さっちゃんと僕は一緒に山へ沢へ行くことになって、互いを深く知るようになりました。
登山が共通の趣味でしたから、登山や自然やクライミングにまつわる映画はよく一緒に観に行ったものです。
僕は今でもそんな映画が公開されると、観に行ってます。
昨日の金曜日はHTさんと天覧山で岩トレする予定だったのですが、岩場が濡れていますから中止にしました。
ですから、近所の映画館のHPを覗いてみると、なんと! 『ライフ・イズ・クライミング』という映画が上映中なんですね。
全盲のクライマー小林幸一郎(コバ)が彼のサイト(視覚)ガイド鈴木直也(ナオヤ)とともに繰り広げる冒険物語です。
すごく魅力的なテーマでしたから、すぐ観ることに決めました。
観ての感想ですが、素晴らしいドキュメンタリーでした。
大自然の中でのクライミングシーンが2場面あるのですが、そのシーンで2回とも泣いてしまいました。
クライミングの映画もたくさん観て来ましたが、クライミングシーンで泣いた映画は初めてです。
全盲のコバのクライミングシーンには、命を燃やし滾らせている喜びや、
哀しみの苦痛やどうしようもない怒りや無力感などの、ありとあらゆる感情が混ざり合い入りくんでそこに在るのです。
そんな容易には表現できないような感情の迸りを、コバのクライミングシーンを観ながら、こちらも共感するのです。
ほんの一部しか感じ取れていないんだとは思うのですが。
クライミングシーン以外も押しつけがましくなくて、ナチュラルでいいですね。
登場人物全員の心優しさがほんのりと感じられて、観ながらこちらも嬉しくなります。
ナオヤもこのドキュメンタリーの主役の一人です。
コバとの人間関係が友情にまで昇華されているようで、観ていて心地よいですね。
この映画と出会って、視覚障害者のフリークライミング世界大会があることを初めて知りました。
パラクライミングなんですね。
2028年のロサンゼルスパラリンピックで追加競技の候補になったそうです。
クライミングのゲレンデや沢登りで聴覚障害者のグループに会うことはありましたが、視覚障害者とはありませんでした。
クライミングは視覚に頼る部分が大きいですから、全盲のクライマーの存在自体が信じられないことですし、奇跡ですよね。
日本でもこの映画をきっかけにして、パラクライミングの存在がもっと知られるようになるといいですね。