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風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

青森南部のアメリカンタウン 2-1

2017-09-23 | 東北
1日目からの続きです。 

● トリプルアラートが2回

すやすやと心地よい眠りを満喫していたところに、聞いたことがないものものしいアラートが鳴りました。
3人のケータイから、ほぼ同時に。
(みんな同じ時間にアラームかけてたのかな?)とぼんやり思って、また眠りに入りましたが、またもや変なアラートが鳴りました。
時計を見ると7時すぎ。
さすがにもう寝付けなくなって、デッキに出てみると、雨が上がったばかりのようで、外は肌寒く、強い風が吹いていました。

暗い色の湖。
海は空の色を移しているから青い、というように、湖もまた、曇りを反映しています。
じきに陽が射して、明るい朝がやってきました。

美しい湖畔の朝になりました。







● 湖で採ったしじみ汁

起きて、朝ごはんの支度をします。
メインは魚ではなく、昨日採ったしじみを使ったお味噌汁。
昨日の砂抜きの時には、キャンプ生活で必要だろうと家から小分けにして持ってきた塩がさっそく役立ちました。



しじみ汁を作ってくれたのは、一週間前に結婚したばかりのカオリン。
(ちょっと待って、ここにいていいのー?)
新郎は家に置いてきたそうです。新妻の愛情いっぱいお味噌汁を、前の日出会ったばかりの私たちがいただいちゃいましたよ。



朝は少し肌寒いくらいだったので、暖まります。
「おいしいね!」
これで私たち、「同じ釜の飯」ならぬ「同じ鍋の汁」を飲んだ間柄になったわ。



「また飲みたくなったら、湖に入ればいいね(笑)!」
ここなら、自給自足生活ができそう。
コテージの前にはシロサギが来ていました。

● ミサイル発射警報

朝食後にJBさんが車で迎えに来てくれました。
助手席の足元は、チップで埋め尽くされていて、いい香り。



朝のアラートは、北朝鮮のミサイル発射を知らせるもので、親から「三沢は大丈夫なの?」と連絡がありました。
米軍は、このことを事前に知っているはずだから、問題ないそうです。
確かに、空の様子で特に変わったところはありませんでした。

車は緑の中を抜けていきます。
市民の森がこんなに広いなんて。歩いたら大変そう。
平日だからか、車一台通っていませんでした。

● 青森のフリーメイソン

途中、アメリカンハウスの前を通りました。
アメリカ人仕様で、広い間取り。
その横には、フリーメイソンの「青森ロッジ」がありました。
どうして三沢に?やっぱりアメリカ軍関係なんでしょうね。


黄色がアメリカンハウス、青が青森ロッジ


車の反対側からだったので、うまく撮れずに残念。



● 空き家に入る

今日はコワーキングスペースでのお仕事デー。
仕事で忙しいジェニーはさっそく業務に入りましたが、カオリンと私は、JBさんに近くの商店街を案内してもらいました。
まずは、JBさんが出資している、ながいも加工工場へ。
近くだというけれど、どこかな~?とキョロキョロ。
実は、目の前にあるケーキ屋さん「洋菓子ルマンド」でした!
ケーキ屋さんが移転し、空家になった店舗を利用しているというそうです。
動かない自動ドアをぐーっと手で動かして、中に入りました。



本当にここが工場?私たち、空き巣の片棒を担いでいない?



中にはケーキの大きな陳列ケースだけが残っています。
ケーキの名前と値段とが書かれた紙もついたままです。
(目下、このショウウィンドウの引き取り手を募集中でーす)
大きな業務用冷蔵庫もありました。

● 長芋加工工場見学

空き家状態でがらんとしたケーキ屋のスペースの奥に回ると、工場が稼働していました。
きっちりと衛生対策をした5,6名のスタッフが、長芋の皮をむいています。
身障者雇用も行っているとか。



とても長い長いも。さすが、日本一の生産地ですね。



「やませながいも」というブランド長いもを出荷しています。
冷たい偏西風(やませ)が長芋の成長にいいんだそう。

● ゴボウ茶工場見学

次に、ゴボウ茶の工場にも行きました。
三沢は日本一のゴボウの産地。やはりやませが吹き付ける涼しいこの辺りは、根菜の育成に適しているそう。
やませって、ネガティブなイメージしかありませんでしたが、悪いことばかりじゃないんですね。



こちらも半分シャッターが閉じたお店。明らかにゴボウ屋さんではありません。
お店の前に立つと、ゴボウのにおいが漂います。
4,5名のスタッフは、ちょうど休憩中でお茶をしていたので、写真は撮らずじまい。
見たこともないほど大量のゴボウがあり、店内に置ききれずに、店の外にまで置いてありました。


シャッターの陰に保管中


● 寺山修二の町

そばのガソリンスタンドの壁には、さりげなく寺山修二の写真と言葉が載っていました。
そういえばこの商店街は、寺山修二通りというそうです。







● アメリカンと昭和

ビーグル号が下がっている公園。
市民に愛されているんですね。
『紅の豚』を思い出します。



● 商店街の改修前・改修後

あまり栄えている風ではない商店街。それが、しばらく歩くと、突然幅が広がりました。
電柱が地中に埋められているのです。
同じ通りの途中で突然!


