2086号ふる雪の果て

三月、雨よ。崩れ雪の道をゆき伊予柑を買って帰った。解け残った雪壁は車粉泥で黒い。
勤め先の朝礼では、店舗前の雪塊を砕くこと。解けた雪から露出するゴミ清掃の二点が外回り整備として指示されました。
みるみる嵩の減る雪氷、ひと冬分の汚れや悩みもほどけていくようです。朝の雨は小やみ。
滞在中の孫が出かけて午後静か。猫達は悪魔が今夜また帰って来るとは‥多分知らないだろうなあ、不憫。
‥まだ今は静か。日没後のストーブの音。まどろむ猫。早春のけだるさは北国の春分。暦で既に立ち、ただなかの筈の春はこれから動き出します。

2085号花かた雪

金曜に休むのは本当に久しぶりで、特に用も無いくらい。長女一家が来るがそのために休んだ訳でもない。一家夕食後着くとのこと。ただ祝日月曜に出勤することしばしばで、たまに三連休もいいかなと。
以前の上司には「平日休むなら水曜に」と指示をうけてた。今回彼は異動になり、新しい上司と本格的な打合せに入る前に休んじった。彼等は営業部の部長職、パートの作業まで思いつく暇やアイデアがあるかどうか。
このところ暖かく、三寒四温に変わりないながら春の緒についた気がしています。もうそんな大雪や吹雪嵐はないんじゃないか。今目にする残り雪山も雪塊ももう次第に消えるに任せる。朝の除雪や渋滞を恐れなくてよいだけで随分楽です。
花まではまだまだ、遠い。踏む泥や水が流れ去る頃、今日卒業式の小学生は制服になり新しい友達ができますように。
俺は来月から、パート新7年生。先々何で辞めるかはわかりませんが、できることなら円満退職を願います。業務はいろいろ流動的でした。どうせ違う部署仕事に放り出されるなら、いっそサハリン択捉や北関東に飛ばされ切ってみたいものです。

2084号千寿菊万寿菊

昨日久しぶりに実家に着くと、またぞろまずは不可解な老父の疑問解決が待ってます。もうお約束の出迎えテスト。
実家で茶はいらねえが1問だけ解けなかった漢字パズルなどが降る。テストかよ。だいたい床に座ってる俺に紙投げてよこすな爺い。
…っ全く。礼儀知らねえな。『金□・人□・□間・□給』にの□に入り熟語を作る同じ漢字だって。‥「時」じゃねえのかよ。坂田金時。金時豆って言うよねえ、と横の老母（認知症だが金時豆はわかる）と意地悪く笑った。
向かっ腹の老父「げっぱるいって何だ！」負けまいと声が大きくなる。げっぱはビリ（最下位）だが「ちゃんと読んでよ、齧歯類（げっ歯類と書いてありました）だろ」鬼娘は許さねえ。「だから何だ！」怒るか？フツー「だからーネズミとかー、ハムスターとかー、モルモット‥。何文字なんだよ」「二文字で最後がス」「栗鼠！」ほとんどケンカ。
次は「こないだ行った葬式の坊主の寺と宗派がわからねえんだ。」知るかよ。そんなに坊主と友達になりたいのか。タウンページ的なものだと載ってるらしいが、その坊主に何の用があるんだ。「調べてどうすんだよ、棺桶でも入りたいのかい」とからかったら「ああ、もう死んで楽になりたい」また愚痴と弱音だ。病人を抱えてそりゃ大変だけど病人の聴いてる前でてめえが先に言うかよ。
地図ではわかりにくく、町の手引き的な冊子で老父が見つけてやっと静かになった。が、実はその冊子は住人が転居した隣家由来のもの。今度は「これはどこで買うんだ？」本当に理由は不明だが、郵便番号簿や電話帳・辞書事典地図に執着する。んー‥現物を受け取ってひっくり返し調べたが価格表示は無く、巻頭に市長写真入り挨拶。「これ市役所の住民サービスものじゃん。」一昨年各戸配布されたみたいよ。んでまた怒りだす。キレてました。「なんでウチに無いんだ！」知らねっつの。老母がどこかにやったに違いないと勝手に結論出してました。
あのねー俺有給使って朝から来てんのは病人の病状や介護の困難を聞くためで悠長に遊んでると受診予約時間になっちゃうんですけど。
何だかんだ、何とか受診しましたが相変わらず認知症当事者の老母はいつも俺にすまながる。いらぬ気遣いだ。もうパズルいくら持って来ていいけど、補聴器つけて医者とちゃんと話してくれないかなあ。
実家の鉢植にマリーゴールド咲きました。和名はいつも咲くというやたらめでたい名。（そういえば一休禅師の幼名、アニメでは千菊丸でなかったべか）老父母は生きるのがしんどいと愚痴ってます。

