絶望の海に青い月が昇る
海霧が後退し混沌の海が明らかになる
人間は何万年もかけて蠢いてきたが
遂にまた絶望の海を目前にしている
もっと賢く進化すると夢見て来たのに
手にしたのは究極の鉄器だった
火と石斧に歓喜の涙を浮かべ
踊り狂った記憶はまだ能皮質にあるのに
月は嵐の予感に震えている
海霧は跡形もなく消え去ったというのに
ますます濃くなる原始の海
波もなく絶望の気配だけが満ちている
青い月よ 三日月のまま照らす月よ
人間はまた原始の海に舞い戻ってきた
ふたたび箱舟を造る気力などあるわけはなく
ただただ究極の鉄器の感触を撫でさする
絶望の海に青い月が昇る
何万年も蠢いてきた記憶も今夜雲散する
希望の欠片が残るかどうかなど
もはや意中にない月夜が青く広がる
結局進歩の無い人類の歴史を究極に圧縮するとこの詩になるのかな、なるほどと思いました。
タイトルを見ただけで芽をそむけたくなるような詩かもしれませんが、ふとした過ちで草創期の世界が人類を襲う可能性を感じます。
不評を覚悟で投稿しましたが賛同してくださる方が居て心強いです。
重ねて感謝申し上げます。