目の前


驚いて、後ろを振り返りました。
今まで通ってきた道です。


頭の後ろ


ここまでが行政のてこ入れで、80億円かけて立派な道路にした場所。
さらに店舗も一気に立て直して、きれいになりました。
全て新しくて、非現実感が漂います。どこぞのテーマパークにあるストリートのよう。
それでも、あまり活気はないまま。





「ハード面は改良したけど、ソフト面が変わらないからね」とJBさん。
「だから、端っこの方から声をかけて、少しずつ変えていくようにしているんだ」
がんばって~!



途中、ボードメンテナンス中のサーフィン店の店主と話し込んでいました。
三沢にもあるなんて!JBさんもよくやっているそうです。
この辺りは、割といい波が来るそうです。

洋品店(ブティックではない)から、ガタイのいいアメリカ人が出てきました。
昭和の洋品店とブラッキーなお兄さんとの組み合わせ。これが三沢ね。

● 国境のフェンス

よく目を凝らすと、フェンスが見えます。
「もうあの向こうはアメリカね」
日本人が入れない場所になっています。



● 地酒チェック

酒屋を覗きました。
ここでも、弘前の日本酒「豊盃」は人気で「一人一本のみ」と書かれています。



この辺りのお酒は、下北の「寒立馬」がレアだとか。


左上が「寒立馬」


それよりも、下北は近所という感覚なんだということに驚きました。
「三八上北(さんぱちかみきた)」という天気予報での地域の紹介を聞くたび、いつもその響きがおもしろいなと思っていましたが、南北のつながりということかしら。

商店街の途中で、いこいの場のようなところがあったので、入ってみました。
おばあちゃんたちが6名くらいいて、手芸をしていました。楽しそう。



● 地域活性化問題

歩きながら、地域活性化について話し合います。
こんなに立派な通りを作ったのに、どうして栄えないのか?
素人の考えしかできませんが、時代のニーズをきくことでしょうか。
「ドッグカフェを作ってほしいと、アメリカ人は希望しているようなんだけどね」
「えー、作ればいいんじゃないですか?」
最近では、横浜でもずいぶん数が増えてきました。
「ところが、町が汚れるとかっていう反対意見が根強くってね」
なかなか実現にこぎつけないようです。
「どこか一つのお店を実験的にドッグカフェにして、それが成功したら、どんどん町に増えるのでは?」
アメリカ人だって、ここに暮らしているわけですから、住みよい生活を求めているのは一緒です。
米軍との軋轢はほとんどないという三沢ですが、もっと歩み寄れそうな気がします。

● ご当地ナンバープレート

「材」に戻ると、バイクが置いてありました。
「よかった、ヂンさんも来てる」
彼はレンタルバイクで、フリーダムに動き回れています。
ナンバープレートが蕪島のデザインでした。
よく見ると、鳥居の扁額に「蕪島神社」と書いてある細かさです。



その2に続きます。


青森南部のアメリカンタウン 1-2

2017-09-21 | 東北
その1からの続きです。

● 三沢のアメリカ人

コワーキングスペースでのガイダンス後、小川原湖のコテージにみんなで移動しました。
広々としてまっすぐな三沢の道路を、車で通り抜けていきます。
車ですぐかと思いましたが、どうやらそうでもないみたい。

フェンスに囲まれた米軍基地、ミサワベースの横を通っていきます。
ヘリコプターが近くを飛んでいましたが、それは米軍ではなく航空自衛隊のものだそう。
三沢には米軍基地と自衛隊があるんですね。迷彩服の人が多いのかな。
赤信号で止まった時、ふと横を見たら、隣の車を運転していたのは米軍の軍人でした。

三沢市の人口の、4人に1人がアメリカ人だそう。思ったよりも高い割合で驚きます。
でも、三沢の治安は悪くないそうです。
「ここは空軍が多いから、アメリカン・バーに行っても大丈夫」と何人かに言われたので「どういう意味?」と聞き返しました。
エアフォース(空軍)は選ばれし軍人たちなので、行いがいいそうです。
ネービー(海軍)も200人ほどいるものの、シールズ(SEALs、アメリカ海軍特殊部隊)のようなエリート集団なので、ギラギラしていないそう。
ということはアーミー(陸軍)は…?

沖縄の米軍が騒ぎを起こすたびに、国内米軍基地の軍人は夜12時には基地に戻るべしというような規則が設けられます。
深刻な事件が起こっていない三沢にとっては、歓迎せざる状態だそうで、地元の飲食店は「商売あがったりだ」と喜んでいないそう。
ここは住民と米軍がうまく共存できている場所なんですね。

道端にはコスモスが満開です。
後部座席でカオリンと「わあ、もう秋だねー」としゃべっている、その前の席では、ジェ二ーがスタッフの方から、南部と津軽の歴史話を聞いていました。

今度は旅客機が頭上を飛んでいきました。すぐそこが三沢空港です。

● ビッグな小川原湖

やがて車は広大な緑地にさしかかりました。
三沢市民の森公園ですが、だだっ広くて公園というより森林に分け入っていくよう。



すると突然、視界が開け、海に出ました。
いいえ、ここは海じゃなくて湖。
海のように波立っている、大きな小川原湖です。



青森の湖といったら、みんなが思い浮かべるのは十和田湖ですよね。
でも、青森で一番大きな湖は、実は小川原湖なんです。
それなのに、ほとんど知られていないというのは、なんだか残念。



ここは海から流れ込む海水と淡水が混じり合う汽水湖。
シジミ、シラウオ、ワカサギなどがたくさん採れて「宝の湖」とも呼ばれるそうです。



そうして、湖のほとりのコテージに着きました。
森の中の湖畔のログハウス。絵の中に入りこんだ気分です。



● 湖畔のBBQ

続々とほかの車も到着し、食材を運び込んで、さっそくBBQが始まりました。



こちらの皆さんはとても手慣れていて、てきぱきと火を起こします。



ちょうど夕暮れ時に差し掛かった頃。湖面が西日を受けて、キラキラとまぶしく輝いています。
外国でバカンスを過ごすような、ゆったりとした時間。



三沢では、BBQ文化が発達しているんだそう。
アメリカ文化から?それとも大きな湖があるから?



