ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

素晴らしい先生

2011年10月31日 06時14分41秒 | コンケン 第9特別教育センター

配属先 第9特別教育センターにはたくさんの先生がいる。

みな、大学で特別支援教育を履修しており、
その後多くが仕事をしながらも大学院にさらに知識を深めている。
知識欲、学歴に対する向上意識が高い人たちだ。


素晴らしい先生が何人もいるが、
中でも特に尊敬している先生がいる。
聴覚障害のクラスにいる、サオ先生。

優しくて、慈しみ深い。
私がこの配属先に来てからも、何かにつけて優しく声をかけ、
常に気にかけてくれた。
そういう人だから、子どもたちに対しても気配りが行き届いていて、優しい。

先生優位な指導が多いタイで、子ども目線に立ち一緒に笑い
決していばらず威圧的にせず、子どもの目を見て話し、小さなことでもほめる。
学習の仕方も一方的な教えではなく、子どもの興味・関心を大切にする。
      

サオ先生の授業では、サオ先生は子どもたちから目を離さない。
      

子どもたちもサオ先生から目を離さない。
目を離す隙がない。 飽きさせない授業だからだ。
      


サオ先生が絵を描く。
海の中の生き物を描く。 
     


そして、描いた絵を手話と講話で表現する。
     


次の絵は何だろうと、大人の私でもわくわくする、興味を持つ。

「さあ、次は誰が描いてくれるかな?」
子どもたちが勢いよく手をあげる。
指名された子が、嬉しそうに海の中の生き物を描く。
子どもたちにも出番があり、考えるチャンスがあり、飽きない展開。
サオ先生の目は子どもに優しくむいている。
     


尊敬できる先生に出会った。
子どもを見る洞察力も、受け入れる人間的な幅も、自ら成長する教師としての謙虚な姿勢も、
全てが素晴らしいと思う。
それを伝えたいのに、タイ語でこれらに相当する言葉がないのと、
私のタイ語の語彙力不足で、
「サオ先生は素晴らしい先生だと思う。今日の授業で感動した。」と言うのが精一杯。    

それでも、私の気持ちは伝わっているよう。
感激した面持ちで、恥ずかしそうに首を振りながら
「さちえ、ありがとう。」
と言う。
言葉がうまく通じなくても思いをくみ取る、そうだ、そういう感受性のある人なのだ。
だから、子どもたちの気持ちもつかむのだ。


こんな目をさせて子どもたちを釘付けにできる、
素晴らしい先生だ。

          







洪水の中の動物たち

2011年10月30日 01時57分47秒 | 日記

 洪水により、ワニ園から逃げ出してしまったワニたちが見つかったというニュースを見た。
 バンコク近郊の、ノンタブリ県で見つかり、捕獲されたらしい。    (→関連記事 10月15日ブログ 「ゾウもワニも」

     
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より





タイの人たちは弱いものに対してとても慈しみ深い。
赤ちゃん、お年寄り、障害者にたいしては優しくいたわるのが当然。
そして、動物にも。

ワニのことはどうだかちょっとわからないが、
洪水から避難する人たちが大事に犬をかかえて水の中を歩く映像をよく目にした。 
動物を船にのせて人間は歩いているような映像や
     
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より


このような情況でも、とりのこされた動物たちを救い出してえさを与える人もいるし
     
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より



水の中、犬を連れて買い物に出かける人や、
箱に入れて水に浮かべ、大事に運んでいく人も見る。
     
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より


こういう姿を見ることがタイの映像ではホントに多くて、
ホッと癒される。
     
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より




タイ洪水被害への義援金・募金をお願いします

2011年10月29日 03時18分41秒 | 日記
 

   
    http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より



立てつづけの台風の到来に長引く豪雨、バンコク北部のダムの放流、
チャオプラヤー川の水位上昇、満潮と、タイをとりまく水がタイを圧迫し、
洪水の被害が今や甚大。
死者は300人を上回り、930以上の工場が浸水した。
この50年で最悪の洪水被害に見舞われている。


思い出してほしい。
3月11日、日本で東北大震災がおきたとき、
わずか3日後に、タイ政府は日本のために2億バーツ(約5.4億円)もの支援予算を組んだ。
これは、外国への支援としては異例のこと。
そして、食料、衣類、毛布などの支援物資を即座に送り、ガスタービンを貸し出すなどしてくれた。

政府だけでなく、タイ人たちはすぐさま募金やチャリティ活動を行い、
タイ中のどこもが日本を応援するムードに包まれ、日本人のためにたくさんのお金を集めてくれた。
    
 
バンコクのスラム街にすむ人たちも、一日の日給に相当するようなお金を笑顔で募金してくれた。
地方の片田舎の人たちまでも日本へ心を寄せ、募金活動を行ってくれた。
   →過去ブログ参照  2011/3/22  「東北地方太平洋沖地震 タイから日本へたくさんの支援」   
                2011/5/24  「コンケンの人たちの思い 届け」   
                2011/7/23  「タイからのスピーチ」
 
 
そんなことを、今思い出してほしい。
私はその時タイにいたが、タイ人の優しさに何度も泣いた。
あの時の、いや、今も日本を応援しようとしてくれるタイ人たちの恩に
今、応えたい。
日本の人たちにタイ人たちのしてくれたことを知ってほしい。
そして、タイの人たちを今助けようとしてほしい。

    
  




先日セブンイレブンで見た募金箱。 毎日見るけれど募金はさほど入らない。
これがタイだったらすぐにいっぱいになってしまうと思う。
なけなしでも弱いもの困っているものに差し出す、そういう人たちなのだ。
みなさん、どうかタイに支援をお願いします。
    




以下、日本からできるタイ洪水被害への義援金・募金、支援等の受付先を載せます。
ピンク色の「 」をクリックしてすすみ、どうできる手助けを。




 【【【 日本からできる、タイ洪水被害への義援金・募金、支援等の受付先 】】】


在京タイ王国大使館   「タイ洪水被害者救済のための寄付金受付について」
  募金方法 : 直接持参か、現金書留、タイ王国大使館の銀行口座への振り込み。
  使いみち : 洪水被害者救済のためにタイ外務省に送金される。



