風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

江ノ島奥の洞窟へ-2

2016-09-13 | 神奈川
その1からの続きです。

○ 洞窟に到着

江の島にある3つの江島神社を巡り、さらに先へと進んで行くと、視界が開けて海に出ました。
海の向こうには富士山が・・・と期待していましたが、この日は雲が多くてまったく見えません。
あら~。前回11月に来た時には、きれいに見えたんですが。
その時は、美しい富士山の夕焼けに時間を忘れて写真を撮りまくり、洞窟が見られなかったのでした。



いよいよ、島の一番奥にある洞窟、江の島岩屋にたどり着きました。
なんと、入り口前に長~い行列ができています。
江の島の一番奥にある僻地なのに、これほど混んでいることにビックリ。



驚きながら、最後尾に並びました。
右側は大海原。ザバーン、ザバーンと波が押し寄せる、ワイルドな地形です。
ダイレクトに吹いてくる海風が、ダウンジャケットを着た身体を通り抜けていきます。



○ 岩屋の中へ

じっとしていたら凍えそうでしたが、列はサクサクと進み、さほど待たずに中に入れました。
初めての江の島洞窟。大船にある洞窟のように、身をかがめながら中に入るものと思ったら、中はずいぶん大きく、地下都市のようでした。
普段は入る際にろうそくを渡されるそうですが、この日は混んでいるため、ろうそくの配布はないとのこと。残念ー。
洞窟の中もやっぱり混んでいて、ところどころに行列ができており、そのたびに並びました。



洞窟内の水はとてもきれいで透き通っており、岩手の龍泉洞を思い出します。
青いイルミネーションがピカピカ光っている場所がありました。
「ここだけピカピカして、なんだろう?」と説明版を読むと、それは単なる電飾ではなく、夜光虫を再現しているとのことでした。
かつて江の島の岩屋内には夜光虫が生息し、洞窟内を青く照らしていたそうです。



「そういえば、夜光虫って英語でなんて言うの?」
「noctiluca」
すぐにちゃんと教えてくれました。アメリカでも普段の生活には必要なさそうな言葉なのに、知っているなんてすごいわ~。



天井が高く広々としていますが、ところどころに身をかがめないと通れないほど狭い箇所もありました。
閉所恐怖症の人は、ちょっと覚悟がいるかも。
私はそういうところこそワクワクしますが、薄ら灯りに浮かび上がる石仏は、照明の加減が正直こわかったです!



こっちを見てなにか語り出しそう。ヒエエ~!

○ 江島神社発祥の地

洞窟内にあったこの石洞が、江島神社の始まりと言われる場所。
元々は、これほど奥まった洞窟の中に祀られており、そこを訪れることができたのは限られた修行僧のみでした。

地表では、大勢の参拝者が江島神社3社巡りをしていますが、こここそが訪れるべきパワースポットじゃないでしょうか。
中華風の小さな狛犬が、にらみをきかせていました。



完全に岩に囲まれた世界。外の様子はわかりません。
空海が悟りを開いた室戸岬の「御厨人窟(みくろど)」を思い出しました。
空海も、ここで修行したことがあるそうです。



この洞窟は地底を果てしなく続き、富士山まで続いていると言われています。
穴の奥から吹いてくる冷気を帯びた風は、富士山からのものでしょうか。
前に、富士山の風穴に行った時に「この先は江の島まで続いているかも」と言われたことを思い出しました。
ロマンですね~。
それならばと、風穴を歩いて神奈川の自宅に帰ろうとして、親に止められた小学生の私がいましたよ。



最初に訪れたのは、第一カーヴ。いったん外に出て、今度は第二カーヴに入りました。
そんなに広かったなんて。洞窟の長さは、外からではわからないものです。

○ 岩屋雷太鼓

ここでも、薄暗がりの中で行列ができていました。
先に何があるのかわからないまま、並んでみました。
太鼓の音が聞こえてきます。
なんだろうと思ったら、ドラゴンの人形も見えてきました。
ここだけ人工的ですが、みんな順々に、2回太鼓を叩いています。
音に反応した龍の光具合で、願いの成就がわかるのだそう。



よーし、では私も。
でも、うまく叩けなくて、龍は一度しか光りませんでした。
願い叶わずってこと?あれ、願いってなんだっけ?
太鼓を叩くのに夢中で、願をかけるのを忘れていました!だめじゃーん。

