風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

ルーツサーチと里帰り、はるかなる黄金山へ(東松島) 3-2

2017-04-26 | 東北
その1からの続きです。

● 黄金伝説の黄金山

とうとう、黄金山神社に参拝できて、達成感を噛みしめている私。
拝殿の後ろに、山頂への山道を見つけて、途中まで行ってみましたが、ちょうど一人の青年が上から降りてきました。
ゼーゼーと息をして、相当疲れています。
私達より少し先で休憩していた男性が、その彼に「上まで行ったの?どうだった?」と聞きます。
「凄くハードで、思ったよりもすごく時間がかかりました。」と肩で息をしながら答える青年。
それを聞いた私達は「あ、やめとこう」とあっさりきびすをかえしました。


舞殿


やっとこさ参拝ができて、今は変なハイテンションになっていますが、お互い前日の飲み会で睡眠不足だし、雨が降った後で山道はぬかるんでいます。
うかつにハードな登山をしてはいけませんからね。

石段を降りて、祈祷受付所で御朱印をいただきました。
ここの御朱印は、見開き2ページになっていました。


大正の広重と謳われた吉田初三郎の『金華山大鳥瞰図』屏風


ここは天平時代に我が国で初めて金を産出したといわれる島なので、金華山・黄金島と言われています。
そのため、金運あらたかで、3年続けてお参りすれば一生お金に不自由しないと言われています。
それで、アクセス困難な場所でも、参拝客が多いのでしょう。

御祭神は鉱山の神様の金山毘古神、金山毘売神。
それに神仏習合の名残で、弁財天も祀られています。
おみくじは、神の使いの鹿と弁天様の使いの蛇。
どっちもいいなあ。



私は、とにかくここを訪れて参拝したかったので、金運祈願は二の次。
3年通うのはかっちゃんに任せて、彼にリッチになってもらいましょう。

広々とした大広間で、ほかの参拝者たちと一緒に休憩します。
大きな火鉢がありました。冬はさぞ冷え込むのでしょう。



お茶の振る舞いがありました。
大豆を主原料にした七福茶という縁起のいい福禄茶です。



● 相生の松と楓

境内には相生の松と楓がありました。
隣り同士の松と楓が、伸びるつれていつしかくっつき、一体化した連理の木です。
見れば見るほど、不思議な木。
まさに一心同体です。



● 波止場への道

少しすると、大広間で休んでいた人たちがバタバタと仕度をして外に出始めました。
「船が出る時間なんだ」と、私達もあとに続きます。
参道は以前は舗装されていましたが、大震災前の爆弾低気圧により崩落してしまい、今はアスファルトを取り去ったゴツゴツの道に戻っていました。
ならされていない未修復の参道は、歩くのも大変。あまり急ぐと、つまづいてしまいます。

小高い場所にある神社からは、海が臨めます。
前方に広がるのは、金華山瀬戸と呼ばれる海峡。



ここでは鹿が人間の方へ寄ってきて、人間の方が距離をとろうと逃げているような状態。
鹿のアピールに負けて、子供までも逃げ周っています。 
鹿の餌を売っている奈良公園や厳島神社とは逆の光景です。


「力が欲しいか?」的にこちらを見つめる鹿


降りていくと、桟橋が見えてきます。
向こう岸は牡鹿半島。



この辺りは、震災と台風で大きな被害を受けた場所。
あちこちに土嚢が積まれています。
聖域とはいっても、太平洋に面した、自然災害を受けやすい場所なのです。
厳しい自然の元に、神は宿るとも言いますからね…。



神社までのきつめの勾配の坂を、今度は波止場まで降りていきますが、この時にもまたふくらはぎを使います。
表参道の両側に置かれた単管バリケードには、震災復興のキーワードの「絆」という文字がついていました。



かもめがたくさん海に浮いていました。
波に浮かんでプカプカ。
君たちは、波酔いしないのね~。



● 帰りの連絡船

海からの風は冷たく吹きすさんでいて、乗船を待っている間、体温がどんどん奪われていきます。
またもや連絡船に乗り込みました。
今度は先ほどよりも少し大きな80人サイズなので、ちょっと安心しましたが、やっぱり波にあおられて、ポンポン揺れる揺れる。