タイ王国・大阪総領事館   「タイにおける洪水被害への義援金募集のお知らせ(pdf)」
  募金方法 : 現金書留。
  使いみち : タイ国内の被災者支援機関に送付される。



タイ赤十字社  「Welcome to The Thai Red Cross Society」(英語)
  募金方法:クレジットカード (やり方→「ホームページからタイ赤十字社に直接に送る方法」 『熟年初心者のためのネットビジネス講座』より)
  使いみち:タイ国内の被災地へ飲料水・食糧などの支援。



一般財団法人 民際センター 「タイ洪水 緊急支援募金のお願い」
  募金方法 : クレジットカード、郵便局、銀行、Tポイントからの寄付を受付。
  使いみち : 被災地の学校へ支援金を送る。 



自由民主党  「タイ大洪水・トルコ大地震被災者支援募金口座設置のお知らせ」
  募金方法 : 銀行振り込み
  使いみち : タイ・トルコ両国大使館を通じて被災者支援。



楽天グループ・楽天銀行  「タイ洪水の義援金について」
  募金方法 : 銀行振り込み、楽天銀行へのネット振り込み。
  使いみち : タイ赤十字を通じて、全額、被災者救済のための救援活動及び復興支援活動等資金として贈呈。



ジャパンネット銀行  「タイ洪水災害義援金の受け付け」
  募金方法 : 銀行振り込み、ジャパンネット銀行へのネット振り込み。
  使いみち : 在京タイ王国大使館を通じて被災者救援のために寄付。



セブンイレブン・ジャパン  「タイ洪水被害救援金募金 実施のご案内」
  募金方法 : 全国のセブンイレブン 13,590店に募金箱を設置。
  使いみち : 被災地に届ける。
    ※ セブンイレブンは、タイ国内には6,086店営業し、東日本大震災の際は、タイ国内のセブンイレブンの客、
      従業員から約1,600万円にのぼる義援金が集まった。



ファミリーマート  「タイ洪水被害義援金 募金実施のご案内」
  募金方法 : 全国のファミリーマート店 約8,600店に募金箱設置。
  使いみち : タイファミリーマートを通じて、被災地へ届ける。
     ※ ファミリーマートは、タイ国内に659店舗を有し東日本大震災の折りには、タイ国内のファミリーマート店頭募金から
       1,497万4,451円の義援金が集まった。




ソフトバンクモバイル 「東南アジア水害支援金プロジェクト」
  募金方法 : チャリティダイヤル「*5577」への通話料、SoftBank 3G用の壁紙購入、専用アプリケーションのダウンロード、
         ソフトバンクポイントでの寄付など。
  使いみち : 被災地支援団体(特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム)へ寄付。



WILLCOM ウィルコム  「東南アジア水害の被災地に対する支援金受付について」
  募金方法 : WEBメニュー ⇒公式サイト ⇒ 支援金受付(URL:http://mm.willcom-inc.com/shien/index.asp)
  使いみち : 被災地支援団体(特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム)へ寄付。




楽天クラッチ募金  「タイ洪水被害支援募金」
  募金方法 : 楽天銀行への振込、楽天ポイント、クレジットカード。
  使いみち : タイ赤十字社に寄付



Tポイント「タイ洪水緊急支援募金」
  募金方法 : インターネットからTポイントによる募金。
  使いみち : 民際センター タイ事務局(EDF-Thai)を通じ、被災地の学校へ贈る。



イオン株式会社  「タイ・カンボジア洪水被害への災害支援募金の実施について」
  募金方法 : 全国のイオングループの店舗及び事業所約7,000ヶ所(募金箱?)
         東北6県エリアの店舗を除く。
  使いみち : タイ王国政府およびカンボジア赤十字社
    ※東日本大震災では、イオンが店舗展開するタイからは、800万円相当の支援金をうけとった。


                   http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より


タイ、バンコクの洪水被害だけでなく、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーなど、
東南アジア全域で洪水被害がおきている。
しかし、それらが日本のニュースではほとんど取りざたされないのは
カンボジアやミャンマーには日本企業があまりないからなのだろうか。


    →関連過去ブログ 2011/10/8 「タイの洪水被害」
                   10/10 「在タイ日本大使館 バンコクの洪水に注意喚起」 
                   10/11 「緊急支援 今できることは」
                   10/13 「工業団地に浸水」
                   10/14 「水に浸かったアユタヤ遺跡」
                   10/15 「ゾウもワニも」
                   10/16 「明るさを失わない人たち」
                   10/17 「リーダーの手腕」
                   10/24 「外務省渡航情報」
                   10/25 「大使館からのお知らせ インラック首相声明」
                   10/27 「外務省の渡航情報 さらに引き上げ」
                   10/28 「報道の仕方がこんなに違うって」
                   10/28 「国外退避」




タイ 洪水全域地図

2011年10月29日 01時12分11秒 | 日記

 
日本のニュースで報じられるのは日本企業が多くあるバンコクやアユタヤばかりだが、
バンコク以外の多くの県が洪水被害に見舞われている。


 現 タイ洪水被害情況 28日現在  http://www.thaiflood.com/en/より
 5段階のレベルで示され、28日現在において、私の任地、東北部コンケンも上から2つめのレベルであるオレンジ色。
 

  ・・・・・・‥・・・激しくひどい浸水・冠水
  オレンジ・・・・・危機的情況
  ・・・・・・‥・・・浸水・冠水
  黄緑・・・・・・・・・回復情況
  ・・・・・・・・・・・注意・警告

  

国外退避

2011年10月28日 22時20分06秒 | JICA事務所

JICA本部からついさっき電話があった。


バンコク周辺の JV(青年海外協力隊)、SV(シニアボランティア)とその随伴家族が
洪水の危険回避のため、国外退避となった。
バンコク、パトゥムタニ、ノンタブリ、サムットプラカーンなどから14名。
今晩、まだ冠水してないスワンナプーム空港から飛行機に乗り、明日朝には日本へ到着する。
とうとう、国外退避となった。


実は、少し前から私は日本に一時療養帰国していたのだが、タイに帰ろうという頃
洪水によって再赴任にストップがかかり、待機の状態となった。
そして、今回の国外退避によりタイに帰れなくなった。
洪水対策に追われてきて、今JICAタイ事務所も混乱し、対応に追われているだろう。
どのくらい長くなるのかと考えると正直、あせる。
タイの人たちのこと、任地の人たちのことを、やきもきと思う。

