風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

小野寺氏のルーツをたどって(1)

2013-06-26 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
● prologue
● 集合・出発
● 小野寺交差点
● 村檜神社
● 大慈寺
● 林屋食堂

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○ prologue

友人にオノデラさんという名前の人がいます。
関東ではそんなにある名前ではありませんが、東北に行くとかなり多いのだそう。
O(オノデラ)さんは青森出身ですが、小野寺姓のルーツは東北ではなく、栃木県だと話してくれました。
今では日本全国に散らばっている名前ですが、一族の始祖がはっきりしている家系のようです。

Oさんのご両親が、20年以上前に栃木の小野寺発祥の地を訪れたという話を聞いていたら、なんだか興味が湧いてきました。
そもそも、最近巡礼がマイブームの純と私に「小野寺七福神っていうのもあるのよ、アハハ」とネタ振りしてくれたことから始まったので、「じゃあ小野寺七福神を一緒に巡ってみる?」というノリになり、いつの間にか「七福神は時間がかかるから、小野寺ゆかりの地を巡ることにしよう」という話になっていったのです。

○ 集合・出発

交通の便が悪く、Oさんのご両親は佐野駅からタクシーに乗って行ったと聞いて、私たちは都心の渋滞を避けて埼玉から車で行くことにしました。
山手線ホームで待っていた電車は、8時1分発。
自分の誕生日と一緒なので、この日はいいことがありそうです。



埼京線で北上し、大宮駅でホームに降りかけたところを二人に見つけてもらい、更に一つ隣の日進駅まで行きます。
ここで車に乗り込みました。
初めてのカーシェアリング体験で、なんかアメリカ人になった気分ー。

まっすぐゆかりの地に向かったわけではなく、純の調べている秋葉神社に行ったり、関東36不動巡りをしたりしながら、少しずつ場所に近づいて行きました。
それは別の「寺社ブログ」に載せています→「巡礼ルート【東埼玉・南栃木】」

いよいよ栃木に入り、足利経由で佐野を通って、岩舟へと向かいます。
青々とした緑が目に鮮やか。
田んぼが広がり、その向こうには山また山と尾根が連なる、爽やかな風景が広がります。

佐野といえば厄除け大師とアウトレットが有名ですが、誰も行ったことがなく、みんなこの辺りは初めて訪れる場所した。
くねくねカーブを通って山をひとつ越えていくため、なんだか結界を越えて、小野寺の領域へと入っていく気分になりました。
もしかしてここは小野寺山でしょうか。(いえ、諏訪岳でした)

○ 小野寺交差点

信号で止まった時、Oさんが「あ、オノデラだ」といいます。
交差点が小野寺でした。



う~ん、人の名前のようで、不思議な感覚。
前に青森で「太田光」というバス停を見つけて、「爆笑問題じゃない!」と驚いたことを思い出しました。
この辺りは、住所も小野寺。
私たちは、小野寺領内に入っているんだなあと実感します。

● 村檜神社

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      社 名■村檜(むらひ)神社
      鎮座地■栃木県下都賀郡岩舟町小野寺4697
      祭 神■誉田別命 (配祀)熊野大神、大山咋命
      創 建■大化二年(646)
      社 格■延喜式内社、下野國三之宮 旧郷社
      社 殿■室町後期、三間社春日造屋根、檜皮葦
      参拝日■2013年6月23日
      特 記■佐野庄小野寺十郷の総鎮守
          国の重要文化財
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まずは村檜神社へ。
ここは佐野庄小野寺十郷の総鎮守の神社です。
参道に入るところに、割と大きな二階建ての簡易郵便局がありました。
純は「もしかすると、ここはかつて役場的役割を果たしていたのかも」と推測します。



古めかしい参道を通り、長い石段を上がっていきます。
石段の途中で太鼓橋のような建物(神門が)の下を通っていき、造りがさきほど訪れたばかりの出流原弁財天に似ていると思いました。
この辺り独特の建築方法なのでしょうか。



