にも、
「この子、今日が誕生日なんです。料理が好きで餃子や親子丼や・・・・・・」
と話すものだから、サイバーツ中に笑ってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/47/addd4d1c6c89707917967dd22e64941c.jpg)
お客さんにも「私の娘はね、今日が誕生日でね。」と話が始まる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/32/b9c262b5f404713053657bcf6d29400f.jpg)
タンブンを終えて
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/40/9afc438b9e41d5a216bcb4bc237afa56.jpg)
この水も、土の下にいる亡くなった人たちの元に届くのだという。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/7d/70642cec0851674461634c484ff3a320.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/70/525be67cebf354fd785d72986f60b0f5.jpg)
お父さんとラッキーの快活な「おめでとう」ジャンプで
素敵な一日の始まり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/7e/b4853a4ccc169b939c2623b7e0c1dd50.jpg)
配属先に行き、普段通りに自閉症クラスに行くと、今日は子どもたちがたくさん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ee/0eb60cbccae0548343eb3e6308f40a59.jpg)
教室に入ったとたんに、お母さんたちが
「ハッピバースデー クーサーイ」
と口々に言うのでびっくりする。
びっくりして、うれしい!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/08/9bd987917b90a81706ecac66344ac52a.jpg)
なんで知ってるの??? と不思議に思っていると、
ある子どもがちょこちょこ出てきて 「ハッピバースデークーサーイ」
と言ってくれる。
後ろではおばあちゃんが操っていて、それもうれしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/a6/60bc57ea30ea325031a5d6de0b0b3b24.jpg)
普段通りに時間が流れ、おやつの時間、私が動き回っていると
座れ座れとやたらに先生達や、お母さんが言う。
何かよく分からないままに座らされると、ケーキが運ばれてきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/05/1fbe0bc066f2be79348071373134181b.jpg)
バースデーの歌が始まり、そのあたりからはびっくりしてよく覚えていない。
まさか、お母さんたちや先生達がこんな準備をしてくれているとは
思いもしていなかったので、とにかくびっくりして ぼけっとしてしまって
次には涙が出そうなのをがまんして、言われるままにロウソクの火を消したり、
なぜか、みんなの前でドラえもんを歌って即興で振り付けて踊ったりした。
なぜそうなったか、よく分からないのだけど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/ca/e58a6bcadeab4f24dbbdedca17421cd7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/45/94ecd2b9866323360f9cef5b6b71bfbe.jpg)
今日は「日本文化の勉強」と称して、日本の学校の様子をビデオで見せて、
お母さんたちに浴衣を着せてあげて、抹茶を飲んで餅を食べよう、
と計画していたけど、もう、餅や抹茶どころではない。
とにかく、浴衣だけは着せてあげねばと、計11人、めまぐるしく着付けする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/6b/861e6c347e27228cd691d1b638cd69c2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/d6/fb649a44564d10fa6f1fc25e11c02f98.jpg)
お母さんや先生がきれいな服をきてきれいになると、
子どもはうれしいんだ、分かる分かる、その気持ち。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/2d/ce8736bd10a32e58d8c1657e08fd3894.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/53/a0b5d3d50dd9aa086f517b11c146f222.jpg)
お母さんたちは娘みたいにキャアキャア言って喜んでいるし、
互いにきれいきれいとほめあって本当にうれしそうにしている。
60を過ぎた人でも、ピンクの浴衣で赤い色の帯を選ぶ、タイ人の色彩感覚の豊かさや
かわいらしさが、とても素敵。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/cd/aa780ef48530cde0045476e447bfe7f6.jpg)
見よう見まねで互いに着付けを始めるお母さんたち。
この怖いもの知らず、なんでもやってみるところ、とりあえず一度はやってみるチャレンジ精神
あくなき好奇心、タイ人は素晴らしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/8d/e8e5aa324a8896aaec590bc5104da10f.jpg)
「私は一度着たからいい」というオプ先生をみんなで着付ける。 (→ 過去ブログ 「サワッディーピーマイ」)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/57/192bf92023ff7fa7a4d612b0816246de.jpg)
2人ともよく似合ってる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/d9/0b45006eae92b46f0a2aec4df1452c87.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/ca/cccb039fb85b21628faba3c71948defd.jpg)
めまぐるしくかわり代わるの着付けが終わって、私も浴衣を着て
先生2人と記念写真を撮る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/ac/c01e7981b2c283af71c61f0a4cff121a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/fa/775b3330e481f11d1b5c3fee79b211a8.jpg)
この写真、きっと生涯忘れられない写真のうちの1枚になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/76/8fdbc4a38c7e83760d20fe10cb2ed6fe.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/f5/bbd07e61f854035966af50cc8508d87d.jpg)
お昼は大きな魚がいくつも並べられ、教室でお母さんたちみんなと食べる。
魚は焼きたて。 子どものお父さんが買って届けてくれた。
「ハッピーバースデーのお祝い」だという。
お母さん同士で昨日連絡をしあって、今日の手はずを整えたらしく
なんだかもう、胸がいっぱい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/5e/36eb8df41ff979f34f4b7e4e5524b6ff.jpg)
食事中に他のクラスの先生がやってきて加わる。
私に話しかけるけれど、言っていることがいまいち分からない。
すると、イーッ先生が私に説明しなおしてくれる、すると一度で分かる。
びっくりする先生、
「私と同じことを言っているのになぜ、イーッ先生が言ったらわかるの?」
イーッ先生とは一緒に過ごしてきた時間がある、だから言いたいことがわかる、
言葉じゃないのだ、言葉は媒体に過ぎない。
イーッ先生やオプ先生がどれだけ私に寄り添ってくれているかを毎日感じている。
午後の個別学習は、着物を着たそうだった男の子に、
新聞紙で着物を作る。 どうだ!
