ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

メイドインジャパンと中国人の生活

2011-01-23 21:50:50 | Weblog
もしかしたら、中国の若者の方が、いまの日本のことをよく知っているかもしれない。
1993年に中国留学したころと違い、
この数年間、中国へ行くたびに、なんとなくそう思った。

中国の若者は、私が中国語を話す日本人だとわかると、喜んで寄ってくる。
もちろん日本人が嫌いな中国人もいる。
でも、都市部の若者は、基本的に日本に対して興味があると思う。
そして、アニメや日本の電気製品の話をする。

アニメ「ドラえもん」は私も好きだった。
「クレヨンしんちゃん」は、むかしテレビ番組を何回か見たことがあるので、まだついていける。
でも、「ドラゴンボール」以降の日本アニメのほとんどは、
日本で流行っていたときに興味がなかったから、内容はもちろん存在すら知らないものがたくさんある。
日本でヒットしたから中国にも「輸出」されたのだろうに、タイトルすら知らないものもあった。
「テニスの王子様」は、その存在も決め台詞も、中国人に教えてもらった。
よりオタクなアニメの話題になると、まったくわからない。

宝塚歌劇団に憧れている中国人の女の子が、目をキラキラさせて、
ナントカ組のトップの名前を中国語読みで言った。
そして、「知ってる?」と聞かれたときには、本当に目を見開いてフリーズしてしまった。
そのあと、次々とアイドルの名前を挙げられたけれど・・・、
別に本人と知り合いじゃないし、ファンじゃないし、
名前を知っている人はいれども、どんな歌をうたっているか知らなくて・・・、
そう応えるのもなんだか申し訳なく、
「国籍の問題じゃないよ。もう若者とは話があわないさ」という気分になりつつ、
「日本人だからといって、みんながそれを好きというわけではないんだよ」と言ってやるには、
相手の日本への憧れは強く、日本人と初めて話しているという感激も大きく、
ついつい私は、日本人特有の「あいまいな笑顔」というのを浮かべてしまった。

日本の電気製品の話は、まだ、なんとなくついていける。
品質がよくて丈夫で長持ち、仕様がすごく親切。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、「モノ」は何であっても、ほめるポイントはほとんど同じ。
だから、話についていける。

『メイドインジャパンと中国人の生活 ~日本のメーカーが与えた中国への影響~』という、
中国人の日本語作文コンクールの受賞作品集を読んだ。

そこには、私が知らない日本がたくさんあった。
そして、日本語を学んでいる人は、よく日本のことを学んでいる。
商品やコンテンツの表面的なことではなくて、
「なぜ、どうして、そんな商品を生み出すことができたのか」という、
日本の文化や精神面についての考察も深い。

私はいままで、日本は工業製品を輸出している国だ、と思っていたのだけれど、
工業製品は、イコールで、日本の文化なのだと思った。
中国人が日本のアニメを楽しんでいるのも、それは「よくできている」からだ。
だから、熱狂しているんだ。
当然のことなのだけれど、わかっていたつもりだったのだけれど、
改めて外国の人に言ってもらうと、心の奥に響くことがある。

欧米から、エコノミックアニマルと揶揄された時代があった。
でも、「ものづくり」は、日本の文化なんだと、改めて思った。

なんだか、ここのところ日本が好きになっている。