風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

東京古墳巡り・古墳祭り 1

2020-02-05 | 東京

● prologue

暑い長い夏が過ぎ、ようやく秋めいてきました。
2月に鎌倉をハイキングしたユーミチカと、「涼しくなったらまた散策しよう」と約束しています。

ところが、10月上旬に関東地方に猛威を振るった大型台風15号と19号の爪痕は深く、東京も神奈川もまだ落ち着いていません。
ひどい被害状況を連日TVで見るたびに、心がふさがれてしまいます。

ただ、こういう時は、動ける人が動くべき。
自分たちの元気づけのためにも、またなにかテーマを決めて、ユーミチカと散策することにしました。

考えた3つのプランから、選んでもらうことにすると
「多摩川沿いに古墳があるのね。古墳の町で生まれ育った私としては気になります」との返事。

そういえば、彼女は大阪の羽曳野市出身。
そこって、仁徳天皇陵の次に大きな、応神天皇陵がある場所でしたね。

関東で大きな古墳といったら、埼玉にある「さきたま古墳」でしょうか。
それでも、大阪のレベルには到底及びません。

てことは・・・私と彼女のイメージする古墳って、ぜんぜん規模が違っているのかも!
当日になって(こんなの古墳じゃない!)とわあわあ泣くか怒るかされないためにも、関東のはプチサイズだと、あらかじめ伝えておかなくては。

「大阪と比べたら、こっちの古墳はとーっても小さくて、言うならばハムスター小屋レベルなんだけど、それでもいい?」
「いいよー、ハムスター小屋、気になる~♬」
ハムスターが定着しちゃった!私のせいか!

というわけで、この日は古墳巡りをすることになりました。

● 多摩川台公園

当日は、東急東横線・多摩川駅前で待ち合わせ。
先に来ていた彼女が「これ気になる~」と指さしたのは、インターナショナルプリスクールのポスター。
”英語で非認知能力を伸ばす”と書かれていました。
変わった体験ができるんでしょうね。

● 多摩川台公園

さっそく、駅からすぐの多摩川台公園に向かいます。
多摩川沿いの小高い丘陵に作られた、細長い敷地。
水色が多摩川で、赤で丸囲みしてあるところが、古墳です。
オレンジ色の部分が、古墳展示室のある場所です。


● 台風の爪痕

細く長い階段を上りきると、眼下には多摩川の景色が広がります。
普段はとてもいい見晴らしが臨めますが、辺りの変わり果てた景色に、絶句しました。
いつもきれいにならされて、ラクロスの試合などが行われている対岸のグラウンドは、無残にも荒れ果てています。
倒木や流木が、層をなして折り重なり、まだ手が付けられていない状態のままでした。

● 古墳展示室

気を取り直して、古墳展示室へ向かいます。
区の施設ですが、日曜日でも開いてくれています。

室内に入ると、薄暗くて説明の文字さえ読めません。
照明が故障したのかな?
担当者に尋ねると「朝、昼、夜バージョンがあるので、朝になるまで待ってくださいね。夜がけっこう長いんですよ」とのこと。
ダークな中でしばらく待ちましたが、確かになかなか明るくなりません。
古墳時代って暗黒時代だったの?

ようやく明るくなり、古墳の外観が見られるようになりました。
古墳に模した部屋に入ると、中は明るく、勾玉や銅剣などの出土品が展示されています。

古墳は偉い人のお墓。
棺の中には、古代衣装姿の部族のリーダー(人形)が横たわっています。

出土品は5~6世紀くらいのもの。今は21世紀ですよね。
よくこうして、当時のままの形が残されているなあと思います。

● 大きさ比べ

日本の古墳の説明パネルがありました。
5世紀は、前方後円墳の時代。有名な古墳の模型があり、大きさの比率がわかるようになっています。
左上が、世界最大級の仁徳天皇陵。真ん中が、二番目に大きな応神天皇陵。
ユーミチカの故郷にある古墳です。

その下にあるのが、4世紀後半に作られた、ここにある亀甲山古墳。
この展示館のすぐ横にありますが、辺り一帯が立ち入り禁止区域になっており、全貌はよくわかりません。



多摩川台古墳群の中では一番ビッグな亀甲山古墳も、浪速のチャンピオンと比べると、吹けば飛んでしまいそうなくらいの小ささ。
関東の豪族もがんばりましたが、古代大和朝廷の大王(おおきみ)パワーにはとてもかないませんね。

● 古墳オリエンテーリング

資料室で古墳時代や多摩川台古墳のお勉強をしたあとは、外に出て、さっそく古墳巡りを始めます。

これは私が持参した地図帳。
黄色いマーカー部分が古墳。小さいながら、この辺り一帯にたくさん点在しています。
資料室は、地図右下の辺り。ここから左上の方へ歩いていきます。

「ハイ、さっそく第1号墳がありました。ここですよー」
と紹介しても、見た感じまったくわかりません。
看板がないと、シロウト目には単なる茂みにしか見えません。

10mほど歩くと、第2号墳の看板が立っています。
その先には、第3号墳が…。

ユーミチカは「えー・・・」とコメントに困っています。
大阪のビッグな古墳とは、あまりにも違いすぎて、面食らっているようです。
彼女だけでなく、ここに古墳ツアーに連れてきた人は、みんなそういう反応。
(今までも何人も連れてきている私!古墳いいよね!)