嬉しそうだなあ-。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/b3/b4ac5626f9a0ba2deb6f74f7e1e6d2b1.jpg)
新聞紙の着物を着た子どもを見て、大笑いするお母さん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/10/a1cde57faa59425ff3b1f7ff4cb97c56.jpg)
この子も気に入って、あちこち走り回る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/3c/527fac03320d548a764e47de535851c6.jpg)
廊下を駆けていくこの子の後ろ姿、廊下にはお母さんたちの笑い声がこだまして
私もお腹を押さえながら笑った。
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夕食は約束の、ナムプリック屋のみんなと一緒にMKレストランへ。
行くときから、みんながケーキや大きなプレゼントの包みを抱えていて
車の中ではトチが後部座席でごそごそしてラッピングしていて
「何でもない!何でもない!」と言うし
ものすごくわかりやすいのだけど、
「何も見えないでしょう、見えないよね?」と聞かれるので
「うん、真っ暗で何も見えない!」と答えながら、笑いながら。
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タイスキを食べて、ワイワイ話して
お父さんお母さん、トチ、娘のインとレックからプレゼントをもらう。
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お母さんからは「日本が寒かったらこれを着なさい」と暖かいショール。
お父さんからは、私が欲しがったナムプリック屋の名前が書かれた青いポロシャツ。
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お父さんが着ていたもので、お父さんが今日きれいに洗濯したものだという。
飛び上がりたいくらい、嬉しい。
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トチが自分で選んで自分で買ってきてくれたのは、お菓子。
私が大好きなお菓子だった。 (→ 過去ブログ 「土地」)
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ケーキの火を消す前に願い事を念じなさいと言われて、
叶わない願い事だけど、この人たちとずっと一緒にいられたらいいのにと思う。
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ケーキを切って渡すのは誕生日の人の仕事。
私が切ったケーキを受けとると
お母さんが
「さちえが幸せで健康で、悪い人に会わず、これからいい人とだけ会っていけますように。」
と言う。
お父さんは
「さちえは私の娘だから、他の人とは違う、特別に思っている。
タイのお父さんをさちえも特別に思ってね。」
と言う。
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以前からコツコツ作っていた、写真ボード、
それとこれまで撮った大量の写真を整理したアルバム、
私からの気持ちを込めて手紙を沿えて渡す。
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手紙はタイ語の書き間違えが何カ所もあり、訂正されながら笑いながら
でも涙混じりでお母さんが読み上げ、
お父さんは眼を細めて写真をのぞき込んで、自分よりも
「ラッキーが、ラッキーが。」とラッキーのかわいいショットを喜んでいる。
「けん玉をしたよね。」「モンゴルダンスを踊ったよね。」
「さちえの友達がたくさん来たよね。」「一緒にお寺に行ったよね。」
と思い出して、短いけれどすごく近くに一緒にいたなあと、互いに思いながら。
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お父さんは立ち上がって、みんなが見えるように、そして店のいろんな人が見えるように
アルバムを持ってみせる。
本当にもう、なんてお茶目なお父さんなんだろう。
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たくさんある仕事を忙しく詰め込んで、お客さんのたくさん来るお店を1時間早く閉めて、
時間を作ってMKレストランに連れて行き、お祝いしてくれた今日。
帰ったのは夜の9時過ぎ。
いつもなら、お母さんは家で休んでいる時間。
今日時間を作ったためだろう、帰ってからもお父さんはバタバタと仕事をしていた。
今日はありがとう、本当に本当にうれしかったとお礼を言って帰ろうとすると
お父さんが、ラッキーの手を握って、
「おやすみなさい! おやすみなさい!」
と言う。
ラッキーを愛するお父さんはラッキーと話すとき、声が1オクターブあがる。
そんなお父さんはとてもかわいい。
日本語の本で勉強して言えるようになったお父さんの日本語。
私と話そうと思って勉強してくれた日本語。
去年と今年の2度の誕生日、タイの人たちから感じたもの、もらったものも違うけれど、
私自身のタイの人たちへの気持ちのむき方も違う。
私は日本に帰国した時間があるし、配属先でも大きな成果を残しているわけでもない、
タイ語ですらすらと意思の疎通が図れるほどでもない。
短いたった1年3ヶ月のタイの時間だったけれど、その間
日々、となりにいて同じ子どもたちを見てきた先生達、一緒に笑いあった保護者たち、
タイにもう一度戻って以来
一緒にサイバーツをして、は毎日のように一緒に夕食を食べて話をしたお父さんお母さん、
その人たちと築いてきた今が、今日だったんだなと思う。
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今日は幸せだなと感じたけれど、きっと、これまでもずっと、幸せだったのに違いない。
それと気づかせぬさりげなさで、出会い、助けられ、幸せだったのだ。