はこべ
(城跡ほっつき歩記)より
薄暗がりからぼーっと浮かび上がる
清楚な姿のあなたは誰?
春を待たずに起きだして
しあわせを運ぶメッセンジャーですか
それとも花の王冠をしずしずと運ぶ
王室づきの侍女でしょうか
もう広場には多くの人が集まっています
戴冠式を待ちのぞむ素朴な民たちでしょうか
朝早くから王女のために花を摘み
丹精込めてつくった髪飾りですね
こころからの祝意が萌黄色に輝いています
こんなに慕われる王女が統べる国はどこに?
まだ明らかに見えてはいませんが
世界のどこかに生まれかけているはずです
運べやハコベ しずしずと侍女たちが
白いドレスの裾ひきながら
声を合わせて歓喜の歌をうたう
広場の民もよろこびに震えながら呼応する
運べやハコベ はれやかに
のぞみつづけた王国はもうすぐ花開く
ほら黎明は薄れゆき
まもなく王冠の輝きが広場に満ちる
待ちのぞむ民の目に涙があふれ
天から射しこむ日矢にもろ手を挙げる時だ
href="http://novel.blogmura.com/novel_short/"
<短編小説ブログ・ランキング用バナー>が復活しました。
いつも画像のご利用、ご紹介をいただき有難うございます。
そろそろ歳のせいか、この画像の撮影環境が即座には思いだせずにおりました。
画像は数年前の節分直後に撮影したものなので、その辺りから記憶の糸を辿り、先ほど漸く思い出しました。
実は「背景の漆黒」に見えますのは、安物の天目茶碗もどきの器であります。
2月初旬頃の早春は正しく「春は名のみ」で、頬を刺すような冷たい風が吹き抜けます。
風は強くハコベの花は小さいため、接写用フィルターを使用してもなかなかカメラの焦点が合いません。
このため、ハコベには気の毒でしたが、やむを得ず一株の一部を摘み取り屋内にて、ガラス越しの自然光により撮影しております。
特に意図したわけではないのですけれども、たまたま春の訪れを告げるハコベと黒色の茶碗の取り合わせが、上手くいったのかも知れません (^^ゞ
今回も素敵なポエムの題材としていただきお礼申し上げます。
たまたまとはいえ、テクニックの妙というところでしょうか。
あるいは、写真上のフィクションというべきか。
小説や詩では、事実とフィクションが重なることがありますが、知らず知らずに画像とともに別の世界を形作っていたんですね。
面白いお話ありがとうございました。