金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

8:梅谷百『平安かさね色草子 白露の帖』

2021-01-17 20:46:23 | 21 本の感想
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

時は平安、雅を愛し宮中に憧れる貧乏貴族の娘・明里は、
家のために誰もが数日で逃げ出すという
春日家に出仕することに。
美形にもかかわらず風雅とはほど遠い
春日家の三兄弟をかわしながら、
新米女房の務めに励んでいた。
明里が見立てた長男の装束や、
荒れ放題の春日家での酒宴を見事に執り行った機転が
兄弟の上官・有仁をも感心させる。
そして持ち込まれた、後宮で起こっている
不穏な企ての犯人捜しの相談。
有仁の頼みで明里は
鳥羽天皇が暮らす憧れの宮中に行くことに――!

********************************

昔なつかしい少女小説のがちゃがちゃしたラブコメのようで、
わたしには、もうこのノリがきつい・・・・・・。

表紙である程度予想はついていたのだけど、
装束以外に関しては考証をぶん投げているのか、
「日本の後宮は男子禁制じゃないよ!」
とか、
「存命中に『鳥羽帝』とか『白河院』とか呼ばせちゃだめだよ!」
とか、ストーリーとは別のところでハラハラ。
架空の平安時代ではなく、実在の院政期を舞台にしているのは
装束と関わりの深い源有仁を出したかったからだろうけど、
1巻の時点ではそこまでこの設定が有効に機能していなかったし
突っ込みどころが増えるばかりなので
架空の時代設定でよかったんじゃないかな~。

ヒロインと志摩姫が仲良くなっていくのはすごくかわいかった。
あとやっぱり、本を作る際の制約があって難しいのだろうけど、
色合いの話だから、カラーで色がわかるといいよね。

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映画:『燃ゆる女の肖像』

2021-01-17 20:11:31 | 映画の感想
2021年の映画①:『燃ゆる女の肖像』(セリーヌ・シアマ 監督)
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

18世紀のフランス・ブルターニュ地方。
画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)は
貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)の見合いのため、
彼女の肖像画を依頼される。
しかし、エロイーズは結婚することを頑なに拒んでいた。
マリアンヌは身分を伏せて孤島でエロイーズと過ごし、
ひそかに彼女の肖像画にとりかかるが、
マリアンヌの目的を知ったエロイーズは絵を見て
その出来栄えを否定する。

***********************

映画館にて。

あらすじからなんとなく、もっと若いお嬢様が
「お姉様」的な憧れを画家に抱く話かと思っていた。
お嬢様は結構年かさなのね。
そして思った以上にがっつり「女同士の愛」を描いた映画だった。

絵を題材にしているだけあって、場面のひとつひとつが
絵画的で美しい。
孤島という舞台設定が、当時の女性を取り巻く閉塞感にも重なり、
秘密の恋に息が詰まるよう。
母親の留守中、ヒロインズふたりと侍女の三人が
きゃっきゃしているのが、かわいらしいと同時に
短い青春といった様子で切ない。

ラストの「私を見なかった」は、
それまでに重ねて描かれてきた「見るー見られる」の関係を
踏まえたもの。
決して見ようとしない、そこに強い思いが感じられる。

好き嫌いとは別に、胸に爪痕を残すような、
印象的な映画だった。
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