そろそろ風が涼しくなってきたからか、平日だからか、ほかにコテージを借りている人はいませんでした。
つまり貸し切り状態です!



やってきたばかりの私たちIT組は、運びこまれた食材の豪快さにビックリ。
いろいろな部位のお肉に、生のカキに生のエビ。
生ものは、なんだかゴソゴソ動いていますよ~。



● 青森に乾杯

BBQだから、明るいうちから飲んでもオッケー!
キリンの「青森に乾杯」で乾杯!



ほかに、シャイニーの100%アップルジュースもあります。
あとは、みんな大好き、スタミナ源たれ!



焼きたてのお肉にスタミナ源たれ、おいし~い!





話の流れから、BBQメンバー8人のうち、7名がO型だとわかりました。
JBさんも参加メンバー4人も、O型です。
一人の方だけB型でしたが、BとOは割と近いから、大丈夫!
みんな、仲間意識でどんどんダイナミックさを出し始めました。
A型の人がいなくてよかった~。

● 生のホヤ

「あれ、これなんだろう?」
カオリンが覗き込んだものがあります。
「自信ないけど、ホヤじゃないかな?」
聞いてみると、果たしてホヤでした。
「生きてるよ。ほら!」と目の前に差し出してくれるJBさん。



「わあ・・・」
言葉も手も出ず、黙って眺めます。
色鮮やかできれいではありますが、グロテスクでもあります。

ホヤ、子供のころはかわいいんですけれどね。ってそれはどの動物も一緒かな。
ホヤを前に、どうしたらいいのかわからなかったので、とりあえず指でつついてみました。
特にびくとも反応しません。い、生きてるの?
「これは生で食べるのがうまいんだ」
私も味なら知っていますが、外見を見たのは初めてでした。



この赤い物体にJBさんが包丁を入れる様子を、かたずをのんで見守ります。
「あー、ここの包丁、切れないなー」
キャンプ場のですからね。
グイグイ刃を動かしているのを見て(いっそ、ひと思いにやっちゃってー!)と、ホヤの気持ちになりました。



ホヤから出てきた液体を、紙皿に受けて
「ここが美味しいんだよ」と回してくれるJBさん。
ワイルド~!
ためらいつつ、誰も断らないメンバーたち。頼もしいわ。
みんなでお皿を回して、おそるおそる飲んでみました。
「うん、磯の味がする」
とっても塩味でした。

切り身になったら、見慣れた姿。スイスイ食べられます。
ああおいしい。みなさん、ホヤ食べてみてね~♪



● 生のカキ

生ガキは好きなんですが、まだ動いている状態のを食べるのは初めて。
(気持ち的に食べにくい~)と躊躇している私の横で、みんな「わー、新鮮」と言いながらぺろりと食べています。



なかなか食べられずにいる私に、
「大丈夫、採れたてのカキは当たらないから!」と励ましてくれます。
そうじゃなくて、動いているのに、みんな気にならないのー?
葛藤しながらも、最後にはおいしくいただきました。カキさんごちそうさま。

● シジミ採り体験

ここで、私のリクエストのシジミの採り方を教えてもらえることに。
「希望者どうぞ」とJBさんが言うと、カオリンが「ハーイ!」と手を挙げました。
日は傾いているため、少しでも早い方がいいと、すぐに始めることに。
こちらの人たちも「この季節に入るの?しかも今から?」とビックリ。
湖水浴という言葉を初めて知りました。



私が着替えをしているうちに、JBさんは上着を脱いでジャブジャブと湖の中に入っていき、カオリンがその後に続いていきました。
私もそのあとを追いましたが、短パンを持ってきておらず、スカートをたくし上げて入ったので、あまり深い場所までは行けません。
スカートが湖面に触れる、腿ギリギリのところで立ち止まります。
二人とも、洋服が濡れることはもうどうでもよくなったようで、ついには肩までつかり、顔だけ出してシジミを採っていました。

私はひとつだけ脚で探って採り、岸まで引っ張っていって見てみましたが、貝の片側だけしかなく、中身はとれませんでした。
スタッフの人に話すと「シジミ採りあるあるだよ」とのこと。
次は、中身入りのものを採るんだい!(次っていつだい)



● 収穫あり

青森は、島根に次いでシジミ漁獲量日本第2位。
県内では十三湖がシジミで有名ですが、ここ小川原湖もよく取れる場所。
十三湖のシジミは黒くてつやつやとしており、小川原湖のものは茶色いと聞いていましたが、やっぱりこちらも黒くて、茶色くはありませんでした。

脚だけでしたが、水の中で身体が冷えたので、コテージのシャワーに直行。
暖まってから再びBBQの輪に混ざると、ジェニーが「寒いのに入ったのね~」と、ネコのように火のそばで丸まっていました。

肩まで湖につかっていた二人も、じきにずぶぬれ状態で陸にあがってきました。
「さむ~、シャワー、シャワー!」



バケツには、収穫したシジミがこんなに入っていましたよ!
何も道具を使わず、手だけでもこんなに採れるんですね~。
「ここは、深い場所になればなるほど、掘れば採れるよ」とJBさん。
あんまり採ったら、漁業組合の人に「コラ!」と怒られちゃうでしょうから、このくらいがちょうどいいですね。



中でも大きなシジミは、やっぱり十三湖のシジミによく似ていました。
つまり、シロウト目には、違いはよくわかりません!