    冠水したドンムアン空港
         
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より









報道の仕方がこんなに違うって

2011年10月28日 05時33分55秒 | 日記
日本のニュースでも連日タイの洪水被害の情況が報じられている。
テレビでも、新聞でも、タイの洪水被害について目にしない日はない。
日本もタイの現状になみなみならぬ関心を寄せているのが分かる。

        
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より



しかし、メディアの報道にはなんとなく引っかかりを感じてしまう。

まず、バンコクやアユタヤばかりに焦点があたっていて、他にもたくさんの
浸水した県があるのだが、全く目が向けれらず、そういう県があることさえ
ふれもしないところ。
東北部も浸水して大変な状態であり、東北にはピマーイの遺跡だってある。
だが、日本の報道はバンコクとアユタヤの報道に終始している。
日本にとってタイって、アユタヤとバンコクだけなの?と言いたくなってしまう。


そして、
タイにある日本の企業がどうだ、その企業が与えられる損害がどうだ
ということばかりが報道されている。
要するに、日本が被る損害ばかりなのだ。
これが、地方都市には見向きもせず、バンコク・アユタヤの報道に終始する理由にもなるのだろうが。
タイの人たちが今どう暮らしているとか、どんなことに困っているとか、
何が足りなくて何を求めているか、タイの人々が見えてこない。
タイの人間を感じない。
だから、テレビを見ていても、わたしたちには何ができるか考えさせるに至らない。
他人事、他人の大事、 「日本企業の損害=日本経済の損害=日本人も困る」 の図式。


友達のタイ隊員がこんなことを言った。
「日本人は、タイがどうこうよりタイ産の物品が入らないことが重大事なんだ。」


そうだと思ってしまう。
  エビが、ツナ缶が、ほとんどがタイ産です。 今はまだ在庫がありますがこの先なくなります。
  デジカメの部品が生産できないので、新商品の発売が遅れる見通しです。
  タイにいる日本人が危険です。日本に続々一時帰国しています。
  タイの日本企業が打撃を受け、損害ははかりしれません。
どれも、日本がうける被害ばかりなのだ。



日本が震災に見舞われたとき、
あのとき、タイでは毎日 日本の被害について報道され、
悲しそうな日本人の横顔が映し出された。
タイ人たちはみな泣いてくれた。
口を開けば、「日本は大丈夫か?」「あなたの家は、家族は大丈夫なの?」と誰もが聞いてきたし
すぐさま募金箱があちこちに設置され、どこでも募金活動が行われた。
     (→3月22日ブログ 「東北地方太平洋沖地震 タイから日本へ たくさんの支援」   
        3月28日ブログ 「Thai for Japan」
毎日のニュースは、私は言葉は全てが分かったわけじゃないが、
遠く離れた日本で起きたことに、そこで今生きる被災者に、同じ人間として
心を寄せるような報道だったと思う。
「日本という友達が泣いている。けれど日本は一人ではない。わたしたちが助ける」
と言っていたのが聞き取れたとき、胸が熱くなって涙がでた。

  (関連過去記事→3月31日ブログ 「コンケンにいる私だからできること」 
             5月24日ブログ 「コンケンの人たちの思い 届け」 
             7月23日ブログ 「タイからのスピーチ」

タイの人たちがかつてしてくれたこと。
あんなふうに、いたわりの心があふれていたものと今の日本の報道を比べてしまう。
遠く離れた国であっても、同じ人間同士、
言葉が違っても文化が違っても同じ人間がそこに生きていて、今苦しんでいる、
それが身近に感じ、苦しくなるようなそんな報道ではないと思うのだ。
そこに生きる人間そのものを感じさせるることがない報道ぶりが残念でならない。


しかし、日本人記者がバンコクでひざまで水に浸かり、しかめ面をして つばを飛ばしながら
危険度をアピールしているのに対し、
その後ろを裸の子どもが悠々と泳ぎ、母子が笑いながら水遊びし、
屋台のおばちゃんがの~んびりとごはんを食べているのが写ると、ふふふと笑いがこぼれる。
この受け止め方の差が何とも言えない。
浮き輪に乗った人が背泳ぎしていく光景さえあるではないか。
タイ人のあっけらかんとしたところ、どんな情況でも深刻に考えすぎず、悲壮感をもたない。
すばらしいのだ、タイ人。

     
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より



あるタイ人のおばちゃんがインタビューに答えている。
字幕に出たのはこう。
「水がひかないので困る。」
けれど、そのおばちゃんがしゃべっていたタイ語はこうだった。
「水がこんなにあるのはあんまりよくないね、でしょ?! でも水はそのうちひくわよ。大丈夫よ。」
あれ? 字幕はずいぶんニュアンスがちがうようだ。
そういえば、インタビューがやけに少ないのは、日本メディアが求めるような悲壮感をタイ人があまり出さないからか?
バンコク在住の日本人へのインタビューは多いが、現地人へのインタビューがほとんどない。
     
      http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より


あの震災の時の日本を映したタイの報道ぶりと
今、タイの洪水を映す日本の報道ぶり。
あれだけの思いをもらっておいて、と特にそのときタイ人の親切を肌で感じていた私は
悔しく感じている。
企業として、損得として、日本の経済との関わりとしてタイを映すばかりのようで。


それでも、水害の中にタイ人の の~んびりとした姿を見ると
イライラとしていた気持ちをタイ人から救われる。



   http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より





外務省の渡航情報 さらに引き上げ

2011年10月27日 03時36分50秒 | JICA事務所

    →関連記事 10月24日ブログ 「外務省渡航情報」   
 


タイ日本大使館からの緊急一斉メール。


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タイ在留邦人の皆様へ
               【大使館からのお知らせ】
                                緊急一斉メール

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タイに対する渡航情報(危険情報)の引き上げについて  (2011年10月27日現在)