それでも、そばを通る小さな船は、もっと激しく揺れていました。
その様子を見て、また酔いそうになります。
船の中ではキャーキャーと乗客の悲鳴が上がっていましたが、私はすでに声を出すパワーなどなく、また船上で仮死状態となっていきました。

● 港に上陸

ようやく鮎川港に到着。ヨロヨロになって船から出ます。
地表に倒れ込みたい気分。はー、平らな地面がありがたいわ。

津波でごっそり流されて何もなくなった港ですが、広いスペースが駐車場として利用されており、線がなくても車が整列しています。
軽のコパンが5台、キチンと並んでいました。
かわいいです。「あれは人気が高い車種だよ」



車の上にとまっていたスズメたち。
ちょうど停まりやすいようです。寒いので丸まっていて、こちらもかわいい~。



● 再びエンドレスカーブ

それから再び車に乗り、石巻へと戻りました。
朝からほとんど何も食べていないので、酔ってもひどいことにはならないだろうと思っていましたが、帰り道のカーブの道では行き以上に半端ない酔いに襲われます。
車関係の仕事をしているかっちゃんは運転が上手ですが、私がカーブに負けて途中から会話さえできなくなり、ひたすら我慢してやりすごしました。



地獄の七丁目くらいに差し掛かる気分でカーブ道を抜け、トンネルを抜け、橋を超えると、石巻。
この街のランドマーク、日本製紙石巻工場の前を通ります。
満身創痍で戻りましたー。

● ちゃんこランチ

カーブから解放され、ほっとしていたら、少しするとなんとか気持ち悪さが収まってきました。
「そろそろランチの時間だね。お店を探そう」とかっちゃん。
「ウン」とは言うものの、完全に生返事の私。



場所は東松島の辺り。
食堂も少ないし、もうここでいっか、ということで、目についたちゃんこ萩の井に入ることにしました。
宮城とちゃんこ鍋。イメージが結びつきません。



元大相撲力士のお店で、店内には力士の絵や写真が飾られ、相撲甚句が流れています。
松島海苔のそばをつかった鍋がお勧めということで、二人とも鍋焼きのりうどんをチョイス。
磯の風味が、おいしかったです。



● 友人の武勇伝

食事をしながら、かっちゃんの中学卒業後のエピソードを聞きました。
中学生時代、すごく優しいクラスメイトでしたが、見かけはかなり迫力があって、パンチの効いた友達に囲まれていた彼。
ツッパリとは言えないものの、ツッパった友人が多く、目を付けられやすかったのだろうと本人は言います。

思い出話は、中学の卒業式の日にさかのぼります。
よその学校の先輩に喧嘩を吹っ掛けられて、ボコボコにされたそう。
5対2で完全に劣勢。彼をつぶして先輩たちが帰ろうと背中を向けた時、一緒に倒された彼の友人が、半分に割れたブロックを手渡したそうです。
「手渡されたそれを、先輩たちの背中めがけて投げつけた・・・」
ヒエッw(゚ロ゚)w

それで彼は補導され、夜間高校への推薦が無くなったのだそう。
我が家ではその頃、中学卒業祝いの楽しい夕食を食べていましたが、近くを血だらけの彼を乗せたパトカーが走っていたなんて…。
でも私たちの担任の先生が彼のことを見捨てずに、一般受験を勧めたので、なんとか進学できたのだそう。
私は中学卒業後、すぐに横浜に引っ越ししたため、その後のことは知りませんでした。
初めて知る話に、ビックリ。


私が知らない一面を持つ彼ですが、昔も今もその優しさは変わっていません。
「風邪気味でつらいと思って、薬とエナジードリンクを買ったら、同じようにつらそうな人が二人いたから、薬とエナジードリンクをそれぞれにあげたんだ」
そういうことが自然にできる人で、無償の愛というか、大きな人間性を感じます。
マッキーの『僕が一番欲しかったもの』は壮大な歌で、私はまさに彼のテーマソングだと思っているくらい。
つまりは幅広い人なんですね。うーん、私はとても追いつけません。
ハードな武勇伝はほかにもいくつもあり、驚きながら聞いていたら、すっかりお茶が冷めてしまいました。