● 突然の豪雨

そのうちに、日が沈んで暗くなりました。
明かりのあるコテージのデッキに移動します。
じきに、ぽつぽつ雨が降ってきたかと思うと、あっという間に豪雨になりました。
大慌てで、BBQコンロや食材をコテージの中に運び込みました。
シャワーを浴びたのに、また浴びなくちゃ。

● 110円温泉へ

その後、コテージの中で飲みなおし、おひらきと共にスタッフたちは帰って行きました。
私たちはJBさんに連れられて、すぐそばの温泉へと向かいます。
のれんには「湯っこ」と書かれています。かわいい。



なんと、三沢市民は入湯料が110円!
市外の人は160円ですが、それでも銭湯よりはるかに安い温泉!



ここで男性のJBさん、ヂンさんと別れて、私たち女性3人はゆっくり入浴タイム。
つるつるになるお湯でした。
ドライヤーは1分10円、明朗会計!



入口には、長靴の専用置き場がありました。
雪用かなあと思いましたが、あとで聞いたら「この辺の人は、よく長靴を履いてるからね」とのことでした。
農作業ででしょう。



● 夜道のアドベンチャー

男性陣と分かれ、コテージに泊まるのは、女性3人のみ。帰りは自力でコテージに戻らなくてはなりません。
ぐるりと建物の裏側に周りこみ、今しがた上がったばかりの大浴場の前を通っていきました。
ここを過ぎると、あとはもう外灯の明かりのみ。



温泉からコテージまですぐそばだといっても、うす暗い山の中の土の階段を下って行かなくてはなりません。
(ここで転んだら、また温泉に入らなくちゃ)と緊張が走る、ちょっとしたアドベンチャー。

そろそろと歩を進めて、うす暗い道を外灯の明かりを頼りに進んで、コテージに戻ります。
どのコテージなのか迷いそうになりながら(玄関の電気をつけておくんだったー)、ようやく到着。
寝るまでの時間、お茶をしながらのんびり過ごしました。

夜ふけに明かりを消してから、ひとりバルコニーに出てみると、暗闇からさざ波の音が聞こえてきます。
舟に乗って湖面にいるような気がしました。
夜半には、激しく雨が降る音で目覚めましたが、またそのまま眠りに吸い込まれていきました。

2日目に続きます。


青森南部のアメリカンタウン 1-1

2017-09-21 | 東北
● prologue

青森でのITワークの試みとして、三沢に6日間滞在することとなりました。
去年は弘前に9日間滞在しましたが(→滞在記『りんご王国おためし暮らし』)、三沢は弘前とはずいぶん違う町のよう。
青森は津軽地方と南部地方に分かれており、弘前と三沢はかつて別の藩だったので、土地の言葉も違っています。

三沢は、米軍基地と小川原湖がある町ということしか知りません。
その小川原湖、なんでもイタリアに形が似ているんだとか。
えっ、本当に?


こちらがイタリア。



こちらが小川原湖。


わあ、どちらも長靴の形で、確かに似ているわ。オーソレミオ〜!
三沢市があるのは、長靴レイクの東半分辺り。そんな日本の中のイタリアに向かいます。

● ラッシュからバカンスへ

9月14日の朝に出発しました。すでに外は暑く、真夏に近い日差しです。
バッグからはみ出ているのは、ウクレレ。



ちょうど通勤ラッシュ時間と重なり、混んだ電車の中で楽器を抱えながら東京へ。
新青森行きのはやぶさ9号に乗車しました。



周りの乗客は、スーツ姿の男性がほとんどで、みんな出張に行く風。
PCを開けて仕事をしており、あちこちからキーボードを打つ音がカタカタと聞こえます。
3人席でも遠慮し合いながらみんなが作業しているなんて、ビジネスマンの鏡だわ。
私はウクレレを持ってきているのに。



今回は、車しか移動手段のない湖畔に滞在します。
そんなわけで湖を満喫しようと思い、ウクレレとオカリナと厚手の本を持ってきました。
普段はあっちにフラフラ、こっちにフラフラしている私の旅ですが、たまにはじっくりと一か所に腰を落ち着けて、バカンスですよ、バカンス!

● ゴールデンロケット

大宮を出る時に、金のロケットがついている建物を見つけました。
ロケットの上にロケット。いったいなんでしょう?



あとで調べてみたら、その名も「ロケットビル」でした。
仙台に着くと、乗客がぞろぞろと降りていき、一気に車内は空きます。
盛岡で、さらに減ります。

● 東北新幹線開業35周年


大宮-盛岡間を新幹線が開通してから、今年で35周年


周りが空いたところで、私もPCを取り出しました。
今回は、遠隔ITワークが支障なくスムーズに行われるかという県の試み。PCは必須です。



ちょっと小腹がすいてきたので、お茶にします。
おやつはやっぱり、アップルパイ。



これからリンゴの国に行くというのに、待てずに買ってしまいました!
去年は弘前のアップルパイを食べましたが、今回も食べられるかな?

