大通りから入った細い道のことを タイ語で、「ソイ」 と言う。
私の住むアパートは、ソイにあり、そのソイをみな ソイ・ローポーショーと呼ぶ。
思い返すと、コンケンに来たばかりの時、ソンテウに乗り間違えて
全く知らない遠いところまで行ってしまい困り果てたことがあった。
通りすがりの人の親切に頼って何とかあの時は家に帰り着いたが、
そのころはこのソイの名前を知らず、住所を説明することもできなかった。 (→過去ブログ 2011/7/24記事
「タイは4連休」)
あれから1年。
タクシーやトゥクトゥクで家に帰るとき、誰かに住所を伝えるとき、
「ソイローポーショー」と言うのだが、この「ローポーショー」の発音が難しく
一度で通じたことが未だにないように思う。
一度で通じるとは思っていないから、2回も3回も、5回も10回も
「ソイローポーショー ソイローポーショー!」
と繰り返す。
そのうちどれかの発音がぴたりとはまって聞きとってくれるときもあれば、
数人が集まってきて眉間にしわを寄せて私の「ソイローポーショー」に耳を傾け
その人だかりのうちの誰かが
「ああ! ソイローポーショーね!」
と理解してくれるときもあり、
そんなこんなでやっと住所が伝わり帰宅の途につける。
帰宅するのにも骨を折る。
めげずに下手な鉄砲も数を撃てばあたる、という気持ちで生活してきた。
そんなソイローポーショー。
市内ではあるものの、東北の昔ながらの田舎の雰囲気ただようソイ。
商店もあるし、屋台もあるし、夕食のおかずは並ぶし、なんでもそろっている。
ただ、市内からはちょっと離れているから、夕方6時には交通の足がストップしてしまい真っ暗。
平日にちょっと足を伸ばして市内へ、なんてことしたら帰ってこられない。
活動が終わるとこのソイでお買い物をして夕方からは家からでない、という毎日。
ちょっと不便でもあるのだが、この場所から引っ越したいと思わないのは
この人たちの人の良さに、ずいぶん助けられているから。 (→過去ブログ 2011/7/12
「声かけてくれる人たち」)
果物屋の屋台のおばちゃん。
タイのスカートを巻いて、いつも笑顔。
朝食のバナナは必ずここで買うが、毎回必ずおまけしてくれる。
マンゴーもあげよう、ロンゴンも食べなさい、と袋にたくさんつめてくれる。
3日顔を見せないと「病気になったかと思ったのよ!」と心配し、
顔を見せるといつでも喜んでくれて、活動とは関係のない他愛のないことを話す。
おばちゃんに何度救われて癒されて元気をもらったことか。
ソイローポーショーで一番心安らぐ場所。
このおばちゃんが大好き。
とてもおいしいナムプリック屋さん。 (→過去ブログ 2010/10/3
「タイ人必須アイテム ナムプリック」)
日本が好きで、京都のタペストリーを店に飾っている。
店の前には大きなジャックフルーツの木、実る季節には通りにいい香りを運ぶ。 (→過去ブログ 2010/3/19
「ジャックフルーツ」)
ナムプリックが最高に美味しくて、お土産に最適。
何かにつけて私が私が大量に買っていくのでここでもしょっちゅうおまけしてくれる。
「お母さんにこれをあげて」、と私の母へのお土産に
イサーンお菓子やイサーン布で作ったポーチや財布をくれたり
娘みたいなものよ、と抱きしめてくれたり、
友達を連れて行けば大歓迎してくれるし、
家族のようなあたたかい人たち。
なんでもそろう商店では、行くたびに丁寧に
「サワッディーカー サーイ」と私のタイの名前を呼び
今日は元気?サーイ。 何を買いに来たの?サーイ といつも親しく話してくれる。
さちえは家族と離れて一人でここに生活しているんだから私たちを家族と思ってね、
と心から親しみを込めて言ってくれるこの一家の人たち。 大好き。
夕方から品物を並べる市場。
お総菜屋のおばちゃんたちは、
私が買いに行くと一つ一つを丁寧に説明してくれる。
「これは魚を蒸してレモンをかけて・・・」
「これは鶏肉よ、辛くないわよ。」「これは竹の子が入ってて・・・」
他のお客さんをほったらかしで私につきっきり。
「これはおいしいの?」と聞くと、
「おいしいわよ!ほら、チム(味見)!チム! こっちにいらっしゃい!」
と、売り場側に招き入れてくれて、全種類チムさせてくれる。
チムだけでお腹いっぱいになってしまう。
売り場側に入り込んでチムしている日本人をお客さんたちも笑ってみていくが
売り手のおばちゃんたちも楽しそうなのだ。
家族が来タイしたときにも、私の家族を売り場側に引き入れてチム(味見)させてくれた。
バスターミナルまで歩いて行こうと、この前を通るとおばちゃんの一人が走り出てきて
手をつかんで引き留め、いつもバスターミナルまで送ると言ってくれる。 (→過去ブログ 2011/6/16
「1年がたつ」)
アパートの裏に住む大家さんご夫婦。
ご主人のピージョーと奥さんのピーミヤウ。
夫婦そろって日本が好きで、ぜひ日本人にアパートを貸したいと私の入居を待ってくれていた。
私以外のアパートの入居者は、全員コンケン大学の学生。 (→過去ブログ2010/9/10
「考える」)
日本人一人の私をいつも気にかけてくれて、相談事をすると飛んできてくれる。
(→過去ブログ 2010/9/2
「私の部屋」 2010/12/4
「うっかりインロック 南京錠」 2010/12/5
「新ドアノブ」)
ピーミヤウは料理が上手で、つらいことがあったときにごはんを作って慰めてくれたことがあった。
その次の日には、ピージョーが日本語の本を片手に持って部屋に来て
「これ買ったんだ。さちえとはなしたいから。」と言う。 (→過去ブログ 2010/9/8
「いろんなことがある」)
2人の優しさには何度も救われた。
果物をどっさり買って持って来てくれ、「家族にあげて!」。
タイの果物は検疫があるため日本へは個人では持ち込めないのだが
何も知らないピーミヤウも果物屋のおばちゃんもなにかあるとそうやって
果物をどっさりと私にくれるのだ。
もう、がんばって全部私が食べちゃう。
アパート廊下ではとっても大きな犬と、とっても小さな犬がうろうろ。
でかい犬は怖い顔で最初はこわかったけど、今はすっかり仲良くなった。
(→過去ブログ2010/8/5
「できない」 2011/2/20
「好きな人がいます」)
怖い顔してるけど、優しいいいやつ。 知らない人にはよく吠える。
焼き芋と焼きトウモロコシを売るおばちゃん。
焼き芋は一年中売られていて、値段の割にあまりおいしくないのだが、
秋っぽさを味わいたくなると買いにいく。 (→過去ブログ2011/1/5
「や~きいも や~きいも~」)
JICA職員も通りかかりに見つけてびっくりしていたこの看板。
看板にJICAのマーク。
ずっと以前にこの辺りの水道整備を行ったあとらしい。
こんな田舎まで、草の根活動しているなあ、JICA。
クリーニング屋があり、理容院があり、 (→過去ブログ2010/7/26
「ご近所探検」)
仕立て屋があり、 (→過去ブログ2010/7/26
「ミシン屋さん」)
何でも必要なものはそろっている、この小さな路地。
ソイローポーショー。
そして、タイ人のあたたかさが並んでいる。