(写真は2006年ボローニャ歌劇場でのアンドレアシェニエ)
ホセ・クーラは、今年(2017年)の12月、母国アルゼンチンのテアトロ・コロンでアンドレア・シェニエに出演することが発表されています。 → (告知編)
ここへきて、少し気になる出来事がありました。
クーラが9月13日付のフェイスブック上で、このアンドレア・シェニエに関する「噂への反論」(DESMENTIDA DE RUMORES)というような意味のコメント(声明文?)をアップしたことです。下の画像からクーラのフェイスブックの元記事にリンクしています。
あまり楽しいニュースではないのでブログでとりあげるのは迷いましたが、クーラ自身が広めてほしいと言っているので、紹介することにしました。
以下、おおまか訳してみました。スペイン語のため、誤りやニュアンスの違いがあるかもしれません。お許しください。
≪ 噂への反論 ≫
ブエノスアイレスでは、アンドレア・シェニエの最後の二重唱を半音下げて歌うことを私が契約書で要求している、という大きな懸念があることが、様々な手段で私に伝えられてきた。
私は、このような噂は真実ではなく、作品は元のトーンで歌われることを、この場を通して伝えたい。
どうか広めてほしい。
ホセ・クーラ
2015年のカヴァレリア・ルスティカーナと道化師での演出・出演以来、2年ぶりの母国での公演を前に、なぜこのような根拠のない噂が母国で流され、クーラが公式に反論しなければならないような事態になっているのか、私にはまったくその背景は理解できません。
今回の公演は、同じアルゼンチン出身のマルセロ・アルバレスのキャンセルを受けて、クーラの出演が決まった経過があります。アルバレスのキャンセルも、今回の「噂」とは内容が違いますが、契約をめぐるトラブルがあったように書いた記事もありました。
これまでに何度かクーラは、国際的に高い評価を受けても母国ではなかなか同様の評価がされない時期があったこと、また、オテロなどテアトロ・コロンでのクーラの公演が聴衆から大きな喝采を受けたにもかかわらず、レビューでは厳しく批判されたことなどにふれたことがあります。同じアルゼンチン出身のサッカーのスーパー・スター、メッシでさえ、母国から栄誉を受けるまでには長くかかったことを例にあげながら、母国への愛と複雑な思いをインタビューで語ったこともありました。 → 「母国アルゼンチンから名誉表彰を受けて」
今回の「噂」にどういう意図や背景があるのかまったくわかりませんが、いずれにしても、クーラの歌手としての資質や能力、公演への姿勢を貶めるような「噂」が、その母国で広められるというのは、とても悲しいことです。クーラ自身も残念な気持ちでいることでしょう。
たまたま何らかの勘違いか何かが原因であって、国外で成功したクーラへの妬みや嫌がらせなどではないと信じたいものです。
気にするまでもないことかもしれませんが、こういうトラブルを乗り越えて、母国での公演が大きく成功することをつよく願います。
2006年ボローニャ歌劇場アンドレアシェニエ、ラストの2重唱、マリア・グレギーナとホセ・クーラ。
Umberto Giordano Andrea Chenier 'La nostra morte e il trionfo dell'amor!' Cura Guleghina
*画像は、2006年ボローニャ歌劇場のアンドレア・シェニエからお借りしました。