● 八戸到着

東京を出て3時間。八戸に着きました。
南部弁のウェルカムメッセージ。うーん、わかるようでわからない~。



日本三大駒の八幡駒がいました。この馬の人形は、八戸のマンホールにデザインされています。
華やかな模様のついた、オシャレさん。
同じ南部地方だからか、岩手のチャグチャグ馬コに似ています。



JRから青い森鉄道に乗り換えると、乗客はぐっと庶民的になります。
日差しは強く、みんな半袖姿。長袖ばかり持ってきましたが、思ったよりも暑そう。



● 三沢到着

30分ほど揺られて、三沢駅に着きました。
改札を出たところに、ナガホリさんというスタッフの男性が、こぼれんばかりの笑顔で待っていてくれました。
バックには、アメリカンなイベントポスター。
こんなにニコニコと迎えてもらったら、それだけでハッピーになりますね!



駅前には、赤いかわいい飛行機、ビーグル号のモニュメントが。



風を受けて、ゆらゆらと動いていました。



● コワーキングスペースへ

今回のメンバー、カオリンさんとも会い、3人でコワーキングスペース「ものづくりオフィスFAB-LAB」へ向かいます。
なつかしい和の雰囲気を残した、畳のオフィス。
長〜いテーブルは、樹齢350年の一枚板のヒバで作ったもので、すがすがしい香りがしました。



ここで代表の淨法寺さんはじめ、オフィスの方々とごあいさつ。
淨法寺さんという珍しいお名前に、興味津々。
岩手に同じ地名がありますが、まさにそこのご出身で、この名字の方は20数件しかいないそうです。

● 4人のメンバー

自己紹介をしたり話をしているうちに、3人目の女性がやってきました。
伊丹から三沢に空路でやってきたジェニーさん。


ジェニーとカオリン


ほかに私たちと同じ新幹線に乗ってきた男性がおり、八戸でバイクを借りてやってくるとのこと。
しかし、なかなか現れません。
3時にガイダンスが始まったところに到着しました。
ヂンさんというイラストレーターでした。

● ガイダンス

メンバーが揃ったところで、今回のツアーの説明が始まります。
弘前組はもう開始していますが、私を含めた三沢組は、この日からスタート。
スタート日が偶然一緒になったのかと思ったら、一人の日がないように参加者の日程を合わせたそうです。



滞在期間中はずっとコテージ泊だと思っていましたが、湖畔で過ごすのは最初の2泊のみで、3日目からは三沢市内のホテルに変更になったと教えてもらいました。
となると、楽器や本といった静かな湖畔ライフ用のグッズは、使わないことになりそう。
そのかわり、町が拠点になると行動範囲が広がって、移動の楽しみが生まれます。
ということで「何もしないのが贅沢」といったバカンス的な旅は、また次の機会にお預けです。

● シジミと砂丘

三沢の観光案内パンフレットをたくさんいただきました。
まずは町のお勉強だわ~。



市の公式観光ガイドブックには、三沢クイーンとして活躍する3人の女性の写真が載っています。
イラストも、この3名に似ていますね。



JBさん(=淨法寺さん)に「何に興味あるの?」と聞かれたので「シジミ!」と勢いよく答えたら、みんなに「えっ?」と笑われました。
いえいえ、わたくし、大まじめでございます。
小川原湖でおいしいシジミを獲って食べるのを、期待していますから!

「じゃあどこか気になる、行ってみたい場所は?」と聞かれたので「鳥取よりも広い砂丘」と答えると「よく知ってるね」と驚かれました。
うーん、確かにマニアックかも。

もちろんJBさんはご存知で、実際にも訪れていました。
そこは自衛隊がカラの爆弾を落とす練習に使っている場所で、かつては敷地内に入れたそうですが、敷地内に落ちているカラの大砲を持ち帰って売る人が出てきたため、全面立ち入り禁止になったんだそう。
世の中には、けしからん輩がいるものです!
それでも、砂丘は立入禁止となった演習場の外にも広がっています。
また、鳴き砂ポイントがあって、歩くとチュンチュンと鳴くそう。
三沢から行くには、車で2時間半くらいかかるそうですが そばにある秘密の食堂の話もしてもらいました。

● 馬とマグロ

尻屋崎には半野生の寒立馬がいます。
南部馬とイギリスの馬車馬を掛け合わせた馬で、見るからに頑丈そう。
その辺りには、無料の温泉があるそうです。
昔はご近所さん同士でよもやま話をする場所として、無料温泉があちこちの地域にあったものなんだそう。
規制が厳しくなるにつれて、どんどん減ってしまいましたが、そこは管理をしっかりしているため、今でも残っているそうです。気になるわ。

日曜日には、大間でまぐろ祭りがあるとのこと。
「そこで、せりをしてみようか」
JBさんにさらっと言われて、焦る私たち。
「せり?あのなにやらわからない謎の手のサインで?」
「そういう難しいのではなく、手を挙げて値段を言えばいいから」
それなら安心。「せんえーん!」とかでいいんですね。ではまぐろ王目指して、レッツ・ゴー!

