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どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム222 『運べやハコベ』

2019-01-26 19:20:08 | ポエム

 

     はこべ

    (城跡ほっつき歩記)より

 

 

 

 

  薄暗がりからぼーっと浮かび上がる

  清楚な姿のあなたは誰?

  

  春を待たずに起きだして

  しあわせを運ぶメッセンジャーですか

 

  それとも花の王冠をしずしずと運ぶ

  王室づきの侍女でしょうか

 

  もう広場には多くの人が集まっています

  戴冠式を待ちのぞむ素朴な民たちでしょうか

 

  朝早くから王女のために花を摘み

  丹精込めてつくった髪飾りですね

 

  こころからの祝意が萌黄色に輝いています

  こんなに慕われる王女が統べる国はどこに?

 

  まだ明らかに見えてはいませんが

  世界のどこかに生まれかけているはずです

  

  運べやハコベ しずしずと侍女たちが

  白いドレスの裾ひきながら

 

  声を合わせて歓喜の歌をうたう

  広場の民もよろこびに震えながら呼応する

 

  運べやハコベ はれやかに

  のぞみつづけた王国はもうすぐ花開く

 

  ほら黎明は薄れゆき

  まもなく王冠の輝きが広場に満ちる

 

  待ちのぞむ民の目に涙があふれ

  天から射しこむ日矢にもろ手を挙げる時だ

 

 

 

 

 

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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早春賦 (塚越和夫)
2019-01-26 23:03:18
こんばんは。

いつも画像のご利用、ご紹介をいただき有難うございます。

そろそろ歳のせいか、この画像の撮影環境が即座には思いだせずにおりました。
画像は数年前の節分直後に撮影したものなので、その辺りから記憶の糸を辿り、先ほど漸く思い出しました。

実は「背景の漆黒」に見えますのは、安物の天目茶碗もどきの器であります。
2月初旬頃の早春は正しく「春は名のみ」で、頬を刺すような冷たい風が吹き抜けます。
風は強くハコベの花は小さいため、接写用フィルターを使用してもなかなかカメラの焦点が合いません。
このため、ハコベには気の毒でしたが、やむを得ず一株の一部を摘み取り屋内にて、ガラス越しの自然光により撮影しております。

特に意図したわけではないのですけれども、たまたま春の訪れを告げるハコベと黒色の茶碗の取り合わせが、上手くいったのかも知れません (^^ゞ

今回も素敵なポエムの題材としていただきお礼申し上げます。
返信する
写真にもフィクション? (tadaox)
2019-01-27 11:19:35
なるほど、よく見ると黒っぽい鉢が浮かび上がってきますね。
たまたまとはいえ、テクニックの妙というところでしょうか。
あるいは、写真上のフィクションというべきか。

小説や詩では、事実とフィクションが重なることがありますが、知らず知らずに画像とともに別の世界を形作っていたんですね。
面白いお話ありがとうございました。
返信する

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