2083号青い空に白い雲が

先月の立春も、本日も暖かかった。老母はその日デイサービスに行き昼自宅に戻った。好天のせいか、買物に行くと言って最寄りのスーパーに出かけた。編物針とか言ってたらしい。確かにデイサービス先や自宅で編物はしてる。
そして数時間家に戻らず家族は警察に連絡しました。警察犬が老母の私物を嗅いだり老父が警察官に説明してる頃、となり町で親切な女性が老母に声をかけて下さった。その町の警察から連絡が入り、老母は無事にパトカー二台に守られ帰宅しました。
さすがに疲れたと言ってたくさん食べて寝てしまい、翌日何も覚えてなかった。何をしたくてどこで方向を誤り、日が暮れてからどう思ってさまよって？いたのか全く不明。老父は頭に来て弱音を吐いてます。弟は蛙の面。俺は一ヶ月以上前のことでもあって、不謹慎だが笑いそうになった。
老母が本気でとなり町に行きたくなったとは思いません。老父はJRに乗ったのではないかと言ったが老母はひとりで駅で切符を買い目的地に行ったことは（認知症以前も）ない。
老父の愚痴は今回最もだが、彼は「デイサービスに行きたがらなくて行かせるのも一苦労だ」とも愚痴っている。老母の身になれば、嫌いな口うるさい夫が冬無為にずっと一緒に家にいる。嫌なデイサービスに無理やり行かされる。‥多分気晴らしに出発と推測した。
そして結果的に迷子。‥うーん、家族には将来的に夜間病人が開けられない内鍵 が必要かもという話はした。別件で、預金通帳紛失事件もあったが印鑑はあるから老父にさっさと再発行の手続をしろと勧めた。多分老母は『私のお金』を老父に触れらるのが嫌でしまい込み思い出せなくなった。
困ったのは、今回の迷子コースはどこかでJR千歳線を越え、下手すると国道36線沿いをかすっている。幼児なら保護者は万一の場合申し開きできない。
が老父や弟をなぜ付き添わないと責めても仕方ない。弟の言では、同じ買い物理由で老母は都合四度現金を取りに来たそうです。
でも彼女は、ひとりで自由に買物したかった。男どもが苦手な買物に付き添う位なら娘のおれが同行することも少し考えた。
…これも愚痴ですが、昨年末から個人感情的にとにかく老父の顔を見たくなかった。そして結果的に老母にも会ってなかった。
善意の女性と警察官の方々に、俺も詫びねばなりません。

2082号滑雪（フアシュエ）

今朝スノーボードやスキーを抱えてあるく若者たちとすれ違った。嬉しげかつ不慣れそうな姿に、本州からの春修学旅行生ではないかと。昼しばし風花が舞いました。
通勤路の中ほどにある陸橋からは、スキー場がふたつ見えます。片方はリュージュコース併設。札幌がスゴいんだか俺んちが街からやたら遠いせいかわかんないっす。実は陸橋から手稲山も望める。この山もスキー場があります。今朝の子達はどこまで行ったのかなあ。
徒歩で地下鉄駅に向かったとしたら、スキー場行きバス乗り場をさして行ったんかな。上記三箇所以外にも藻岩山そばのばんけいがある。‥まあ初心者さんなら定山渓奥の国際スキー場までは行かないと思うが。修学旅行生だとすれば、アクティビティが選べるって事ですかね。
旅行生全員がスキー場体験するなら、ホテルからバスで行きますよね。他の選択肢は何かな～。スケート体験やジャンプ台見学かしら。地元民には見当がつかない。
卒業式日和、少しだけ空いてる地下鉄で帰ります。