● カーネギーホールのミュージシャン

先ほど駅に迎えに来てくれたナガホリさんのFacebookページに、パーカッションを楽しげに叩いているご自身の写真がのっていました。
JBさんに「彼は有名なミュージシャンなんだよ」と教えてもらったので、本人に「弘前の知人から、”三沢にはご夫婦でカーネギーホールに立った人がいる”と聞いてきたんです」と話すと「あ、それ自分です」と言われました。
「えー、あなたですかー!」
わー、すごいプロが目の前にいるのねー!
持ってきたウクレレはこっそりしまって、誰もいない場所で闇トレーニングすることにしようっと。
奥様はボーカルをされているそうです。ライブを聴きたいわ~。

● 三沢のマンホール

さっそく三沢のマンホールチェック。



アメリカンかと思ったら、意外にも和風柄。
市の木の松と市の花のサツキのデザインです。



丸いものつながりですが、浪花のジェニーから、大阪土産「ええもんちぃ」を頂きました。
香ばしい黒豆入りマドレーヌ。長いこと答えを探していた「大阪土産は551以外に何がいいの?」問題から、これで解放されそうです。



その2に続きます。


ルーツサーチと里帰り、はるかなる黄金山へ index

2017-04-28 | 東北
[2016.10.7-10]
◆ 一関 1-(1) ←旅行記へ
 ルーツ探しの旅、第2弾。曽祖父が住んでいた岩手での手掛かりを求めて、一関を訪れました。
 市役所を訪れた後、旧友と再会して、蔵元レストランへ。
 地元名物、餅ご膳をいただきました。
  ● prologue ● 早朝の仙台駅 ● 一関のマンホール
  ● ひいひいおじいさん情報 ● ここではなかった ● 建部清庵
  ● 友人との再会 ● 世嬉の一 ● 蔵元レストラン ● 餅文化の町



◆ 平泉 1-(2)
 一関からほど近い平泉の中尊寺をお参り。最澄がつけた延暦寺の火がここにも灯っていたとは。
 猊鼻渓まで行ったものの、時間切れで船には乗れずじまい。
 多賀城に着き、飲み屋のオーナーとなった友人のママっぷりを見学しました。
  ● 平泉中尊寺へ ● 最澄のともしび ● 境内散策
  ● 山の中の弁慶 ● 古戦場レストラン ● げいびけいとげんびけい
  ● 猊鼻渓に来たものの ● 猊鼻渓のマンホール ● 古巣の多賀城へ
  ● 友人のお店 ● 同業種交流



◆ 多賀城 2-(1)
 2日目は、中学時代の親友と再会。
 ランチをとった自然派のお店では、草刈り部長が草をはんでいました。
 彼女に17歳の時に書いた自分の手紙を見せられ、その破壊力に屍と化しました…。
  ● 瞠目の再会 ● 被災5年後の町並み ● 風と手と土
  ● 草刈り部長ユキオ ● 手作りパスタに有機野菜 ● 17歳のわたし
  ● 部長のおやつ ● 大きなかぼちゃ ● 雨の陸奥総社宮 ● 恋人のような老杉



◆ 塩釜 2-(2)
 午後は塩釜に行きました。中学生の時ぶりにここの神社をお参り。
 この辺りが製塩始まりの地だと知りました。
 多賀城ではまた昔の友人たちと再会。懐かしく夜は更けていきました。
  ● 塩釜のしおがま ● 雨の塩釜神社 ● 自分が生まれたお礼
  ● ゆかりある神様 ● 狛犬ファン集め ● 七曲りの坂
  ● 御釜神社のおかま ● 製塩のはじまり ● 浦霞の蔵元
  ● ニューレトロ ● 月見カフェ ● 夜の女坂
  ● 牛若丸ごっこ ● 夜カフェ ● プチ同窓会



◆ 金華山 3-(1)
 早起きして、友とはるかなる金華山を目指します。
 カーブだらけの道の果てから、荒れた海に乗り出して、すっかりぐったり。
 大変な思いをして、ようやく念願の黄金山にたどり着きました。
  ● 憧れの金華山 ● 友の加勢で ● 寝不足ドライブ
  ● エンドレス・カーブ ● 流された鮎川港 ● 荒海の連絡船
  ● 金華山到着 ● 牡鹿半島の鹿 ● 登って登ってまた登る



◆ 東松島 3-(2)
 金華山から再び船で帰途につきます。
 道すがら、ちゃんこ屋に入り、未来を読む人に会い、ブルーインパルス本拠地と新幹線車両基地の前を通っていきました。
 夜は友人が変わって、仲良しグループでの再会。住んだ場所って、いいものです。
  ● 黄金伝説の黄金山 ● 相生の松と楓 ● 波止場への道
  ● 帰りの連絡船 ● 港に上陸 ● 再びエンドレスカーブ 
  ● ちゃんこランチ ● 友人の武勇伝 ● 神主パワー
  ● ブルーインパルス・グッズ ● JR東日本新幹線総合車両センター
  ● 私の引き渡し ● 仲良しディナー 



