セイヨウルリトラノオ
(城跡ほっつき歩記)より
なんて綺麗なんだ
瑠璃色の虎の尾よ
はるかな時を超えて
ルソーの絵から抜け出してきたのか
奇才の森は濃いグリーンだが
淡いみどりの野にもケモノの気配
チラチラと虎の尾が見え隠れする
異様に涼しい梅雨明けの原っぱ
隠れろ隠れろ
子供たちに見つかるな
いたずらっ子に見つかれば
猫の尾よりもたやすく掴まれるぞ
幻想の森にルソーは何を視たのか
ヤドヴィガが横たわるベッドと夢の欠片
ジャングルにひそむ猛獣たちとピンクの蛇
影から抜け出せない蛇使いのフルートの音色
なんて美しいんだ七月の原っぱは
セイヨウルリトラノオがゆらゆらと揺れている
満月の代わりに柔らかな陽光
幻想のかわりにしっとりとした現実
風よ子供達が来る前に撤収だ
虎の尾のかくれんぼをサポートせよ
ルソーの無邪気な夢にも惹かれるが
見え隠れするルリ色の虎の尾はさらに愛しい
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大人になって歳を重ねるにつれ、なぜかこの素人っぽい絵がどんどん好きになっていったナアー
自分の力では歯が立たない現実社会からの逃避場所として、ちょうど頃合いだったのかもしれない
そういえばルソーは税務署の吏員だったとか。お堅い仕事の傍ら、家に帰ると、素人画家として趣味でこの心の中の森に遊んだようだ
年を経るにしたがい、心の中にしか存在しないその森こそがルソーにとっての現実の森になっていったのでは・・・と確信に似た気持ちに
僕も年取ったこの頃、こんな奇妙な森を自分の中に持っていたルソーの幸せを想うのですが
この詩に触発されて・・・絵に限らず、誰でも自分のうちに社会的価値とは関係ないけれど自分だけの世界を持っているのだろうな、と嬉しい気持ちになるのですが。
そんな幸せの在り方に気付いて愉しんだほうが、勝ちじゃーッ!
といっても、今頃は『夢』を見ているころかもしれませんが。
おっしゃるとおり、ルソーは自分の中に幻想の森を持っていた・・・・それが現実の森に変化していったのだと思います。
税関職員としていつも閉鎖的な空間にいたことが、現実逃避の傾向を生んだのかもしれませんが、素人画家と揶揄されたことで、失意のうちに逃げこむ場所をここと決めたのかもしれません。
もともと人物画を描いても非現実的だったし、砂漠でライオンに食われる夢など、『夢』に限らず幻想的ですよね。
自分だけの世界が、やがて多くの共感を呼ぶ。・・・・今日の評価を知ったら、ルソーはどんな表情を見せるのでしょうか。
ルリトラノオが遊ぶ野原も、シュールですぞ。
隠れているモノの気配が感じられます。ありがとうございました。