(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

冬灯雑感 日本は「知的没落」のはじまりか

2017-12-02 | 日記・エッセイ
冬灯雑感 20171127

 わが人生も、そろそろ黄昏どきかと思うこともありますが、いや余生などという環境には身をおきたくない”、と性懲りもなく、このブログを書き続けることにします。

  ”人生に余生や残生などというものはありません”(会津八一)

まず近況ですが、このところというか、いつものように好奇心にまかせて目は新しいものに向いています。すこし新しい単語をならべてみます。VALU/ビットコイン/GoPro/Wechat/Alipay/・・・・。みんなご存知ですか? 一つ二つだけご説明します。VALUはビットコインを用いたマイクロトレード・サービスです。そして個人の価値を、まるで株式会社のようにトレードするサービスです。

 具体的に・・・あるファンドマネージャーのFさんは、自分のVALU(ヴァリュー)を発行しています。実際の話です。彼はツイッタピアノの会も開いており音楽には詳しいのです。おすすめのショパンの曲を推薦してりしてくれます。また経済や金融、そして政治など社会の動きに対してもいつも目を配り、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを通じて積極的に意見を公開しています。とても人気がある人です。彼のVALUを買うと~ビットコイン(仮想通貨)で買います~彼を囲む食事会に出席して意見交換や懇談ができます。またある特定のテーマでのイベントや勉強会に参加することができます。また彼のVALUを買った人は、彼のサイト上でVALUを売ったり、買ったりすることができます。現在のところ、1VALUで1300円位です。ただ、最近ビットコイン価格が急騰しているので、変動します。価格が上がりすぎると、VALU を分割するようです。ちょっと、皆さんの理解を超えて、わかりにくかったかもしれませんね。ご容赦ください。

 GoProは多分ご存知でしょう。身体に装着するアクションカメラです。アメリカのカリフォルニアにある企業が開発し、今熱烈なファンを集めています。たとえばサーファーがこれを装着して、波を切ってすべる光景を撮影したり、山岳スキーヤーが急滑降を撮影したり・・・。しかし、面白い利用法を考える人がいるものです。ニューヨークにいる寿司職人がiPadを通じて、日本の朝5時にGoProを装着して魚市場で魚の仕入れをしている人間と遠隔操作でやりとりをして、寿司に最適な魚の仕入れをしているそうです。


 ところで私の最近の情報ソースですが、フェイスブックやツイッターの他にブルームバーグやロイターなでのサイトをチェックするほか、NewsPicksという有料の情報配信サイトがあって毎日それをみています。色んなジャンルのニュースが流れ、それに対して予め選択された人たちがコメントを書いています。ニュースの意味するところは分かりやすいし、信頼性も高いものです。一般紙は日経新聞の宅配を含めてみていません。日経については、電子版(デジタル)で見ています。通常の紙面よりもずいぶん情報量が多く、読み応えがあります。

その中の一つにビジネスというカテゴリーのコラムの中に「経営者ブログ」というのがあります。ここには、毎週色んな人が寄稿しています。インターネット業界の草分け的存在であるIIJ会長の鈴木幸一/オリックスの宮内シニアチェアマン/ユニ・チャームの高原豪久社長。それに中国から日本に来て大学で学んだのち、エレベーターの保守会社を立ち上げて規制の厚い壁と戦っている馬英華社長(女性)、それに伊藤忠会長にして前中国特命全権大使の丹羽宇一郎会長というラインアップです。その中でも、IIJの鈴木さんは、今なを海外と行き来し様々な人脈をもっていることもあり、彼の言には耳を傾けるべきことが多々あります。ちなみに毎年の春に東京の上野にある文化会館で行なわれる東京・春・音楽祭」は3月中旬から4月中旬の一ヶ月にわたって行なわれるもので、鈴木さんが私費を投じて運営しています。→http://www.tokyo-harusai.com/index.html

 先日も「日本の知的没落のはじまり・・・」という記事が掲載されました。その中の一部をご紹介します。

 ”尊敬する知人から、こんなメールをいただいた

 「空前の企業収益、株高が続いている日本のなかで、鈴木さんのブログ、けっこうペシ ミスティックですね。企業人のモラルへの低下に対する懸念だと思いますが、コーネル 大学でも日本人留学生の質の悪さ、覇気のなさが話題になり、同席していたコロンビア 大学の人の話でも、同様であると、日本の『知的没落』が雑談の話題にのぼりました」

 このメールについての鈴木さんの感想は次の通りである。

 ”■真空地帯の教育

 ところで、知人が米国の大学で指摘された、日本の留学生の質の低下、覇気のなさは日本の「知的没落」につながるのだろうか。あるいは、すでにして「知的没落」は始まってしまっているのだろうか。教育については、見識もない私なのだが、「教育」というのは、真空状態でなされるものではないというT.Sエリオットの言葉をときどき思い出す。覇気のない、質が落ちたと米国の大学で評判となってしまう若者の教育をしたのも、日本の社会的なコンセンサスがつくりあげた教育の方向なのである。できる限り「競争」という実体を表に出さず、「優しさ」「ゆとり」を掲げた教育方針も、行政をはじめとする教育に携わる関係者だけが、真空地帯でつくりあげたものではない。メディアに象徴される社会の要求に沿ったものだといえるのだろう。いつまでも続くはずのない超金融緩和にありながら、屋根の修理にあたる出口策を先延ばしにして、ミニバブルに似た現象をつくりあげている現状と教育が二重写しになってしまうのは、戦後の廃虚で生まれた世代の古臭い偏見かもしれないのだが。