 

古墳マニアにはたまらない、古墳群マップ。
多摩川沿いの小高い丘に、古墳が仲良く連なっています。
それを、看板を見ながら「はい5番があった~、お次は6番~!」と見つけていく、オリエンテーリング状態です。

● 川沿いの肥沃な大地

古墳の反対側には、田園調布の豪邸群が並んでいます。
リッチな人たちが川沿いの丘に好んで集まるというのは、古代も現代も変わりないようです。

子どもたちの遊び場も、どことなくパリのリュクサンブール公園みたいに見えてくるのが不思議。

● 住宅地の古墳巡り

少し離れた場所にある8号墳からは、公園を抜けて住宅地に入ります。
持参した古墳の場所が書かれた地図を見ながら、古墳に沿って進んでみるつもり。

でも、早々に迷ってしまいました。
「こっち?あれ、こっちかな?」
住宅街は細道が入り組んでおり、地図と照合しづらくて、うろうろ。
丘の下まで降りてしまって、また坂を上ったりします。

 
イメージ画像

(この場所で間違いない)と思っても、そういった表示がない高級住宅街では、確証がおけません。
「この辺りに古墳があったと思うけど、今はもう家しかないね」
ため息をついて、豪邸を見上げます。

ここに住んでいる人たちは、古墳の上に家が建っていると知っているのでしょうか?
建設会社や不動産屋さんは、そういう情報を伝えるのでしょうか?
古墳の情報なんて古代の話すぎて、業者は取り扱わないのでしょうか?
いろいろと疑問が出てきます。

● クウェート大使公邸

丘を上り下りしながら、きょろきょろ手がかりを探していると、「建築計画のお知らせ」の表示を見つけました。
今度、ここにクウェート大使公邸が建設されるそうです。
建築主には、大使の名前が書かれています。


邸宅が完成したら、大使は田園調布から三田のクウェート公館に向かうんですね。
もしかすると、大使公邸も古墳の上に建つのかも。
大使は日本のことに詳しい方だと思いますが、古墳のことはご存知かしら?

高級住宅地が立ち並ぶ界隈ですが、古墳のよすがは全く見つけられないまま。
単に豪邸を眺めて歩く、おのぼりさん状態になっています。
どこを見てもゴージャスで、目の保養にはなりますけどね!
この日の私たちの目は、今ではなく過去に向いているのです~。
いくら歩いても、手掛かりはどこにも残っていないので、高級住宅地の辺りはあきらめて、先に進むことにします。

けっこうな坂を上ったり下りたり

● 宇佐神社

田園調布エリアを東に向かって、宇佐神社に着きました。

この神社の裏に八幡塚古墳があります。
残念ながら、立ち入り禁止になっていました。

立ち入り禁止になっている古墳は、調査中なのか未整備なのかわかりませんが、深入りはしません。
昔々の話とはいえ、偉~い人のお墓ですからね。
「寝る子を起こすな!」ということです。

● ポルシェだらけ

神社の前の道を西にまっすぐ進むと、ポルシェしか停まってないパーキングがありました。
えー、すごい。おハイソな田園調布の底力!



● 等々力不動尊

等々力不動尊では、新郎新婦が結婚の記念写真を撮影していました。
どうぞお幸せに!

 

ここは気持ちのいい場所。参拝して、境内で少しのんびりします。
途中休憩もとらずにずっと歩き通しで来ているので、ちょっと足がだるくなってきているところ。

● 等々力渓谷

滑らないよう気をつけながら石段を降り、等々力渓谷を散策しました。
夏でも涼しいこの渓谷は、いつ来ても空気がひんやりしています。

渓谷の遊歩道を少し歩いてから、再び階段を上がり、立ち入り禁止の空き地を大回りして、野毛大古墳に向かいました。

● 野毛大古墳

この日の往路のゴールに着きました。
多摩川駅からここまでずっと、あるのかないのかはっきりしないような古墳(失礼な!)を巡ってきました。
そろそろ大きなモノを見せないと、応神天皇陵を見て育った友人に申しわけが立ちません。

すると、入り口に「第12回 野毛古墳まつり」の看板がかかっているのを発見!