○ インジャン・ジョー

洞窟の中をうねうねと歩いているうちに、方向感覚が失われていきます。
今、自分がどこを歩いているのか、もはやさっぱりわかりません。
人々の声も反響して、どこから聞こえてくるのかわかりません。
これが洞窟の怖さ。ここはほぼ一本道だから安心ですが、分かれ道がたくさんあったら、混乱するでしょう。



ふっと、『トム・ソーヤの冒険』に登場するインジャン・ジョーのことを思い出しました。
この人のこと、ご存じの方もおいでかと思います。子供の頃、すごーくこわかったんですよね。
トムが洞窟内で迷った時に、逃亡中の殺人鬼インジャン・ジョーの姿を見て、洞窟に身を隠していると知ります。
その後トムは無事に救出されるも昏睡状態に陥り、その間に危険だとのことで、洞窟は閉鎖されました。
元気になりそのことを知ったトム。慌てて洞窟を開けてもらうも、閉じ込められたジョーは餓死していたというエピソードでした。

うう、こわい。こんな場所で思い出したら、恐怖感倍増なのにー。



それでもじきに、暗い洞窟の中に、遠くから明かりがさしこんできました。
本能的ななにかで、一心にそちらに向かって行ったら、海の音が近づいてきて、波打ち際の外に出られました。



○ 地形チェック

洞窟の外が海というのは、本当に野趣たっぷり。
岩に打ち付ける大きな波の音と、たちこめる潮の香り。
波打ち際にそびえたつ断崖とその木々を揺らす風。
自然の厳しさ、ダイナミックさを存分に味わえます。



岩肌の状態や、海食崖の形状に興味津々のサオリ。
高校の理科で地学を選択した私たちは、地層を見ると今でも反応して食いつきます。
さらに彼女は大学で地理を学んでいるので、私よりも詳しいでしょう。
海岸の地層って、おもしろいんですよね。この辺りは、1500万年以上前に形成された葉山層群大山層です。



洞窟探検を終えたので、ふたたび急な石段を上り下りして、元来た道を戻ります。
段差のある階段が続き、山ガールのサオリに置いていかれ気味の私。まってー、フーフー。

奥津宮まで戻ると、山田流箏曲の開祖、山田検校の像がありました。
検校100年忌に幸田露伴らが建てたとのこと。
山田検校は、ここ江の島に滞在して「江島」を作曲したそうです。



奥津宮は、先程紹介した八方睨みの亀が天井に描かれていますが、ここの手水舎も亀。
柱を支えてるのも亀。よく見ると亀だらけです。
亀といえば竜宮城。弁天様と乙姫様がごっちゃになってきそうです。



どんどん人の多い方へと戻ってきました。
江の島の道は細いので、混むと一気に圧迫感を感じます。
「早々に島を脱出して、橋を越えてからお茶にしよう」

○ リバーサイドカフェ

橋を渡って陸地に戻りましたが、周りのお店もやっぱり混んでいます。
そんな中、入ったのはDIEGO BY THE RIVER。



川沿いで見晴らしがよく、雰囲気もいいカフェです。
(ディエゴと言ったらマラドーナ?)と考えてしまいますが、関係なさそう。



店内に入っても、特にアルゼンチン色はありません。
マフィンとレモンティーにしました。



通されたのは、ここの部分だけ突き出ている、ちょっと変わった場所にあるテーブル。
三方が窓があって、時々外からのぞきこまれました。



○ アメリカの地ビール

LAGUNITASという広告を見て、「これ、うちの地元だわ」と彼女。
「え、何のブランド?」
「ビールなんだ」



ワンちゃんの絵だけ見ると、なんの広告なのか全然わかりません。
見渡せば、店内のあちこちにポスターが貼られています。このカフェは、ラグニタスビール推しのようです。

「アメリカの地ビールといったら、Samuel Adamsくらいしか知らないなあ」と私。
「あれってどの辺り?」
「ボストン。ハーバード卒業生が開発したんじゃなかった?」
それはサオリは知らないことでした。全米が知っているわけではないのね。
私もたまたまアメリカで教えてもらった情報です。



川沿いに突き出たテーブルの窓から、夕焼けを眺めながらおしゃべり。
最近ジャズが好きになって、ニューオリンズに演奏を聴きに行くこともあるという彼女。
ちかぢか渡米する予定の私は、ホットなアメリカ事情をいろいろと教えてもらいました。