 ここ数年、日本の科学者がノーベル賞を受賞しているのだが、ほとんどの受賞者は私と同世代である。貧しい時代、競争が当たり前だった世代である。豊かで、競争社会の問題点ばかりが指摘され、戦後世代とは異なる教育方針によって育ってきた若い世代も、いずれはそんなレベルになるのだろうか。余計な心配であればいいのだが。

 ワールドシリーズを眺めて感銘するのは、厳しい競争のなかで生き残り、頭角を現すために、鍛えあげられた個々のプレーヤー、その集団であるチームが戦う試合のすがすがしさである。そんななかで活躍する日本選手が出場すると、ふと、テレビにくぎ付けになってしまうのだ。日本のプロ野球のレベルが低いというわけではないのだが、まだまだ、ひとつひとつのプレーに、パワーのなさと、甘えを感じてしまうのである。名門企業の企業経営者のモラルについても、同じような感想を持ってしまう。競争のない真空地帯で経営する企業など一つもないことは言うまでもないのだが。

     ~~~~~~~~~~~~~~~~

 以前に「日本の教育投資のありかたについて」という記事を書いたことがあります。
(20170612) その中で示したように政府支出に占めるわが国の教育関連の政府支出はOECD諸国の平均を下回っている。それが何を意味するのかは、ここでは述べませんが、最近のウエッジ誌には、”土台から崩れ行く日本の科学、疲弊する若手研究者たち、これが「科学技術立国」というレポートがあります。そこでは目減りした運営交付金、若手研究者の任期付き雇用が増えることにより若手研究者は研究時間も奪われているなどの問題点が上げられているのです。

 最近ある若手研究者から次のような話しを聞きました。 ”授業の準備、学生対応、教授会などへの報告、備品の発注や管理などの業務に忙殺され、「研究」に割くことができるのは一日に1時間位である” こんなありさまでは近い将来にはノーベル賞など期待できないでしょうね。
 教育の質もさることながら、学生の”覇気のなさ”は大学生の就職ランキングをみれば、一目瞭然です。トップ10は、銀行と保険会社が独占している。寄らば大樹の影ということですね。情けない。

 こんな時に頭に浮かんでくるのは、隣国中国の状況であります。ごく最近、藤田祥平という若い作家(京都造形芸術大学クリエイティブ・ライティングコース卒)が、深センを訪れました。そう、あの超巨大IT企業のテンセントのお膝元の街です。中国最初の経済特区である。人類史上最速で成長する都市と言われています。→http://diamond.jp/articles/-/114504?page=3

     

 そこを見て、彼は”負けたのだ、日本が。少なくと経済的には、肌で感じた。中国の経済成長はいわば身体的なものであって、のびのびと身体を動かせばそれだけで充分な対価が返ってくる性質のものなのだ。
そしてこの国は、身体を動かせる若い労働力にあふれている。つまり、老齢をむかえて思うように身体が動かなくなった日本がいまの中国から新しく学べることは、おそらく何もない。”、と。
 

 鈴木幸一さんの記事から、あれこれ思考が発展していきましたが、さて日本は現状の行き詰まった状況をどのように乗り越えていくのでしょうか。事の要諦は、”入るを量りて出ずるを制す”でありますが、そのためにはまず日本経済の成長を促す政策を行うことが肝要です。それには、徹底した岩盤規制の撤廃だと思います。規制緩和などは生ぬるい。それもあらゆる分野で行う。金融・経済・農政・医療などなど。教育分野も。これには、既得権益を守ろうとする輩の強い抵抗があるでしょう。そこで思うのですが、選挙を行うにあたってはAIの情報分析技術を利用して、それぞれの立候補した人間が、これまで、何をやってきたか、何に反対してきたかを洗い出し、それをオープンにすることですね。選挙のことだけではないのです。官僚たちのいる部署も評価してもらいたい。人工知能の導入であります。岩盤規制の撤廃が進んでゆくことにより、日本の国そのものの評価が上昇し、外国企業がどんどん進出してくるでしょう。長年低迷を続けてきた経済成長率も回復の一途を辿るにちがいありません。

 出るを制する、のは容易ではありません。。安全な国土建設と称して、そこらじゅうに建設予算がばらまかれています。それよりも高齢化にともなう社会保障費の増大には歯止めをかけねばならない。高齢者は若い世代にために、それらの予算が節減されることには辛抱していただかねばならない。ついでのことにい言えば、選挙権はある年令までに限定してはどうか。高齢者はどうしても、保守的あるいは現状維持的になります。先年、大阪府の選挙では、高齢者が現状維持に走り、改革は頓挫しました。その結果、大阪の大企業は見切りをつけて東京などへと脱出していったのです。国会議員も75歳で打ち止め。選挙権も同様に・・・こんな事を大きな声で云っていたら夜道は歩けなくなるかもしれませんね。ここだけの戯言としておきます。

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 いやいやいつものような近況ご報告ではなく、突飛なつぶやきとなってしまいました。こんな駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


コメント (4)
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