◆ 仙台 4-(1)
 最終日。友の友の助けで、友たちと再会できました。
 すっかり見違えた多賀城駅。その隣にはできたてのツタヤ図書館。
 いくつになっても友だちって変わらないし、いいものだなあと、しみじみ。
  ● 鯨の町のクジラ ● 友達の友達は ● みちがえた多賀城駅
  ● 3番目のツタヤ図書館 ● 3番目の利用客数 ● 懐かしの友たち
  ● 露庵 うめ治 ● 仙台名物せり鍋 ● ゴージャスな湯豆腐セット
  ● パインは缶詰か生か? ● 集まれることがなにより



◆ 多賀城 4-(2)
 食事の後、場所を変えてカフェでおしゃべりは続きます。
 旧友から語られる昔の自分のエピソードに、めいめいがノックダウンされながら。
 目的を達成し、懐かしい友たちに会えた、密度の濃い旅になりました。
  ● カフェ探し ● ラッシーとスイーツ ● メトロ・東西南北
  ● 牛タンと長なす漬 ● 中2の自分 ● お土産いろいろ
  ● AER展望テラス ● 再び仙石線 ● 友の家族と
  ● 夜の仙台駅 ● 優しい友たち ● epilogue




ルーツサーチと里帰り、はるかなる黄金山へ(多賀城) 4-2

2017-04-28 | 東北
その1からの続きです。

● カフェ探し

ランチを終えてお店から出ても、みんなまだまだ話し足りません。
場所を変えてお茶をすることにしました。

でも、仙台駅周辺で祝日に7人入れるお店を探すのは、なかなか大変。
駅のほぼ隣に家があってカフェに詳しいかもかもが先頭になって、サーチしてくれます。



お洒落な雰囲気のリゴレット・タパス・ラウンジも人でいっぱい。
「この店、東京にもあるよね、リカ?」と聞かれて、
「う、うん、あるんじゃないかな?」とうろたえる私。
「たしか銀座にあったはず」
正直、まったくわかりません。みんなの方が詳しいわ~。

● ラッシーとスイーツ

あちこちお店を探して、最終的にAER展望テラスのヴァサラロードというお店に落ち着きました。



スープカリィのお店なので、店内においしそうな香りが漂い、おなかは空いていないなのに食欲をくすぐります。
みんなでスイーツセットを注文。
私はチョコワッフルとラッシーにしました。



「いくらでも話はできるし、いくらでも食べられちゃうね」
「困ったなあ」
と口々に言いながらも、全く困っていない私たちは、うきうきとティータイムを楽しみます。

● メトロ・東西南北

仙台の地下鉄が増えた話題になりました。
「今までは南北線だけだったけど、東西線もできたから、東西南北になったのよ」



「つまり京都みたいになったのね」と、十字形になった路線図を想像します。
「うーんと、ちょっと違うかな」
地下の高さが違うため、乗り換えがうまくできないそうです。
あら~。

● 牛タンと長なす漬

仙台の牛タンについて、かねがね物申したいと思っていた私。
「仙台の食べ物といったら牛タンになってるけど、本当にそう?
私がいた頃は牛タンの話なんて聞かなかったから、いつも気になっていて」
みんな「こっちにいても、特に食べないねー」との反応。
身近な食べ物という感覚はないそうです。

「長なす漬ならよく食べるよ」
うん、仙台は長なす漬、こっちはオッケー。
牛タンは、ぐぐっと有名になった御当地グルメなんですね。
よかった、間違っていなかったわ。

● 中2の自分

思い出はどんどんさかのぼって、初めての出会いの時の話になります。
「リカは衝撃的な登場だったね」「ツインテールで」「会うなりハグしてきたもんね」
口々にいう友人たち。みんなよく覚えていますね~。
まあ私も、ほかの子のことなら結構覚えていますけどね。

そんな当時の私を、ゴエちゃんが2日前に描いてくれていました。


中2のわたし


ゴエちゃんの絵、なつかしい!彼女が描くマンガを毎日眺めていたなあ。

みんなにはいつだって会いたいのですが、そのためにはすっかり忘れていた過去の自分を、会うたびに掘り起こされるという恥ずかしさに耐えなくてはなリません。
だって仕方ないじゃない!みんなに会ったの、中2の時ですもの。
まさに中2病真っ盛りの時ですもの!

みんながそんなに覚えているのなら、今回はもう全員にハグしよう!と決心。
カフェを出てから、早速ギュウ、ギュウと、みんなを抱きしめまくりました。

「ちょっとやめてよー、外なんだから」と嫌がるかと思いましたが、誰も拒否反応を見せず、「はいはい」とちゃんとハグし返してくれるので、拍子抜け。
慣れています。これは、ハグ魔だったかつての私の愛の指導のたまものね(?)。
自分を偽らずに済む旧友って、やっぱりいいものですね!

● お土産いろいろ

みんなから、いろいろとお土産をいただきました。
岩手との県境に住んでいる人から、かもめの玉子。



ご当地ビールもいただきました。
キリン仙台工場の限定醸造!
他の県のよりもおいしそう(笑)!