1.首都バンコク
 首都バンコクの危険情報を「渡航の延期をお勧めします。」に引き上げましたので、緊急の目的・業務の必要など
やむをえない事情で渡航される方は、渡航予定地域の洪水状況の推移に十分な注意を払いつつ、洪水被害に
巻き込まれることのないよう適切な安全対策を講じてください。
 また、今後、邦人の多数居住する都内中心部においても冠水・浸水が生じるおそれが高まっていますので、
既に滞在中の方は、各種水害(停電・断水を含む)に備えて備蓄を進めるなど具体的な安全対策を講じて
自らの安全確保に努めてください。更に、都内中心部で冠水・浸水の被害が拡大した場合には、停電・断水、
道路の寸断、公共交通機関の麻痺、衛生面などで大きな支障が生じるおそれがありますので、事情が許す限り、
早めに国外への出国を含め安全な場所の確保若しくは安全な場所への移動を検討してください。

2.アユタヤ県、パトゥムタニ県、ノンタブリー県、ナコンパトム県及びサムットサコン県
 同地域の危険情報を「渡航の延期をお勧めします。」に引き上げましたので、緊急の目的・業務の必要などやむを
えない事情で渡航される方は、適切な安全対策を講じてください。また、既に滞在されている方は、事情が許す限り、
早めに国外への出国を含め安全な場所の確保若しくは安全な場所への移動を検討してください。


○日本大使館ホーム・ページ 「タイ洪水被害関連情報」  http://www.th.emb-japan.go.jp/
○Twitter  http://twitter.com/#!/japanEmb_Thai


大使館からのお知らせ  インラック首相声明

2011年10月25日 04時18分38秒 | JICA事務所
深夜、大使館からの緊急一斉メールが届く。





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タイ在留邦人の皆様へ
                    【大使館からのお知らせ】
                                                緊急一斉メール

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        バンコク都における降雨・洪水被害に関するインラック首相の声明
                  (2011年10月25日現在)

25日、20時半より、インラック首相は、バンコク都における洪水被害に関して、テレビで声明を発表しました。
(以下は、当館館員がインラック首相の声明を聞き取ったものの骨子です。声明の正確な内容につきましては、
タイ政府から正式な声明文が公表され次第、改めて確認いたします。)

1.タイの北部から中央部を通って大きな水の固まりが流れてきている。水の流れのエネルギーは受け止められる
  能力より大きいため、水はバンコクの内部と外部に侵入する可能性あり。

2.洪水による水位は、水をどれだけコントロールできるかによって違ってくる。また、土地の高低により一定ではない。

3.(バンコク)西部では北から流れてきた水は、ノンタブリー、バンプラットに影響を与えている。バンコク都は堤防
  を強化しているが、水は受け止められる能力を超えており、トンブリ及び周辺地域で平均して50センチの洪水と
  なっている。

4.(バンコク)北部では、流れ込む水は運河の戸を閉めホックワー運河から排出し、バンコクの中心を流れないよう
  対処しており、うまくいけば洪水による水位は50センチメートルを越えない。

5.(バンコク)東部では、ラピーパット運河やクロンセープ運河を使って海に流すが、当初の計画通り進んでも、
  この地域は他地域より低いことから、洪水の水位は1~1.5メートルが見込まれる。

6.最悪のケースとして、堤防が崩れる、又は、水位が予想を超えるような場合、バンコクは場所によって高低が異なる
  ことから、洪水の水位は10センチメートル~1.5メートルとなると見込まれる。政府は影響が最小限となるように
  努力するが、本日より国民も万一に備えて財産を高い場所に移して欲しい。

7.水位が上昇する27~31日を臨時の休日とした。他方、洪水対策従事者は引き続き協力して欲しい。
  政府は食料品や生活必需品の確保、水や電気の質の確保に最大限取り組む。

8.国民はパニックになってはならないが、同時に万一に備えて欲しい。この危機を乗り越えられると確信している。


  ○日本大使館ホーム・ページ
    「タイ洪水被害関連情報」http://www.th.emb-japan.go.jp/



外務省渡航情報

2011年10月24日 03時41分18秒 | JICA事務所


洪水の被害拡大に伴い、外務省がバンコク全域を「渡航の是非を検討してください」に、危険情報を変更した。
危険情報4段階の上から3番目となる。
  外務省HP→http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=007#danger


外務省の渡航情報では、特に注意が必要と考えられる国・地域に危険情報を出す。
その国の治安情勢や情況から、その国や地域に応じた安全対策の目安を知らせるもの。

首都バンコクに対して、それが引き上げられた。

ちなみに、危険情報は4つ。
 1 「十分注意してください。」
 2 「渡航の是非を検討してください。」
 3 「渡航の延期をおすすめします。」
 4 「退避を勧告します。渡航は延期してください。」

「渡航の是非を検討してください」となり、バンコクに滞在する邦人は、
事情が許せば早めに国外への出国を含め安全な場所の確保を検討するようにと呼び掛けている。


バンコク日本人学校は、31日まで臨時休校を延長することを決定。
小学部と中学部を合わせた全校約2,600人のうち、24日時点で既に一時帰国したか
これから帰国を計画している児童・生徒は約500人に上る。
外務省がバンコクへの危険情報を引き上げ、学校が休校になっていることもあり、
駐在員が家族を帰す動きが強まる可能性がある。





それにともない、タイ事務所からの緊急メール。

一般渡航について
1) バンコク都及び中部:禁止  ※トランジットは、スワンナプーム国際空港を利用し、かつタイへ入国しない場合のみ可。
2) 北部のうちチェンマイ市内およびチェンライ市内:タイ事務所承認 ※一般渡航者の都市間の陸路移動は禁止。
3) 上記以外の北部:禁止
4) 東北部のうちシーサケート県のプレアビヒア寺院(タイ側呼称:カオ・プラ・ウィハーン遺跡)及び周辺地域(5km圏内):禁止
5) 上記以外の東北部:タイ事務所承認 ※一般渡航者の都市間の陸路移動は禁止。
6) 南部のうちマレーシア国境周辺の5県(サトゥーン県、ソンクラー県、パッタニー県、ヤラー県、ナラティワート県):禁止
7) 上記以外の南部:タイ事務所承認 ※一般渡航者の中部を経由する陸路移動は禁止。



