(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

映画<不都合な真実>

2007-03-06 | 時評
映画<不都合な真実> 原題:Inconvenient Truth

親しい友人のK氏が、見たとブログに書いていたので、それに誘発されて見に行った。地球温暖化問題にについてのドキュメンタリー・フィルム。はじめから、おわりまで、アメリカ元副大統領のアル・ゴアが壇上で、アップルのノートPCを操作してプレゼンテーションする。おりしも、地球温暖化とは、関係ないかも知れないが、神戸のわがまちでは大島桜が白い花をつけ始めていた。まだ3月もはじめ、というのに。

正直言って、はじめは退屈して眠りそう。でも科学的な調査に基づいた事実を淡々と説明してゆくうちに、温暖化の実態をはっきり理解するようになって、次第に引き込まれていった。

(わたしたちの回りの世界で、ものすごい変化がおきている)

○キリマンジャロなどの山岳氷河が、どんどん後退しており、30年後には
 消滅するとみられる。アラスカのコロンビア氷河でも後退している。

○過去1000年の北半球の気温を測ることができるが、この50年で急激に
 上昇している。

○65万年間の二酸化炭素(CO2)の濃度を測ると、産業革命が起こるまでは
 300ppmを越えることはなかった。現在では、350ppm。45年後には 600ppmレベルと急上昇する

○このような現象は、どんな影響を地球にあたえているか。
   
 ①海洋の温度上昇。海水温が上がると、暴風雨の勢力が強大になる
 ②異常気象の頻発ーこれにともなう経済損失も急激に増えている
 ③温暖化により、土壌からの水分の蒸発も加速され、砂漠化が起こって
  いる。干ばつも。

 ④北極の永久凍土も溶け始めている。氷冠の厚さも減少。北極が溶け出し
  てゆくと、地球の気候パターンが変化する。

 ⑤海水レベルの上昇により、多くの都市が水面下に沈む。
     
もし、グリーンランドまたは、グリーンランドの半分と南極の半分溶けたりして海中に滑り落ちると、世界中の海水面は5,5~6.0メートル上昇する。

2004年にベルリンで発表された報告によれば、サンフランシスコも多くの沿岸の街は、沈んでしまう。北京は2000万人以上が、上海では、4000万人以上が避難せざるを得なくなる。


このような衝撃的で、かつ説得力のあるデータが、写真や図などで次々に示される。もっとショッキングなのは、米国政府が、温暖化に関する情報をコントロールしている事実だ。

2時間弱の映画を見おわって、地球温暖化問題の重大性を改めて認識させられた。今すぐに動き出さないと、もう後戻りはできなくなるが、そのためには、ゴアの言うように「政治的な意志」が必要である。。そして、それを動かすには、マスのオピニオンの力だと思う。そういう意味で、みんなに見て欲しい映画である。映画に行く時間のないひとには、同一タイトルの本が、刊行されている。(講談社ランダムハウス、2007年1月)

1962年に、アメリカでレイチェル・カーソンという一人の女性によって『沈黙の春』という本が出版された。そしてケネディが、農薬の問題に言及したことから環境問題への取り組みが一変した。’70年にはEPA(米環境保護局)が発足した。それから30年後シーア・カルボーンは、『奪われた未来』という本を著し、環境ホルモンの問題の重大性を指摘した。この本の序文をあらためてみてみると、それを書いたのは当時の副大統領のアル・ゴア氏であった。 今度の映画は、それらの著書に匹敵する、いやグローバルな広がりを持つだけに、それ以上の意義のある警世の書と云えよう。。
最後に、ゴアはアフリカの言葉を紹介していた。

  ”祈る時は、行動を・・・”

そう行動しなければならない。どこかのお坊さんのように、南無阿弥陀仏と唱えているだででは、問題は解決しい。車は、ハイブリッドに買い換えようかな。
コメント
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