大毛蓼(オオケタデ)
(城跡ほっつき歩記)より
空き地にはオオケタデの群れ
ヒタヒタと忍び寄る漁船が白昼を埋め尽くす
かつて覇権を目指した紅の旗が
じわじわと日本に迫る夏から秋への野外劇
猛威を振るったセイタカアワダチソウは
いつしか荒れ地から姿を消した
ススキをも席巻した北米渡来の植物だったが
都会ではもう見る影もない
戦後の歩みに耳をそばだてれば
悲喜こもごもの声が聴こえる
だが南と北の島では癒えない傷がテラテラ光る
壊す容易さと修復の速度のアンダンテ
誰が言ったか歴史とは戦の累々たる記録とか
セイタカアワダチソウが去ったあとには
押し寄せるオオケタデへの怯え
昔遊びの「赤まんま」は潜在する飢えの連想か
ままごとが好きな女の子よ
見上げるほどの大毛蓼の陰で神隠しに遭うな
花影にひそむ童うたの恐怖は
無防備な心をただならぬ予感でふるわせる
目の前にひろがる穏やかな風景を見れば
何を血迷うか年寄りのたわごと・・・・と
だが団欒のコタツの上ではトランプ遊び
サイドボードには正体不明のマトリョーシカ
ああ 社よ寺よ
今夜は九条ねぎを入れたすき焼きでも食って
妄想に疲れた頭を休めます
産地に遠いゆえこれも妄想に終わりそうですが
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