注意のお願い

バンコク及び近県の被害は広がり、東北地方も、ムン川及びチー川の水位が高くなり、ナコンラチャシマ、スリン、シーサケット、ブリラム、ウボンラチャタニの浸水が広がることが予想されています。
一部地域では、断水、停電などが生じているとの情報もあります。

(1)浸水への備え。水がひくまで1ヶ月程度かかるとの予測もありますので、余裕を持って準備お願いします。
   ・水や食料の備蓄。携帯電話も常に充電下さい。
   ・停電・断水に備え、懐中電灯やろうそく、簡易コンロ、水をバスタブに溜める等もご検討下さい。
    感電を避けるため、冠水した水には入らないようにしてください。
   ・ATMの現金が少なくなっている地域もあります。一定額の現金を用意ください。

(2)運河等には、必要以上に近寄らないように。外出して帰れなくなる、川の様子を見るために船に乗って事故にあう等のないように。
(3)近辺で被害が生じたら、連絡お願いします。
   必要に応じて、より安全な地域に移動をお願いする可能性もあります。
   水害時の避難は、タイミングを見間違うとかえって危ないため、避難は早めに行います。
   ・パスポートの所在を確認する。
   ・荷物を予めまとめておく。(そのまま国外退避になる可能性もあります。日本に帰ることができる荷物を準備してください。)
   ・家賃や電気代など、早めに支払っておく。
   ・浸水があってからの避難は、両手の空く服装(レインコート、リュック)及び運動靴(長靴は水が入って危ない)でお願いします。
(4)ご家族、所属先に安否を知らせてください。JICA本部に所属先などから問い合わせが来ています。


正直者

2011年10月22日 03時12分34秒 | 日記

派遣前訓練をうけた、福島の二本松訓練所で、ウィキ先生が言った。

「タイでタクシーに乗ったら、ドアの内側にある車両番号を必ずメモして。
 もし車内に忘れ物をしたとき、日本ならばそのタクシー会社に電話すればだいたい忘れ物は手元に戻る。
 だけど、タイではほとんどが個人タクシー。そして、会社の種類もとんでもなく多い。
 車両番号がわからないと、タクシーを探すことまず不可能。
 運転手も届け出ないから、忘れ物が手元に戻ってくることはまずない。」

       


 記録の意味もあるが、運転手との何らかのトラブル防止のためにも、
 車両番号を運転手にわざとわかるように写真に撮るのもよいと、アドバイスされることもあった。

 いつも、タクシーに乗ったときには気をつけて車両番号を書き留めていたが、
 余裕をなくしているときには、大切な大切なものを置き忘れてきてしまったことがあった。
 その時には、警察にも行ったし、あちこちに電話して助けを求め、ラジオ局にまで依頼した。
 強く願えばきっと戻ってくると友達からも言われ、四方手を尽くした後は、
 希望を捨てずに願い続けたが、結局大切なものは戻ってこなかった。 (→過去ブログ 2011/4/2記事「大切なもの紛失」

 それはもうショックで、後悔して悔やむばかり。 
 見つかる夢を見たり、そもそもなくしていなかったという夢を見たり。
 数ヶ月立ち直れなかったな。

 その大切なものをなくしたおかげで、今は多少の何かを落としても、盗られても、
 「もっと大事なものをなくしたことあるから。あの時に比べれば。」
 とたいした痛手ではなくなった。
 人間、強くなっていくものだな。


 タクシーにものを忘れたら、普通戻ってこないのが通説のバンコク。
 それが、お金であったり高価な電子機器、カメラであったりすればなおさら。
 だけど、それは通説であって、そうでない場合もちゃんとある。
 奇跡にちかいほどの確率かもしれないが
 だからこそ、ニュースで取り上げられ人々の関心が向けられるのだろうが、
 日本人の忘れたパソコンと現金10万円あまりを、探し探しして忘れ主に返したタクシー運転手がいた。

 同じく、タクシーに大切なものを忘れた日本人として
 私の大切なものは戻っては来なかったけれど、
 少し、救われる思いがした。


         



 【パソコン忘れた日本人客へ運転手が返却】 10/07 バンコク週報 http://www.bangkokshuho.com/news.aspx?articleid=12934より

  バンコクで10月1日、日本人客がタクシーに置き忘れた、現金3万6千バーツとパソコン入りのカバンを、運転手が持ち主に返却した。

  この正直者の運転手、ヌーデーンさん(56)によれば、
 「朝、タクシーのトランクを調べると、トランクにタイバーツの現金3万バーツと、日本円1万8千円、
 ノートパソコンが入ったカバンが入っていました。私は、夜間シフトの運転手の乗せた乗客が忘れて行った荷物に違いないと思い、
 ラジオ局に頼んで、持ち主を探してもらうことにしました。タクシー運転手になって10年になりますが、貴重品の忘れ物を
 見つけたのは初めてです。そのため、気持ちが落ち着かず、一刻も早く返したいと思いました」とのことだ。

  その後、ラジオ局が調べたところ、日本人ビジネスマンのマエダさん(36)からタクシー内にカバンを忘れたと
 届けが出ていることが判明。カバンはラジオ局で無事ヌーデーンさんからマエダさんに手渡された。

  マエダさんは、
 「タイにはビジネスのため10回ほど来ています。昨日は帰国のため、ホテルからタクシーでスワンナプーム空港に向かいましたが、
 タクシーを降りたところで忘れ物に気づき、警察に届けました。そして帰国を延期し、ホテルへ戻りました。
 カバンが見つかったと連絡が来て、感謝の気持ちでいっぱいです。日本では現金を拾った人には、拾った額の10%を
 お礼として渡す慣習があるので、ヌーデーンさんに3000バーツをお渡ししました」と嬉しそうに話していた。

  

沙羅双樹の花の色

2011年10月20日 23時02分44秒 | タイの季節
「この木、この花、なんの花か知ってるよね?」
と聞かれて見上げると、まん丸のかわいらしいかたいつぼみ。
    


変わった花が咲いている。
見たこともない形の、肉厚な花。

    

私にこう尋ねたのは、本が好きで、文学知識の深い先輩隊員。

「なんでしょう、知りません。何かなあー。」
分からないでいる私に教えてくれた。
「沙羅双樹だよ。」

沙羅双樹(さらそうじゅ)
と言われてすぐに思い出すのが
「沙羅双樹の花の色」という言葉。
『平家物語』の冒頭に出てくる言葉だ。
ああ!平家物語の、あの!あの沙羅双樹!


