ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

ミッキーマウスのマーチ

2012年02月06日 16時41分33秒 | コンケン 第9特別教育センター

以前は私の近くに寄りつかなかったこの子。
この子と個別学習をしていなかったということもあり、
私の関心も他の子に向いていたからいけなかった。
とても敏感な子だから、自分に気持ちがむいていないと感じ取っていたのかもしれない。

日本から私が戻ったときには、嬉しそうにしてくれて、
それからは魚が好きなこの子と一緒に魚の絵を描いたり、
水族館作りではこの子に大好きなサメを担当させたり、  (→ 過去ブログ 「水族館をつくる」   「水族館が完成」
抱っこしてといえば抱っこしてぐるぐる回ったり、
そんなことをしているうちに今はいい関係ができている。


記憶力がずば抜けていいこの子は、朝いつも
「クーサチエ」(サチエ先生)と、
「クーサーイ」のタイネームではなく、本名で何度も呼び、
他のこと自分は違うんだぞ、特別に自分を見て特別に好きになってよ、
と、アピールしてくる。

放課後は、魚の絵を描いてもらうために他の教室にいる
私を探してやってきて
「タムプラー タムプラー」(魚作って魚作って)と連呼したり、
かと思えば、描いてあげた魚の絵は廊下に捨てていったり、
とってもおもしろい子。
      


この子が急速に私に近づいたきっかけの1つが、ミッキーマウスマーチ。

この子の名前はビックボスという。
ビックボスと個別学習していたときのこと。
ミッキーマウスが描きたいというのでミッキーマウスのお面を作ることにした。

だけど、他動性の強いこの子は、すぐに集中力がきれてしまう。
あちこち触ったり、立ち上がったり、じっと色塗りの作業をするのが困難。
だから、集中力が切れそうなとき、すぐさま太鼓を叩いて、
「ミッキマウス ミッキマウス ミッキミッキマウス♪」
と、ミッキーマウスのマーチを歌ってみた。
      
「お??なんだ??」
とまた関心がわいて、興味がミッキーマウスに戻る。


それを繰り返しながら、歌にも飽きてくるかという頃に
なんとなく、思いつきで、
「ミッキマウス ミッキマウス ビッグ ビッグボス♪」
と、この子の名前を入れて、替え歌にして歌ってみた。

すると、この子の目がきらり。
にんまり。
こういう遊び心がよく分かる繊細な子なのだ。
      


その歌を歌ってほしくて、何度もちらりちらりと視線を送る。
楽しい学習になるように、こっちを見たときには、歌ってあげる。
にまにましながら、ミッキーマウスの色塗りが終了。
ミッキーマウスマーチを歌いながら、喜ぶ。
      


それからのこと、この子が近づいてきて
「クーサチエ、 ミキマス  ミキマス」
とリクエストするようになった。
私から隣に近づいてひそひそ歌ってあげるときもある
     

にやにやしながら 歌ってあげると、ビックボスもにやにや。
二人でにやにや。
     


魚を描いて描いてとねだるときには、すぐに描いてあげる。
魚のそばにちょこっと、ビッグボスの似顔絵をネズミ風に描いておく。
     

賢い子なのですぐに絵に気づき、おもしろさが分かる。
にやりと笑ったあと、ちらちら ちらちら見ながら文字を書く。
そこで「ビックボスのマーチ」を歌うと喜ぶ。
二人で顔を見合わせてにやにやできる。
     


ミッキーマウスのマーチならぬ、ビックボスのマーチ。
にやにやしながら歌う。
お互いに楽しくて、通じ合ってるなと確かに感じられる、大事な「ビッグボスのマーチ」