3753号かくも長き午睡

従兄がそれはロマンス詐偽だという
これが真筆の文字で
あなたがもらったその文字は
このように偽物だからと

すっかりそのつもりになっていたので
驚いたが、夢の中の自覚は
従兄は自死したと
やんわり告げる
従兄はずいぶん以前に
入水した　夢ではない事実
そしてまた事実、入水直前に
従兄と会って話した
実家の(私の)老父を
幾分か許し難く思う

土曜の夕刊を居間に置いてから
いつの間にか　夕飯もとらず
TV をつけたまま眠った
そばで夫が夕飯をとったと思うが
全く気付かなかった
その前に一度覚め　少し寒くて
洗面所の小窓を閉め
薄綿布団やタオルケットにくるまり
また寝たらしい

つけたままの夜の番組の切れはしが
耳に入り
そのまたずっと後
とりあえずTVを消音にした
そのあたりで夫が階下に来て
寝る支度をはじめたと感じた
ああ　眠くて食欲がない
夕食後の薬と
就寝前の薬をどうしよう…
そこまで考えるなら
起きそうなものだが

結局身をおこしたのは
それからまた一時間後
八時間程　昼寝をした勘定
昼下がりに外に干したものは
そのまま夜干です
服ではなく
旧居で使っていたカーテンなどの
古布だからいいや

就寝前の薬だけを服み
ようやく寝室へ階段を上がる
すでに就寝している夫は
このような生活音を好まない
微かな寝返りの気配がする

開いた寝室の窓から
夏の木の花の香
そばの公園から向こうへ下りる
車が入れない小路と
テラスハウスの間に
いつの間にか大木

せっかくの連休に
なんとも怠惰な
それでは再度
おやすみなさい