一応私が国語科の教師であるわけだから、先輩隊員は
もちろん、平家物語の冒頭をすぐに連想すると思って教えてくれたのだと思う。
これがあの沙羅双樹、知らなかった、見たこともなかった、
授業では生徒たちに数え切れないくらい朗読してきたが、
実際には見たことがなかった。
だから、感激した。
日本の代表的古典、誰もが中学で学習する『平家物語』、
その冒頭に出てくる、あの沙羅双樹をこんなところで見ることになるとは。
     


『平家物語』は鎌倉時代に成立した、軍記物語。
平清盛を中心とする平家一門の栄華と没落が描かれており、作者は未詳。
「耳なし芳一」で有名な「琵琶法師」が歌い語る物語。
和漢混淆文で書かれ、平易で流麗な名文が並ぶ。リズムがよいのだ。
とくに、「祇園精舎の鐘の声……」の冒頭が有名で名文。
私は必ずこの冒頭を生徒たちに暗唱させていた。




  『平家物語』冒頭

  祗園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、
  諸行無常(しょぎょうむじょう)の響きあり。
  娑羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、
  盛者必衰の理(ことわり)をあらわす。
  おごれる人も久しからず、
  ただ春の夜の夢のごとし。
  たけき者もついにはほろびぬ、
  ひとえに風の前の塵(ちり)に同じ。



  【現代語訳】
   インドの祇園精舎というお寺の鐘の音には、
   諸行無常、この世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
   (鐘の音は鳴っても、次第に弱まり消えていく)
   沙羅双樹の花の色は、
   どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。
   (お釈迦様が亡くなったときにその色を変えたという)
   世に栄え得意になっている者も、その繁栄は永遠ではない。
   ただ春の夜の夢のようなものである。
   勢い盛んな者も、結局は滅び去ってしまう。
   まるで風の前に吹き飛ばされる塵(ごみ)と同じようである。





何度読んでも、秀逸な冒頭文だと思う。
1000年以上も昔のものが、今もなお読み継がれる理由が明らかだ。
1000年前から人間は、ずっと栄え滅んで、それを繰り返し生きてきたのだ。


「沙羅双樹の花の色」を初めて見た。
薄い赤色で、はかなげな色合いでありながら、花弁は厚く力強い。
花の中央には鎌のようなものもある。
     


インド北部が原産のこの木は、高地に生える高木で、
日本では温室以外ではまず見かけることはないらしい。
釈迦が亡くなったとき、釈迦を囲むように四方に植えられていたこの木が枯れ、
鶴の羽根のように白くなったとの伝説から、仏教では聖木とされている。
ミャンマーの国花。
     


学校で繰り返し朗読してきた平家物語。
もちろん、私もそらで暗唱できるこの冒頭。
暑いタイで、初めてお目にかかれて感極まるほど光栄。
まさか、ここで沙羅双樹を見るとは。

「沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」
どんなものも一定ではない、変わらないものはなく、必ず移り変わってく、
仏教の無常観を感じながら、花の前で口に出し、冒頭を暗唱してみる。
   

よいものも、わるいものも一定ではない。
必ずうつりかわっていく。
生きる者は栄えるが、必ず衰えていく。
それが生きるということ。
人は変わっていく。
心もうつりかわっていく。


「春の夜の夢のごとし」、というならば、はかなくても思いきりいい夢を見てやろうじゃないか。





ソイ ローポーショー

2011年10月20日 22時13分13秒 | 日記
大通りから入った細い道のことを タイ語で、「ソイ」 と言う。
私の住むアパートは、ソイにあり、そのソイをみな ソイ・ローポーショーと呼ぶ。
    

思い返すと、コンケンに来たばかりの時、ソンテウに乗り間違えて
全く知らない遠いところまで行ってしまい困り果てたことがあった。
通りすがりの人の親切に頼って何とかあの時は家に帰り着いたが、
そのころはこのソイの名前を知らず、住所を説明することもできなかった。  (→過去ブログ 2011/7/24記事「タイは4連休」
あれから1年。

タクシーやトゥクトゥクで家に帰るとき、誰かに住所を伝えるとき、
「ソイローポーショー」と言うのだが、この「ローポーショー」の発音が難しく
一度で通じたことが未だにないように思う。
一度で通じるとは思っていないから、2回も3回も、5回も10回も
「ソイローポーショー ソイローポーショー!」
と繰り返す。
そのうちどれかの発音がぴたりとはまって聞きとってくれるときもあれば、
数人が集まってきて眉間にしわを寄せて私の「ソイローポーショー」に耳を傾け
その人だかりのうちの誰かが
「ああ! ソイローポーショーね!」
と理解してくれるときもあり、
そんなこんなでやっと住所が伝わり帰宅の途につける。
帰宅するのにも骨を折る。
めげずに下手な鉄砲も数を撃てばあたる、という気持ちで生活してきた。


そんなソイローポーショー。
市内ではあるものの、東北の昔ながらの田舎の雰囲気ただようソイ。
商店もあるし、屋台もあるし、夕食のおかずは並ぶし、なんでもそろっている。

ただ、市内からはちょっと離れているから、夕方6時には交通の足がストップしてしまい真っ暗。
平日にちょっと足を伸ばして市内へ、なんてことしたら帰ってこられない。
活動が終わるとこのソイでお買い物をして夕方からは家からでない、という毎日。
ちょっと不便でもあるのだが、この場所から引っ越したいと思わないのは
この人たちの人の良さに、ずいぶん助けられているから。   (→過去ブログ 2011/7/12 「声かけてくれる人たち」




果物屋の屋台のおばちゃん。
タイのスカートを巻いて、いつも笑顔。
     
朝食のバナナは必ずここで買うが、毎回必ずおまけしてくれる。
マンゴーもあげよう、ロンゴンも食べなさい、と袋にたくさんつめてくれる。
      
 
3日顔を見せないと「病気になったかと思ったのよ!」と心配し、
顔を見せるといつでも喜んでくれて、活動とは関係のない他愛のないことを話す。
おばちゃんに何度救われて癒されて元気をもらったことか。
ソイローポーショーで一番心安らぐ場所。
このおばちゃんが大好き。
      