● 神主パワー

それから東松島にあるお屋敷を訪れました。
敷地内の一つの建物の中に通されましたが、神社なのかお寺なのかよくわかりません。
こっそりかっちゃんに聞きましたが、彼もわからないようで、臆せずそこの後継ぎ息子に思いっきり聞いていました。
「うちは神社です」「あ、はい、すみません」



かっちゃんが先生と呼ぶ神主さんにお会いしました。
今回一関を訪れた話を細かく彼が説明して「ルーツ探し、うまくいきますかねえ」と、代わりに聞いてくれました。
かっちゃんは商売繁盛について訪ねます。

ほかにも相談に見えた数人の方々と一緒に、神主さんと息子によるお祓いを受けました。
2人が声を合わせて朗々と述べる祝詞は大迫力でした。
祝詞に呼応するように、強い風がガタガタと窓の棧を揺らしていました。

不思議な体験をして、再び車に乗ります。
後になって調べても、まるで検索に引っかからない。不思議な神社でした。

● ブルーインパルス・グッズ

ところどころのセブンイレブンでコーヒー休憩をとりながら、多賀城への帰り道をとります。
そのうちの一店舗では、ブルーインパルス・グッズが売られていました。



「向かいがブルーインパルスがいる基地なんだよ」
たしかに、道路の先に、基地の入り口がありました。



日本中でパフォーマンスを見せてくれる彼らですが、そういえば本拠地は松島基地でしたね。
つまりここは外部購買所のようなところなんですね。



強い西日に向かって、多賀城に戻っていきます。



中3の時に、野蒜海岸のサマーキャンプに行った時の話をしましたが「覚えてなーい」とのこと。
忘れちゃったのねー。



● JR東日本新幹線総合車両センター

突然、目の前に大きな建物が見えてきました。
「利府町にある新幹線基地だよ」大迫力です。
今度行ってみたいわ~。



● 私の引き渡し

多賀城駅に、友人いっくちゃんが迎えに来てくれました。
かっちゃんといっくちゃんは、中学生の頃に付き合っていた仲。
それで、任侠映画並みに迫力あるルックスでも、彼はとても優しい人だと分かっていました。
もうずいぶん前の話ですが、今回のドライブも、念のためいっくちゃんに了解をとってのことでした(笑)。

私の引き渡しのために顔を合わせた2人は「元気~?」と挨拶を交わしました。
2人とも、今では余裕のある大人です。
あら、私ってなつかしの2人を繋ぐエンジェルじゃない!
じゃなくて単なるお邪魔虫か!

かっちゃんにこの日のお礼を言って、いっくちゃんの車に乗り換えました。
これからは、仲良しグループで夕食をとるので、一緒にどうかと誘ったら、彼は「別用があるけれど、あとで顔を出せたら出すね」と行って、去っていきました。
本当に、友人たちにだっこにおんぶ状態です。

● 仲良しディナー

着いたのは「忍家」。
個室に通してもらいました。



ここで、中学時からの仲良しグループ、レーちゃんとゴエちゃんといっくちゃんと集合。
肩を近づけて積もる話をします。
ゴエちゃんは、引き取った被災猫にもうメロメロ。たくさんノロケられました。


チーズフォンデュ風のタコ焼き。


ただ、みんな車で登場したので、誰もお酒は飲めません。
「リカ、飲んでいいよ」「私たちの分も飲んじゃって」
と言われても、もともと下戸だし、ロングドライブの後なので、普段以上にすぐつぶれてしまいそう。
ということで、全員ソフトドリンクで乾杯しました。



みんな集まってワイワイしている時に、かっちゃんが再登場。
みんな同級生なので、知り合い同士です。
彼は私たちににこやかに挨拶をして、また去っていきました。
「かっちゃんは、約束をきちんと守るマメな人だね」
「いっくちゃんは、中学生の頃から、人を見る目があったのね」
みんなで2人のことをほめそやしながら、またグラスを交わして、この日の夜は暮れていきました。

4日目に続きます。



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