Blue Noteの話題から、Motion Blue Yokohamaで八城亜紀がライブを行った話になり、それから熊本つながりで、水前寺清子のチータの名前の由来の話に。
相変わらずとりとめのない会話です。

彼女はグリーンカード所持者ですが、パスポートは日本のもの。
でもESTAの申請は必要ないのだそう。うーん、やはりグリーンカードがあると違うのね。

○ onigilly vs 権兵衛

彼女の暮らすサンフランシスコに、最近onigillyというおにぎり専門店ができたそうです。
「一つ3ドル以上」ときいて、ええっと驚く私。
「でもおいしいから買うんだ。3個くらい買うと10ドル超えちゃうけど」

日本食がブームのアメリカ。onigillyもおしゃれな雰囲気で売っているため、みんな高くても買うそうです。
おにぎりはもっと庶民的なのに~。
こじゃれたアルコールとしてマッコリを日本に広めた韓国の売り方と一緒ね。
おむすび権兵衛っていうおにぎり専門店はおいしくて、どれも百円台だよ」と言ったら「うらやましい~」とため息。
逆に「アメリカではおにぎり3つで千円超すのー?」とビックリの私。

「あと、寿司がブリトー化してる」
カリフォルニアロールは有名ですが、ブリトーってたしかメキシコ料理。
お寿司ブリトー、どんなものかちょっと気になるわ~。
「言ってしまえば、切ってない巻き寿司かな」
そういうことですか。名前ほどには別モノになっていないようです。

彼女と一緒にスマホで撮影すると、カシャっと撮影音がするのは私の機種だけ。
「あれ、音しないの?」
「帰国するとみんなに驚かれるけれど、音がするのは日本くらいだよ」
「え~、どうしてかなあ?」
「日本は盗撮が多いって聞くから、その対策じゃない?」
「ええっ!?」
「日本人は変態が多いのね」なんて言われてショック!
変態呼ばわりされたことよりも、日本人のサオリがアメリカ人目線から喋っていることにです。

○ 江の島グッバイ

それぞれ乗る駅が違うため、カフェを出たところでお別れしました。
「サオリ、元気でね。トランプ氏が大統領にならなくても、いつか戻ってきてね~」
「リカがアメリカで仕事すればいいんじゃない?」
いえいえ、コーヒーもコーラもサミュエルアダムスも飲めないから~。



帰り道の橋から眺める、夕暮れ時の江の島。
反対側には、さっきまでいたディエゴカフェが見えます。
電飾の灯っているところです。



夕暮れ時なので、ちょっと感傷的なサヨナラになりましたが、サオリはすぐに渡米するわけではなく、来週末はほかの友人たちと我が家に来る予定なので、悲しい気持ちにならずに「じゃあ来週またね~」と言って別れました。

○ 急行のダブル

帰りは、小田急線から東急線に乗り替えて帰りました。
大回りをして自由が丘まで行ったら、ホームの電光板には急行が並んでいました。
こんなダイヤはかつてなく、見るのは初めてです。



あとで調べてみると、急行が重なるのは1日のうちこの時だけで、数日後に変更となる4月からのダイヤ改正では、もうなくなってしまうとのことでした。
貴重でラッキーだわ。

○ epilogue

4か月前にたどり着けなかった江ノ島岩屋に、今回こそ潜入し、探索するというのが今回のミッション。
今回は無事にミッションクリア、スイートリベンジ完了となりました。
シーズンオフの冬の季節は、観光客が少なくて閑散としていると思いましたが、実際には島が沈みそうなくらい大勢の人(とネコ)がいました。
鎌倉から江ノ電にゴトゴト揺られていくのも旅愁があります。
何回訪れても、冒険旅をしている気分になってワクワクできる、楽しい島。
神奈川っていいわあ。
そんな満ちたりた気持ちになって、帰途につきました。





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2 Comments

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Unknown (みん)
2016-09-15 11:15:36
洞窟に入るのには時間制限があるのですね。近いうちに江ノ島に行こうと思っているので参考になります。
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みんさんへ (リカ)
2016-09-20 03:28:40
閉館時間があって、夏と冬とで違うんです。
前回は、時間を忘れてのんびりしていたので、見れなかったんですが、みんさんなら問題なく見られると思いますよ~♪
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