    


とてもおいしいナムプリック屋さん。  (→過去ブログ 2010/10/3「タイ人必須アイテム ナムプリック」
     
日本が好きで、京都のタペストリーを店に飾っている。
店の前には大きなジャックフルーツの木、実る季節には通りにいい香りを運ぶ。 (→過去ブログ 2010/3/19「ジャックフルーツ」
ナムプリックが最高に美味しくて、お土産に最適。
     
何かにつけて私が私が大量に買っていくのでここでもしょっちゅうおまけしてくれる。
「お母さんにこれをあげて」、と私の母へのお土産に
イサーンお菓子やイサーン布で作ったポーチや財布をくれたり
娘みたいなものよ、と抱きしめてくれたり、
     
友達を連れて行けば大歓迎してくれるし、
家族のようなあたたかい人たち。
     




なんでもそろう商店では、行くたびに丁寧に
「サワッディーカー サーイ」と私のタイの名前を呼び
今日は元気?サーイ。 何を買いに来たの?サーイ といつも親しく話してくれる。
さちえは家族と離れて一人でここに生活しているんだから私たちを家族と思ってね、
と心から親しみを込めて言ってくれるこの一家の人たち。 大好き。
   



夕方から品物を並べる市場。
    



お総菜屋のおばちゃんたちは、
私が買いに行くと一つ一つを丁寧に説明してくれる。
「これは魚を蒸してレモンをかけて・・・」
「これは鶏肉よ、辛くないわよ。」「これは竹の子が入ってて・・・」
他のお客さんをほったらかしで私につきっきり。
「これはおいしいの?」と聞くと、
「おいしいわよ!ほら、チム(味見)!チム! こっちにいらっしゃい!」
と、売り場側に招き入れてくれて、全種類チムさせてくれる。
チムだけでお腹いっぱいになってしまう。
       
売り場側に入り込んでチムしている日本人をお客さんたちも笑ってみていくが
売り手のおばちゃんたちも楽しそうなのだ。
家族が来タイしたときにも、私の家族を売り場側に引き入れてチム(味見)させてくれた。
    
バスターミナルまで歩いて行こうと、この前を通るとおばちゃんの一人が走り出てきて
手をつかんで引き留め、いつもバスターミナルまで送ると言ってくれる。  (→過去ブログ 2011/6/16 「1年がたつ」




アパートの裏に住む大家さんご夫婦。
ご主人のピージョーと奥さんのピーミヤウ。
夫婦そろって日本が好きで、ぜひ日本人にアパートを貸したいと私の入居を待ってくれていた。
私以外のアパートの入居者は、全員コンケン大学の学生。   (→過去ブログ2010/9/10 「考える」
日本人一人の私をいつも気にかけてくれて、相談事をすると飛んできてくれる。
    (→過去ブログ 2010/9/2「私の部屋」  2010/12/4 「うっかりインロック 南京錠」  2010/12/5 「新ドアノブ」
 
ピーミヤウは料理が上手で、つらいことがあったときにごはんを作って慰めてくれたことがあった。 
その次の日には、ピージョーが日本語の本を片手に持って部屋に来て
「これ買ったんだ。さちえとはなしたいから。」と言う。  (→過去ブログ 2010/9/8「いろんなことがある」


2人の優しさには何度も救われた。
果物をどっさり買って持って来てくれ、「家族にあげて!」。
タイの果物は検疫があるため日本へは個人では持ち込めないのだが
何も知らないピーミヤウも果物屋のおばちゃんもなにかあるとそうやって
果物をどっさりと私にくれるのだ。
もう、がんばって全部私が食べちゃう。
     



アパート廊下ではとっても大きな犬と、とっても小さな犬がうろうろ。
でかい犬は怖い顔で最初はこわかったけど、今はすっかり仲良くなった。  
     (→過去ブログ2010/8/5 「できない」    2011/2/20 「好きな人がいます」
 怖い顔してるけど、優しいいいやつ。 知らない人にはよく吠える。
   



焼き芋と焼きトウモロコシを売るおばちゃん。
焼き芋は一年中売られていて、値段の割にあまりおいしくないのだが、
秋っぽさを味わいたくなると買いにいく。    (→過去ブログ2011/1/5 「や~きいも や~きいも~」
   



JICA職員も通りかかりに見つけてびっくりしていたこの看板。
看板にJICAのマーク。
ずっと以前にこの辺りの水道整備を行ったあとらしい。
こんな田舎まで、草の根活動しているなあ、JICA。
      


クリーニング屋があり、理容院があり、 (→過去ブログ2010/7/26 「ご近所探検」
仕立て屋があり、  (→過去ブログ2010/7/26 「ミシン屋さん」
何でも必要なものはそろっている、この小さな路地。
ソイローポーショー。
そして、タイ人のあたたかさが並んでいる。

       









仕立て屋さん ミシン屋さん

2011年10月19日 11時45分45秒 | 日記
タイで服を買う。

スカートの丈が長すぎる、ズボンの丈が長すぎる、ちょっと短くしてほしい
と思ったら、
日本でなら裾上げサービスを頼み、お金を払う。
だいたい、500円~2000円程度かな。


タイでは、
お店の人が親切で手縫いしてくれる場合がある。
だいたい無料。
手縫いなので、手仕事の縫い目。
それがあたたかくていい感じだなと思う。

お店の人がサービスでやってくれないときには、
ミシン屋さんに頼む。仕立て屋さんと言うべきかな。
こちらの方が一般的のよう。

ミシン屋さんは、どこにでもいる。
     


道ばたに小さなテーブルとミシンを置き、座っているミシン屋さんもいれば
商店の商品の中に紛れるように突如存在するミシン屋さんもいる。
          


お仕事中、カメラにちょっと照れてる顔が素敵でしょ。
     





ある時には、買ったスカートを裾上げしたいとお店の人に相談すると
「この店を出てあっちに大きな木がある、木の下にミシン屋さんがいる。」
と言われ、半信半疑で大きな木を探したら、本当に木の下に仕立て屋さんがいた。
   