2081号みず雪

夕方、吐く息と見上げる空から降る雪は白くなった。身に地に触れる時は既に水。地下鉄の駅に入ると降りて外に出る人達が、入る我々の濡れ具合を目で確認します。あんまり濡れ鼠だとちょっと恥ずかしい。
相変わらず天然で粗忽パートをやっています。勤務時間の悩みを夫に相談してみたが「どうだっていい」そうでした。うーん。現状維持かな‥。
一昨日先輩パートから散々内線電話で文句云われました。常識的配慮が足りないそうです。詫びました。では悩んでるかといえば全く違う。
数年同じ職場にいて、慣れたと言えば慣れ過ぎたかも。慣れたのは業務や自責点やその先輩の毒舌のみではない。△秒ルールではないが、挑発や不条理に怒れなくなった。あちらは言いたいだけ言ってぶつりと内線電話を切ったが、もう自分が受話器を置く間にこちらの気分はどうでもよくなっている。本当は仮にも同じ職場なんだから取ったり付けたりしても良い。それは傲慢で尊大だと自覚はあります。
それでも、どうでもいい。何か消化に悪いもの食べたのか。家庭で面白くないことがあったのか。あちらの業務内容や部署・同僚が変わってストレスなのか。誰かにやつ当たりしたくて（反撃が無いとみられて）的にされたか。とにかく嫌いなのか。
どの理由でも本当にどうでもよくなったのです。ああなんか心から排泄したんだなあ、と子どもや猫の粗相のように全く感想なく流す。失礼ですよね。わかっているけど、お相手できない。
先輩の指導を受ける態度としてはよろしくない。恨みもないから、あっちだってと言葉にする気にもなれない。ただ他の同僚がピリピリしていたと以前もれ聞いたのはこの事かもとは思いました。
それは、夫が俺に対する態度と似ているのではないだろうか。先輩のほうが感情的なのは、当然なのではないか。
だとしたら、俺も夫に対して何か望んで も空しい。このまま特に仲良くないきょうだいが シェアハウスしているように暮らすしか無いじゃないか。
暗い道を濡れながら歩き家にたどりつきます。

2080号雪あかり

かそけき歌声のように降る雪は、薄い雲行きで照る陰る。狐狸の嫁入りと22世紀の人も言いますろうか。時の忘れ物のように白くゆっくり落ちる。
日向から雪塊は解け、細身の氷柱が格子戸模様に下がり並びます。轍や舗道から次第しだいに遠のく雪の渚はどうしても薄く泥じみて街は彼方此方いびつな雪の環。
もう春休みの人、発表待ち受験子、合格し転居準備の人。在校生もそろそろ期末を終える頃でしょうか。昼休みライブハウスのそばを通ると、午前の練習スタジオから出て来たバンドの若者達がいました。ライブはいついつと立ち話、青春ね。
伊藤整詩集には『春の雪』もあります。青年期の詩は北海道の夏のそよ風が吹き、赤子の泣き声や雪道の光。塩谷から小樽に通学する忍路の風景。
春また職場に若者がやって来て、元気ににぎやかになるでしょう。お婆さんパートは春を越せるかわからないけど、何とかなるさ。

2079号鐶の雪

昨夜は針のような低い月を見ながら帰りました。
♪月の砂漠を遙々と
灼熱の昼間を避け夜星を頼りに旅ゆくとそういえば昔聞いた。自分のまわりはまだほとんど雪野原。
でも耳に残る歌。昭和のTVドラマ「名もなく貧しく美しく」（出演は東野英心　島かおり‥と思う）では手話でこの曲を演奏する場面がありました。主人公は聾の夫婦、もうけた男子は健常で家族は手話で会話します。
♪金の鞍には王子様
　銀の鞍にはお姫様
‥歌詞あってるかな？聞き覚えはありますが、歌ってみると難しい歌ですね。最近歌はおろか話す言葉日本語漢字に自信なくなりました。
Why Japanese people～!?並みか？そおいや今朝タブレットで英単語を暗記してる学生さんがいました。画面でかいから隣で見えちゃった。多分まだ高校生、画面は英単語の和訳を下半分に出るなかから四択で選ぶ。正解だと画面に丸が現れ次の単語へ。んー便利ですよね。昔宅建とか試験に手こずったけどこんなソフトやアプリがたくさんあるならすぐ覚える‥かな？
答えが決まっているところが試験とクイズは似ています。裏をかきひねりをくわえるレベルまで行ったらやり過ぎかな。いや害は無いが後々そんなに全部が役立つとか必要不可欠では無いです。極端に言えば教科書参考書の内容と、新聞雑誌で変革や雑学を更新すれば答えるのは難しくありません。
未来とは答えの無いことです。全部知ってると思うのは年寄の傲慢。こんな姥にもまだ先のことはわからない分の未来くらいは残っています。
今日の月は切った爪ほど。また満ち細る。旅ゆくは寂しかりけり。今夜はひとり晩餐です。

