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ホセ・クーラは、アルゼンチンのロサリオ出身です。音楽家としての夢を実現するために、91年にイタリアに渡り、フランス在住をへて、スペインのマドリードに長く住んでいます。しかしアルゼンチン出身ということへの誇りと、母国へのつよい愛を持ち続けてきました。
これまでに、アルゼンチンやラテンアメリカの曲を収録した、アネーロとボレロという、2枚のCDも出しているほか、各地のオペラコンサートのアンコールで、アルゼンチン・南米の歌を必ずといっていいほど歌っていますし、アルゼンチンの歌を中心としたコンサートも開いています。
故郷では認められず、意を決して欧州に渡り、そこで国際的なキャリアに飛躍したクーラ。故国との関係では、深い愛とともに、決して単純な思いばかりではなかったようです。それでも、機会あるごとにアルゼンチンの歌や南米の歌を歌い、文化を伝える役割を積極的に果たしてきました。
今回は、クーラのアルゼンチンの歌、南米の歌の録音・動画やコンサートの写真などを紹介したいと思います。
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●アルゼンチンの愛国歌「アウローラ」より
まずは、アルゼンチンの愛国歌「アウローラ」のなかの「旗の歌」。2009年ウィーンのクリスマス・コンサートより。朗々と歌いあげる素晴らしい歌唱です。
Jose Cura " Alta pel cielo" Aurora
クーラは、子どものころ、毎朝、学校では、旗を揚げながらこの歌を歌うことになっていた、という記憶を語ったことがありました。それほど、アルゼンチンの人々には親しまれた歌のようです。
同じく「アウローラ」、こちらは2003年、プラハでのコンサートで。
José Cura in Prague - Aurora (Canción a la Bandera 1)
●祖父の地を訪ねて――ソリアでのコンサート
クーラは前述のようにアルゼンチンのロサリオ出身ですが、移民の国らしく、父方の祖父母は中東レバノンからの移民、母方の祖母はイタリア出身、母方の祖父はスペイン出身の移民なのだそうです。
2013年に、クーラは、祖父の地スペイン北部のソリアを初めて訪問しました。
ソリアで、アルゼンチンの歌のリサイタルを開催してます。その際、町の様子を自ら撮影して、フェイスブックに掲載しました。
ソリアの町から母に電話するクーラ
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ソリアの古い建物、教会などを訪れて、祖父たちの暮らしぶりに思いをはせる。
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美しい古い街並み、自然をおさめた写真、クーラ撮影
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リサイタルの舞台写真。残念ですが録音や録画はありません。
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ピアニストとリハーサル
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●モナコのモンテカルロ歌劇場でのリサイタル、今後の予定など
2014年12月には、モナコのモンテカルロ歌劇場で、アルゼンチンの歌のリサイタルを開いています。
クーラのアルゼンチンへの思いはつよく、曲を紹介しながら、思いを語りながらの進行だったために、観客からは「もっと歌って」という声があがったという話も聞こえてきました。思いのこもった語りを聞くのもよいけれど、クーラの声と歌を少しでも多く聞きたいという、観客の願いもわかりますね(笑)
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このモナコでは、来年2017年に、クーラのワーグナーデビュー、タンホイザーのパリ版(フランス語)が上演される予定です。
そのほか、ウィーンでもアルゼンチンの歌のリサイタルを開催しています。
今後の予定では、今年2016年11月7日にルクセンブルクで、アルゼンチン、ラテンアメリカの歌のコンサートがあるほか、12月7、8日、プラハ交響楽団とともに、プラハのスメタナホールでユニセフのためのコンサートに出演し、クーラが指揮、ラヴェルのボレロの他、ピアソラ、ヒナステラのアルゼンチン音楽を演奏します。
●故郷への思いを込めたクーラの歌
Youtubeにあがっているクーラの歌をいくつか紹介したいと思います。
どれも哀愁のある、しっとりとした歌で、クーラの故郷への愛と思いが深く込められたものに感じられます。
以前、クーラのYoutubeチャンネルに、アルバム「アネーロ」のメイキングビデオが掲載されていて、母国のピアニスト、ギタリストとともに曲をつくりあげていく風景が映されていました。現在はチャンネルは閉鎖されて、見ることはできないのが残念です。
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アルゼンチンの作曲家であり、ピアニストのカルロス・グァスタヴィーノの「ばらと柳」
La rosa y el sauce - tenor José Cura (ARGENTINA)
アルゼンチンの作曲家、アルベルト・ヒナステラの「忘却の木の歌」
Canción del árbol del olvido - tenor José Cura (ARGENTINA)
1998年、オランダ・アムステルダムの運河コンサートで、ピアノの上に座り、ギターで弾き語り。
Cura Prinsengrachtconcert Argentinian songs
メキシコ出身の作曲家アルマンド・マンサネーロの2曲、2010年チェコでのコンサートから。
Jose Cura "Somos novios" & "Esta tarde vi llover"
アルゼンチンの作曲家アリエス・ラミレスのミサ・クリオージャ。ロス・カルチャキスとの演奏で、2007年、アッシジにて。
José Cura - Misa Criolla - Assisi 2007
最後に、1998年のマンハイムのコンサートから、ギターの弾き語りを。
Jose Cura Argentinian Songs
移民のルーツをもつクーラの家族、そして母国アルゼンチンへの望郷と、苦さも含む複雑な思い。
日頃、オペラの巨大なホールを響かせるクーラの声、歌とは違う、クーラ自身の等身大の、情感豊かな、思いの込められた歌を味わうことができると思います。
できるなら、こじんまりとしたホールで、ゆったりとクーラの歌と語りを聞くリサイタルに行ってみたいものです。
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