ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

自閉症クラスへのみんなへのプレゼント

2012年02月15日 22時16分56秒 | コンケン 第9特別教育センター

前々から考えていたこと。
このセンターの子どもたちと、保護者、先生達に
写真のスライドショーを作って最後にプレゼントしたい。


日本で特別支援学級を受けもっていたときには
学校外に出かけたり、何かのイベントがあったりするごとに、
撮った写真をスライドショーにし、音楽を流しながらテレビで
みんなで見て笑い、同じ時間を同じ楽しさを共有していた。
その効果はてきめんで、友だち同士、先生との距離がぐっと近くなるし
行事がとても楽しかった思い出として焼き付く。
自分はこんな顔してみんなとこうやって過ごしてるんだなと
はじめて見る自分の表情に驚きもする。


タイに来て、先生達がよく写真を撮りビデオを撮っているのを見て驚いたが
それらはセンターのPRビデオや、先生達のレポートに使われるばかりで、
子どもたち自身には還元されていないのがとても残念だと思っていた。
子どもたちは撮られることは日常茶飯事だが、
撮られた写真は自分の元にはこないし、ほとんど見ることもない。
タイ人はスライドショーを作るのが上手。
私もできない方ではないのだけど、いやいや全く足元にも及ばない加工の上手さ。懲り方。
すごいムービーや写真を作っちゃうが、子どもたちは見ることがなく。


だから、最後に、私から感謝の気持ちを込めて
子どもたちと保護者と先生たちと過ごした時間をスライドショーに作り
私の撮った写真のデータも全て 
私と少しでも過ごしてくれた人たちに渡しておきたいと思っていた。
こんなにやっていますよ、というPRのビデオしかないここで、
本当に子どもたちが楽しそうにしている日々のなにげない顔を
自分だ、これは自分だ、とみんなで指さして見て笑って
楽しい時間を共有させてあげたい、というのが最後のプレゼント。



写真を撮るのは大好きで、日本でもよく撮っていたが
タイでもたくさんたくさん撮って、今やパソコンがパンクしそうなほどの写真量がある。
これを使ってつくる。
カメラを持っていない人も多いから、
これまでもこととあるごとに写真を現像して渡してきたけど、
最後に、データとしても渡しておきたい。



本当は私の任期の最後に渡したいものだけど、
毎日子どもたちは来たりこなかったり、会えたり会えなかったりするし、
このセンターでこの先何があるか全く読めないところもあるので
できることは前もってやっておくべし、と
せっせとスライドショーを作って完成。
コンケンに来て以来撮った写真データも保存して、せっせと人数分コピー。
保護者分、先生分のDVDを作り終わったところで
子どもたちに見せたいのだけど・・・と許可をもらう。



始まりからいい食いつきで、子どもたちがみな食い入るように画面を見つめる。
こういう様子は普段のタイの授業の中では見ることがない。
      



お母さんたちがギャアギャア笑いながら指さし合い、
子どもたちが身を乗り出して見る。
    

 
自閉症の子どもたちがじっと画面を見て、
自分の顔が映るとニンマリする。
      
      

これまで、自分の写真はたくさん撮られきても
このセンターが主役であって、
自分が主役のビデオはなかっただろう子どもたちと保護者。
自分の顔が画面いっぱいに出ると興奮して喜ぶ。
   




集中が切れないくらいの短い時間でのスライドショーがベストなのだけど
写真量が多いのと、
どうせ「さあ、今から見るよ!」といっても、みな同じ時間にスタートできないのがタイなので
ぼちぼちやって来て加わって・・・となることを考えれば長いスライドショーがいいかもしれない、
と、約20分のスライドショー。


音楽は
子どもたちの好きな 日本タイ共通ソング
「一休さん」「ドラえもん」
歌詞が美しいと大人に人気の
「昴」タイ語バージョン
私が大好きな
「ロビンソン」(スピッツ) 「手紙」(アンジェラアキ)
ドラえもんや昴は一緒に口ずさんで、
この曲知ってる知ってる!とそこでもまた盛り上がる。
        



「クーサーイ!着物の写真はあるの!?」
ありますよ、入っていますよー
「そうなの!?じゃあそろそろ出てくるわね!きっと!」
とお母さんたちが色めき立つのがおかしい。   (→ 過去ブログ 「誕生日」



スライドショーの最後は日本の鯉のぼり、雪景色、雪だるま、桜の花の写真。
私とここで出会ったことも、奇跡のような巡り合わせ。
2年前、私がタイのコンケンのこの第9特別教育センターで今こうして
みんなと過ごし別れるまでの時間を惜しんでいるなんて、思いもしなかったこと。
みんなだって、思いもしなかったこと。
だから、日本の写真を最後に映し出した。
私と会わなければ、もしかしたら一生こんなに身近には感じることがなかったかもしれない、日本を見てもらいたかったから。
     



スライドショー上演中の様子
     






最後に、DVDを渡して
この中に今見たスライドショーと、私が撮ったこのクラスの全ての写真が
入っていることを伝える。
全員に渡し、いない人の分は他の保護者に預ける。


が、翌日には
「私の分がない!」
と私を探してもらいに来る保護者が数人いて、
あなたの分は他の保護者に預けたはずなんだけど・・・
というけど、知らない知らない、と言う。
こうなるかなーと 思ってた、予想の範囲内。
やっぱり。
多めにコピーしておいてよかったな。


でも、もらいにいってまでほしいと思ってくれるものだっていうことが 
うれしいじゃないの。