なんと、この日はちょうど、この古墳で年に一度行われるお祭りの日でした。
去年チェックしていたのに行けなかったイベントで、今年に至ってはすっかり忘れていました。
私たちの古墳巡りデーに合わせたかのような偶然。
なんてラッキーなんでしょう!

● 古墳祭りとまりこふん

古墳の前で、誰かが歌を熱唱中でした。
あの見慣れた古代衣装は、もしや…

古墳研究家シンガーのまりこふんさんではありませんか!
これまた、なんて偶然!

古墳を愛するまりこふんさんとは、共通の知人を介してこれまでに何度かお会いしたことがあり、SNSでもつながっています。

ゆる~い感じに、観客もいます。
のどかなフェスみたいで、いいですね~。

大会の主催者も、大和朝廷の格好でご登場。
髪型もしっかりと、みずらスタイルです。

 

2人のトークを聞きながら、こんもりとした野毛大塚古墳の上に上がり、ステージを上から見下ろしました。

● じゃんけん大会

歌が終わり、じゃんけん大会を始めると聞いたので、大急ぎで下に降りて参加しました。
じゃんけんは、何回か行われ、勝ち抜いた人は古墳クッションなどをもらっています。
前方後円墳の形をした古墳クッション、いいなあ。
何度挑戦しても、途中で負けてしまう私の横で、ユーミチカはするすると勝ち続け、なんと優勝しました。
おめでとう!何が当たったの?

● 模型が当たる

当たったのは、古墳の模型でした。え~、レア!
見慣れればかわいらしい、家形石棺。
岡山にある「金子石塔塚古墳(かなごせきとうづかこふん)」だそうです。

ユーミチカは、「これはどうすればいいんだろう?」と、普段なかなか見ない、微妙な表情を浮かべていました。
まりこふんさん、「こんなの、欲しい人いるのかな?」と前に笑っていましたが、好きな人にはたまらないもの・・・でしょうね、たぶん!

● どんぐり味の古代汁

会場で、「古代食を食べてみませんか?」と声を掛けられました。
古代の人が食べていたものといったら、木の実くらいしか思いつきません。
大鍋からよそってもらったのは、長いも汁でした。

とろみがあり、どんぐりの味がして、おいしかったです。
「これを入れた方が、うまみが出ますよ」と、塩昆布を入れてもらいます。
確かに味がしまりました。

隣には、まりこふんさんが所属する「古墳にコーフン協会」のテントがあり、会長がいました。
会長ともSNSで繋がっていますが、"古墳ハンコ押しまくりイベント"として、参加者にハンコの使い方をレクチャーするのに忙しそうだったので、声はかけずにおきました。

● 行きのルート

ここまで歩いたのは、こんなルートです。
右下の多摩川駅から始まり、多摩川台古墳群を抜けて田園調布の豪邸を通り、等々力渓谷の先にある野毛大古墳へ。
電車だと、東横線の多摩川駅から東急大井町線の等々力駅に移動したことになります。
豪邸の辺りは、迷いながら探しながらだったので、もっとクネクネ動いていましたが、だいたいこんなルートでした。
通ったエリア一帯が、古墳群です。


その2に続きます。


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2 Comments

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Unknown (アネッティワールド)
2020-02-05 18:46:12
お久しぶりです。

冬は行動範囲が狭くなるので
ブログもサボり気味なんです。
それでもラケットを持つと人格が変わり
別人のように走り回ってます(笑)

多摩川に古墳があるんですね!?
知らなかったです。堺羽曳野市にも古墳がありますが中に入れないので
地味な観光スポットなんですよ。
それでも世界遺産に登録されると
観光客も増えているようです。

多摩川の花火大会を見てきただけに
台風の爪痕には心が痛みます。
まだ手つかず状態なんですね。
オリンピックで人手不足なんでしょうか?
早く元に戻ってほしいですね。

応援P
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アネッティさんへ (リカ)
2020-02-06 11:28:06
アネッティさん、お久しぶりです!
私がごぶさたしちゃっておりました!!

テニス三昧されているんですね~。健康的!
走り回ると、体力がついて、一石二鳥ですね。

友人ユーミチカは(どうしても仁徳天皇陵に人気を取られて、羽曳野の方はぱっとしないの。がんばってるんだけど)と言っております。
でも多摩川に比べればはるかに有名で、綺羅星のごとく輝いていますからね!

こちらの方は、近場として気楽に寄れるのがいいところです。

これは台風の一週間後の話ですが、川沿いの民家の被害は大きく、撮影もはばかられるほどでした。
今は、人の生活はほぼ通常に戻りましたが、多摩川周辺にはまだ手が入らず、荒れ放題のままです。
このままオリンピックに突入するのかしら~。

テニス頑張ってくださーい🎾❣
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