風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

大井町せんべろナイト 2

2019-04-05 | 東京
その1からの続きです。

● 青竹平打ち中華そば

長ーい行列ができているお店がありました。
麺壱吉兆というお店のようです。



看板には巨大な文字で『青竹平打ち』小さく『中華そば』と書かれています。
『京都大原三千院』みたいな語呂。

青竹打ちといったら、佐野ラーメンの独特な製麺法。
たしかに食べてみたくなります。
小さなお店に入りきれない人たちが、寒い外でじっと待っていました。
見るからに人気店です。きっととてもおいしいのでしょう。



東小路や平和小路を、ウロウロ。
次はどこに入ろうかな~。
座れるお店がいいな~。

● 3軒目はうずら亭

平和小路にあるうずら亭の前で立ち止まりました。
「ここ、うずら料理を出してくれるお店なんですって」
「そう、席あるかな?」
ガラガラ・・・



店内は、品のいい落ち着いた雰囲気。
店主おひとりで切り回している、L字カウンター7、8席ほどの小さなお店です。
飛び込みで座れたらラッキーという規模で、ちょうど2席開いていました。
ラッキー!

うずら料理だけのお店ではなく、メニューにはいろいろありました。
ドリンクは、友はちょっと特別なキンミヤ。私はグレープジュースハイ。
コースターがファンシー!



「どの辺が特別なの?」と聞いてみると、「これはキンミヤを梅酒で割った梅キン。まあ焼酎の梅酒割りだね」と教えてもらいます。
ただ、その特別感が全くわからないゲコなので、「ふーん」としか返せません。
(聞いておきながら、反応が薄い!)
でも、おいしかったようです。



お通しは、磯辺巻きかと思いきや、ノリで巻いたねぎとろでした。
おつまみ5点盛り。珍味が出てきました。
からすみや辛子明太子、いぶりがっこをつまんで、「うーん、みんな辛いね」と言うと「酒のつまみだからね」との応え。
そうでしたね!



● からすみは青い鳥

「ねえ、からすみって何か知ってる?」と友人に聞かれました。
「えー、なかなか獲れない、貴重なイカじゃないの?」
「ブブー!ボラなんだよ」

ボラ!?
「えー、嘘でしょ?」
「本当だよ」

これまで、希少イカだと信じて疑わなかったのに、なんとボラ!
近くの川には、ボラがたくさんいて、時々トビウオみたいにパシャパシャ水面を跳ねています。
あれを釣ったら、からすみを作れちゃうんですね!

からすみのレアなイメージが、がらりと変わりました。
"幸せ"ならぬ"珍味"は、実はすぐそばにあったなんて、まさに『青い鳥』食べ物版だわ!
「でもからすみはボラの成魚じゃなくて卵だから、産卵期のメスからしか獲れないよ」
あ~!

● うずらの殻つき卵串

お店の名物は「うずらのカラ玉串」。
なんとうずらの卵を殻ごと焼いてあるものです。
「えっ、殻ごと食べるの?食べれるの?」
かなり躊躇していると、隣で友人は全く臆することなく、おいしそうに食べ始めました。
おお、勇者がいる・・・!
保身的な自分が小さいなあと感じました!



「あ、おいしいよ。パリパリいけちゃう」
言われて、ようやくおそるおそる口にします。
食べると、口の中でバリンバリン殻が割れて飲み込めないんじゃないかという予想に反して、びっくりするほど抵抗なく食べられました。
殻はたしかにありますが、むく必要はありません。
下茹でした卵を、柔らかくなるまでじっくりと焼いて作るのだそう。
香ばしく焼けていて、ちょっと歯ごたえのある新食感でした。



寒い日だったからか、けっこう鍋を頼んでいるお客さんが多かったです。

● お魚sunふたたび

お店を出て、「4軒目どうする?」と話をしながら歩いて行くと、先ほど入れなかったお魚sunの前に来ました。
再トライしようかと近づくと、またさっきの料理人おじさんが外でタバコ休憩していました。
「今度はどうですか?」
「あー、やっぱり今もいっぱいなんだよね~」
「じゃあまた今度にします」
「ごめんねえ、また来てね」

お魚sunには今回縁がなさそう。
ファーストトライですんなり入れるお店もあれば、再チャレンジしても入れないお店もあり。
すべてタイミングです。

いよいよ本格的に夜になってきて、どのお店も混み始めてきました。
気がつけば結構いろいろ飲んで食べているので、この辺りで解散することにします。



● ゼームス坂上さん

お互いほろ酔い状態での帰り道。
「ゼームス坂上」の交差点で信号が変わるのを待ちながら「ゼームスって、きっとジェームズだよね」と話します。

「ジェームズ三木みたいな感じ?」
「『澪つくし』!沢口靖子と川野太郎!」
「年がバレる!せめて『独眼竜政宗』と言って!」
「どっちもかなり古いから(笑)!」
何を話しても笑える、飲んべえ2人です。



後で調べたところ、明治時代に英国人のジョン・M・ジェームス船長(1839~1908)が住んでいたためついた地名だそう。

● うずら亭ふたたび

駅で解散し、東急線に乗って田園調布駅に来たところで、首元にマフラーを巻いていないことに気づきました。
酔っぱらっていて、気にならなかったのです。
バッグの中を見ても、ありません。最後に入ったうずら亭に置いてきてしまったのかしら。

(取りに戻ろうかな、それとも捨ておこうかな)と考えましたが、なんとなく気になるし、落とし物を見つけた人も困るでしょう。
解散が早く、時間に余裕があったので、戻ってみました。

あの細道が入り組んだ界隈にひとりで迷わず行けるかな?と心配でしたが、さっきまで歩いていた道なので、何とかなりました。
カラカラとうずら亭の入り口を開けます。
出てから30分ほどたっていましたが、中のお客さんはほぼ変わっていません。
あれ?という顔で、みんなに迎えられます。
わけを話すと、店長さんが先ほど私が座っていた席の辺りを探して見つけてくれました。

「わあ、どうもありがとうございます~!」
「あってよかったですね~!」と、お店の人たちも和やかでアットホーム。
店長さんに「気づかなくて済みません」と謝っていただいちゃいました。
めっそうもない!私がいけないのです!!!

私たちは一番端っこの席だったたのに、さっきいた客だとみんなわかっている様子。
常連さんばかりだったのかな?
うずら亭、また行きますね!ああうずら飼いたい。

● epilogue

先日、野毛でせんべろごっこをしましたが、大井町はまたちょっと違う雰囲気がありました。
野毛ほど広範囲ではありませんが、かなり都心に近いため、仕事帰りのスーツ姿の人が目立ちます。

そういった人たちと対照的な、大井競馬場帰りのような人々も、大勢います。
野毛にも場外馬券場がありますが、競馬場帰りの人たちは「一日よく闘ったぜ」的な濃いオーラが出ている感じ。



さらに、ビギナーが軽い気分で入ってはいけないような雰囲気のお店が何軒もあり、かなりディープでした。
野毛にも、踏み込んではいけないラインがあるとなんとなくわかりますが、土地勘のあるエリアなので、安心感が違います。
大都会、品川の隣の大井町に、こんな昭和の界隈があったとは。
なかなかの社会勉強ができました。




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