被災地気仙沼の復興にと、松本零士のイラストによるお菓子が最近できたそうです。
ヤマトのスターシャのような女性が描かれた「Galaxy Gotto」。
ロマンチック!手作りで、控えめなお上品な甘さでした。



嬉しいけれど、私の小さなキャリーバッグのキャパの限界から、みんなへのお土産はそれほど多くは持ってこれませんでした。
それを気にしていたら、「理香からのお土産は、ハグでみんな満足でーす」との返事。
おやすいご用だと、またもやみんなに飛びつきました。
みんな本当に嫌がらないのね。優しいなあ。嬉しいなあ。

スポーツ観戦やコンサートなどで、みんな東京の方にも結構来ている様子。
その時におもてなししたいのですが、「目的を済ませたらすぐに帰っちゃうんだよね」と。
私が仙台に行くのは、プチ里帰りの感がありますが、みんなはそれとはちょっと違いますからね

● AER展望テラス

そんなこんなで、ハグに気を取られていたら、お店の入っているAER展望テラスの上階の展望台に昇って仙台の街を見渡すのを、すっかり忘れていました。



お店の同じ階には大きな丸善があり、ポケモンセンタートウホクも入っていました。



ランチのお店を出た時に「あー、みんなで写真を撮り忘れたー!」と誰かが言いました。
「もうお店、閉まっちゃったし、次のお店で撮ろう」
そう言っていましたが、カフェを出た後も「あー、また撮り忘れた!」
おしゃべりに夢中になっていると、忘れてしまうんです。
結局、集合写真は1枚も撮れませんでした。なにやってるの私たちー。
みんなが中2の心に戻っているので、仕方ないですね!

● 再び仙石線

夕方に、みんなとお別れして、私はレーちゃんと一緒に再び仙石線に乗り、彼女の家へと向かいました。
「一緒に電車に乗ったの、もしかして初めてかも?」
「いつも車を使ってて、なかなか電車に乗らないからね」
なんだか照れて、もじもじしちゃいます。



仙台と石巻を結ぶ仙石線は、大震災で不通になった箇所があり、全線運行を再開したのはようやく去年になってからのこと。
津波を受けて陸の孤島となっていた石巻まで行けるようになって、本当によかったです。

● 友の家族と

一緒にプールまで行って、スイミング教室に出た彼女の子供たちと一緒に、レーちゃん宅にお邪魔しました。
みんなと一緒の夕食に混ぜてもらいます。
中学の頃からお世話になっているレーちゃんのお母様は、相変わらずお元気で、前までのきれいな白髪が、黒髪に戻ってきていました。
「染めていないのよ」
もしかして、若返ってるの?
ベンジャミン・バトンの物語みたい・・・。

おばさまから、レーちゃんは小さい頃、身体が弱くて何度も死にかけたという話を聞きました。
私が、ハードモードだった多感な中学期を通過することができたのは、彼女がいてくれたから。
心の開き方を教えてくれた彼女と、出会えていなかったら、どうなっていただろうと思います。
お互い元気で、知り合えてよかった。

● 仙台駅あたり



食後、レーちゃんの運転で仙台駅まで送ってもらいました。
仙台駅の東口には、初恋通りがありました。
なんてロマンチックな名前でしょう。高円寺純情商店街みたい。
藤村広場まで続く道だそうです。
初恋というネーミングは、島崎藤村の作品から。そういえば藤村は、仙台に住んだことがありましたね。



待ち合わせ場所になっている、駅の大きなステンドグラス。
仙台七夕のデザインは見慣れたものですが、よく見てみると、上の方に独眼竜がのぞいていました。
いつも下から見上げていたので、上の方に今まで気づかなかった―。



できたばかりの、森の陽だまりガレリア。
駅の東口と西口を結ぶ連絡通路です。

● 優しい友たち

駅で夜カフェ。遅くまでつきあってもらって、ありがたいやら、申し訳ないやら。
かもかもも、「うちに来てもいいよ。家族には事後報告するから」と言ってくれました。
さっちゃんは、予想以上の寒さに震える私にコートを貸してくれ「帰り道に」と持たせてもくれました。
みんな、そんなに優しくて、世間の荒波をちゃんと越えて行けるのかしら。

初日に見かけた駅前のむすび丸単管バリケードは、夜には光るんですね。
後姿もありました。きちんと作られているわ。



いよいよ帰る時間になり、お別れのハグをして、彼女の後姿を見送りました。
すっかりハグづいています。ここ仙台では、私はハグ魔に戻っても大丈夫みたい。
古巣の温かさだわ。
一人になると、急に眠気が押し寄せて、東京までぐっすり眠って帰りました。



● epilogue

今回は、一関でルーツを探す初日以外は、のんびりと昔の友人たちと会うつもりでいましたが、ふたを開けてみたら初めて体験することも多く、びっくり続きの旅でした。
友がスナックのママに成長していて、そのおうちにお世話になるなんて、シゲキ的!
ママんちの子みたいに、お店が終わるまで一緒にいたし、眠くなったら隅で寝てたし。(←同い年)

中学を卒業してから、これまで4回訪ねた多賀城。
1回目は、仲良しメンバーの数名と会えました。
2回目は、大震災の1年後、現場視察の出張の合間に会えた仲良しメンバーの数が増えて、仲良しグループくらいになりました。
3回目は、クラス会に出席して、懐かしい級友たちと会えました。
そして今回の4回目では、仲良しグループのほかにクラス会で再会した男子たちにも会えて、会える人がさらに増えました。

中学の時より、もっと素直に会えている感じ。
大人になるって、マイルドでいいことですね。

そして、今回訪れた神社は、どこも素晴らしいところばかりでした。
のどかな里帰りのつもりが、なかなかどうして、スリリングな体験ができた旅でした。
2年しか住んでいなくても、会ってくれる友達がいる限り、やっぱりそこは自分の故郷。
みんな、どうもありがとう。
いい里帰りができました。