太い幹の、苔むした杉の古木が参道に何本も立っています。
石段の上から光が差し込み、参道両脇の林からは澄んだ空気が流れ込み、なんというか、とても澄んでいく気持ちがしました。
言葉になりませんが、光に導かれて行くような感じ。
石段はそれなりにありましたが、疲れも一切感じずに、神殿のところまで吸い込まれるようにいざなわれていきました。



登りきったところにあったのは、古めかしい社殿。
落ち着いた檜皮葦の屋根です。県内では檜皮葦はこの神社だけなのだそうです。
全体的に、上品な美しさがありました。



私は、まず狛犬に目を奪われました。
とってもユーモラスな顔をしています。「がっはっは」と笑っているみたい。
見れば見るほど、楽しい気分になってきます。
厳粛な空気がただよう境内ですが、狛犬の明るさで、柔らかい空気になっているよう。
こんな狛犬がいたら、参拝も楽しくなりますね。





「小野寺工場創業10周年記念」で、小野寺氏が寄進していました。
寄進者がどんな狛犬がいいか注文したのならば、小野寺氏はなかなか楽しい人のようです。
Oさんは御朱印をいただきたかったようですが、社務所は非常駐らしく、人は不在でした。
「裏山を上ると、小野寺領が一望できるんですって」とOさんは言いましたが、お昼を過ぎておなかペコペコの私たちは、「じゃあ登ろう」と誰も言いださず、見上げただけで終わりました。
(かなり登っていくようだったし、空腹で体力尽きかけていたので…)



横には西宮神社がありました。
馴染みがない神社名です。「西宮神社とは何の神様?」「神戸の西宮とは関係ない?」
「ここ栃木だし、かなり遠いよね…」
誰もわかりませんでしたが、そういえばここでは小野寺七福神の恵比寿神が祀られています。
神戸の西宮神社にも、恵比寿様が祀られているので、やはり共通しているのかもしれません。



こちらもまた、光が差し込んで神々しい雰囲気。
鳥居が古く、朽ちかけていました。
風通しのいい、私の好きな古い形式で、京都の太田神社を思い出しました。



出流原弁財天とこの神社を参拝したことで、すっかり自分の中が清々しい気に満ちた気がします。
参道を戻ると、入り口にも古い狛犬がいるのですが、こちらは阿形がいなくなり、吽形だけぽつんとありました。
一対であるべき狛犬なのに、相棒がいなくてさびしそう。
元気でね!と車の中から手を振ったら、純に「今、なんかイタイことした人がいた~」と怪しまれました。



のちほど、車で県道を通っていた時、大きな鳥居があったので、扁額を見てみると「村檜神社」とありました。
一の鳥居です。由緒の正しさを感じました。

ちなみに、ここは下野國三之宮ですが、二之宮は惣社町の大神神社だそうです。

● 大慈寺

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      寺 号■小野寺山 転法輪院 大慈寺
      所在地■栃木県下都賀郡岩舟町小野寺2247
      宗 派■天台宗準別格本山
      本 尊■薬師如来 日本七仏薬師如来
      創 建■(伝)737年(天平9年)(伝)行基
      霊 場■関東九十一薬師霊場・第55番札所
      参拝日■2013年6月23日
      特 記■円仁(慈覚大師)の修行の寺、小野小町に関わる伝説
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村檜神社に隣接したお寺。
小野寺山大慈寺です。
おのでらさん!
驚いていたら、「小野寺産の蕎麦も売ってるみたい」とOさん。
おのでらさん!



本当にこの辺りは小野寺ワールドなんですね。
まずは参拝しましょう、と本堂へ向かいましたが、なんと目の前には工事中の建物が。
本堂は目下新築中でした。
一から建て直しているようです。



地図を見ると、相当広い敷地という感じ。
ライシャワーの石碑があって、(なぜ?)と驚きます。
このお寺では慈覚大師円仁が9歳から6年間修行したそうで、彼の研究をしていたライシャワー元駐日大使が訪れたそうです。
東国における天台系仏教の拠点だったとのこと。



御本尊が日本七薬師如来の一つで、小野小町が病気治癒祈願に訪れ、そのまま滞在したという伝説があるそうです。
お墓もあるとのこと。小野つながりですね。
一遍上人も訪れたことがあるそうです。
由緒正しいお寺なんですね。



庫裏に向かうと、ちょうどご住職が出かけようとしたところで、御朱印をお願いしました。
少しタイミングがずれたら、いただけないところだったので、ラッキーでした。



「小野寺一族の菩提寺は、また違う住林寺というお寺で、そこのご住職亡き後、ここの住職が面倒を見ているんですって」とOさん。
「詳しいね!」と驚いたら、「小野寺掲示板に書いてたの」
なんですか、小野寺掲示板って!

