「パトゥ」=「扉・ドア」
「ナム」=「水」
直訳すると「水門」のような意味になる「パトゥナム」と呼ばれる
安いものがずらりと並ぶマーケット。
バンコクにもあるが、コンケンにもある。
規模はそりゃあ、バンコクに比べれば小さいが、
それでも、一日で見尽くせないほどの店が並ぶ。
さらに、バンコクよりもコンケンの方が安くて買い物ができる。
安い、安い、とにかく安い。
外国人から見て安いというわけではなく、
地元タイ人から見ても安いらしくて、
「パトゥナムに行ったらお金がなくなっちゃう!」
と、配属先の人たちは言う。
本当にその通りで、私にとってもアンタラーイ(危険)な場所だ。
ついつい、安い安いと思って買いすぎてしまう。
最近は、家族が来たり、他国隊員が来たりすることが続いて
そのたびに、パトゥナムに連れて行ったので
ある日お金が底をついた。
「お金がないの!」と訴えて、配属先の人たちに
銀行に連れて行ってもらい、いざというときのためにもっておいた
手持ちの日本円を両替して、なんとか生き延びた先月。
かわいらしいタイパンツが90バーツから。(270円)
しっかりした生地のTシャツが85バーツ。(255円)
スカートが200バーツ。(600円)
すてきなワンピースが250バーツ、(750円)
パーティドレスが 500バーツ(1500円)。
安いものはそれなりに糸の始末が悪かったり、
生地が薄かったり、安いだけの理由があって、
いいものを求めると、少しずつ値段が上がっていく。
それは、当然のこと。
誰もが心得て、安いものは短い時間しか使わないと割り切って買う。
生地の質も縫い方の質も変わらないものが、
ブランド名がついただけで、
一方は倍以上の値段になるなんて、日本でのようなことはあり得ない。
ものの値段が誰にとっても同じということもない。
その値段を出してもいいと思う人は買うし、
私はこの値段は出したくないという人は交渉して、互いにいいと思う値段で
互いに譲り合って交渉が成立する。
だから、日本人がよく旅行から帰ってきて鼻息荒くして言う「ぼったくりにあった」、
その「ぼったくり」なんてそもそも存在しないし、
物の値段が一定と思っている日本人ならではの被害妄想だと思う。
金持ちにも貧乏人にも、
ほしい人にもほしくない人にも、
ものがたくさんある場所も、そうでない場所も、
誰にとってもどこにいっても、
物の値段が同じという、日本の常識は
世界では、常識として成り立たない。