2078号‥今日も小雪の

大概の道らしい道は両側が汚れ雪、またそこに積もる雪。
昨日や先週の自分は事務上エラーのデパートの様相でした。まだ少し頭が痛い。こんなにいろいろやらかせると自分でも思わなかったーい。まこと生きていくのは他人様にご迷惑をかける事にございます。が迷惑をおかけする程度でびびっていては人間の仕事にならないのでございます。お仲間や上司の仕事に無関係ではない以上、俺のエラーで誰かが失点します。たまたま俺がこれ以下が無いポジションだったとしても、然り。
折しも契約更改を控え、面談の日程が発表されました。少し勤務時間では悩んでいます。30分～1時間今より早く帰っても、休憩時間や有給・健康保険・厚生年金などの加入状況は変わらない筈。少し早く帰宅して夕食を作れば家庭の状況は好転するのか？
わからない。実は夫は買物や料理を楽しんでて、不機嫌は全く別な理由の可能性もある。それなら日に数百円の時給でも、家計にはあったほうが良いかも知れない。
会話や相談が成立しにくいので、自分の仕事くらい自分で決めろと斬り捨てるかも知れない。家族のせいや言い訳にするなと。難しいところです。
はっきり通知が来ないが、この春（俺の記憶が正しければ）若干の経済的環境の変化が来る。その影響は俺が毎勤務日1時間短縮勤務より大きい。だがそれとは別な経済的目標もあり、それをクリアするまでは夫に言わないほうが良い気もする。夫も俺も、とりあえず多分今の勤務を続けます。
もう俺自身も汚れるだけ汚れたようなもんなんですが、泥だらけの犬だって明日はあるさ。
じきこの仕事丸六年。よく続いてると職場に同僚に上司に感謝します。

2077号ゆき凭れ

Лとか〓や∫に似てる、歌や浪曲などのひと節を書き出す頭につける記号は『庵点』というらしい。
♪馬鹿は死ななきゃ治らない～
と書きたかったのです。子どもの時（まー大昔だ）耳にした
♪江戸っ子だってね、鮨食いねえ
♪赤城の山も今宵限り…雁が鳴いて南の空へ飛んで行かあ…親分子分のてめえ達とも…
と同様出どころは浪曲「森の石松」や「国定忠治」らしいです。
浪曲をまるまる通して聞いたことは無いので、全てTVで視たパロディやコント。はっきり覚えてるのは、欽ちゃんが気仙沼ちゃん達とコントしてました。
つまり本編はほとんど知らないまま、パロディをたくさん見た聞いた。歌舞伎新派の舞台などの名台詞は当時まだ一般に浸透していました。
♪丁度時間となりました～
とうなれば、何人かと「玉川カルテット」さんのネタのエンディングに行けるかも知れない。
『にほんごであそぼ』ではうなりやベベンと名のっていた故国本武春さんの声も若い世代の記憶に残るかしら。同番組では更に縁遠い人形浄瑠璃の太夫さんも出てました。
…本日仕事で凡ミスをやらかし、今とっても馬鹿は死ななきゃ治らない気分です。最近は余り親子でもバカヤローだの死んじまえだのとは言わなくなりました。（本気にする子が増えたのかな…）でもモノマネか録音か定かではない記憶にある広沢先生？の声は馬鹿だって死ななくてもいいよと許しているように聞こえます。