ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

早起きは

2012年02月02日 20時39分36秒 | 日記
「早起きは三文の得」
という立派な言葉がある。
朝がとことん苦手な私には縁遠い言葉だったけれど。


タイ人は早起きだ。
まだ暗いうちから起きて、掃除をしたり、家の仕事をしたり、
服にアイロンをかけたり(ポロシャツからズボンまで、アイロンは必須!)(→ 過去ブログ 「タイ人必須アイテム アイロン」
夜が明ける頃にやってくる僧りょにサイバーツ(喜捨)をして、
アプナム(水浴び)をして、朝ご飯を食べ、仕事に行く。
だから、夜は早く寝て、朝早く起きる。


とはいっても、タイの現代社会もかわりつつあって、
仕事が最優先となり、いや、夜遊び優先なのか、遅くまで起きていて、
朝は起きられない、朝も早くから忙しくてゆとりがない、
という人が、特に若い人間には多いらしく、
家を出るギリギリまで寝ている人や、サイバーツはしないという人もけっこういる。

だから、日本人の私がサイバーツをしていると
配属先でも
「えらいわ、私はやってないのに。」
「上手よ 上手!」
とほめられるし、朝は近所の人たちから
「まあ、まじめないい子!」
とほめられ、おだてられた私はますますいい気分でサイバーツする。


今朝のサイバーツ。
きれいなタイの布で作られた服を着た、上品な女性がやってきた。
     


なんとも素敵だったので、カメラを向けると、
さりげなく眼鏡を外し、写真写りがいいようにしてくれて、
カメラを意識している、でもやはりさりげない女性。
     

タイ人は写真が好きで、撮るのも撮られるのも歓迎、という人が多く
カメラを向けると微笑んでくれたり、ポーズを撮ってくれたり、
撮りやすいように動きを止めてくれたり、
本当にサービス精神がある人たちだ。

「きれいな服ですね。」
というと、にっこり微笑んで
「ありがとう。あなたの名前はなんていうの?」
と、そこから初めて会った人ではないかのように親密に話をしてくれる。
それも、タイ人、いや、イサーン人の素敵なところ。




この女性も素敵。
緑のストールに緑のズボン。
あれ? ズボンに書いてあるのは・・・「かまいません」
      

「日本語だ!」と笑っている私に
「そうなの?これ 日本語だったのね。きれいでしょう、この模様。」
と言う女性。
日本だったら、こんな文字が書いてあるズボンはあまりはかないだろうけれど、
タイ人のこの人は、この文字のかたちが美しいという。
      

文字の意味は関係なく、文字としてではなく、
かたちとして見て、美しいと言っている。
なるほど、意味ばかりを見ている日本人の私はハッとするものがあった。
「かまいません」
このひらがなの文字は、確かに 絵のように美しい、
日本人の私は、タイ人から教えてもらわないと、わからなかった。




朝はいつも、お母さんとお父さんがコーヒーやココアを飲ませてくれるから、
今日は抹茶ミルクと甘納豆をもっていく。
僧侶にも今日は甘納豆を沿えてサイバーツ。
     


飲み物やお菓子と一緒に並んでいたのが、私がプレゼントした
写真集アルバム、と写真ボード。
なぜかというと、来る人来る人に、お母さんたちがこれを見せたいからだ。

「この子が作ってくれてね。ホラホラ見て、ここうちの犬、ラッキー。
 着物を着せてもらったこともあってね、友達がたくさんきてね、
 モンゴル、フィリピン、日本・・・・」
と、いつも詳しく詳しく話すお母さん、お父さん。
     

タイ人って、話を聞くのも写真を見せるのも見るのも好きで、
見せられた方も楽しそうに見て、話を聞いている。
     


来る人、来る人に写真を見せ、また同じように説明するお父さんたち
そして、やはり、それを楽しそうに聞いてくれる見ず知らずの人。
   

     

こういうところもタイ人は素敵だと思う。
自分は自分という態度ではなく、相手に関心を示す。
あいさつよりも、「ごはん食べた?」「どこ行くの?」の声かけが多いのも、
きっと相手への関心水準が日本人に比べてぐっと高い、タイ人らしさだと思う。


「まあ、ラッキー一人の写真もあるじゃないの。よかったわねえ。」
と言われくしゃくしゃにされているラッキー。
おりこうさんなラッキーはいわれていることをきっと分かっている。
     




通っていくバイクの人が、
 「今日はここには僧侶は来ないよ!」
と教えてくれる。
なんだ、今日は来ないのかとがっかり。
約束しているわけではないので、僧侶の都合によって少ない日もあれば、
全くこない日もある。


きれいなタイの服を着た女性が
 「じゃあ、サイバーツできるところにいって別の僧侶にサイバーツしましょう。」
と、車に乗せてつれていってくれた。
僧侶を待っていた知らない人たちも、一緒に車に乗り込む。
僧侶はどこを歩いているかな、と探す。


大きな道路。
「タノムミッタパープ」。(友好通り、仲良し通り、みたいな名前)
そこを歩く僧侶を見つけて、車を降りてみんなでサイバーツする。
   
  

こうやって、探してでも、自ら「サイバーツをさせてもらう」という心の人たち。
笑うことも怒ることも結婚することも仕事をすることほしがることもなく、
ただいるだけという僧侶を、自分たちの代表か もしくは
自分たちの思いの具現化、象徴のように大事にして みんなで食事を渡し
みんなで支える、タイの仏教世界。
入って行って中から見ていくと、尊いと感じることが多々ある。
      


日本にも仏教あるでしょう?と聞かれることがよくあるが
お坊さんは結婚もするし、運転もするし、子どももいる、というとものすごく驚かれる。

タイの仏教と日本の仏教。
日本では僧侶を尊いものとしてタイほどにはあがめてはいない。
互いのラインも、タイよりももっとあいまい。


知らない人たち同士だったのに、車に乗ってみんなで僧侶を捜しサイバーツした。
車の中では、名前を聞きあい、親しく話しながら帰る。
一緒にサイバーツをした人たち同士だからというのもあるだろうけれど、
タイ人は本当に人なつこく、親しみを前面に出す。
     



ナムプリック屋にもどると、お父さんが
「さちえ、この写真ボードに店の名前を貼り付けようと思うんだけど、
 さちえはできる?」
と聞く。

「やり方を知らないならお父さんが教えてあげるよ。
 パソコンで写真を切り貼りして作れるんだよ。 
 それができればこうやって手で写真をちぎる必要はないからね。」



写真を手でちぎってボードに貼り付けて作ったのは、
わざとそうしたのであって、おしゃれに作ったつもりなのだけ・・ど・・・。
      


タイ人的には手でちぎる、手書きをする、というのはあまりきれいじゃなく
パソコンの文字、パソコンを使った処理が「きれい」と言う人が多い。
中には、そうではない人もいるけど、少数派のように思う。

お、お父さん、これ、私わざとこうしたんです、って言おうかと思ったけど
お父さんが親切に一生懸命に教えてくれるので、
そんなお父さんがかわいらしくて、お父さんの説明を聞きたくなる。
      



こんなことが、朝から 配属先に行くまでの時間に行われていること。
このあと、朝ご飯を食べて配属先に自転車をこいでいく。

朝早く起きて、サイバーツをすることで、
タイの人たちと話し、時間を共有できる、
そこにサイバーツそのもの以上の価値を感じている。