住林寺の御朱印もいただきたいOさん、こちらの住職に聞いてみましたが、「法要をしているのはうちではなく、佐野の涅槃寺さんです」とのことでした。
「BBSに訂正投稿したら?」と純。
小野寺掲示板は、全国の小野寺さんが投稿しているものだそうです。ディープですね。

こちらの御朱印は、お寺の風格とはまた違う、かわいらしい丸文字風。
「"小野寺山"の朱印も押してもらいたかった~」と、Oさんは少し残念がっていました。
これまで、ちっとも自分の名前の話なんてしていなかったのに、御先祖様の出身地に来て、なにかに目覚めたのでしょうか。

○ 林屋食堂

小野寺氏のルーツがはっきりしているのは、武将だったから。
戦で手柄を立て、その褒美として小野寺の名を賜ったのだそうです。
サムライとして活躍したのは、平安時代から戦国時代にかけてだそうです。
でもとにかく、腹が減っては戦ができぬ!
早朝集合してから何も食べていない私たち、おなかペコペコでもう頭が回りません。



大慈寺前の佐野ラーメン屋・林屋に入りました。
アクが強すぎず、あっさりしていると評判だとのこと。
ネギラーメンとギョーザにしました。



初めの佐野ラーメン。
初老のご夫婦が作ってくれたラーメンは、食べやすくおいしかったです。



ひとごこちついて、あらためて小野寺の里を眺めます。
見渡すかぎりに広がる畑と山々。緑が印象的。青々としている印象です。
店やマンションが立ち並んでいるわけでもなく、昔からあまり変わっていない景色なんでしょう。



その2へ続きます。


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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして。 (小野寺さん。)
2014-05-21 06:46:02
僕の名前も小野寺です。

自分の名字の地名があるなんて驚きです。

関東は小野寺って名字そんなにいないんですね。

北海道は道南に小野寺って名字多いです。

僕が住んでる札幌周辺も学校の1学年に2人くらいは小野寺さんいます。

小野寺山大慈寺行きたいです!

魅力的な記事ありがとうございます。

こんにちは。 (リカ)
2014-05-30 10:27:02
小野寺さん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

小野寺というお名前は、東北地方に多いと聞いていましたが、道南にも多んですね。その昔、小野寺一族はどんどん北に向かっていったのでしょうか。

お寺のような名前ですが、地名にもあるというのが驚きでした。
苗字の由来って、おもしろいですね~。
ぜひ、訪れてみてください!!
Unknown (あおやま)
2020-02-25 20:22:48
はじめまして。
小野寺、私の地元です。
(掲載されている写真に実家が写っていてウケました。)

小野寺に来ていただいたこと、丁寧にブログにまとめて頂いたこと、地元民を勝手に代表して感謝いたします。
ありがとうございます。
あおやまさんへ (リカ)
2020-02-26 10:55:00
あおやまさん、初めまして。
コメントをどうもありがとうございます。
なんとご実家が写っていましたか!
勝手に撮ってしまい、すみません💦
ではあおやまさんは、小野寺の里の中心地にお住まいなのですね!

小野寺の殿様が活躍した戦国時代から長い年月が経った今でも、きちんと地名が残っており、石碑もあるのは、地元の人が土地の歴史と共に小野寺の里を大切に守ってきたからだと思います。

戦乱の世が終わり、緑豊かな静かで落ち着いた里に、心癒されました。
神社もお寺も、素晴らしかったです。また訪ねたいと思います☺❣

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