コンケンの、私のアパートのすぐ近くにもミシン屋さんはいる。
笑顔が素敵なミシン屋さん。
     


頼めば何でもやってくれる。
「この毛布、大きすぎるから半分に切って。」
「このブラウス、大きいのよ。幅を小さく縫い直してよ。」
「このかばん、取っ手の位置が悪いの。取っ手をこっちにつけ直せない?」
などなど、なんでも相談次第で、だいたいのことはやってくれる。
スカートやジーンズの裾上げで20バーツ(60円程度)
     


「ジーンズの裾上げをお願いします!」
たのむと、にっこり受けとった後、きりっとした顔で私のジーンズを見ている。
仕事人だなあー。
      


床はお客さんの持ち込んだ服やバッグや布類が一見散乱しているように見える。
ちょっと不安人になる。
私のちゃんと区別がつくの???
が、ちゃんとどの袋のどの服が誰のもので、どのくらい縫い上げるよう頼まれたか、どんな依頼だったか、
覚えているからすごい。
依頼したときには、ふんふん、と聞くだけでメモしているわけでもなかったのに。
プロの仕事人だなあー。
     


臨機応変で、大胆に何でも作り直しちゃうのを怖がらない、
そして手先の器用なタイ人らしく 仕事も早い。
   


私のジーンズもほら、こんなにきれいに仕上がって。
ジーンズ230バーツ(690円程度)、裾上げ20バーツ(60円程度)
    









朝日と夕日

2011年10月18日 03時13分46秒 | 青年海外協力隊たちの活動
タイの日差しは朝から強い。

薄いカーテンから、朝の太陽の日差しが燦々と差し込む。
   
窓際に飾っている仲間の隊員が送ってくれた世界各地からのハガキ、
日本からの嬉しいハガキを、朝からじっと見る。
元気が出てくる。


起きたら、顔を洗い、バナナを食べて、歯を磨き、
8時の国歌が流れる前に家を出る。

日やけ止めを塗り、自転車に乗る。
     


配属先、第9特別教育センターに到着。
「サワッディーカー」
     


めざとく見つけて寄ってきてくれる子もいる。
裏表のない、損得の勘定に左右されない、正直な自閉症のこの子が
私を見つけて寄ってきてくれるのが、どんなあいさつよりも嬉しいと思う。
      


一日センターで過ごして、16:30、センターを出る。
朝の日やけ止めはすっかり流れているだろうけど、面倒なので塗り直すこともなし。
だからしっかり日焼けしてしまった。
      


2週間に1度のペースで自転車のタイヤの空気がなくなる。
日本のように自分で空気入れで入れられないため、自転車修理屋さんに寄り道する。
おじさんが大きな機械からチューブで空気を入れてくれる。
「いくらですか?」ときくと
「マイペンライ(大丈夫)」
いつも、お代はおまけしてサービスしてくれる。
優しくて嬉しいのだけど、また2週間後にはお世話になると考えるとため息。
空気がなくなっていかない自転車がタイでほしい。
    


バナナがなくなりそうになると、近所の果物屋の屋台に買いに行く。
    


17:30ごろ、日が沈む。
2階にあるアパートの自室からは見晴らしがよいとは言えないが、
家々の間に沈む夕日が見られる。
   


タイの夕日も、夕方だからといって力を失うことがない。
燦々とまぶしく力強く照らす。

リーダーの手腕

2011年10月17日 11時20分47秒 | 日記
      
  チャオプラヤー川沿い、ノンタブリ県。(→関連記事 2011/6/19ブログ 「クレット島」
  http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より




16日、アユタヤ県の工業団地がまた新たに冠水した。
アユタヤ県内にある工業団地は5つ、これによりその全てが冠水した。


隣県であるパトゥムタニー県にあるナワナコン工業団地にも水が迫る。


17日、ナワナコン工業団地内の住民たちに避難勧告が出された。
ナワナコン工業団地は40年の歴史を持つタイ最初の工業団地。
NEC、TOTOなど多くの日系企業がある。
団地内で生活する従業員とその家族は20万人を超える。

    
     http://jp.reuters.com/news/world/rpSlideshows?articleId=JPRTR2RB81&rpc=122#a=6より


首都バンコクにもさらに水が迫る。
首都や空港を必死に守ろうとするタイ政府。
バンコクがアユタヤなみの水に飲まれたら、その被害は計り知れない。
アジアの、いや世界のハブ空港の役割を果たすスワンナプーム空港が水に浸かったら、
タイを乗り継ぎ経由する多くの交通網がストップし、世界中に打撃を与える。
だから首都を守ろうするのは、タイの生きる道として当然のこと。


しかし、バンコクを守るためにとられる措置が、
実は今回浸水したパトゥムタニー県などの被害の長期化に関わってくるという。


政府が設置した洪水被害対策本部、水害被災者救済センター。
センターの計画では、バンコク郊外や近郊県において水路や水門の補強を行い、
水門を閉じて都心への洪水を回避する。
すると、水門を閉じたパトゥムタニー県での冠水が悪化・長期化することになる。
そのため、住民の一部が計画通りに水門を閉めることを拒否し、
地域の冠水を軽減しようと設置されていた土のうなどを無許可撤去。
このため、バンコク郊外の洪水エリアが拡大することになったらしい。


16日午後、政府は
「首都を守るため、ある程度の被害は容認してほしい」と
住民側と最終交渉を行っているが、補償などいっさい発表しておらず、
住民の理解を得られるかどうか微妙な状況だ。


都心部を守るために近隣県の被害の長期化を容認する。
被害を最小限にとどめるためとはいえ、
なんとなく、弱者の上に強者が立つ図式が成り立つのを想像してしまう。
その痛みも感じ、その上でこれらを断行してこそリーダ-といえるんだろう。


バンコクに雨雲がたちこめる。
   



  
    →関連過去ブログ 2011/10/8 「タイの洪水被害」
                   10/10 「在タイ日本大使館 バンコクの洪水に注意喚起」 
                   10/11 「緊急支援 今できることは」
                   10/13 「工業団地に浸水」
                   10/14 「水に浸かったアユタヤ遺跡」
                   10/15 「ゾウもワニも」
                   10/16 「明るさを失わない人たち」